「明久、やっぱり帰ろう。」
「何言っているのさ雄二?今更何てこと言うんだよ。」
「頼む!ここだけは!ここだけは勘弁してくれ!」
2-Aクラスのメイド喫茶、『ご主人様とお呼び』と店名が書かれていた。
「坂本君、早く入りましょう。」
「そうよ坂本。さっさと入りましょう。」
「赤毛のお兄ちゃん、入ろうです。」
三人に言われ雄二はしぶしぶ店に入ると霧島さんが出迎えてくれた。というか雄二の姿が見えた瞬間に一瞬で現れたよ!
「・・・・・・・お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様。」
メイド姿の霧島さんはとても綺麗だ。誰でも見とれてしまうね。
「翔子ちゃん・・・・・綺麗ですね。」
「・・・・・・ありがとう。」
「・・・・・・チッ。」
雄二は舌打ちをしながらしぶしぶ入る。
「・・・・お帰りなさいませ、ご主人様。今夜は帰らせません。」
「翔子ちゃん大胆です・・・・・」
「ウチも見習わないと・・・・」
「お姉ちゃん、寝ないで一緒に遊ぶのですか?」
う~ん、なんか霧島さんの言っていることが三人の思っていることと方向がずれているのは気のせいかな?
そんなことを思いながら僕たちは桐嶋さんに席を案内された。
「・・・・・メニューをどうぞ。」
「ウチは『ふわふわシフォンケーキ』で。」
「あ、私もそれにします。」
「葉月も!」
「僕はコーヒーで。」
「んじゃ俺は―――――」
「・・・・・ご注文を繰り返します。」
雄二が何も頼んでないというのに確認するの!?どれほど雄二のことがわかっているんだ!
「・・・・・『ふわふわシフォンケーキ』が三つ、『コーヒー』が一つ、『メイドとの婚姻』が一つ。以上でよろしいですね?」
「全然よろしくないぞ!?」
まさかの斜め上だった。でも霧島さん、年齢的にはまだ結婚出来ないよ。親の承諾が無い限りね。
「・・・・・・では食器を準備します。」
霧島さんはそう言うとフォークを三つと佐藤とミルク、そして印鑑を準備していた。
「ちょっと待て翔子。それは家の実印だぞ!どうやって手に入れた!?」
「・・・・・ではメイドとの新婚生活を想像しながらお待ちください。」
桐嶋さんが優雅にお辞儀をしながらキッチンへと戻っていくのとすれ違いに優子さんが来た。
「いらっしゃい、吉井君。」
「どうも。似合ってるね、優子さん。」
「そ、そうかしら/////」
優子さんの顔が赤くなっているけど風邪かな?雄二は溜息を吐いてるけど・・・・なんで?
「あっ、ところで優子さん。変な客来ていない?」
「それなら来ているわ。度々ウチの店にきてはFクラスの店の評判を下げてるけど・・・・・」
「そっちにとっても迷惑行為ってわけだね。」
「そうなのよ。ほらあれ。」
優子さんが指を指す方向にはモヒカンと坊主の先輩がいた。二人の先輩は席に座るとわざわざ大きな声で言い出した。
「あーあ、Aクラスはいいぜ。Fクラスなんか汚くては入れたもんじゃねえ。」
「だよね。Fクラスには行かない方がいいぜ。」
迷惑だよな~。
「明久、ここは私が・・・・・」
「待ったタロウ。ここはもっと自然的かつ大胆にいこう。」
「と、言うと?」
「う~ん・・・・そうだ!優子さん。」
「な、なに!?」
「メイド服ってまだ着ていないのある?」
「あるけど・・・・・どうするの?」
「僕が女装してあいつらに恥をかかせる。」
『えっ!?』
僕の発言に皆驚いた。まあ当然だよね。
「で、でも・・・・」
「Aクラスの人たちに迷惑かけたくないし、何より自分の手でやったほうがいいからね。」
「・・・・・わかったわ。でもバレ無いようにメイクとかもさせて。」
「遠慮なくやって。」
僕と優子さんが話していると霧島さんが『ふわふわシフォンケーキ』三つとコーヒーを乗せたお盆を持ってこっちに来た。
「・・・・お待たせしました。」
霧島さんは品をちゃんとお客さんの前に置いている。花嫁修業でもしているのかな?
「・・・・雄二、サインを。」
「待て翔子。こういうのはおれしょだぁあああああああアイアンクロー!」
五月蝿い雄二を余所に僕はコーヒーを飲む。おっ!なかなか苦すぎなくて飲みやすいや。
「じゃあ優子さん、よろしくお願いします。」
「え、ええ////姫路さん、島田さん、手伝ってくれない?」
「い、いいですよ/////」
「わ、わかったわ/////」
三人は顔を紅くしながら僕と一緒に更衣室の方へと向かった。
数分後・・・・・・
ズ~~~~~~~ン×3
「ど、どうしたお前ら・・・・・・」
「アキの・・・・・」
「腰が細かったんです・・・・・」
「女性としての自身が・・・・・・」
「・・・・・・・・そうか。」
雄二はそれ以上言及をしなかった。葉月ちゃんも認めるほど綺麗だといってくれるとなんか照れるけどビミョ~な感じがする。
「じゃあ雄二、行ってくるね。」
「おう。」
明久は二人の先輩の方へと向かい業務員の演技をして痴漢されたことをわざと大声で言った。そのことにより二人の先輩は店に出入りで気無いどころか写真までも撮られた。
二人の先輩はそのままAクラスから去った。僕は優子さんにメイド服を返したが何故かムッツリーニが写真を撮りまくっていたけど・・・・なんで?しかも姫路さんや美波、優子さんもムッツリーニに何か言ってたし。
僕たちの三回戦の相手は食中毒によって棄権したけど・・・・・ウチのクラスで食べたものじゃないよね。
Fクラスの食材が足りなくなって食品倉庫にいるとなんだかチンピラが襲ってきた。
まあ、タロウたちがウルトラ念力で懲らしめてくれたから助かったけど。その時一瞬レオのライブサインが一瞬だけ光った気がした。