――あなたの目の前には、まあ、うん、いつもの見慣れた日記帳がある。
――周囲を探っても、問題のある気配は無い。
――ここまで来たら見なきゃ嘘だろう。もう言い訳すらしない。
――慣れた手つきで、あなたは日記帳を開いた。
@月*日
魔物討伐の仕事を斡旋してくれる場所に行く。
でもやっぱり新入りだからか、あんまり実入りのいい依頼は受けられなかった。
下水道のスライム排除……シュウの腕を考えればはっきり言ってしょぼい。でもってやっぱ報酬もしょぼかった。
受付の人からは「何こいつ」みたいな目で見られた。
猫肩に乗せた強面男ってシュールだもんね。シュウの雰囲気に怯えたりしないのは、流石に慣れているからなんだろうけど。
部屋の中に「いかにも」って感じの人がいっぱいいるし。でも見た限りシュウほど力のある人はいない。まあこんなのがゴロゴロいたら悪魔絶滅待ったなしだから当たり前ね。
それにしても常に猫の姿でいるのはちょっと窮屈。
宿の部屋か、深夜か、町の外では人型で行動できるんだけど、やっぱり物足りなさはある。
認識阻害で乗り切ってもいいんだけど疲れるし……まあ、今のところはいいか。
肩の上に座ってるのも、シュウの視点がわかって意外と面白い。
私の頭がシュウの鎖骨に届くぐらいだから、身長差はだいたい30センチ?
体幹が安定し過ぎてほとんど揺れないし、けっこう乗り心地はいい。歩幅も大きいから私が歩くのと比べてずんずん進む。
こうしてるとロボットみたいね。心の中で「いけー! 進めー!」とか言ってみたり。
ちょっと子供っぽい?
○月$日
今日も今日とて仕事がしょぼい。
いたずら妖精を追っ払えとか幽霊屋敷を調査しろとかそんなのばっかり。
シュウは「これも必要なことだ」なんて真面目にやってるけど、はっきり言って役不足だと思う。凄腕のレーサーにオンボロ自動車運転させるような感じ。
まあ本人に不満が無いならいいんだろうけど……っていうか何で私がこんなこと気にしてるのかしら。
でも何だかんだでお金は集まってる。
大した金額ではないとはいえ毎日やってれば貯まるものね。労働って大事。
こう見えて私だって調査なんかでは役に立ってるはずだし、シュウもそろそろ羽を伸ばしてもいいころだと思うの。
○月&日
なんてことを言ったらシュウが休みの日を作ってくれた。
本人は毎日休まず鍛錬してるような奴だから、これは私のためなんだろう。
そうじゃなくて、私はシュウに休んでほしかったんだけど……多分そういう発想が無いのね。これが俗に言うワーカーホリックってやつかしら?
仕方がないから私から遊びに誘う。
やっぱり人間息抜きは必要よ。私は人間じゃないけど。
気配を隠しながらはちょっとめんどいけど、久しぶりに人型で町を歩いて個人的に気分が晴れた。
屋台のデザートとか食べたり、観光名所みたいなところを見て回ったり、そこそこ楽しめたと思う。そう言えば何だかんだ色々あったから、のんびりフランス観光としゃれ込む時間がなかったのよね。
宿に帰ってシュウに楽しかったかを聞いたら、少し考えたあと頷いた。嘘は吐いていないみたい。でもそこ考える必要ある?
まあいいや、明日からまた頑張らないとね!
○月#日
今日は結構大口の仕事だった。
チームを組んでやるような案件で、ちょうど人数が欠けていたところを誘われた。ほぼ毎日顔を出していたから覚えられてたみたい。
内容はずばり「ドラゴン退治」。
確かに人間が相手するならチームでかからないとダメね。普通なら、だけど。
相手のドラゴンはそれなりの格を持った奴で、確かフレイム・ドラゴンだったかしら。
気性が荒くて狂暴・凶悪、背中の鱗が魔法薬の貴重な材料になるとかどうとか。ドラゴンの素材は魔法使いや悪魔に高く売れるから、リスクは大きいけどそれに合ったリターンはある。
なんにせよ強い魔物だから、チームの人たちは万全の準備を整えてた。
まあ、シュウが一人で殺っちゃったんだけどね。
開幕速攻ドラゴンの首が飛んだのを見たメンバーの呆然とした顔と言ったらもう。
一応ドラゴンの中でも上位の種族だもんねフレイム・ドラゴン。気持ちはわかる。
獲物はシュウ一人で片付けちゃったから報酬の件でもめるかと思ったけど、素材をチームの人たちに譲ることで決着がついた。まあ、ドラゴンの爪とか骨とか持っててもこっちは処理しきれないし、妥当な所ね。
これで仕事のグレードが上がるといいな。
□月¥日
なんかエクソシストが来た。
神滅具ゼニス・テンペストのデュリオ……なんだったかしら。名字は覚えてない。
なんでも仕事をするのでシュウを雇いたいらしい。
私としては殺し合った相手に協力なんてしたくなかったけど、シュウはそれを受けてしまった。
場所はイタリアだそうだ。っていうか国外じゃない!
