ペルソナ物語4~ポケットが真実でいっぱいいっぱい~   作:琥珀兎

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お待たせしました。
遅れて本当に申し訳ないです。


第十七話:答え合わせと前哨戦

 《真実》を覆う広大な霧の中に現れたクマ之介の影。

 その内部に潜む、更に深く、そして濃い濃霧の陰に居る存在。この田舎町に来てからずっと探し求めていた奴。俺に不可解なモノを施して“自覚”させる切っ掛けを作った、元凶とも言える黒幕。

 努力することを奪われ、知らなくていい事まで見透かしてしまう双眸と、一般人を遥かに凌駕した思考。それら異常の力の種火を(おこ)した、神様気取りの馬鹿野郎の一部が目の前に居る。

 これを悦ばずしてどうする―――。

 勝手に押し付けて、勝手に縛り、勝手な儘に俺を外野の観客席に押しやった奴を……俺は赦さない。

 人に打ち明ける事も出来ず、常に口に戸を立てられたこれまでの鬱憤は溜まりに溜まり、今や最高潮まで達している。

 

 “―――これは私怨だ”

 

 自分に都合の良い、単なる仕返しだ。

 便利な“力”にはそれなりの制限を―――。

 まるで、はなっから俺の事を縛り付ける為に与えられたかのようなこの力。今、全霊を賭してその全てをぶつけてやる!

 

「お前の企図はここで潰してやる―――!」

 

 敵は自分が現れたステージを、その巨大な両手の爪でがりがりと音を立てて薙ぎ払い地形の原型が無くなる程破壊しつくした。

 同時に、壁画に描かれたようなデザインの瞳を中心に風が舞い起きた。吸引力を持った風は、あらゆるものを吸い込み自身の内部へと取り込んでいった。大きな岩石すら吸い込む吸引力に、仲間達も柱や物陰に捕まって耐えている。

 が、そんな事は俺には意味を持たない。最初から目標はアイツなんだから。

 脚に力が籠り多大なる膂力が下半身に集中する。

 放水するホースの口を限界まで塞ぎ溜めた水のように、開いた瞬間、行き場がなく停滞していた力が爆発したかのように発し、コンマの世界で最高速の推進力を得た俺は仲間達の視界から掻き消え、奴めがけて突貫した。

 

「大和さんっ……! どこ? 何処に消えちゃったの!?」

 

 クマ之介の影の内部に侵入する今際、耳には俺の行方を探すようなりせの声が聞こえてきた。きっと一人で不安なのだろう。そういう風に、俺がしてしまった。

 俺に出会わなければきっとありのままに自分を受け入れ、鳴上達に救われ、俺なんかじゃなくて多分鳴上に懐いただろう。そんなりせを見てみたいと思った時もあったが、そうはならなかったんだ。

 過去は思い、偲び、悔やむ為にあるだけで、遡る事は出来ないんだ。連木で腹切るようなもので、それは叶わない。

 でもこの事件を発端に、出来れば成長して欲しいと思うのは俺の独りよがりなんだろう。

 ずぶずぶと体が沈んでいく感覚が、テレビに入る時と似ているな、と思いながら俺の身体は薄暗い影の底に落ちて行った。

 

 

 

 

「どうなってんだ!? クマの奴、そこまで悩んでいたって事かよっ」

 

 信じられない出来事に理由を重ね、現実味のある説得力を得る為に漏らした陽介の声は、当てずっぽうとは言え的を射ていた。

 引き寄せられるような強風から逃れる為、ステージの一部だった鉄骨にしがみ付きながら元凶であるクマのシャドウに悠が視線をやる。

 思いがけない不測の事態に、救出班である悠達はただ目の前に突如現れた巨大なクマの影に慄いていた。

 皆が新たなる強敵の存在に気取られている中、千枝は大和が消えた事に気が付きその事実を声に出す。

 

「ちょっとまって! 大和君が、さっきまでここに居たのに居なくなってるよ!?」

 

 加減する事無く、正しく全力で目標へと駆けた大和の姿は誰にも認識されていなかった。

 千枝が最後に大和の姿を確認したのはクマの影が変貌し、恐ろしいまでに存在を膨張させた姿になり果てたシャドウを見ていたのが最後。彼は悪夢のような形相のシャドウを目の当たりに、とても嬉しそうに、理性のタガが外れてしまうほどの狂喜をし狂乱していた。

 

「大和さんっ……! どこ? 何処に消えちゃったの!? 独りにしないで……」

 

 千枝の声を耳にしたりせは動揺を隠せず、はぐれた母を探す迷子の子供のように大和を求めていた。

 だが、霧を見通す眼鏡を持たない彼女ではそれも満足には行えず、よろよろと暗闇をあてどなく歩くように彷徨う事しか出来ない。現状、最も体力を消費して憔悴している彼女はこの場では何の役にも立たない。

