強化合宿最終日の朝、大半の女子は男子を白い目で見ていた。と言っても覗きを行っていない僕らとA,Bクラスだけだ。僕らに火の粉が振ってこないのはいいけれどそれでもなんか空気が重い気がする。
「大丈夫ですか、明久君?」
「大丈夫だよ姫路さん。でもこの状況だと・・・・・」
「確かにアキの言う通り食べづらいわね。」
「ええ、確かに。」
美波も優子さんも同情してもらえて何よりだ。
「・・・・雄二、あーん。」
「待て翔子、ここでそんなことをするな。」
雄二の隣に座っている霧島さんは雄二に愛情表現を思いっきり出している。仲の良い二人だね。
「明久君、昨日の覗き攻防戦の際に坂本君たちがラッシュハンターズにライブ出来ることがわかって僕らの戦力は格段と大きくなりました。おそらく今日も彼らは覗きを実行しようとします。ここで作戦会議をしませんか?」
「ここで?・・・・・・・まあいっか。」
いいのか?と皆思った。
「とりあえず雄二たちは三人組めば大丈夫として・・・・・・僕と友也は一人で大丈夫かもしれないけど・・・・・・」
「それだと不安要素があるわね。特にアキはライブチェンジに隙を作ってしまうわ。」
「美波さんの言う通り確かに危険だわ。もし敵が昨日の様に二手で来るようなら半分に分かれて戦ったほうがいいかもしれないけど・・・・・・もし三手で来たら・・・・・」
「その時は明久君と僕にそれぞれに二人着いた方がいいかもしれません。」
「だな。」
友也の言葉に雄二も賛成する。となるとこの場合バランスが大事になるね。霧島さんは・・・・友也と一緒がいいかな?
「明久君はどう考えていますか?」
「ん!僕は霧島さんと友也が組んだほうがいいと思うよ。ほら友也のジャンナインはどちらかというと中距離型だから。」
「確かにそうですね。ですがそれだとパワー面が心配ですね。」
「それなら工藤さんの召喚獣が適任だね。ほら工藤さんの召喚獣って武器が大きなアックスだったでしょ?」
「なるほど。ではそうしましょう。明久君の援護には姫路さんと島田さんと木下さんを担当としましょう。」
友也がそう言うと三人は少しガッツポーズを拳で作ってたけどなんでかな?
そして夜になってとんでもない事実が僕らの耳に入ってきた。Bクラスが一緒に覗きを実行しようとしていたのである。
「・・・・・予想以外のアクシデントだな。」
「だな。」
ムッツリーニと有事が相槌を打っていた。
「・・・・それともう一つわかったことがある。」
「なんなんだ、ムッツリーニ?」
「・・・・清水と根本がなにやら怪しい動きをしている。」
「ムッツリーニよ、それは本当かの?」
「・・・・事実だ。実際、昨日の覗きを防ごうとしたときに明久の召喚獣を注意深い観察していた。」
ムッツリーニの言葉を聞くとなんかスパークドール絡みな気がしてきた。
「とりあえずムッツリーニ、盗撮犯はわかったの?」
「・・・・分かっている。証拠はある程度揃ったが本人の自供がない。」
「今回の試召攻防戦で何とか言わせて見せるよ。それと敵が何手で分かれてくるか分かる?」
「・・・・予想通り三手だった。東塔は一階と三階、西塔は二階から来る。」
「となると明久たちは西塔の方がいいな。おそらく東の方が数が多く見せようとするだろうしな。」
「でも雄二、もしそうじゃなかったらどうするの?」
「そん時はお前にでも頼るわ。」
「それ結構リスキーだよね・・・・・・。」
「まあな。お前のほうからも姫路達に連絡しておけ。」
「わかった。」
こうして僕のほうは西塔担当になった。雄二が東塔三階、友也が東塔二階を担当することになったけどさてどうなることやら・・・・・
暗い一室、そこで根本はグレイからスパークドールとダミーダークースパークを受け取っていた。
「これで勝てるんだろうな?」
「ええ。最も、そっちの青いほうはライブすると姿が少し変わるから。」
「どう変わるんだ?」
「なんていうか・・・・・・恨みの鎧を纏うって感じね。お嬢ちゃんに渡したそれらはそいつを強化するキーよ。それとね、そいつは強化したら下手したら制御出気無いって言われてるから気をつけてね。」
「・・・・・・言われなくてもこれだけで勝てますよ。」
「随分強気ね。それとも余程あの吉井明久を相当恨んでいるのか。し・ら・?」
「っ!」
「おお恐い☆でも・・・・・まあいいわ。アンタ達が何をしようともアタシには関係ないし。た・だ・し、もしあんたたちがこれを私やあの方から渡されたことをバラしでもしたら・・・・その時の覚悟は出来ているわよね?」
ナックル星人グレイがそう言い残すとナックル星人グレイはその場から姿を消した。根元の手には赤いウルトラマンと青のウルトラマン、もう一人が所持しているのは触手が四本生えている黄色い怪獣と四体の宇宙人型のスパークドールであった。