移動のお金は経費で落とすのだそうで、そこんところの心配は要らないとのこと。むしろ連れ出されるこっちがお金払う方がおかしいでしょ。当然よ、当然。
それにしてもイタリア……イタリアと言えばピザとかパスタよね。
勿論食事代も出るんでしょうね? でないと許さないんだから!
□月=日
デュリオの仕事を手伝った。主にシュウが、だけど。
仕事の内容は吸血鬼退治。ルーマニアの本拠地から貴族階級の上級吸血鬼がやってきて、郊外の屋敷に集団作って住み着いたらしい。
情報秘匿のために大規模な破壊は避けろとのことで、でもデュリオはそういうのを苦手にしてるから、ちょうど魔物狩りとして活動を始めたシュウに目を付けたのだそうだ。そっちもそっちで殺し合ったやつ相手にいい度胸してるわ。
っていうかヴァチカンに近いイタリアに拠点構えるってどんだけ命知らずな連中なのよ。どう考えても殲滅されるに決まってるでしょ。
デュリオが駆り出されるぐらいだから結構な案件らしくて、他のエクソシストたちも集まってたから気配を誤魔化すのが大変だった。
で、作戦開始。シュウが切り込んで、エクソシストたちが討ち漏らしを叩く形だ。ほんとは事前に打ち合わせしてたんだけど、シュウが速すぎるから自然とそうなった。
デュリオ以外のエクソシストたちも強い戦士だったみたいで、特に目立った被害もなくボスの部屋にたどり着く。
そんでまあ、あとはフルボッコ。
魔法はデュリオに即相殺されるし、教会の術式で異能も抑え込まれるし、霧になって逃げようとすれば凍らされたり散らされたりして戻されるし、見ていてかわいそうになるくらい詰んでた。
相手いちおうデイウォーカーって話なんだけど、ここまで戦力が集まるとどうしようもないわね。
仕事が終わった後、エクソシストたちから感謝された。教会の戦士にスカウトもされたけど、当然受けるわけがない。
でも今回は結構疲れた。これでも裏で敵の気配を読んだりしてシュウをサポートしてたのよ? さらわれた人間たちを見つけられたのも私のおかげなんだから。
別れるとき、デュリオが「また頼む」なんて言ってきた。結局食事代は自腹だったし、もう二度と受けるもんですか!
□月&日
イタリアの斡旋所に行った。
なんでも吸血鬼退治の時にデュリオから場所を聞いたらしい。いつのまに。
確かにこのままフランスに戻るのも何だしね。まだおいしい料理だって食べてないもの。
行ってみた場所はフランスのよりも大分オンボロで、喫茶店とバーも兼ねてるみたいだった。こんな路地裏に客なんて入るのかしら?
店主は枯れ木みたいなおじいちゃん。老人と言ってもその道の人だからか、かなり肝は座ってる感じ。
紹介してもらった仕事はフランスの時よりも難易度高めだった。なんでもヴァチカンが近い関係で教会が持て余していたり、立場上対処できない案件が回ってくるらしい。天使たちに利用されてるみたいでしゃくだけど、それでこっちが暮らしていけるんだから中々うまくできてる。
あとはマフィア関連でも色々あるんだとか。フランスでもカルト教団がらみで魔物が絡んでたりしてたし、人間社会も物騒なのね。
何よりも「お前さんならそれくらいできるんじゃないか?」だって。見る目あるのねおじいちゃん。流石は年の功。
ふーん、仕事に関してはフランスよりもいい感じ。
問題なのは、町の中に教会関係者が多いところかしら。まあ、仙術の認識阻害を破れる奴なんていないだろうけど。
シュウと相談して、しばらくこっちで活動することにした。
明日はさっそく周辺を散策しましょ。
△月%日
あれからしばらくイタリアで仕事を続けてた。
フランスでやったドラゴン退治について知られたのか、大物討伐の仕事も時々あるし、これ結構順調なんじゃない?
