バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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Aクラス戦前

 Bクラス戦から二日後の今日、雄二は教卓に立っていた。

「まず皆には礼が言いたい。誰もが無理だといっていたことをここまで成し遂げられたのは皆のおかげだ。感謝している。今日は俺たちが勉強だけが全てじゃないことを証明する日だ!」

「そうだ!」

「その通りだぜ!」

「勉強だけが全てじゃない!」

 ここまで来ると皆の思いは一つになる。

「だから今日は一騎打ちで決めようと思う。」

 雄二の言葉に秀吉は疑問を抱く。

「どうしてなのじゃ?」

「簡単です。今のFクラスの戦力で姫路さんが2割、僕と明久君で4割、後の皆さんで4割。どう見たってまともに戦っては勝てないからです。」

「その通りだ一条寺。だから勝てる確立の高い方法で勝とうと思う。」

「古典的だけどまともな戦法だね。でも雄二の点数がAクラス代表の霧島さんに敵うの?」

「いや、無理だな。」

「じゃあ他に何か戦法でもあるのですか、坂本君。」

「ああ。一騎打ちはテスト方式。百点満点の小学生レベルの問題だ。」

「それって相打ちが続いて集中力が切れたら負けのような戦いにならない?」

「いや、俺はもっと別のところに賭けている。」

「「と、言うと?」」

「『大化の改新』だ。」

「人物の名前?」

「いや、年号だ。明久、何年か覚えているか?」

「645年でしょ。誰でもわかるよその暗い。」

明久はそういいながらFクラスを見ると姫路と友也以外皆目を逸らしていた。

「・・・・・・ゴメン、今の言葉は訂正するよ。」

「おう。」

 雄二は明久の言葉に納得する。

「では坂本君はそれに掛けているわけですね。」

「ああ。出来ればこんな手段を使わないで勝ちたいんだが・・・・・」

「あ、あの・・・」

 姫路が入ってくる。

「さっきから気になったんですけど霧島さんとは、その・・・・・・・・・仲がいいんですか?」

「まああいつと俺は幼馴染だからな。」

「総員狙え!」

 須川の指示でみんなが上履きを脱いで投げる体制に入る。

「なっ!お、お前ら急にどうしたんだよ!」

「黙れ男の敵め!Aクラスの前に貴様と始末する!」

「落ち着きましょう。」

 そう言って友也が何処からかガスエアガンのP/90を取り出しリロード、トリガーを引きフルオートで発射する。

『ギャア――――――――――!!!!!』

 弾は皆に当った。友也は正確に頭を狙っていたから結構痛い。

「坂本君、早く行きましょう。」

「お、おう・・・・」

 雄二も若干引きつつも友也の言葉に従った。

 

「一騎打ちっ!」

「ああ、そうだ。」

 いつもどおりの宣戦布告。話しているのは工藤愛子さんで確か一年の終わり頃に転校してきたんだっけ?

「う~ん、こっちとしてはありがたいんだけど何か裏がありそうだね~。」

「そうね。愛子の言う通り。」

 工藤さんの後ろから腕組みをした木下さんが歩み寄ってきた。

「あ、木下さん。お久しぶり。」

「久しぶりね、吉井君。」

「なんだ明久、面識あんのか?」

「うん。Dクラスのときの観察処分の仕事の際にちょっとね。」

「まあ今はそんなこといいわ。さっきの話だけどもし仮に今日代表が調子悪くて姫路さんが調子が良かったらこっちが負ける可能性が高いわ。」

「そこは安心していいよ。こっちの代表は雄二だから。」

「そうなの?でも何かありそうね。」

「そう思われても仕方ない状況ですね。やはりさっき廊下で話していたことを提案しましょう、明久君。」

「そうだね。木下さん。」

「何かしら?フェアな提案なら聞き入れるわ。」

「五対五の一騎打ちってのはどうかな?これならもし仮に霧島さんが調子が悪くても他の四人が勝てば問題ないんだから。」

「う~ん・・・・・聞きようではフェアに思うけど・・・・・」

「・・・受けてもいい。」

 悩む木下さんの後ろからいきなり声がしたので木下さんが振り向くとそこには霧島さんの姿があった。流石に皆驚く。

「吉井の提案を受けてもいい。」

「そ、そうなんだ。皆もこれでいいかな?」

 明久がそう聞くと皆返答した。

「・・・・十時から開始で。」

「わかった。じゃあ僕たちは一旦教室に報告しに戻るね。」

 そう言って明久達はAクラスを後にした。

 


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