 その時―――。

 

「おぉおお? およよぉぉぉーーーー!」

「クマァーーーーー!!」

 

 抜け殻のようにペラペラに薄くなってしまったクマには、己の影が巻き起こした風に耐えられるはずもなく、風に流され気の抜けた断末魔を上げながら吸い込まれてしまった。

 近くに居た完二が掴もうとして手を伸ばしたが、空を掴むだけでそれは叶わなかった。

 

「みんな落ち着け。もしかしたら霧城はクマと同じであの中に……だから、コイツを何とかすればっ」

 

 動揺が広がりつつあった皆に、鳴上が静まるよう呼びかけた。

 一つ間違えれば命を落としかねない悪寒がするほどの強敵。悠は言いようのない違和感を敵に感じつつも、努めて冷静であれと己を律した。

 寒気を感じる敵の殺気に冷や汗を流しながら、彼はさっきまで此処に居たはずの大和の事を考える。

“……やっと見つけた、と霧城はクマのシャドウを見て言っていたが、どういうことなんだ? それにアイツらしくない剥き出しの感情。一体何が起きて……”

 でも、悩んでいる暇は無い。

 リーダーとして自分は皆を率いなくてはならないのだから。

 

「そんな、大和君があの中に……?」

「イヤッ! 大和さんを返してぇっ!」

「みんな落ち着いてっ、落ち込んでても何も変わらない! 今度は、私たちが助けなくちゃっ」

 

 そう、あの時の大浴場でのように。

 絶望の最中にあった自分たちに選択を迫り、そして助けてくれた彼を……恩を返すんだ。

 今こそその時なんだ、と雪子は狼狽える千枝とりせに発破をかけ、自らを鼓舞した。昂ぶる心臓の鼓動は何を原動力としているのか、雪子には今ならそれが明確にわかる。

 

「立ち止まって後悔するにはまだ早いよ千枝っ。欲しい物は欲しいって、言葉で、行動で示さないと!」

「……雪子、だよね……?」

 

 千枝の雪子に対するその疑問はもっともだろう。

 普段の彼女から鑑みれば、およそこのような毅然とした事を堂々と言うような子じゃなかった。いつだって自分の一歩後ろに寄り添う存在だったはず。そんな気弱というか、大人しい……大和撫子を体現する彼女が、いつからか隣に並び立つようになった。

 きっとそれはあの城での一件から。

 籠の鳥だった雪子はもう居ない。変わろうと彼女は思い、籠の外へと飛び立ったのだ。

 

「行こう千枝。私たちで霧城君を助けよう……」

「…………うんっ」

 

 雪子から差し出された掌を掴み、千枝は胸の奥に火が燈るのを感じた。

 迷いは、もう無い―――。

 もとより自分は難しい事を考える性質ではないのだ。長考する暇があるなら真っ直ぐ一直線に、猪突猛進が相応しい。

 一刻も早く大和とクマを助ける。それが千枝に出来る、最大限の事。敵を見据えるその瞳には決意の情念が宿り、活発な眉が眉間に寄り勇ましい形になっている。

 

「―――」

 

 千枝と雪子のやり取りを遠目で一瞥するりせ。

 その視線には僅かな疑念と妬みや、それとは真逆な感謝などの感情が十把一絡げなった思いが籠っていた。

 見知らぬ自分を、自らを省みずに助けてくれた彼女らはりせにとっては救世主のようなものだが、それとは別に大和との関係がどんなものなのか気になるという好奇心もある。

 りせが来るまでの大和がどんな生活をしていたのか。気にならないといえば嘘になる。

 

「こうなったら、とことんヤッてやらぁ!」

 

 威勢のいい雄叫びをあげ退路を断つ完二は、子供が見たら泣き出しそうな三白眼で敵を睨む。

 

「行くぞ……必ずクマと霧城を引きずり出す!」

 

 吸収とも表現出来うる敵の風に抵抗するために、近くに居るりせと共に鉄柱に掴む悠が(とき)の声をあげる。

 りせを除いた全員。一度は大和に回復を施してもらったおかげで、そこまでの体力消費は感じられなかった。

 あとは油断せず、確実に、躊躇うことなく敵に喰らいつく気概がこの勝負では必要となるだろう。

 

「待っててね大和君とクマ。今助けるからっ」

 

 決意は形に、ペルソナ『トモエ』として現れる。

 正直、勝ち目があるかなんて馬鹿なあたしには分からないけど、そんなのいつもの事じゃん、と千枝は思う。

 そう、いつだって彼女らは勝ち目がある戦いなどしてはこなかった。確実に、絶対、間違いなく勝てる。そんな自信が湧き上がる事は完二を救出した時以降無かった。それまでは余裕だとか、楽勝だとか、たまに驕る時があったけど、大浴場での一方的な攻防で窮地に陥った事がある今となっては、もう油断も思い上がりもしないようにと気をつけている。

