バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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久しぶりに投稿します。今日まで待たせてすみません。真剣で恋!の方を集中的にしていました。今後はこっちを頑張っていきます。


プール掃除と熱湯プール

 時期はプール開きが始まる少し前の文月学園。明久は雄二と共に廊下を歩いていると西村先生が話し掛けてきた。

「吉井、坂本。」

「はい?」

 明久は呼ばれて返事をしながら振り向く。

「実はお前に観察処分としての仕事が来たんだ。」

「観察処分としての仕事ってなんですか?」

「学校の野外プールの掃除だ。曜日は今週の土曜日。プール掃除が終わったら後は好きに使っても構わん。」

「いいんですか?」

「そのくらいは褒美だそうだ。」

「わかりました。他に人を呼んでもいいですか?」

「別に構わないが。」

「じゃあそうさせてもらいます。」

 西村先生に一礼しFクラスに戻る。

「で?明久は誰を誘う予定だ?」

「とりあえず秀吉とムッツリーニかな?」

「そうか。まあ交渉は俺に任せろ。」

「頼むね雄二。」

 雄二はムッツリーニと秀吉の方に行った。

「おーい、秀吉―、ムッツリーニー。」

「・・・・・・なんだ?」

「なんじゃ?」

「明久の奴が今週の土曜にプール掃除をするんだが手伝ってくれないか?」

「わしは構わないのじゃ。」

「・・・・・・俺は遠慮する。」

「残念だな。折角姫路や島田を呼ぼうと思ったのに。」

「・・・・・・ブラシとモップを持って来ておく。」

 手のひら返しが早いムッツリーニ。さすがエロのためなら意見を簡単に変える男である。

「ん?何坂本?」

「どうかしたんですか?」

 話が聞こえたのか姫路と美波も絡んできた。

「おお、丁度よかった。実は今週の土曜に明久がプール掃除をするんだが手伝うか?」

 雄二がそう言うと二人の髪の毛が心なしか反応した。

「ア、 アキが手伝って欲しいのなら仕方ないわね。」

「私も手伝います。」

 雄二が二人に話をしていると友也が明久に話し掛けて来た。

「どうかしたんですか坂本君?なにやら話し込んでいるようですが。」

「あっ、友也。実は今週の土曜にプール掃除を頼まれてね。友也もする?」

「ええ。僕も参加します。」

 友也も参加することになった。結構大人数だね。今週の土曜はもっと増えるかな?

 

 そして今週の土曜日。僕は学校の校門前でタロウと一緒に皆を待っていた。

「明久、観察処分の仕事とはいえプール掃除をする心意気は偉いぞ。」

「損な大したことじゃないよ。それと僕だけじゃないからね。」

 僕とタロウが話していると友也がやって来た。

「おはようございます、明久君。」

「「おはよう、明久。」」

 友也が挨拶をするとジャンボットとジャンナインも一緒に挨拶してきた。

「居は暑くなりそうですね。」

「そうだね。でも水浴びをしながら掃除しても日射病にはなりにくいかな?」

「でも水分補給をしないとだめですよ。」

「ははは、そうだね。」

 すると今度は雄二と霧島さんたちが来た。

「・・・・おはよう、吉井。」

「よっ!明久。」

「おはよう霧島さん、マグナ。それと雄二、なんだか元気が無いね。」

「翔子の奴がガルムから連絡を受けて俺ん家の前に来てた。逃げようとしたが拘束されて居間ここに至るってわけだ。」

「愛情を思いっきり受けているじゃないか雄二。」

「どこがだ!むしろ俺は管理されておるわ!」

「何言ってんのさ。霧島さんが一途なことを思いっきり表現しているじゃないか。それに気付きなよ。」

「お前にだけは言われたくねぇ!」

 その言葉にタロウとマグナも頷いてる。なんで?