たまにやってくるデュリオの依頼がめんどくさいけど、いい感じにやれてると思ってた。
人狼退治の依頼を受けた。
町のはずれに住みつきだしたそいつを討ち取れという話。
人狼と言えば吸血鬼と並ぶ怪物の代名詞だ。人狼そのものは種族規模で吸血鬼と敵対してるけどね。
吸血鬼と違って人を襲わなくても生きていける種族ではあるけど、人食いをやる奴だっている。まだその人狼が人を襲ったっていう話は無いらしい。でも危険は未然に防がなきゃいけないから、排除するんだって。
目的の相手は案外すぐに見つかった。
夜中、町の肉屋に泥棒に入ったのがバレて騒ぎになってたから。
私たちが到着した時はもう逃げた後だったけど、気配の痕跡をたどれば見つけるのは簡単だった。
町はずれの森の中で追いついた私たちに、人狼は変身してこっちに襲い掛かってきた。
あっちは多分人間とのハーフだったんだろう。持っていた神器の能力を使って、最後には禁手にまで覚醒したけど、それでもシュウには敵わない。
結構強かったから手助けが必要かと思ってスタンバイしてたのに、その心配は無駄だったみたい。
止めを刺すために近づくと、木陰から一人の男の子が出てきて立ち塞がった。
聞くと、倒れている人狼の弟らしい。
なんでも人間とのハーフである人狼兄弟は一族の中でも立場が弱くて、両親が亡くなったのを機に集落を離れてここで暮らしていたんだって。
人狼の中では虐げられ、人間社会ともうまく馴染めず、でも弟を養っていかないといけない兄は、苦肉の策として町から食べ物を盗んでいたのだとか。
その話を聞いて、私は自分が悪魔になるまでの生活を思い出した。
両親が死んで、頼れる人なんて誰もいない中で、日々を必死に生きてた頃だ。
自分と妹を守るためには何でもしなくちゃいけなかった。だから、この兄弟の気持ちはわかる。
でもシュウは、話を聞いても止めを刺そうとするのをやめなかった。
私が止めなかったら、きっとそのまま兄人狼を殺していたはずだ。
私は、昔の私と似ているこの兄弟をシュウに殺してほしくなかった。なんだか昔の私を殺される気分になったから、シュウにだけはそんなことしてほしくないって、そう思った。
その時のシュウはすごく怖かった。まるで機械か何かのような、初めて会った時に一瞬見せた顔。嫌いな顔だ。
その顔が嫌だったから、やめるように説得した。
私と白音が同じ立場でシュウの前にいたら同じように殺すのかを聞くと、驚いた表情になって動きを止める。
しばらく何かを考えたあと刀を収めて、兄弟と話し始めた。
最終的に、人狼は討伐したことにして兄弟に魔物狩りの仕事を紹介することになった。
魔物狩りの中には異能が原因で世間から追われた人もいるし、人外とのハーフだってざらだ。兄弟の頑張り次第だけどうまくやれるはず。
突然そんなのを預けられたおじいちゃんは顔をしかめてたけど。
宿に帰る途中、シュウからお礼を言われた。仕事を続けていくうちに、昔みたいに敵は全部殺さなくちゃいけないと思ってしまっていたらしい。今は状況が違うってことを忘れてたって。
その時のシュウはいつもの仏頂面で、でも少し落ち込んでるみたいだった。やっぱりそういう微妙にわかりにくい顔じゃないとシュウって感じがしない。
宿でお風呂に入った後、シュウが髪の毛を梳いてくれた。
グルーミングの本を読んだから、実践してみたかったんだとか。たまに本読んでると思ってたら、そんなの勉強してたのね。
髪の毛を触られるのはちょっと恥ずかしかったけど、終わった後すごくさらさらになってて驚いた。
力加減が絶妙で、なんかこう、ふわふわしてとても気持ちよかった。
何だか幸せな感じ? 頼んだらまたやってくれないかな。
△月@日
またデュリオがらみの仕事を受けた。
最近わかるようになってきたんだけど、あいつが持ってくる依頼割に合わなさすぎる。
斡旋所に行けばもっといい仕事があるから、シュウも渋る様子を見せ始めたけど、でも結局受けるんだろうな。あれで結構押しに弱いから。
舐められないために相応のものを要求するけど、シュウ自身はそこまで報酬の価値を重要と思ってないのかも。そんなのより仕事……と言うより戦いそのものを求めてる感じがする。
本人が言うには「自分にはそれしかできない」かららしいけど……。
今回の相手は、はぐれ悪魔の集団だった。
ランクはSとかAとかで、かなり危険なやつららしい。私は確かランクSSだったはずだから、いちおう格下になるのかしら?