 常に勝ち続ける強者とは、何故自分が勝てたのかを、絶えず思考し続ける人間なのだ。戦いに勝利した時も、それが何故、どうして今自分は勝てたのかと模索し続けるからこそ。その小さな勝ちを積み重ねた結果、強者となりうるのだ。

 そのことに気がついた時、きっと千枝は化けるだろう―――。

 

 

 

 

 怨敵を求めて落ちた果てには、真っ白な空間だけが在った。

 自分が立っているのが地面なのか、空なのかも分からない。平衡感覚の閉ざされた眩しいほどの白色は、人の領域に非ず、高位の存在が棲むにはうってつけな祭殿のようにも思える。

 音は無い。静寂の満ちたこの空間は、それこそこの景色の通り“何も無い”事の表れなのではと思案するほどには俺の理性も戻っていた。

 常人が此処に居たら一時間もしないうちに気が狂い、根を上げてしまうかもしれない。

 何か目印や痕跡らしきものは無いかと思って周辺を万遍なく見回すが、ここでは俺の眼も例外らしく、なんの成果も無ければヒントも転がってなかった。

 

「……お客様を待たせて勿体ぶるってのは、ホストとしての自覚が足りないんじゃないのか?」

 

 返事をするかと思って皮肉を言ってみたが、声は反響せず即座に薄れて消えてしまった。

 しかし、参った。あまりの嬉しさから恥も外聞もなしに心情を曝け出した結果、考えなしに敵の中枢―――要塞へと乱入してしまった。

 今頃“外”じゃ千枝たちが奮闘しているに違いない。この敵は元こそクマ之介の影が原型だが、そこにアイツの手が加わってより強大かつ堅牢な力を持っているんだ。苦戦するのは当然ながら、判断を誤ったらゲームオーバーだ。現状では若干だが、あいつらのレベルが足りない。

 戦いのセンスはあるんだが、如何せんそれを磨く経験が足りないんだ。どんなに大きく美しい原石も、正しく加工、研磨をしなくては磨かない。そういった意味では、今のところ千枝と鳴上が荒削りながらもその片鱗を魅せている。

 

「戦闘経験とは言っても、この平和な現代でそれを求めるってのも……些か間違ってる気がするけどな」

 

 偉そうにあいつらの品評した所で、俺もまた人の事は言えないんだから。

 力と知識こそあれど、経験は俺の方が少ないんだ。足りない分を、持ち前の能力で補っているに過ぎない。知識で知ってはいるが、それを試した経験がまだない物が多い。

 どっちにしろそこまでどっぷり格闘家のような物はいらない。『奴』をどうにか出来れば、俺はそれで良いんだ。

 

「あいつの“片鱗”を見つけたから来たものの、思った以上に反応が無いな……」

 

 人を喰ったような口ぶりだったあいつの事だから、来た瞬間にでも厭な現れ方をして俺を不快にするかと思ったが、杞憂だったらしい。

 このまま待っていても時間を無駄にするだけなんだけど、生憎出口が見当たらない。入口はどこにでもあったが、出られない。

 きっと俺の全力でも破れそうな気がしないのは、ここが外の物理法則とは違う、精神世界のような所だからだろう。

 試に立っている地面……かどうかは分からない所を思いっきり殴ってみたが、雲に触れたような手応えの無さだった。

 他にも、果てまで駆ければいずれ壁なりなんなりに行き当たるかとも思ったが、それも感じられない。

 結論からして、俺は袋小路に入ってしまったらしい。

 

何故(なにゆえ)お前はそこまで執着する……?』

 

 唐突に、空間そのものから響くような声が語りかけてきた。

 ハッとなって俺は辺りを見回した。

 ……やっと来た。

 

「そんなの、お前が一番よく知ってるんじゃないのか? なぁ…………『イザナミ』さんよ」

 

 いつもよりも意識して低い声が出た。人外の相手である奴にはそんなのは何の意味も無いかもしれないけど、俺の気分が冷めない為にも必要だった。

 この町に来た晩から約一か月とちょっと。片時だって忘れた事は無かった、遠く手の届かない存在がようやく現れた。それだけで俺の胸には燃え盛る炎のような激情が立ち上っていた。

 が、相手は俺の言葉を聞くなり、嘲笑するような含み笑いをしてきた。

 

「……なにがそんなにおかしい? 俺の道化っぷりが、そんなに笑えたのか?」

『残念ながら。私は“イザナミ”ではない』

「―――は?」

『私は“アメノサギリ”。人の意によって呼び起されし者。お前が執着する“イザナミ”から産み落とせし仮の姿に他ならない』

「ならそんなに変わらないだろ。俺はあいつを、あいつに関する奴なら問答無用で敵に決まってる。そういうわけで、さっさと出て来いよこの野郎!」

 

 この状態じゃあ顔も見えないから唾を吐くことも出来やしない。

 俺はコイツと会話を楽しむ為に来たんじゃない。外で頑張ってる鳴上たちの為にも、さっさと終わらせて加勢をしなくちゃならねえんだ。

 だから―――

 

「―――トコタチ!!」

 

 そっちが出てくるつもりが無いなら、こっちからこじ開けて引っ張り出してやる……!

