バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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強化合宿四日目と意外な人物

清水は臨時保健室で目を覚ますと辺りを見回した。回りは簡易的仕切りがされており人

は見当たらなかった。そこへ西村先生が入って来る。

「起きたか、清水。」 

「西村先生・・・」

 西村は清水の近くに腰を下ろした。

「気分はどうだ?」

「え~と・・・・・複雑な状況に頭を悩んでしまう気分です。」

「ふっ、なら大丈夫だな。ところでだ清水。」

「はい。」

「お前があの時暴走したとき助けたのは誰だと思う?」

「何でそんな事言うのですか?普通にフィールドを解除したらいいじゃないですか?」

「普通に考えればな。だがあの時お前の持っていたアレはデータを書き換えフィールドを解除しようにも解除できなかった。それどころかお前は意識を失っていた。」

「っ!じゃ、じゃあ誰が助けたのですか!?」

「吉井だ。」

 清水はその人物の名を聞いて驚く。

「最も、あいつはお人好しと言う名のバカだがな。」

「・・・・どういうことですか?」

「あいつはお前が意識を失っている状況だった。あいつはお前が使っていた物の頭部に剣を振りかざして倒そうと思えば倒せる状況を倒さなかった。その時の記憶はあるか?」

「・・・・・・無いです。」

「だろうな。あいつはお前のことも周りのことも配慮して戦う。そんな馬鹿な奴だ。」

「・・・・お人好しと馬鹿は表裏一体。」

「まあそうだな。」

 西村先生は笑いながら言った。

「・・・・・西村先生。」

「なんだ?」

「盗撮した事を認めます。」

「ほう・・・・どういった風の吹き回しだ?」

「ただなんとなく・・・・・そうしたいからって理由です。」

「・・・・そうか。まあ親御さんには今回の事は知らせないでおく。」

「どうしてですか?」

「あいつだ。」

 西村先生の言葉に清水は察した。

「お前には生徒指導室での指導と反省文100枚、並びに一ヶ月の校内清掃が科せられる。わかったか?」

「・・・・・はい。」

「ならいい。」

 そう言うと西村先生は立ちあがり臨時保健室を後にした。清水は再び眠りに入った。

 

「ん・・・・」

「あっ!吉井君が起きました!」

 明久は目を覚ますと姫路の顔が目に入った。

『大丈夫(ですか)、明久(吉井)君?』

 明久の様子を窺おうと姫路、美波、優子、佐藤が明久の顔を覗く。

「え~っと・・・・・一旦皆離れてくれない?起きようにも当たりそうで・・・・」

『/////////』

 明久の言葉に四人は顔を赤くしてしまう。

「あれあれ~、皆顔赤いよ~。」

「あ、愛子黙ってなさい!」

 優子は顔を赤らめながら工藤に注意する。

 明久は体を起こすと首を鳴らした。

「おお明久起きたか。」

 雄二が部屋に入ってきた。

「雄二おはよ。」

「おう。お前気を失ってたから大体三十分くらい経ってたぞ。」

「意外に短いんだね。」

「まああんな力出したらな。それとな明久・・・・」

「なに?」

「・・・・・そこにいる佐藤、お前がギンガって事知ってるぞ。」

「へ?」

 明久は雄二の言った事に一時の見込めす沈黙。そして現実に戻ってきた。

「え――――――――――!」

 明久の叫びは部屋に響いた。

「ど、何処で知ったの佐藤さん!」

「え、えっと・・・・・迷惑行為をしているバイクに乗っている人の時に・・・・・」

「あ、ケムール人のときの人か。でも・・・・あの時は夜で僕と西村先生しかいなかったような・・・・・」

「その時教室に忘れ物をしてしまったから学校にこっそり戻ってたの。」

「それでか・・・・・でもよく誰にも話さなかったね。」

「話したとしても証拠の写真も無いし誰もそんな話信じないでしょ?」

「まあそうだね。」

 確かにね。誰もそんな話信じないよね。この後タロウが事情説明をしてこのことは他言無用にしてもらった。流石にタロウが話しかけたときは驚きを隠せていなかったね。

 あの後タロウから聞いたけどアレはウルトラ合身と言って簡単に言うとウルトラマン同士の融合みたいなものらしい。でも誰とでも出来るわけじゃないんだって。

 

 僕は一人風呂に浸かっていた。雄二たちは明久が気を失っている内に入浴したらしい。霧島さんが雄二と一緒に入ろうとしたときはさすがに姫路さんたちが止めようとしたらしい。霧島さんはチャレンジャーだね~。

 明久はふと上を向くとそこには満天の星空が広がっていた。

(この果てしなく広い宇宙にいろんな星、いろんな宇宙人、怪獣がいる・・・・・・いつかこの戦いが終わったらもうギンガやタロウ達とはお別れだ・・・・・わかってるけど・・・・もう一回宇宙を飛んでみたいなぁ・・・・)

 明久の思いは宇宙に届いたであろうか・・・・・・・それは分からなかった。

 翌日女子風呂を覗こうとした男子には一週間の停学処分が下された。僕らは覗きを阻止した事は評価に値するとして図書券が送られた。

おまけに雄二には調整中を終えた腕輪が贈呈された。名前をよく聞いてはいなかったけど『腕輪発動』というと点数を削るが試召フィールドと試獣フィールドを展開することが出来るらしい。試召戦争で使えるかは謎だけどね。

こうして僕たちの強化合宿は終わった。

 


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