バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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強化合宿一日目と冤罪

 強化合宿一日目の朝、僕は姫路さん達と待ち合わせをしている駅で待っていた。

「おはようなのじゃ明久。」

「おはよう、明久君。」

「おはよう秀吉、優子さん。」

 最初に来たのは木下姉弟。ガルムも一緒だ。

「おい明久、結構鍛えているな。」

「あれ?気付いてたの?」

「どういうことなのじゃガルム?」

「お前ら気付かないのか?明久の奴結構体を鍛えているぞ。」

「そうなの!」

 優子さんはその言葉に驚いた。僕の見た目だと腕に少し鍛えている傾向が見え気がするよ。

「お~す。」

「・・・・おはよう。」

「あ、雄二、霧島さんおはよう。」

「明久君、ツッコまないの?」

「姉上、霧島の執着心はこれほどまで強いものなのじゃ。」

「そ、そうなのね・・・・・・。」

 秀吉の言葉に優子さんは苦笑いをしながら納得する。

「雄二、聞くまでも無いけど、どうして霧島さんと一緒にいるの?」

「今朝起きたら翔子の奴が俺の部屋の窓から入ってきて逃げようとしたら催涙スプレーを掛けられて視力を奪われたんだ。」

「このお嬢ちゃんすごいぜ。すばやく的確に動いてやがったんだ。」

 マグナが霧島さんを感心する。

「ヒヨッコがそこまで言うなら相当手際がいいんだな。どうだ?バレルにでも気配を消す術を学んでみたらどうだ?」

「おいガルム!そんなことしたら俺に安息の地は無くなってしまうぞ!」

「・・・・大丈夫だ。俺は誰にも教えようとは思わない。」

「・・・・だそうだ。」

『うわっ!』

 いきなり後ろからバレルとムッツリーニが話し掛けてきて皆驚いた。まあいきなり現れると驚くよね。

「お、おはようムッツリーニ、バレル。」

『・・・・・おはよう。』

 二人とも口数が少ないな。あれ?後ろの人影がムッツリーニ向かって走ってきてそして・・・・・・・・

「おっはよー、ムッツリーニ君☆」

「・・・・・工藤愛子!(ブシュッ)」

 工藤さんが抱きついてきたよ。バレルは気配を感じてすぐさま僕の肩に乗ってきたけど。

「工藤さん、それ以上抱きついたらムッツリーニの輸血が必要だよ。」

「あっ!そうだった。ゴメンねムッツリーニ君。」

 そう言って工藤さんはムッツリーニから離れる。

「愛子ちゃん、いきなり跳び付いたら危ないですよ。」

「そうよ。土屋ならともかくアンタが傷ついたら危ないでしょ。」

 後ろから姫路さんと美波も来た。これで全員揃ったね。

「おはよう姫路さん、美波。」

「おはようございます明久君。」

「おはよう、アキ。」

「おーし、お前ら、さっさと電車乗るぞ。」

 雄二がそう言うと皆荷物を抱えて切符売り場に向かった。

 

 電車に乗って僕たちは荷物を置いたけど僕のが皆より少し重かった。何せスパークドール全部持ってくるとなるとカバンも大きくなるし重いよ。

「おい明久、それ家に置いてこなかったのか?」

「ん?ああ。前にバルキー星人に家に不法侵入されたから用心してね。」

『バルキー星人?』

「(・・・)ああ、ちょっと待って。」

 皆が頭に疑問符を浮かべてたから僕は鞄の中からバルキー星人を取り出す。

「なんだか人に近い星人ですね。」

 姫路さんがそう言うと皆頷いた。

「まあ宇宙人にも色々あるってタロウも言ってたからね。でもコイツより厄介なのがあったよ。その時は二体出て来たんだけど一体回収そびれちゃったんだ。」

「じゃあその一体を見せてくれないか?」

 雄二がそう言うと僕は鞄の中から七体のスパークドールを取り出した。

「・・・・・・・おい明久、一体なのになんで七体も出すんだ?」

「それについては私が説明しよう。」

 雄二の疑問にタロウが答えてくれる。

「明久と友也が戦ったのは暴君怪獣タイラント。七体の怪獣の長所を兼ね備えた合体超獣だ。」

「そんな怪獣があるのか?」

「ええ。僕も一緒に戦いましたが厄介な敵でした。」

 友也がそう言うと皆驚きを隠せなかった。

「友也の言う通りだね。光線技も聞かなかったし、打撃を与えてもその硬い身体の皮には全く効果が無い。押してもレットキングの脚で踏ん張るし、打撃やチェーン攻撃はバラバの腕を使っているから結構痛かったよ。」