東塔三階の階段で雄二たちは敵を待ち伏せしながら敵の総数を換算していた。
「Fクラス41人、Eクラス24人、Dクラス22人、Cクラス26人、んでBクラスが27人・・・・・・・合計で140人。こっちの方も女子が援護してくれるって話だが・・・・なんだか嫌な予感しかしないな。」
「雄二よ、そんなことを言うではない。雄二の予想はただでさえ当たってしまうのが多いのじゃ。」
「・・・・・その不幸が明久に向く気がしないでもない。」
「待て!それだと明久のほうになんだかいやなものばっかり集まる気がするぞ。」
「・・・・実際あいつには難が多い気がする。」
ムッツリーニの言葉を聞いて周りにいた者は明久の難について考えてみると第一に浮かぶものがあった。
『女難』
「・・・・・・なあ聞いていいか?」
『(・・・)何?』
「明久で思いつくのが一つしかない気がするんだが・・・・・・・気のせいか?」
『いや、全然。』
雄二の問いにムッツリーニに秀吉、女子たちまでも口をそろえた。と、そこへ覗きを実行しようと男子が階段を降りてきた。
「げっ!待ち伏せされていた!」
「くっ、ムッツリーニがいるのを忘れていた!」
「おお、ナイスなタイミングで来たな。相手してやるぜ。船越先生!」
「承認します。」
「おっしゃ!二年Fクラス坂本雄二!」
「木下秀吉!」
「・・・・・土屋康太。」
『覗きをしようとする男子に試召戦争を申し込む!試獣召喚!』
「くっ!やるぞ皆!」
『応!試獣召喚!』
「2年Fクラス 坂本雄二 VS Fクラス男子10人
数学 347点 平均99点
木下秀吉 Eクラス男子6人
215点 平均128点
土屋康太 Dクラス男子7人
242点 平均137点
女子30人 Cクラス男子5人
平均142点 平均157点
Bクラス男子7人
平均174点 」
「頼むぜ、マグナ!」
「ガルムよ、頼むのじゃ!」
「・・・・バレル。」
三人は自身の召喚獣にラッシュハンターズを渡す。すると召喚獣はラッシュハンターズにライブした。
「初戦から全開だぜ!」
「おいヒヨッコ、調子に乗りすぎるんじゃねえぞ。」
「・・・・レッドキングのときのように痛い目に合う。」
「だー!二人に言われなくてもアレでもうコリゴリだってーのっ!」
ラッシュハンターズのやり取りをチャンスと思った男子5人が攻撃を仕掛けてくる。だがガルムがクロスショットを利き腕で召喚獣に向け放つと放たれたレーザーは五つに分かれて召喚獣を貫通する。
「フッ、まだまだヒヨッコなヤツらだ。ヒヨッコよりまだヒヨッコだぜ。」
「おいおっさん!抜けがげすんじゃねーよ!」
「何言ってんだヒヨッコ。ここはすでにハンティングの場所だぜ。」
そう言いながらガルムはクロスショットを構える。
「既に入ってんだから早いもん勝ちだろ。」
「・・・・・けっ!そーだな。」
マグナはそう言うとスティンガーサーベルを右腕に装着する。
「・・・・ここは早い者勝ち。さっさと殺るぞ。」
バレルも身構える。ラッシュハンターズは召喚獣の群れに向かい走り出した。
東塔一階では友也、霧島、工藤の三人が敵が来るのを待っていた。
「上の方は始まったみたいですね。」
「ねえ一条寺君、どうしていつも冷静でいられているの?」
「そうですか?」
友也のこれは素であるが周りから見れば沈着冷静であるようにしか見えない。
「・・・・無表情。」
「いや代表、代表もいえないから。」
「・・・・そう?」
以外に霧島も気づいて無いようだ。
「それよりお客さんのようですよ。」
そう言いながら友也はガンパッドを手にして覗きを実行しようとする男子の方を見る。
「一条寺だ!」
「おい!Aクラス代表の霧島と工藤もいるぞ!」
「臆するな!」
「やれやれ、こんなに元気なら少しは明久君のように勉強に励んでください。高橋先生、覗きを実行しようとしている男子全員に試召戦争を挑みます。」
「承認します。」
『試獣召喚!』
「二年Fクラス 一条寺友也 VS Fクラス男子11人
化学 583点 平均76点
二年Aクラス代表 霧島翔子 Eクラス男子6人
567点 平均122点
工藤愛子 Dクラス7人
461点 平均144点
女子42人 Cクラス11人
平均162点 平均165点
Bクラス男子6人
平均177点 」
「いきますよ、ジャンナイン。」
「Come on, Jean nine!」
友也の懐からジャンナインが試召フィールドに現れる。
「これだけ多いと一気に方をつけて明久君の方に合流したいですね。」
「・・・・私は雄二の方がいい。」
「はいはい代表、そう思うのならちゃっちゃとやっつけよ。」
そんなやり取りをしながら彼らは戦闘体勢に入った。