家に帰ると明久はタロウたちはあきひさの謝罪をした。
「すまない明久。私達が不甲斐ないばかりに。」
「タロウたちは悪くないよ。それより僕が気になるのはレオの方だよ。」
「ああ。私もそれに関しては同意権だ。タロウ、どう思う?」
「うむ・・・・・おそらくギンガコンフォートのエネルギーが及ぼしたと考えていいだろう。」
「でもタロウの言うことがほんとだったらアストラはどうなるの?」
「それはそうだな・・・・」
考えている二人にアストラは話し掛ける
「明久、実はあの時レオ兄さんと一緒に戦いたいと思ったんだ。」
「ええ!そうだったの!」
「ああ。多分その時にギンガスパークと共鳴したのだろう。」
「なるほど。それで納得した。アストラの強い思いにギンガスパークが応えてくれたのだな。」
「よし。じゃあこの話はここまでにしてもう寝よう。」
明久がそう言うと皆は返事をした。
翌日、明久は誰よりも早くFクラスにいた。教室に何か仕込まれて無いかと心配して来てみたが盗聴器と隠しカメラからムッツリーニのものと分かった。ムッツリーニの盗聴器には特定の周波数で反応する仕組みがある。明久はそれをタロウたちに言ってから第三者が仕掛けた盗聴器が無いか確認させた。
そして朝からFクラスの中華喫茶は開店。昨日来た葉月ちゃんも一緒にお店を手伝ってくれている。葉月ちゃんの服を短時間で作ったムッツリーニの技量には感心する。
「おい明久、そろそろ試合だ。」
「わかった。じゃあ姫路さん、美波、葉月ちゃん。いってくるね。」
「はい!がんばってください!」
「負けんじゃないわよ、アキ!」
「お兄ちゃん、応援に行くですっ!」
明久は三人の声援を貰って明久は会場に向かった。
『皆様、長らくお待たせいたしました。ただ今より、試験召喚獣大会決勝戦を行います。選手の入場です。皆様、選手に暖かい拍手をお願いします!』
会場はすでに満員となっている状態。昨日の明久の活躍が例年以上に人を呼び、注目行事を一層搔き立てた。
司会者の言葉を合図に明久たちが入場する。
『さあ入ってきましたのは二年生を代表する2年Fクラスの吉井明久君と坂本雄二君です。吉井明久君は昨年観察処分になったものの目覚しい成績の向上で今や学年上位の成績です。また、本人の召喚獣は怪獣や巨人などに変身できることが特徴的で先の試召戦争では目覚しい活躍を見せました。更に本大会では他の召喚獣も変身できる能力があることから本大会に期待を寄せています。
坂本雄二君は2年Fクラスの代表を務め、その持てる知識と経験を活かし先の試召戦争では見事な軍師振りを発揮させました。また彼は当時神童という異名を持つほどの頭の賢い生徒であったことからこちらも期待されます。
更に2年Fクラスは成績再会のクラスですが本大会をここまで勝ち上がっているのはまさに奇跡と言ってもいいでしょう。
しかし、彼らは奇跡ではなく実力でここまできました。皆様、彼らに大きな拍手を!』
司会者のおかげで姫路さんの大父さんにも印象が残るな。これはいいぞ。
『ではもう一組の選手の入場です。』
向こう側からはあの営業妨害をした先輩二人が来た。よりにもよってなんでこんなところに!
『3年生を代表する3年Aクラスの夏川俊平と同じAクラスの常村勇作です!彼らは数少ない3年生の出場者ですがここまできっちり決勝戦に食い込んできました。さあ、最年長者の意地を見せることが出来るのでしょうか!』
同じ長に拍手で迎えられた二人の先輩に雄二が話し掛ける。
「先輩方、一つ聞いてもいいか?」
「なんだよ?」
「なんであんな真似したんだ?」
「ああ、あれな。推薦だよ。メンドクサイもんを楽して通りたいからな。」
その瞬間、明久の中で何かが吹っ切れた。
「そう・・・です・・・・か・・・・・・」
『さて!今大会決勝戦はなんと特別仕様のシステムを使います。
本来試召システムは召喚獣を使う方法で対戦をします、しかし今回は召喚獣と一つとなる方法で対戦する画期的なシステム!召喚方法は従来の方法にアレンジを加えた方法です。それでは両選手共、『試獣フュージョン』と叫んでください。」
「「「「試獣フィージョン!」」」」
その言葉を合図に様々な記号が明久たちを包みこみ召喚獣と同じ服装になった。会場はその光景を見て歓声を上げる。
「三年Aクラス 夏川俊平 & 常村勇作
日本史 256点 252点 」
「どうだ!参ったか!」
「さっさと降参しろ!」
「先輩・・・・・・」
「二年Fクラス 坂本雄二
日本史 175点 」
「あえて言いますけど・・・・」
明久はもったいぶった話し方をする。
「二年Fクラス 吉井明久
日本史 421点 」
「その程度で頭に乗るな!」
「「なんだその点数!」」
『お~~~~っと!なんとこれは予想外!学年主席並みの高得点を叩き出してキタ――――――――!侮れない吉井明久君!それでは試合開始!』