 僕がそんなことを思っていると今度は秀吉と優子さんが来た。

「おはよう秀吉、優子さん。」

「おはようなのじゃ明久。」

「おはよう、吉井君。」

「おはよ、明久。」

「ガルムもおはよ。ねぇ秀吉、どうして優子さんまで?」

「実は姉上に明久とプール掃除をすることを話したら姉上も参加したいと言ってのう。」

「そっか。でも優子さんなんか用事とかはなかったの?」

「な、なかったわよ。むしろ嬉しいというか・・・・」

「ん?なに?」

「な、なんでもないわ/////」

 優子さんは顔を紅くする。暑いからかな?それとなんで秀吉たちは溜息を吐いているの?

 ドンッ!

 僕がそんなことを思っているといきなり後ろから衝撃が来た。結構腰の辺りにきたな。なんかな?

「て、葉月ちゃん!」

「人形のお兄ちゃん、お久しぶりです!」

「こら葉月!勝手に走るんじゃないの!」

「葉月ちゃん、危ないですと。」

 葉月ちゃんを追いかけて美波と姫路さんも来た。

「おはよう美波、姫路さん。」

「おはよう、アキ。」

「おはようございます、吉井君。」

「ねぇ美波、どうして葉月ちゃんまで?」

「実はウチが出かける準備をしてたら葉月が気づいてね。しつこく問い詰めてくるから折れたのよ。」

 なるほど。納得だ。後来て無いのは・・・・・

「・・・・・遅れてすまない。」

『うわっ!』

 霧島さん以外の僕らは驚いた。いきなり現れるんだもん。

「驚かさないでよムッツリーニ。皆ビックリするじゃないか。」

「・・・・すまない。」

「・・・・だが明久、遅れたからには理由がある。」

「なに、バレル?」

「・・・・コイツの荷物を見たら分かる。」

 えーと、ブラシにカメラ機材にクーラーボックス。なんでクーラーボックスが?

(明久、気にするところが違うぞ。)

 いや、普通にムッツリーニは盗撮が趣味だからカメラ機材は分かるんだよ。

「ムッツリーニ、このクーラーボックスは?」

「・・・・輸血パックだ。」

 なるほど。納得だ。

「じゃ、行くか。」

 雄二がそう言うと皆頷いた。あっ!

「秀吉、水着は大丈夫なの?」

「大丈夫なのじゃ。店員にちゃんと服を教えてもらったのじゃ。」

「・・・・・ちなみにそれって上に何か着る?」

「?サポーターのようなものがあるぞ。」

「・・・・・・・・・秀吉、それ多分女性用のだよ。」

「なんじゃと!」

 気付かなかったんだ。

「でもどんなタイプの水着なの?」

「ボクサータイプじゃ。」

「じゃあ上を着なければ男用だね。」

「そうか!その発想は無かったのじゃ!」

 臨機応変に対応するってこういうことじゃないかな。

 

 男女は脱衣所で着替えて別れた。秀吉は秀吉専用の脱衣所が用意されていたからそこで着替えた。同じ男なのにどうしてこうも勘違いされるのかな?

 僕ら男子は女子とは違って着替えるのは早く終わった。僕らはビニールシートを広げて待っているといきなりムッツリーニが鼻血を噴いた。

「おにーちゃーん!」

 あっ!葉月ちゃんが来た・・・・て、えっ!最近の子はこんなに発育がいいの!て、ん?葉月ちゃんの胸が徐々に腹部にって・・・・ボール?