「どうやって倒したんだよ?」

 雄二がそう聞いてきたから僕と友也とタロウが同時に答えた。

『タイラント自身の武器で倒した。』

『はい?』

「タイラントはどんな攻撃をしても効果は無かった。」

「ですが最強の武器を倒すには最強の武器です。」

「つまりタイラントのチェーンを槍の様に使い、タイラント自身に突き刺したことで倒したのだ。」

「・・・・よく思いついたな。」

「ムッツリーニ、発案はタロウからなんだよ。」

『(・・・・・・)タロウから?』

「ああ。私は一度タイラントを倒したことがある。だからその倒し方を明久に教えたんだ。」

 タロウのその言葉を聞いて皆納得した。

「それにしても暇だよねー。」

「まあ確かにな。今ケータイで見たがこの路線、向こうに着くまでに最長でも夕方6時だ。」

『長!?』

 僕も驚いたよ!流石に今10時だよ!後8時間も乗ってなきゃいけないの!

「結構長く乗るんですね。」

「疲れてしまうわね。」

「てかFクラスの皆結構後から来る予定にしてたから・・・・・・」

「予定より遅れちゃうね。」

「・・・・・指導される。」

 女子陣の的確な発言。きっと今頃切符売り場はFクラスでいっぱいだろうな~。

「じゃがここまで長いと動かない分今の内にお昼でも食べてはどうかのう?」

「秀吉、それいいね。」

 秀吉の発案で僕たちはお昼にしようと思ったんだけど何故か雄二とムッツリーニが冷や汗を掻いているけど何でかな?

「じゃあお弁当の見せ合いっこでもする?」

「おっ、いいね優子さん。」

 そう言われて僕たちは自分の持って着たお弁当を準備し同時に中を見せ合う。

 僕のはシンプルに半分ご飯、半分おかずのお弁当。中の具は卵焼きにブロッコリー、肉じゃが、そしてから揚げだ。

「明久君のお弁当って結構シンプルね。」

「そういう優子さんはサンドイッチだね。結構大変だったでしょ?」

「そ、そこまでじゃないわよ///////」

 なんで優子さん顔を赤らめているんだろう?そしてなんで雄二がため息を吐いているんだろう?

「アキってホント料理上手ね。」

「美波も上手じゃないか。」

「まあウチは両親共働きで葉月の分まで作ってあげるから慣れたわ。」

「美波ちゃんが羨ましいです。私明久君に料理を教わってますけどまだ上手になれません。」

「姫路さんだって上手になってるよ。最初は・・・・・あれだったけど。」

 僕は控えめに言ってあげる。でも本当に物憶えはいいから将来的にはいいお嫁さんになると思うよ。もちろん美波も優子さんも。

「・・・・吉井。」

「何、霧島さん?」

「・・・・声に出てた。」

「え・・・・・?」

 よく見たら三人の顔が耳まで赤くなってる!僕気付かないうちに声に出してたの!

 そんな恥ずかしい思いをしながら一行は駅へと向かう。

 

 旅館の部屋に明久たちは着くとすぐさまうつ伏せになったり仰向けになったりした。理由は言うまでも無く長いこと電車にいたからである。ムッツリーニはいい収穫が出来たといってたけど何のことやらさっぱり。姫路さんや美波、優子さんが何か頼んでたみたいだけどなんでかな?