こっちはデュリオとシュウと、あと何人か手練れのエクソシストで戦いに臨んだ。準備も整えて、それでも死傷者が出る激しい戦闘になった。
敵は転生悪魔ばかりで、神器を持ってるのも結構いた。
でもってこれがかなり手ごわかった。
建物に潜ったり、魔剣を大量に生み出したり、時間感覚を狂わせてきたり、屋内戦なことと相手の駒特性とチームワークも合わさって、今までみたくすぐ撃破とはいかない。おまけに禁手化できる奴……多分こいつがリーダーだと思うけど、神器を鎧にして纏う強敵もいた。
全部終わった時にはデュリオもボロボロになってたし、シュウだって手当てが必要な傷を受けてたくらいだ。私も猫のままとはいえ戦う破目になったし。
デュリオと生き残ったエクソシストたちには感謝されたけど、ほんと割に合わない。
一日中戦いづくめで疲れたし、シュウの傷も治さないといけないからホテルの部屋で気の交合をやった。
互いの肌と肌を直接合わせて気を循環させる、まあ簡易式の房中術ね。
自慢のナイスバディをシュウの胸板に押し付けて、ちょっと誘惑してみる。
反応したらからかってやろうと思ったんだけど、髪の毛を撫でられているうちに私、眠っちゃったみたい。気付くとベッドの上だった。
ううん、猫魈ともあろうものが一生の不覚……。
△月Q日
昨日の戦いで受けた傷を治療するために、デュリオたちと一緒に近くの教会へ行くことになった。
そこには他者の傷や病気を治療できる力を持った、いわゆる聖女さまがいるらしい。まあ、おおかた神器持ちなんだろうけど、信者獲得のために祭り上げられるなんてめんどい人生ね、その子。
実のところシュウの傷は私がだいたい治療を済ませたから、着いて行く必要は無い。
でも聖女さまって言うのにも興味があったし、なんとなく行ってみることにした。
どうやら聖女さまが治療できるのは人間だけなんだそうだ。っていうか悪魔を治療できる神器ってあるの?
シュウがデュリオに聞いたところによると、どうやらあるらしい。敵を癒すなんて変なもの作るのね、聖書の神さま。
聖女さまはは見る限り普通の女の子だった。表面上は笑顔でも、窮屈な現状に不満を持ってそうな感じ。悪いけど頑張ってとしか言いようがない。
道中デュリオの買い食いに付き合ったせいで日も落ちてたから、そのまま教会に泊まることになった。
私悪魔だからあんまりここにいたくないんだけど……空気がちくちくする。
食べ物も質素で微妙だし、結界張って今日は早めに寝ちゃおう。
△月U日
朝起きるとちょっとした騒ぎがあった。
なんでも昨夜、悪魔が聖女さまと接触していたらしい。
気配を感じたシュウがそれを見つけて、悪魔に何をしているか聞き出そうとしたところ、戦いになったみたい。
どうやら相手は上級悪魔だったようで、眷族を何人か召喚してきたんだとか。シュウを始末して口封じを狙ったんだろうけど、相手が悪すぎる。
結局悪魔は眷族を囮にすることで逃げおおせたようだ。
刀は私のところにあったから、逃がすのもしょうがないかな。でも鋼糸は持ってたからか、囮になった眷族悪魔はバラバラになってた。合掌。
そういえば、シュウの鞄を買いなおすの忘れてた。前使ってたやつは仕事中に壊れたから、今はシュウの分の荷物も私の亜空間に収納している。
今回はともかく、強敵相手だったらヤバいところだったし、早めに気づいて良かった。
悪魔の誘惑を受けたってことで、聖女さまの立場は少し危ないとのこと。どっちにしてもこの教会にはいられないみたい。
まあ治療系の神器は貴重だから、悪いようにはならないはずだってデュリオは言う。エクソシストの治療係に配属されたりとかするのかしら?