 

「“《大言創語》―――我を欺く事、何人たりとも叶わず……この拳は虚を貫き実を捕らえる!”

 やれっ! トコタチ……!!」

 

   《ゴッドハンド》

 

 言霊を自分にかけた瞬間、体内のあらゆるものが焼切れる感覚が体中を駆け巡った。

“……がっ……ぐっぅ、ぎ…………っ……!!”

 血管という血管全てに血液の変わりに超高温で溶かされた鉄が流れ、神経や細胞が沸騰するような激痛に意識が一瞬飛んでいた。

 あくまで感覚であり、外傷は無いがその痛みを味わえば、まだ腕を引きちぎられる方がマシだと自信を持って言える。

 痛みは一瞬だが、過剰なソレを脳は危険とみなして痛みを和らげる成分を分泌し始め、それの副作用で体内時間が引き伸ばされる。よって痛みはいつまでも続いているような感覚に陥っている。

 痛すぎて誰かに文句を言いたくなってくる。

 マーガレットには忠告されていたけど、それにしたって段階が早すぎるのは、この言霊が身に余るほどの力を必要とするからだろうか。

 

 痛覚の共有が一方通行なトコタチには俺の痛みなど届かず、淀みなく迷いなく拳を振り上げ―――神なる鉄拳を振り下ろした。

 

『―――っ!? ……馬鹿なっ、私の原型は……そこまでの力を植えてはいない!」

 

 苦しんだ甲斐あってか、無造作に振り下ろされた鉄拳はアメノサギリを捕らえ確かにダメージを与えていた。

 ざまぁみろってんだ。これで少しは気が晴れたけど、やっぱり本家本元の奴を叩かないと気が済まないな。コイツをボコッても、親が憎いからってその子供を殴る、なんて暴挙と同じような気がしてしまう。

 ……というか、今コイツ……凄く大事な事を言わなかったか?

 

「おいアメノサギリだか、ハレノサギリだか知らないけどお前。今さっきなんて言った? 俺にそこまでの力を与えてって……どういう事だ?」

『…………良いだろう。ある程度の【真実】は、教えてやろう。もとよりそのつもりで私は現れたのだから』

 

 何かと引っかかる物言いだが、俺に関して俺以上に知っているのなら是非も無い。どうせそこら辺の事はイザナギに訊くつもりだったんだ。それが早まっただけなら、寧ろ喜ばしい。

 一応の用心としてトコタチを臨戦態勢にしたまま、俺はアメノサギリが話すのを待った。

 

『まず始めに断っておこう。私が言えるのは、このただ一つだけだ』

 

 そう前置きを置いて、アメノサギリは続けた。一つだろうが、情報には変わりない。自分を鏡で見ても分からない事を知っているなら、何でもいい。

 

『原型であるイザナギは……お前に三つの物を与えた。

 一つはお前が認識するその不確かな覚醒の産物。

 二つ目に、お前を縛る『呪詛』を。これはお前が身を以て思いしっている筈。そして最後に―――』

「……ちょっと待て。最後はあれだろ、この異常な身体能力だろ。俺から成長と努力を奪った証の」

『…………それは《封印》だ』

「……はっ? どういうことだよ。どうして《封印》がこの異常な力に繋がるんだ!? そもそも《封印》ってのは、何かを封じる為の―――」

 

 そうだ。それじゃあ言い方がおかしい。

 《封印》って言うからには、文字通り何かを封じてなくちゃならない。だけど、俺は何も封じられてないし、逆に力を与えられているじゃないか。これじゃあ説明がつかない。

 糾弾するようにアメノサギリを問い詰める。が、一つは一つ。それ以上は―――

 

『私に言える事はコレが限界だ。自分の事だ、自分が一番よく知っている筈。私は人を望みの前途へと導くだけだ…………ただ、その産物は器、仮の姿に他ならない』

「ふざけんな! 偉そうに高説垂れるんなら、それなりの責任を果たしやがれっ! 俺は―――っ!?」

 

 

 

 