司会者の合図と同時に夏川が刀を上から振ってくる。明久は体を右に反らすと左手にギンガスパークを持ち夏川の喉を突く。
「ごほっ!」
「うりゃ!」
明久は右拳を夏川先輩の顔面に振りかざし、吹っ飛ばした。夏川はあまりの威力に倒れる。
召喚獣の力は正直とんでもない力である。軽々とサッカーゴールを運ぶことが可能である。
「明久!こっちは任せろ!」
「じゃあそっちがピンチでも助けないよ。」
「ぬかせ!」
明久は上に跳ぶと左足を振り上げ夏川に振り下ろす。夏川は体を転がして回避する。明久の左足が地面にめり込み地面にはヒビが入った。明久は舌打ちをする。
「おら!」
夏川は明久の左足を刀で切ろうとするが明久は右足で地面を蹴ると体を宙に浮かせる。
「馬鹿が!」
夏川は体勢を立て直し宙に浮いた明久を突き刺そうとするが明久はギンガスパークを使い剣先を当てるが刀は左肩に刺さった。
「うぐっ!」
明久は刀の峰に右手を当てると強引に刀を抜く。明久は右手で左肩を抑える。
「おら!」
夏川は手に持っていた砂を明久に投げる。砂は明久の目に入り明久は見えなくなってしまう。
『お母さん、さっきお兄ちゃんに変なの投げてたよ。』
「明久!」
「よそ見してる暇なんかねえぞ!」
常村の攻撃が雄二の止めを刺す。
「しまった!」
「常村、二人で倒すぞ!」
「おう!」
二人して明久を突き刺そうとする。だがそれをギンガは許さなかった。明久のギンガスパークのクローが開き光の剣が構成される。明久は一回転すると突風で二人は吹っ飛ばされる。
『のわぁああ!』
明久は目を擦り視力を取り戻すと構える。
「もうこうなったら本気だ!」
その瞬間明久の左手のライブサインが浮かび上がりギンガスパークからウルトラマンギンガのスパークドールが出てくる。明久はそれを右手で取り、ライブサインを読み込ませる。
「ウルトラーイブ!ウルトラマンギンガ!」
明久は銀河に包まれてゆき、ウルトラマンギンガ(人間サイズの大きさ)にウルトライブする。
『わー、かっこいい!』
『スッゲー!』
『ヒーローだ!』
観客も明久の姿に驚き、歓声を上げる。
『お―――――っと!なんと吉井明久君の切り札が現れた――――――!その名も、ウルトラマンギンガ!先の試召戦争でも最も恐れられている姿だ――――!』
二人はギンガの姿をみと戸惑うがすぐに切り替え攻撃をしようと構える。
「俺が行くぜ!」
夏川が刀を右から振ってくるがギンガはその前に夏川に近づくと右パンチを胸部に喰らわせ、ふっ跳ばす。
「ごはぁ!」
「夏川!てめぇ!」
常村が槍で突いてくるがギンガは右足を蹴り上げて槍を折る。
「んなぁ!」
ギンガは常村の体制を崩し両足を掴み振り回す。
「のぎゃああああああああああああ!」
ギンガは夏川に向かって常村を投げ飛ばす。
「おいおいおいおい!」
「くんな!クンナ!来んな!」
二人はぶつかり一緒に固まる。
ギンガは両腕を前方でクロスさせ、S時を描く様に左右に大きく広げるとL字を組み技を叫ぶ。
「ギンガクロスシュート!」
ギンガクロスシュートは二人に向かい放たれる。
『ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!』
ギンガクロスシュートが当たると二人は爆発に巻き込まれる。二人の点数は0点になった。
『そこまでー!勝者、二年Fクラス坂本雄二及び吉井明久君!』
会場は今までに無い歓声で満ちた。
その光景を教頭室で見ている竹原は親指の爪を噛んで見ていた。
「あの馬鹿どもが!ドイツもこいつも使えない!こうなったら次の手を・・・・・」
そうしようとした瞬間であった。突如教頭室の扉が開いた。竹原は突然の出来事に戸惑いを隠せなかった。
「な、なんだお前たちは!」
「どうも、警察のものです。」
警察の一人が警察手帳と逮捕礼状を見せる。
「逮捕礼状?なんで私が?」
「昨日起きた誘拐事件において雇われたものの証言と匿名の証拠が送られてきました。あなたには誘拐関与並びに脱税、企業との癒着などいくつもの容疑がかけられています。よって逮捕します。」
「ば、馬鹿な!セキュリティーは完璧のはずだ!それにそんな証拠を真に受けるのか!」
「すみませんがこれはあなたのパソコンから送られた物です。」
「な、なに!え、冤罪だ!」
「生憎ですが匿名で送られた証拠は彼方のパソコンに保存されているものです。日付もちゃんと記入されています。」
警察がそういい終えると竹原に手錠をかける。
「目立つのがイヤであればなるべく叫ばないで下さい。なお、あなたには黙秘権があり、証言は法廷で不利な証拠になります。」
そして竹原は逮捕された。このことが学園長の耳に入ったのはすぐのことだった。
ちなみにこれをやったのは友也から頼まれたジャンボットとジャンナインの仕業であるが技術的に地球よりも優れているため自分達が送ったことを地球人が見つけるのは不可能である。