「勝てるわけが無い。」
「これ以上設備が落ちるのはイヤだ。」
「姫路さんがいれば何もいらない。」
こんな馬鹿しかいないクラスで勝てるのかな?
「まあそう思うのも無理は無い。だが!このクラスには有力な戦力がいる!まずは木下秀吉だ。」
「おお!そういや演劇部に所属しているって言ってたな。」
「姉も確かAクラスだったな。」
「ああ。他にもいるぞ。おい土屋、姫路のスカートを覗いてないでこっちに来い。」
「はわわわわ!」
姫路さんのスカートを覗いていたムッツリーニはすばやく姫路さんから離れて立ち、首をブンブン振る。
「あいつがムッツリーニだ。」
「なんだと!あいつが!」
「だがあの態度、自分を認めようとしないのはまさしくだ。」
士気が上がってきた。さすが雄二だ口が上手い。
「それに島田美波だっている。」
「おお!数学が確か得意だったな。」
「姫路瑞希に関しては言わなくてもいいな。」
「そうだ!俺たちには姫路さんがいる。」
「それに一条寺友也もいる。」
「たしかあいつってAクラス並の学力があるな!」
「そうだ。そして俺たちには吉井明久がいる。」
シ―――――――――――――ン。
「誰だよ吉井って。」
「俺知らねえぞ。」
おい!さっき自己紹介したのにもう忘れてんのかい!
「・・・雄二、なんで僕の名前を出したのさ。」
「まあ落ち着け。皆が知らなくてもおかしくは無い。だが聞いて驚くな。こいつは観察処分だ。」
「「「なにぃ~~~~~~~~~!」」」
「あ、あの~。」
暇時が手を上げて質問をする。
「なんだ姫路?」
「坂本君、その観察処分って何ですか?」
「簡単に言えば馬鹿の代名詞だ。主に先生の手伝いや雑用をしている。召喚獣の操作に関しては学年一と言っても過言ではない。」
(一応褒めているつもりだな。この坂本は。)
タロウが明久の上着の内側でそう思っていた。ジャンボットとジャンナインも同じことを思っていた。
「じゃあ明久にはDクラスへの死者になってもらう。」
「・・・・雄二、心なしか「使者」じゃなくて「死者」に聞こえたのは気のせいかな?」
「気のせいだ。いいか?俺達がいきなりAクラスに試召戦争を仕掛けても勝ち目は無い。経験を培い、奴らに勝利するぞ!」
『おおおおお~~~!!』
Fクラス全員が雄二の言葉に引かれ、戦うことを決意した。
明久は雄二に言われDクラスへ行っていた。
「失礼しま~す。Fクラスの吉井明久です。Dクラス代表の方はいますか?」
「Dクラス代表の平賀源二だけど何かな?」
「え~、僕たちFクラスはDクラスに試召戦争を仕掛けます。」
『なにぃ!!!』
「開始時間は昼過ぎでいいかな?」
「別に構わないよ。」
「じゃあ。」
「おい待て!」
明久がDクラスから立ち去ろうとしたとき平賀の後ろに三人の男子が指の関節を鳴らしながら近づいてきた。
「そんな真似してただで帰れると思うなよ。」
そう言って平賀を押し払い一人の男子が右拳を突き出してくる。
「危ないって。」
明久は左手で右拳を流し右裏拳を顎に喰らわせる。男性とは気絶し倒れる。
「にゃろ!」
もう一人の男子生徒が蹴りを入れようとする。
「よっと。」
明久は近づき距離を詰め胸を軽く押し男子を倒した。
「てめぇ!」
最後の男子が明久に右裏回し蹴りを喰らわそうとする。明久は右手でそれを受け止め右足を掴む。
「は、離せ!」
「はい。」
明久が手を離すと男子生徒は倒れた。
「ゴメンね。」
「いや、こちらに非があったんだ。君は悪くないよ。」
「そっか。じゃあ。」
そう言って明久は教室を後にした。