 シャドウとの戦いは苛烈を極めた。

 戦況こそ対等。パワーバランスは拮抗しているが、悠たちにはあと一手決定打に欠けていた。

 お互いが泥の掛け合いのようにチマチマと削っていくような戦い方。一撃で戦局が狂うほどの決定力が、根本的に足りていない。

 痺れを切らして大技を繰り出そうと、隙が大きくなるのは時間の問題。精神面が成熟しきっていない高校生が、その誘惑を振り切るには相当の辛抱強さが必要とされる。

 戦いを傍観していたりせにはそれが、どうしてだか分かってしまった。

 

 集団をまとめている人は冷静だけど、それ以外の人は……。このままじゃ大和さんが助けられない。

 りせはじれったいと思いつつも、それを口には出せない。

 だって、自分には一緒に戦えるだけの力が―――。

 ふと、先程まで居た大和が自分に言った言葉を思い出した。

 

『お前のペルソナだよ……りせ』

 

 優しく慈愛に満ちた、自分を気遣ってくれる声。

 そんな思い出しただけで胸が暖かくなる気持ちを抑え、りせは言葉の意味に思考を費やした。

“大和さん……先輩は私のペルソナって言ってたけど。第一、ペルソナって何? この人達が操ってるアレの事?”

 だったら、それは自分にも備わっているって事、とりせは思う。

 この解答は間違っていない。あの時、自分と向き合ったりせはもう一人の自分を“ペルソナ”を手に入れたのだ。意識せずともりせの中にはもうペルソナが宿っている。だからりせは無意識のうちに、これは戦いの為に必要な力だと直観した。

 ペルソナがあれば、自分でも戦える……!

 護られていた小さな花の種はようやく、芽吹く季節を迎えたのだ。

 

「―――鳴上先輩……だったよね確か?」

「……久慈川? どうしたんだ急に?」

 

 まず始めにりせは一番近くに、かつ統括だろうと思っている人物―――鳴上悠に声をかけた。

 長く続いている戦いに、流石の悠も疲れているのか、疲労が顔に浮かんでいる。

 

「私も一緒に戦う。大和先輩とクマさんを、私だって助けたいからっ」

「気持ちは嬉しい。だけど、君は―――」

 

 いくらペルソナが覚醒したといっても、前の戦いの時の消耗の所為で体力も限界に近い、と言いかけて悠は言葉を嚥下した。

 りせの瞳が、反論を許さぬと暗に物語っているように見えたからだ。

 事情はよくはしらないが、彼女の大和に対する執着は目を見張るものがある。それがどのような感情からの物かは知らぬが、ここで申し出を断ったら一生恨まれそうな悪寒がした。

 

「……分かった。だけど無理はしないでくれ。俺はまだ霧城に怒られたくないからな」

「うん……ありがとう鳴上先輩っ」

 

 こうなっては戦力は少しでも欲しい。

 悠はりせの助力を微笑みで受け、りせもまた以前テレビで見せていたような……だけど純粋な笑顔で答えた。

 決意を胸に、りせは両手を胸の前で握りそっと目を瞑る。

 すると、突如眼前に頭上からアルカナカードが舞い降りてきた。

 瞬間、りせは自分というのを自覚した。

 自分のペルソナは純粋な力こそ弱い……がそのかわりに、他には無い探知能力が優れていると。大和が何処に居るのか探し求めていた自分には、お誂えの力だ。

 喚び出すトリガーは言葉。それを、りせは落ち着いて緩やかな口調で唱える。

 

「―――ペルソナ」

 

 カードが弾け、代わりに背後から現れるは純白のドレスを身にまとったペルソナ。

 その手に持ったりせの頭の二回りは大きいティアラのようにも思えるモノを、彼女に冠するように恭しく目の前を覆い隠した。

 りせが目を見開けば、そこはもう情報の視界(セカイ)だった。

 敵シャドウの情報が事細やかに、りせの頭脳に適した表現でティアラのようなモノの形状のヘッドマウント型ディスプレイに映っていた。

 わかる、分かる、解る―――。

 

「これなら―――!」

 

 一緒に戦える。やり方は違えど、他の人には出来ない事で役に立てる。

 敵の情報を正確に分析(アナライズ)する。

 名称/クマさんの影 弱点属性/無し 氷/吸収 闇・光/無 行動/すっごい力を溜めてくるよっ

 

「ジャージの人っ! 氷の攻撃はしちゃ駄目!」

「うぇっ!? ジャージの人って、あたしの事?」

「次、敵は力を溜めてくるよっ、気を付けて!」

「っ……みんな! 今のうちに総攻撃を仕掛けるぞ!」

 

 りせのペルソナが加わったお陰で、その戦況は明らかに変わった。

 敵の弱点から得意な攻撃などが分からず、後手に回る形になっていた彼らは、りせの能力によってその弱点を克服出来た。次に何が来るのか、どうすればいいのか、情報とは質によっては生命線になりうる。