「こら葉月!お姉ちゃんのそれ勝手に持って言ったらダメでしょ!返しなさい!」

「あっ。ずれちゃっいました。」

 美波が胸を隠しながら来た。僕は思わず美波に背中を向けた。

「どうしたのよアキ?」

「じ、自分の今の姿を見てから言って////」

「へ?・・・・・・////////」

 美波は今の自分の姿を見て顔を紅くしたみたいだ。そんな気配がする。僕がそんなこと伊を思っていると霧島さんが雄二の方に迷うことなく行って雄二に目潰しをする。

「ぎゃあああああああああああ!目、目がああああああああああ!」

「・・・・・雄二、他の女の子を見ちゃダメ。」

「霧島さん、いくら他の女子の姿を見せたくないからって雄二の目を潰したら霧島さんのせっかくの水着姿も見てもらえないよ。」

「・・・・・うっかりしてた。」

「やるんだったら顎の先のへこんでいるところを強く押したらいいよ。あそこ痛いから。」

「・・・・・ありがとう、吉井。遊園地のチケットも兼ねて。」

「おい!やっぱりテメェの仕業だったんか!」

「何を言ってんのさ雄二。僕は霧島さんと雄二のためを思って渡したんだよ。それより雄二は霧島さんに何か言うべきじゃないかな?」

「翔子。」

「・・・うん。」

「ティッシュをくれ。目が見えん。」

「そういや今目を潰されてたね。」

「明久君の言う通りよ、代表。」

 そう言いながら優子さんが来た。水着は黄色を主張として縁は青、スカートのようなフリルが付いている。美波は水色を主張した水着で縁は青だ。霧島さんは黒い水着で露出が多い。ムッツリーニが鼻血を流しながら撮影してる。

「あ、明久君。」

「なに、優子さん?」

「私の水着・・・・・どうかな?」

「似合ってるよ。美波の水着もね。」

 僕がそう言うと二人は顔を紅くした。

「明久、ジゴロータも程ほどにな。」

 タロウが何か言っているけどよく聞こえなかった。なんて言ったんだろ?ん!まだ水も張ってないのに足元が・・・・・て!血だらけなんですけど!

『ムッツリーニ!』

 僕らが見る方向には鼻血を思いっきり噴いているムッツリーニの姿があった。

「・・・・・・・・すまない・・・・・・・・・先に逝く。」

 ムッツリーニは気を失った。僕は輸血パックと道具を一式取り出してムッツリーニに輸血をする。

「す、すいません。ちょっと背中の紐を結ぶのに時間が掛かっちゃて・・・・・・・・」

姫路さんが胸を大きく揺らしながら来る。け、結構色っぽいね。

「Gott unterscheiden jene, die haben, und jene, die nicht auf der Basis davon haben, was!? Es wird zu innen erzählt, dass das, was ungenügend ist!」

 美波がいきなりドイツ語で話し始めた!

「お姉ちゃん、たまにショックを受けるとドイツ語を話すようになっちゃうんです。」

 ・・・・・・・姫路さんの姿にショックを受けたのかな?

「ふう、やっと目が回復した。」

「・・・・・雄二は見ちゃダメ。」

「ぐああああああああ!またか!またなのか!」

 霧島さんはホント雄二に一途だね。

 

 プールの水を抜いて僕たちはプールに入る。でも足元が滑りやすいから気をつけないと。

「わぁ!」

「おっと!」

 葉月ちゃんが転倒しそうになったから僕は滑りながら葉月ちゃんを受け止める。

「大丈夫、葉月ちゃん?」

「はい!大丈夫です!」

「こら葉月、気をつけないといけないでしょ!」

「はいです・・・・」

「ゴメンねアキ。」

「いいって。それより美波も気をつけなよ。結構ヌメッとしてるんだから。」

「わかってるわよ。それにしてもよく滑るわね。」

 確かに良く滑るな~。

「おい明久、ブラシで競争しないか?」

 そういいながら雄二は僕にブラシを滑らせながら渡してくる。

「いいよ。でも負けるつもりは無いから。」

 僕と雄二はスタート地点に着く。

「「レディ~・・・・・GO!」」

 僕と雄二は同時に出る。雄二は勢いを最初っから出す、それに対して僕は抑え気味である。

「おいおい明久、そんなんで勝てるいのかよ?」

「雄二、前!」

「へ?」

 雄二が前を向いた瞬間には既に遅くモップの先がプールサイドにぶつかる。すると雄二の体は慣性の法則に従い前に押し出され、モップの柄の部分が雄二の股間に強く食い込む。アレは痛い。

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 雄二は股間を押さえながら倒れる。僕は緩やかに速度を落とし、止まった。

「雄二、大丈夫?」

「・・・・・・・・」

 返事が無い。ただの雄二のようだ。

 

「あ~、痛い目に遭った。」

「災難でしたね、坂本君。」

 友也が同情する。まあアレは男にしか分からない痛みだよね。

「もう少し安全な方法で遊びませんか?例えばカーリングのような。」

 なるほど。でもビート板だと軽すぎるし・・・・そうだ!