それがダメなら魔物狩り相手に商売してもいいかもね。
シュウがそう言うと「その時は世話を頼む」なんてデュリオが笑う。
私はめんどいから勘弁だけど、もしそうなったらシュウは受けるんだろうな……。なんとなくわかる。
●月H日
仕事の報告に行ったシュウを宿で待ってると、なんか女の子を連れて帰ってきた。
金髪の可愛らしい子で、学校の制服らしき服を着てる。気配からして魔法使いかしら? かなりの魔法力を感じる。
女の子の名前はルフェイ。
なんでも人を探して魔物狩りの斡旋所に行こうとしたところ、道に迷って途方に暮れてたら人攫いに遭いそうになってシュウに助けられたんだとか。
そりゃこんだけ可愛らしい女の子が一人で夜出歩いてたらそんな目にも合うでしょ。シュウってば、相変わらずタイミングいいわね。
金髪といえばジャンヌを思い出す。今何やってんのかしら、あの子。
……まあいいや。
そのまま斡旋所でシュウに人探しの依頼をしたんだって。
探し人はルフェイの兄、名前はアーサー。家の人からも将来を有望視されてた天才剣士で、最高クラスの聖剣適性を持つ聖剣使い。でも勝手に武者修行に出たり、家の仕事にほとんど関心を示さなかったり、性格に問題がある人物みたいだった。
今までも数週間家に戻らないことはあったようだけど、今回は家宝の聖剣まで持ち出してしまったから家の人はかんかんに怒ってるらしい。このままじゃ勘当されてしまいそうだから、それはまずいと妹のルフェイが探しに来たそうだ。家には無断で。
……兄思いなんだろうけど、この子も結構無茶するわね。
ルフェイは私を見て驚いてた。まあ、はぐれっぽい悪魔が人間と一緒にいるんだから変に思うわよね。
でもすぐに打ち解けて、会話するようになった。肝座ってるわ、この子。
別に悪いことじゃないけど、今日出会ったばかりのシュウに付いて来たりちょっと無防備過ぎじゃないかしら?
それにしても兄妹……白音は今どうしてるのかな。
前シュウに調べてもらった時に、とりあえず殺されたりしてないのはわかったけど……。
機会を見つけてまた調べてもらおう。
●月+日
人探しって言ってもこれが中々難しい。
この広いヨーロッパで人ひとり探すって、流石に個人じゃ無理だわ。っていうかこれ人選ミスなんじゃ?
兄妹ならルフェイの気と似てるだろうから、近くにいればわかるはずだけど……。
ルフェイは魔法で兄の痕跡を追ってイタリアまでやってきたらしい。でも時間が経ってしまったから、そこからの行方がわからないんだそうだ。
とりあえず、私の知識も合わせて術式を改良していこうと思う。
シュウは知り合いの魔物狩りたちにアーサーのことを訪ねて回ってる。みんないろんな場所に行き来しているから、情報網としては馬鹿にならない。そう考えると、人選ミスってのも間違いなのかしら?
まあ、そっちはそれしだいってとこね。
余談だけど、ルフェイは料理が作れる。しかも美味い。イギリス人なのに。
私はと言うと、ジャンヌと勝負したのを最後に一切上達してない。
だってデュリオとの契約で人型での活動に制限かかってるし、ほぼ毎日仕事があるし、しょうがないじゃない!
いや、まあ私はシュウほど働いてるわけじゃないのも確かだけど……ぐぬぬ、年下に負けるのがこんなに悔しいなんて……。
スタイルでは勝ってる! って言っても負け惜しみにしかならないのが悲しい。
シュウがもっと欲情した目でこっちを見てくれれば自信がつくのに……。ほんと、女のプライドを傷つける男ね。ばーか。
●月-日
デュリオが来た。
正直お呼びじゃないので追い返したかったけど、シュウがルフェイの人探しについて調べてくれるよう頼んでたらしい。
今までの借りを返せってね。教会の情報網は膨大だから、これ結構いいアイディアなんじゃない?