 りせのアドバイスに悠の指示が合わさり、仲間は水を得た魚のように生き生きと鋭い動きをしていた。

 消耗が激しくなった敵をディスプレイ越しに見て、りせはようやく、大和の居場所を突き止めた。最初から優先して探していたのだが、まだ経験が足りないのか、それとも相手が強敵だからかさっきまでは大和の居場所は見つからなかった。だが、ようやく見つけた。

 歓喜に身を震わせ声にしたかった。が、今はそんな事をしている暇はないと、りせは即座に切り捨てた。

 偶然にも、大和の居る場所は、同時に敵の弱点のすぐ傍だった。

 

「鳴上先輩っ! 相手の左目から、斜め四十五度下、距離にしておよそ三メートルの場所が弱点みたい!」

「よしっ…………イザナギッ!!」

 

 正確に位置を知らせるりせの声に呼応して、悠がイザナギで切り込んだ。

 初速にしておよそ時速五十キロほどの速度でイザナギが宙を駆ける。飛行しながら、途中敵による迎撃が襲って来たが、完二のペルソナや、陽介のフォローの甲斐あって躱す事が出来た。

 そのあとはもう、一直線に刃を突き立てるだけだった。

 敵の内部に食い込んだイザナギの刃は奥深くに突き刺さり、源である球体―――大和とアメノサギリが居る場所を正確に貫いた。

 

 

 

 

「ようこそ……ベルベットルームへ」

 

 大和は気がつけばまたも青い室内のリムジンに乗車していた。

 直前に覚えているのは、アメノサギリとの対話。拭いきれない疑問を問いかけたあの瞬間、強制的に大和はこの空間へと招かれたのだ。

 車内には長鼻の老人イゴールだけで、お付きのマーガレットは居ない。

 肝心な場面で退場させられた大和は、少なからずこの仕打ちに怒りを覚える。

 

「……どういうことだ? ここまで強引な事は今まで無かった筈だ。お前は俺の暇を縫うようにここに呼んでいたろ、それが突然……なんのつもりだ?」

 

 静かに燃える青い炎のように、内に秘めた怒りが遠雷のような声を出させた。

 激しく喚くわけでもなく、訥々と、問い詰め非難するような大和に対してイゴールは愉快そうに口を三日月にする。

 常に笑顔を絶やさない老人の考えが、彼には理解できなかった。これまで何度も顔を合わせてきたが、不気味なくらいに笑顔以外の表情を見せない老人が今は少し疑わしい。

 

「俺は忙しいんだ、用があるんなら手短に済ませ。もし下らないものなら……」

 

 ……命の保証はしない、と視線に込めて睨みつける。

 

「ご安心を。今から話す事は、貴方様にもきっとご満足頂ける筈です」

「………………」

 

 愉快そうに弾むしゃがれた声に沈黙をもって肯定と返す大和。

 何故このタイミングで呼び出したのか、あの場でアメノサギリと会話していたことが関係しているのか。理由は分からないが、イゴールとは契約関係にある。脅しはしたものの、迂闊に手は出せない。

 年内で死ぬという予言をしたこの老人を、下手に刺激して打開策を失うのは、感情に任せてストレスを解消するのとは勘定が合わない。

 天秤は、イゴールに傾いている。

 

「私がお話するのは……まず、貴方様の運命が閉ざされる正確な日時が分かった事が一つです。“外”の言い方では、年明けを迎える四日前。『十二月二十八日』が貴方様の最後となる日で御座います」

「十二月……二十八日……それが、俺の命日になるってわけか」

「左様、ですがこれを回避する為に私は貴方様と契約をしました。次に、その運命を変える最初の分岐路を、貴方様は見事通過なさいました。素晴らしい、やはり私の見立ては間違っていませんでした」

 

 りせがこの街に来るという連絡があった日に、イゴールは分岐路が訪れると言っていたのはこの事だった。

 大和の死の運命を回避する為の“最初”の分岐路と老人が言ったのを、大和は耳聡く聞き逃さなかった。

 

「分岐路については聞いていたが、俺のどの選択が正解だったんだ? 思い返すと、間違いだらけのような気もしないんだが」

 

 警察相手に不遜な物言い。

 アイドルの誘拐、及び監禁。そして本人の同意なしの接吻。

 罪に問われれば実刑判決間違いなしの行動ばかりで、実行犯である大和は目を覆いたくなってきた。

 

「間違いだらけが、正しい選択だったのです」

「……それは哲学とか禅問答のようなものか?」

「とんでもない……詳しく言いますと、貴方様の思う“間違い”こそが“正しい”判断だったわけです。それ以外を選択していれば、次の分岐路を待つしかありませんでした」

「なる程、理由は分からないが理屈は分かった。それと、最初と言ってたが、お前の言う分岐路は複数存在するのか?」

「はい。分岐路とは選択。旅路の分水嶺。現在を生きる限り、それは常に無限大に存在致します」

 

