バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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帰ってきた姉さん

 期末テストを二週間後に控えた明久の家。今明久は日課の筋トレをしながらタロウと話していた。

「ねぇタロウ、タロウって実の兄弟はいないの?」

「いないな。レオやアストラの様に兄弟でウルトラ戦士なのは私が知る限りいない。よくあるだろ。片方は運動系でもう片方は頭脳系なあれ。」

「あ~。」

 明久はその言葉に納得する。

「でも赤いウルトラマンは戦闘に向いていて青いウルトラマンは科学者向きって聞いたよ。」

「ああ。だが赤だからと言って戦闘に向くとは限らないのだ。」

「そういうものなの?」

「そういうものなのだ。」

「ふーん。」

 その時玄関のチャイムが鳴った。明久は筋トレを止め、玄関に向かう。

「はーい。」

 明久が扉を開けるとそこにはバスローブ姿で荷物を持った黒髪のショートヘアーの女性がいた。

「お久しぶりです、アキ君。」

「姉さん・・・・・・何でバスローブなの?」

 明久の目の前にいいたのは実の姉、吉井玲であった。

「まぁ、実の姉に会って言う事がそんなを言うなんて。」

「いや、おかしくないからね。とりあえず誰かに見られる前に入って。」

「わかりました。ですがアキ君。」

「なに、姉さん?」

「姉さんは駅からこの格好のまま来ました。」

 その言葉を聞いた瞬間頭が痛くなった明久であった。

 

 とりあえず玲には私服に着替えてもらった。

「改めてお久しぶりです、アキ君。」

「うん、久しぶり姉さん。とりあえず聞くけどなんでバスローブ姿だったのか説明してもらえるかな?」

「はい。人間は温まった身体を冷やそうと汗を掻きます。ですがその副作用で身体がベタベタして気持ちが悪いです。そこで吸収性に優れたバスローブを着る事にしたのです。」

「成程。筋は通っているけど姉さん、よくお巡りさんに事情聴取されなかったね。」

「まぁ、アキ君は私のあの姿が日本ではいかがわしい姿だったといい体のですか?」

「そら言うよ!流石に言うよ!世界中の何処にもバスローブを着て外出する人間なんて指で数えるくらいしかいないよ!」

「アキ君、そんなに怒鳴ると近所迷惑ですよ。」

「それを作っているのは姉さんだからね!」

 明久の言う事はもっともである。そのことにタロウが反応してしまった。

「全くだ。明久のいうことも最もだと思いますよ、お姉さん。」

「タロウ・・・・・」

「あ・・・・・・・」

 明久は頭を抱える。そんな明久に玲は話し掛ける。

「アキ君、これは何かのドッキリですか?」

「あ~、姉さん。これから僕がいう事を最後まで聞いてくれるかな?」

 明久は今日に至るまでの話を全てした。ギンガスパークの事、ウルトラマンや怪獣に変身できる事、闇の者の事、新たな仲間、学園の誰がこの事を知っているのかを。

「――――と、ここまでが今日まで起こった事。何か言いたいことはある?」

「アキ君、さすがに途中まで私はアキ君が中二病発言をしているのかと思っていました。ですが日本のアキ君が住んでいる地域で起こった事は海外でもたまに取り上げられます。それを踏まえてアキ君のいう事を姉さんは信じます。」

「ありがとう、姉さん。」

「なので一緒に住みます。」

「どういったらそういう結論に至るの!」

 玲の発言に明久はツッコミを入れる。

「いいですか?私はアキ君が心配です。姉さんはアキ君の助けになりたいと思いました。元々、私は向こうの大学を卒業したのでこっちで就職もしました。」

「どんな仕事かは聞かないとして住むところを探すより僕と住んだ方が安上がりといいたいわけだね。」

「はい。」

 明久は溜息を吐く。

(素直にそう言ってくれたら嬉しい。)

 そんな時玲は何を思い出したのか手を叩く。

「そうだ!実はアキ君にお土産があるんでした?」

「お土産?なんなのそれ?」

「これです。」

 そう言って玲が置いたのは缶コーヒーであった。しかもに冷えているため自販機で買ったものと推測される。

「・・・・・・・・・・姉さん、これって日本だったら大抵何処のスーパーやコンビに、自販機でも変える缶コーヒーだよね。」

「はい。日本でいつでも飲めるコーヒーです。」

「どこがお土産!普通アメリカの有名なものとかお菓子とかそんなのがお土産だよね!」

「アキ君、姉さんは悲しいです。人のお土産にケチをつけるなんて。」

「悲しいのは僕の方だよ!」

 明久の苦悩が理解される瞬間であった。

 


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