明久がFクラスに戻ると雄二は怪我をしてないことに驚いていた。そこまで予想しているのなら言えばいいのにと思う。
「明久君、手加減はしましたか?」
「一応ね。でも少しやりすぎたかも。」
ピンポンパンポーン
『Fクラスの吉井明久君。高橋先生がお呼びです。至急、職員室まで来てください。』
「仕事だから行ってくる。」
「おい明久。」
「何雄二?」
「その鞄、いっつも持ってるがなんなでだ?」
明久はいつもスパークドールズが入っている鞄を持っている。というのも前にバルキー星人が実体化していた頃に家に不法侵入されたことがあるからだ。バイトなどをして要塞並みの防御力を誇っているがやっぱり手に持っている方が安全である。
「ちょっと大事なものが入ってんだよ。観察処分の仕事でそっちと合流するのは少し遅れるかもしれないから。」
明久はそう言って職員室へ向かった。
明久が職員室に行くと高橋先生の指示でプリントの入ったダンボールを持とうとしている秀吉そっくりの女子生徒がいた。
「っ!吉井君。」
高橋先生に呼ばれ明久は高橋先生に近寄る。
「なんですか、高橋先生?」
「このプリントを彼女と一緒に運んで欲しいのです。」
「わかりました。えっと・・・・・木下優子さんでいいよね?」
「そうよ。わたしは秀吉の姉の木下優子よ。あなたが吉井君?」
「うん。それよりこれを運べばいいんだよね?」
「ええ、Aクラスまでよろしく頼むわ。私も半分運ぶから。」
「大丈夫だよ。これ見た目ほど重くないから。」
明久はプリントの入ったダンボール二つを軽々と持つ。
「結構力あるのね。」
「まあちょっとね。」
三人はAクラスへと向け足を進めた。廊下を歩いているとおもむろに高橋先生が明久に声を掛ける。
「吉井君、後悔はしていないんですか?」
「何がですか?」
「君がAクラスには入れなかったことです。君の今の学力ならばAクラスには入れたのに。」
「いいえ。人を見捨てるよりはいいですから。」
二人の会話を聞いて優子は驚いた。
「あ、あの高橋先生。吉井君って観察処分ですよね?」
「ええ。ですが彼は目覚しいほどに成績を上げてAクラス並みの成績を持っています。本人曰く、スパルタに教えられたそうです。」
「本当なの、吉井君。」
「ん?うん。結構ね・・・・・・」
明久は明後日の方向を向いて話す。二人はあえて何も言わなかった。三人がAクラスに着き明久はダンボールを置いた。
「それでは高橋先生。僕はこれ「いたぞ!吉井だ!」ん?」
明久がAクラスを出ようとすると明久に倒されたDクラスの男子三人が明久目当てにAクラスに来た。
「おいおい、そこまで執念あんなら他の事に使いなよ。」
明久の言葉にAクラスの生徒は頷いた。
「うっせえ!お前に試召戦争を仕掛ける。」
「いいよ。高橋先生、化学でお願いします。」
「承認します。」
『試験召喚獣、試獣召還!!』
「Dクラス 男子三人 VS Fクラス 吉井明久
化学 平均106点 389点 」
『なんじゃそら~~~~~~!!!!』
Dクラス生徒とAクラスの男子生徒は明久の点数を見て驚いた。
「お前観察処分だろ!」
「そうだけど。」
「「そうだけど。」、じゃねぇ!カンニングでもしたんか!」
「無理無理。第一、回復試験には何の問題が出るかわからないし。」
『ぐっ・・・・・』
Dクラスの男子全員は何も言い返せなかった。
「だ、だが点数が高くてもこの人数で攻めれば勝てる!」
「そ、そうだ!」
「い、行くぞ!」