 例えば……最初の一歩を踏む足を、右か左かで悩んだ時に分岐路は現れる。

 現象こそ些細なものだが、塵も積もればという言葉があるように、そういった小さな分岐路を数多束ねた大きな分岐路が、運命を左右する力を持つ。大事を成すにはまず小事を成さなければならない。

 イゴールの言う分岐路は、大和の運命を左右するものだけあって、大きな物である。

 

「分岐路は常に形が不確かで、近く迫るまでは確認出来ません。貴方様が今回選択した分岐路は失敗をしても、後日別の形で現れました」

「それって、もし間違っても大丈夫だったって事か?」

「確証は通過してからでないと分かりません。存在が不確定なものは、同じく成否も不透明なのです」

「……まぁ、とにかくややこしいのは分かった。それで、他には?」

「―――予言です」

 

 シン……と車内が静まり返った。

 イゴールが発した言葉には、それだけの重要性があるというのを察した大和は、余計な事は言わずに神妙な面持ちで続きを待った。

 

「年内に―――十二月二十八日までに貴方様はあらゆる疑念を取り払うでしょう。ですが、それはとても大きな試練の始まりです。そのことを心しておいて下さい」

「…………死ぬまでに俺の分からないことはみんな分かる……か。それじゃあ、俺はそこまで焦らなくても良いってことか」

 

 ある種の安堵にも似た感傷か大和に湧き上がった。

 分からない事がストレスになっていた大和にとって、このイゴールの予言は救いにも似たものとなった。分身とはいえ目的の奴を殴ることには成功したし、疑念も晴れると言われた。ならば、もう自分は一回休憩を挟んでもいいだろう。

 これまで抱えていた肩の荷が下りた気分だった。

 

「結局、大した進展があるわけじゃないってのが、今回の締め括りの言葉だな」

「それでは、貴方様の旅路に、幸あらんことを―――」

 

 扉が開く。

 大和の眼前に顕れたそれは外へと通ずる、異界の門。

 これを潜れば、その先は悠達が居るテレビの世界へと元通りだろう。大和は落ち着いた心が僅かに弾むのを感じながら、一歩を踏み出した後、背後を振り向いた。

 神秘的な雰囲気を放ち佇むイゴールに視線をやり、一言、餞別がわりだと口を開いた。

 

「それじゃあまた、ここらで―――」

 

 いつかの場所で言った誰かへの言葉。

 郷愁も望郷もない大和が、懐かしみを覚える最古の記憶。

 再開を約束するように、長年連れ添った友人に言うように大和は不敵に笑い扉の向こう側へと消えていった。

 

「―――いってらっしゃいませ」

 

 客人の居なくなった車内で老人は呟く。その顔は変わらず不気味な笑顔を貼り付けているが、声の調子が先程とは違って若干ながら低いようだ。

 大和が通った扉が、始めから無かったかのように消える。

 見届けてイゴールはおもむろにタロットを巧みに扱い始めた。

 占うはもう一人の愚者の行く末―――。

 

 結果を見て、老人は初めて笑顔を崩したくなった。

 

 

 

 

 戦いが終わり、薄っぺらになったクマがペルソナを手に入れた後、千枝は大和が見つからなくて焦っていた。

“敵に吸い込まれたクマはこうして、倒したら出てきたのに……どうして大和君は出てこないの!?”

 予感が外れ千枝を始めとした仲間達が大和の捜索をし始めた。

 長時間いた事でりせの体力を心配する悠達だったが、りせは限界間際になっても大和を探すことをやめなかった。

 感謝を、ありったけの思いを彼に捧げたかったから。

 それと、あの自分が意識を失っているときのキス。大和は気がついてないと無理矢理思い込んでいるが、願い叶わず気がついていたりせはどうしてキスしたのかも知りたかった。もし、この胸の高鳴りと同じような想いを抱いているなら。

 想像して思わず顔が熱くなってきた。

 

「でも、あのジャージの……里中、先輩とは…………」

 

 一体どんな関係なの? とは訊けない。負けを確定させてしまうのが怖いから。

 自分と向き合ったりせは精神的に落ち着きを得たが、それとは別に芽生えている感情に心を乱されずにはいられなかった。

 きっと、自分は焦っていたんだろう。

 しきりに大和の名前を呼びながら探す千枝に近づき声をかけてしまったのは。

 

「ねぇ……里中先輩」

「やまとく……ん? どうしたのりせちゃん、気分でも悪くなっちゃった? それなら早く―――」

「―――里中先輩は……大和さんが…………好きなんですか?」

「………………えっ?」

 

 ―――時が止まったように感じた。

 千枝の反応は、それだけで確定だと断定出来るほどにりせには分かりやすかった。

 