「ねえ、チーム戦で分けない?丁度ここには十人いるんだし。」

「人形のお兄ちゃん、葉月もしたいです。」

「じゃあモップで押すほうをする?」

「はいです!」

 葉月ちゃんが納得してくれてよかった。

「じゃあチーム分けをしようか。」

 その後、チームは僕と雄二チームに分かれた。

 僕のチームは姫路さんに優子さんに美波に葉月ちゃん。雄二は霧島さんに秀吉に友也にムッツリーニ。ムッツリーニはよかったみたいだ。

「・・・・先に打ってもらえれば写真が撮れる。」

 なるほど。

 勝負の方法はプールの中心にある排水溝により近いチームが勝ちってことになった。

「明久、負けるつもりは無いからな。」

「こっちもだよ、雄二。」

 先行は雄二。駒はムッツリーニを出す。ムッツリーニはカメラを持っているけど・・・・大丈夫かな?}

「うっしゃ!ムッツリーニ、いくぞ!」

「・・・・・早くしてくれ。」

 写真が撮りたいんだね、ムッツリーニ。

「いくぜ!」

 ビート板の上に乗ったムッツリーニを雄二がブラシで押す。が、ムッツリーニは排水溝を越えて7mほど離れた所で止まった。

「あっちゃ!失敗か。」

「・・・・・・・・・いや、これはこれでいい場所だ。」

 ムッツリーニはそういいながらうつ伏せでカメラを構えている。むかりないね。

「じゃあこっちは・・・・・美波から行こうか。葉月ちゃん、はいブラシ。」

「はい!これでおねえちゃんを思いっきり押せばいいんですね!」

「う~ん、真ん中に止まるくらいの力加減でお願いできるかな?」

「頑張ってみます!」

 美波がビート板の上に座り葉月ちゃんが構える。

「お姉ちゃん、いきますですっ!」

「頑張るのよ、葉月!」

「えいっ!」

 葉月ちゃんが美波を押す。

「ちょ、ちょっと!これ思いっきりバランスいるじゃない!」

 美波はバランスを崩しそうになるが身体を後ろに反らし体制を整える。その瞬間ムッツリーニがシャッターを切る。

 美波は中央より1.5mくらい前で止まった。

「ふー、危なかった。」

 美波は身体を起こす。またしてもムッツリーニがシャッターを切った。

「じゃ、次は秀吉だな。」

「頼むのじゃ、雄二よ。」

 秀吉はビート板の上に乗る。

「いくぞ!」

 雄二は勢い良く秀吉を跳ばす。秀吉はまっすぐ美波に向かい、そしてぶつかった。

「きゃっ!」

「のわっ!」

 秀吉が美波の上に乗る。

「イタタ・・・・・すまないのじゃ島田よ。」

「いいから早く退けなさいよ。」

 うわ~、あれ痛たそー。でもムッツリーニにとっては嬉しいみたいだ。

「じゃあこっちは・・・・優子さんでいこっか。」

「わ、わかったわ。」

 優子さんは緊張気味になってる。大丈夫かな?