ここで今更だが敵の武器の説明だ。一人は薙刀を持っている。中距離でのつきが一番効果的である。一人はチェーンハンマー。威力は大きいが周りを巻き込んでしまうのが難点だ。最後の一人はレイピア。剣を浅く何度も攻撃するのが効果的であるが、力技には向かない。
一方明久の武装はというと・・・・・
「オメエの武装は短剣か?」
「ははは、俺たちの勝ちだな。」
(あれ?これって・・・・・)
明久は自分の召喚獣の武装を見て思った。召喚獣がギンガスパークを持っていると。
「おりゃ!」
レイピアを持っている召喚獣が明久に向けレイピアをついてくる。明久は前宙し召喚獣の後ろに着き裏拳を喰らわせる。召喚獣は弾き飛ばされる。そこをチェーンハンマーを持った召喚獣がハンマーを振り下ろす。明久はその召喚獣に急接近し溝打ちをする。
「そこだ!」
薙刀を持った召喚獣が明久に向け突いてくる。
「なんの!」
明久は四回バク転して回避する。
(ヤバイな。ここで点数を削られでもしたら今後の戦争に大きく影響するし・・・・・)
明久がそう思った瞬間右手のライブサインと内ポケットに入れているギンガスパークと召喚獣のギンガスパークが共鳴する。
(もしかして!)
明久は鞄の中からバルタン星人を取り出し、それを召喚獣に渡す。
「なんだ?それなんかの脅しか?」
「一か八か・・・・やってみるか!」
明久は召喚獣のギンガスパークで場ryたん星人のライブサインを読み込ませる。
「ウルトライブ!バルタン星人!」
召喚獣は光に包まれバルタン星人にライブする。
「やった!」
『なっ!』
「なんだあれ!」
「観察処分だから出来るのか?」
周りの生徒も驚きを隠せなかった。召喚獣が他の召喚獣になるなど前代未聞のことである。
「さあ!一気にに倒させてもらうよ!」
バルタン星人は俊敏な速さでチェーンハンマーを持っている召喚獣の後ろに回り白色破壊弾を喰らわせる。チェーンハンマーを持った召喚獣は消滅する。
「舐めんな!」
薙刀を持った召喚獣が薙刀を振りかぶりながら接近してくる。後ろからはレイピアを持った召喚銃も接近してくる。
「今だ!」
バルタンは多重陰分身をする。二人は召喚獣を止める。
「ど、どれが本物だよ!」
「わかんねぇよ!」
「いくよ!バルタン忍法・多陰重斬!」
多重陰分身をしたバルタンは二体の召喚獣に容赦なく持ち前のハサミで切りつける。バルタンが一つに戻ると同時に二体の召喚獣は消滅した。
「戦死者は補習~~~~~~!!」
何処からとも無く西村先生が現れたことにAクラスの生徒は驚いている。
「「「ギャァァァァァァァァァァ――――――――――!!!」」」
Dクラス生徒三人は補習室と言う名の監獄に強制連行させられた。召喚フィールドが解除され明久の召喚獣が立っていた場所にはバルタン星人のスパークドールを回収する。
(まさか召喚獣でウルトライブできるなんて・・・・・・)
「吉井君。」
「?どうかした木下さん。」
「何なの今の?」
「えっと・・・・・まあ色々・・・・・あっ!」
「どうかしたの!?」
「もう始まっていることすっかり忘れてた。でも廊下から行くと普通に見つかるし・・・・・ちょっと窓開けてもらっていい?」
「い、いいけど・・・・」
優子はAクラスの窓を開ける。
「どうするの?」
「ちょっと走るだけだよ。よっこいしょ。」
明久は窓枠に足を掛ける。
「まさかここから飛び降りてFクラスに!?」
「ははは、まさか。ちょっと壁を走るだけだよ。」
『・・・・・・え?』
「じゃあお邪魔しました。」
そう言うと明久は壁を走ってFクラスに戻って行く。
「・・・・・・・・・なにこれ!」