「・・・・すまない、あの状況だから言えなかったが情報が入ってた。」

「なんだ、ムッツリーニ?」

「・・・・脅迫状とボイスレコーダーの犯人は同一人物と言うことがわかった。」

 ムッツリーニのその言葉を聞いて僕は思わず身体を起こした。

「それ本当、ムッツリーニ!」

「・・・・本当だ。ついでに言うとその主犯は女子でお尻に火傷の後がある。」

「必要ないよねその情報!てかそんなの僕らにどうやって確かめろと!」

 その時僕たちの部屋の戸が勢いよく音を立てて開けられた。僕たちは空けられた扉の方を向くとそこには小山さんを先頭にした女子たちの姿があった。

「全員うつ伏せになりなさい!」

「断るよ!」

「吉井君、反抗するつもり!」

「いきなりは言ってきて命令聞くなんて僕らMじゃないんだから!ムッツリーニは別だけど。」

「・・・・・Mじゃない。」

「嘘言わない方がいいよムッツリーニ。前にバイトのときに自分から自白したじゃないか。」

「ちょ、ちょっと!私達のこと忘れてない!」

 あ、すっかり忘れてた。

「それで何の用なの小山さん?」

「はっ!白々しい。これを見てもその言葉を言えるかしら?」

そう言って小山さんは床に小型カメラと小型マイクを出してきた。

「・・・・・・これは?」

「とぼけるんじゃないわよ!仕掛けたくせに!」

「仕掛けた?証拠はあるの?」

「これが何よりの証拠よ!」

 小山さんのその言葉を聞いて僕と友也は溜息を吐く。

「明久君、人間って単純で馬鹿な生き物と聞きますが本当ですね。」

「だね。まあ僕らもおんなじ人間なんだけどね。」

「ちょと!それどういう意味よ!」

「あのね小山さん、まず僕らが実行しようにも不可能だし証拠も状況だし、何より小山さんの立場が危うくなってしまうよ。」

「どういう意味よ。」

「では説明しましょう。ます僕らの電車が駅に着いたのは午後6時丁度、そこからここに来るまでやく40分、その時すでにFクラス以外の全ての生徒はここに来て点呼をしている最中。玄関には西村先生がいてFクラス全員が集まるまで誰も旅館内には入れていません。点呼終了がそれから40分後の7時20分。その時すでに予定表だとE、D、Cクラスの女子は入浴時間に入っています。」

「ついでに言うと脱衣所の鍵は二人の先生が別々の鍵を持っていて、もし仮に片方の鍵を開けたとしてももう一方の鍵を開けないかぎり完全には開かない。」

 僕と友也の言葉に小山さん以外の女子の何人かは納得する。

「で、でもこのことは前々から知らされていたわ!事前に仕掛けることもできるわ!」

「無理です。ここの警備会社は優秀です。不法侵入者が入れないように赤外線が張り巡らされています。最も今は機能していませんが。」

「そして止めのことなんだけど・・・・・・・小山さん、君に僕たちを裁く権利はないんだよ。」

「・・・・・・・・・・へ?」

「『へ』じゃないよ!こういうのが起きた場合警察に通報するのが筋でしょ!でも今の小山さんたちの状況だと状況証拠だけ出し・・・・・・・最悪小山さんたちが書類送検されるかも。」

「吉井の言うことは一理あるかもしれないな。」

 いつの間にか西村先生が来てた。気配を消すの上手いな~。

「一条寺と吉井が言ったように状況証拠だけでは貴様らが補習室送りになる。一旦ここは自室に戻って頭を冷やしたらどうだ?」

「・・・・・・・・はい。」

 西村先生の言葉で小山さんたちは戻って行った。

「吉井、嘘を言うではないぞ。」

「あ、バレてました。」

「当たり前だ。鍵は二つじゃなくて一つだ。そんなメンドクサイことをするはずがないだろ。まあ、今後は考えておいた方がいいな。それとお前たちに聞いておきたいんだが・・・・・・Fクラスが覗きに行くと思うか?」

『絶対行く。』

 皆口をそろえて言う。そりゃそうだよね。

「わかった。貴重な意見ありがとう。」

 そう言って西村先生はその場を去った。

「明久君、そろそろ風呂に行きませんか?」

「そうだね。雄二も行くでしょ?」

「そうだな。まあ秀吉だけは個室風呂だが。」

「・・・・・・(ガク)」

・・・・・ムッツリーニ、写真を撮って金儲けの足しにしようと思ったんだね。

「なんだかわしは嬉しくないのじゃ。」

「仕方ないよ。秀吉って優子さんと同じくらい女子っぽく見えるんだから。」

「明久よ、なんの慰めにもなっておらんぞ。」

「気持ちだけでも受け取って。」

 そして僕らは風呂に向かったけど途中で何故かFクラスの抗いと悲鳴が聞こえてきたよ。

 


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