「じゃあ今度は僕が押すね、葉月ちゃん。」

「はい!じゃあ鬼ちゃんを思いっきり葉月に押させてくださいです!」

「いいよ。」

 僕は優子さんに声を掛ける。

「いくよ、優子さん。」

「え、ええ!」

 大丈夫かな?まあ押してみよ。

 僕は優子さんをブラシで押す。でも力をかなり抜いたから美波の近くで止まっちゃった。

「意外に難しいね、これ。」

「まあな。次は俺だな。一条寺!」

「分かってます。そんなに大きな声を出さなくてもいいですよ。」

 友也は雄二にあきれている。相変わらずだね友也は。

「早くしましょう。」

「まあ待て。今策を考えた。」

 雄二は友也の耳元で何かを呟く。それを聞いた友也は一言言った。

「机上の空論ですが乗ります。」

 机上の空論・・・・・・・簡単に言うと予定では上手くいくだけの話。要するに現実性が無いものだって事か。

「まあそう言うなって。んじゃいくぞ。」

「・・・・・どうなっても知りませんよ。」

 友也はしぶしぶビート板の上に乗ると雄二が左斜め前にブラシを構えて友也を押した。友也は優子さん達から左斜め前に離れた所で止まった。意味あるのかな?

「じゃあこっちは姫路さんで行こうか。」

「は、はい!」

「姫路さん、そんなに緊張しなくていいから。それとちょっとお願いなんだけど―――」

 僕は姫路さんの耳元で囁く。

「わ、わかりました。私頑張ります。」

「よろしくね、姫路さん。」

 姫路さんはビート板の上に乗ると僕に押され、床を滑る。姫路はそのまま優子さん達に近づきながら速度を落とし、優子さんと美波にぶつかる二人は姫路さんにぶつかり、若干ではあるが近づいた。

「ほう、明久も考えたな。だがこっちはその一手先を計算に入れた策だ。」

「友也に机上の空論と言われているのに?」

「うっせぇ!翔子、すまねぇがこれで俺を―――」

「・・・洗えばいいの?」

「なんでだ!なんでそんな結論に至る!俺を一条寺に向けて押せばいんだよ!」

「・・・・・・雄二はそっち系?」

「チゲェ!全く持ってそっちの趣味は無い!」

 あ、雄二そういう策できたんだ。でも上手くいくのかな?

 霧島さんはビート板の上に乗った雄二を遠慮無く友也に向けて押す。雄二は友也に近づくと友也を排水溝に向けて押す。そういや押しちゃいけないなんて一言も言ってなかったな。友也は排水溝から50cmのところにまで近づいた。

「どうだ明久、これで俺の勝ちだろ!」

 いや、勝負は最後まで分からないでしょ。

 僕はそう思いながらビート板の上に座る。

「葉月ちゃん、どうするか考えてみた?」

「はいです!あのお兄ちゃんが押したように葉月も人形のお兄ちゃんにお姉ちゃん達を押してもらえばいいんです!」

『・・・・・・・へ?』

 葉月ちゃんの言葉に僕らのチームは間抜けな声を出す。

「いくです!人形のお兄ちゃん!」

「ちょ、ちょっと!」

「えい!」

 葉月ちゃんは渾身の一押しで僕を押す。てかこれ速い!