「え、あっ、ど……どうしたの急に? あたしが大和君を……好きとか、そんな事……あはは」

「…………」

 

 火を見るより明らかだった。

 声が上擦り、頬は上気し、視線が泳いでいる千枝を見て、嗚呼……この人は嘘が苦手なんだな、と思えるぐらいにはりせにも余裕があった。

 反応からしてまだ片思い。ならば自分にはアドバンテージであり、切り札でもある物を持っている分有利。

 大和の感情がどっちに向いているのか、りせには分からないが、少なくとも自分は大切に思ってくれているとは予想出来る。

 だって、彼はあんなにも不器用で不遜なのに、自分の事を凄く気遣ってくれる。それを感じるからこそ、りせは目の前で狼狽える千枝を見て笑みを溢した。

 

「じゃあ……私がアプローチしても問題ないですよね?」

「…………えっ、りせ……ちゃん?」

 

 無言で見つめ合う二人。

 視線が交わったのはほんの数秒の事だが、二人にとっては永遠のようにも思えた。

 驚愕から呆然となる千枝と、牽制して抑止しようとするりせ。

 親友である雪子にしか言えなかった大和への想いを、今ここで言えなかった事を、千枝は後悔した。

 出会ってまだ一日と経たない人から、好きな人について言える訳のない千枝は、しかしりせの言葉を聴いて時間を巻き戻したいと思いながら、不安と恐怖……それと何より負けたくないという感情が湧き上がるのを感じた。

 でも……アイドルとして人気を誇る彼女相手に、それを言葉にする勇気は湧かなかった。

 基本的に自分に自信を持てない千枝は、何処かで彼女には叶うはずがないと思ってしまったのだ。

 

「…………えっと、あははっ。りせちゃんったら、冗談が上手いんだねっ。あたしったら、すっかり騙され―――」

「冗談じゃないよ。里中先輩とは仲良くしたいから……これからもよろしく」

 

 あるはずのない、けれどもしかしたらという希望もスッパリと絶たれ、声も途絶えてしまった。

“敵対宣言しといて……なんでこの子は仲良くしたいとか言えるの? キケンだ……この子は恐ろしい”

 予感は悪寒に。

 信頼関係を築く為に差し出されたりせの手を見ながら、千枝は戦慄を覚えた。

 

「…………」

「…………」

 

 揺れ惑いながら、その契約のような握手をした瞬間―――。

 

「―――霧城っ!! やっと見つけた、大丈夫だったか!?」

「よぉ花村。ちゃんと足があるって事は、どうやら生きてるらしいな」

「そりゃ俺の台詞だよっ……ったく、心配させやがって!」

「悪かった、でも何ともないから心配すんな」

 

 陽介の声と、呑気な大和の声が二人に聞こえてきた。

 それを聞いて、千枝は弾かれるように声のする方へと視線を向け、安堵の息を漏らした。

 よかった……ちゃんと帰ってきてくれた、と千枝は思った。

 まずは蹴りの一つでもして、それからいつもみたいに明るく肉丼でもねだってやろうとりせの手を話そうとした時―――。

 

「っ……大和先輩っ!!」

 

 それよりも先にりせが手を離して走り始めた。

 疲労困憊の筈なのに、そんな様子なんて伺えないほどの速さで大和まで肉迫し、その胸に飛び込んだ。

 

「おお、りせか。無事だったか?」

「うんっ、みんなが助けてくれたから。ねぇ怪我はしてない? 良かったら帰ったあと私が手当してあげよっか? 隅々までっ……」

「すっ、隅々っ!? おい霧城ィ! 何だよそれ、羨ましすぎて血管切れそうだぜ!」

「そりゃ羨ましいんじゃなくて、完璧に嫉妬だろお前。……ってか離れろりせ、擦り付くなっての」

「えへへっ、そんな事言ってー……照れなくても良いのに」

 

 遠目に営まれる楽しそうな風景。

 疎外感を感じる千枝はそんな光景を目の当たりにしながら、一歩を踏み出せずに立ち尽くしている。

 

 ―――その時、確かに千枝は目にした。

 

 心臓が鷲掴みされたようだった。

 体内の内蔵が全てひっくり返って、何もかもを吐き出してしまいそうな不快感が千枝を襲い、湧き上がる過剰な血液に目眩を覚えた。

 それでも、目を逸らせなかった。

 大和に抱きつきながらも……コッチを見る双眸。

 

 ―――笑みを浮かべながら自分を見るりせに、言いようのない感情が芽生えるのを……千枝は確かに感じた。




戦闘描写が苦手すぎる自分には、ここ二、三話が難産すぎた。
これにてりせとクマ戦は終わりましたが、なにも戦いはテレビの中だけではありません。

現実に戻っても戦いは終わらない。
積極的なりせに、千枝はどう対抗するんでしょうか。

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