 その時、明久のビート板が何の力が働いたのか反転した。そして明久は姫路達に向かいぶつかった。

『きゃああああああ!』

「いたた・・・・・」

「葉月!ちょっとは手加減をしなさい!」

「あれ?明久君は?」

 姫路の言葉で皆は明久を探すが明久の姿は見えない。

「あ、あの~・・・・・」

『へ?』

 三人が下を向くとそこには明久の姿があった。

「色々と恥ずかしいので退いてもらえると嬉しいのですが・・・・・・」

 その瞬間三人の顔が耳まで紅くなる。

「・・・・・・・・・・き――――」

 誰かが言い、そして―――

『キャ――――――――――――ッ!』

「ぬべぼはっ!」

 明久の身体から少し濡れた音が響き渡った。余談だがこのとき四人は排水溝から10cmの距離にまで近づいていた。

「あれあれ~、なーんか面白い感じだねー。」

 ニヤニヤとしながら愛子が三人を見る。

「あ、愛子!」

「ボク室内プールから出てきた途端になんか女子の奇声が聞こえてきたと思ったらこんなことしてたんだー。」

「ち、違っ!これはそんなんじゃなくて!」

 慌てる優子に友也が割って入る。

「すみません。今はそれより明久君を何とかしたほうがよろしいのではないですか?」

 その言葉を聞いて三人は我に返る。

「ゴメン!明久君大丈夫!?」

「ちょっとアキ!返事しなさいよ!」

「聞こえてますか吉井君?」

 返事が無い、ただの明久のようだ。

「見事に気を失っていますね。坂本君、僕たちは明久君を動かしましょう。」

「しゃーねー。やるか。」

 明久をプールから引き上げた雄二たちは休息をとった。

 

「・・・・・・あれ?」

 ボクが目を覚ますと空はオレンジ色と青色の境目の時間になっていた。

「あ、吉井君起きたんですね。」

「姫路さん!それに皆も。なんで僕寝てたの?」

「それは単に姫路さん島田さん木下優子さんが明久君を気絶させたからです。」

 友也が分かりやすく明確な回答をしてくれた。そういえば殴られた気がするな。

「あー、ちょっといいか明久?」

「なに、雄二。」

「プール掃除にいたって重大なミスに俺たちは今更ながら気づいた。」

「なに?水を入れて無いこと?」

「いや、違う。塩素のアレが今ここに無いんだ。」

 あっちゃ。アレをちゃんとプールに入れておかないとこの時期は食中毒があるからな~。

「西村先生は?」

「今日は休みだ。」

 う~ん、どーしよ。タロウのウルトラダイナマイトだと水は蒸発しちゃうし・・・・・あっ!

「いい事思いついた!」

「なんだ明久?」

「まあ待って。タロウ、エレキングとギンガスパークを持って来てくれる?」

「エレキング?・・・・・・・なるほど。そういうことか。よしわかった。持ってこよう。」

 タロウはそう言うとすぐにギンガスパークとエレキングを持って来てくれた。

「タロウ、みんなを宙に浮かせて。」

「ああ。ウルトラ念力!」

 タロウはボク以外の皆をウルトラ念力で宙に浮かせる。

「お、おい明久!どうすんだよ。」

「まあ見てて。」

 そう言うと僕はギンガスパークにエレキングのライブサインを読み込ませる。

「ウルトライブ!エレキング!チェンジ・リム!」

 僕はリムエレキングになった。前にタロウから聞いてたけどほんとにちっさくなった。

『か、かわい~~~~~~!!!!!!』

 リムエレキングの姿に姫路さんたちは可愛いと言ってきた。なんだか恥ずかしいな////

「じゃ、さっさと終わらせますか。」

 僕はリムエレキングの尻尾をプールの水に漬けると電気を流す。するとプールの水は見る見る上昇し、沸騰した。

「プールが温泉プールになっちゃったです。」

 葉月ちゃんが上手い事を言う。

「もういいよ、タロウ。」

 僕がそう言うとタロウは皆を下ろす。それと同時に僕はライブアウトする。

「これなら問題ないでしょ?」

「確かにな。念のため張り紙でも張っておくか。」

 そう言うと雄二は紙に『ただいま熱湯消毒を行っています。入る際には温度をあらかじめ確かめ、塩素の消毒薬を入れてください。』と書いて見えやすいところに張った。

 

 その日の夜。

「おい、大丈夫なんだよな?」

「間違いねぇって。この時間鉄人もいねぇから。」

「しっかし夜のプールっていいよなー。一番風呂みたいでよ。」

「だな。」

 深夜遅くにFクラスの生徒三人がプールに入ろうとしていた。

「ん?なんかここに書いてあっぞ。」

「どーせ無断で入んなとかだろ。ほっとけほっとけ。」

「じゃ、入ろーぜ!」

 三人が一斉に飛び込んだ瞬間、悲鳴が夜の文月学園に響き渡った。後に文月学園の七不思議の一つに入ったとか入らなかったとか。

 


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