でも結果はいまいち。宗派の違いのせいで思ったほどの情報は集まらなかったみたい。同じ組織なんだから、もっとちゃんとしなさいよ。
私たちの方の術式もいちおう完成したんだけど、やっぱこれだけ時間が経ってると追いかけるのはかなり難しい。
うんうん悩んでると、まだ帰ってなかったデュリオが案を出した。「餌でおびき寄せればいいんじゃない?」とか。
そんな動物じゃないんだからと思う私。でもその言葉にルフェイが喰いついた。えっ、イケるの!?
なんでもアーサーは「最強の聖剣使い」になることに対して興味を持ってるみたいで、腕のいい剣士の名を聞けばそこに現れるかもしれないとのこと。
ああ、うん、腕のいい剣士ならちょうど身近にいるわね。
じゃあ宣伝しようという話になって、ついでに各地の名のある剣士を打ち倒してシュウの名を上げようということにもなった。
当のシュウは滅茶苦茶嫌そうな雰囲気を出してたけど、もうこれしか思いつかないんだから仕方ないじゃない。
●月P日
あれから二週間、いろんな土地のいろんな剣士に果し合いを申し込んで、全戦全勝したシュウはその道でかなりの有名人になった。
いつの間にか二つ名までついてたのには驚く。魔剣と書いてブレイドマスター、だって。
悪魔の中にも二つ名・異名を持つ人はいるけど、みんなそういうの好きよね。「クリムゾン・サタン」とか「クイーン・オブ・ディバウア」とか。なんでかしら?
時々決闘を申し込んで来る人も現れてきたし、順調に名は上がってる。
でも当のアーサーは中々来ない。もうちょっと待たないとダメかしら。
いつのまにか、ルフェイのシュウにたいする呼び名が「修太郎さん」から「お兄さん」に変わってたりしたけど、まあどうでもいいや。どうでもいい。
それはさておき、流石にこのままルフェイまで勘当されちゃ本末転倒だから、いったん家に帰した。いちおう連絡はとらせてたから問題は無いと思うけど……。
というか今更ルフェイたちの名字が「ペンドラゴン」だって知った。ペンドラゴンでイギリス人って、あのアーサー王のペンドラゴン?
じゃあ、ルフェイの兄が持って行った家宝の聖剣は聖王剣コールブランドってことになる。またすごいのが出てきたわね。
剣と言えば、シュウの刀もかなりの業物だ。
聖なる力も魔の力も感じないけど、見る者の寒気を誘う気配がある。刀身全てが純粋な緋緋色金で出来ているらしくて、人が鍛える刃の中ではおそらく最高峰のものだとのこと。シュウは今までにこれで万を超える敵を斬ってきたんだって。数がおかしい。
シュウは緋緋色金を天叢雲剣と同じ材質だって言ってたけど、あれって確かヤマタノオロチの身体から出てきた聖剣だから、ちょっと違うんじゃないかしら? たぶん、地上には存在しない金属だと思う。
これ、指摘したらどうなるんだろう。顔真っ赤にして恥ずかしがるシュウとか見れたら面白い。まあ、そこまでのことにはならないだろうけど。
ふふふ、いつか最高のタイミングで言ってやろう。
●月X日
ルフェイが戻ってきた。
家の人の反対を無視して。
うすうす感じてたけど、似た者兄妹じゃない、あんたら。
兄に会いたい気持ちはわからないでもないけど、もうちょっと後先考えて……って主を殺した私が言えることじゃないか。
残念だけど、これから仕事だと伝えると、ルフェイも着いてくるって。まあアーサー探しの合間にやってた魔物狩りの仕事も手伝ってくれてたし、特に断る理由も無いけどね。
でも今回はデュリオがらみの依頼だったりするから心配。例の割に合わない仕事だ。
ルフェイの魔法の才能はかなりのものだけど、戦闘経験自体はそこまで無いから、危険な状況になったら私たちが面倒見ないといけない。
ま、いざとなったら転移すればいいし大丈夫でしょ。
シュウが後れを取る相手なんてそうそういないし、しゃくだけどデュリオもかなり強い。私だっているしね。
そういえば最近全力を出す機会が無かったから、久しぶりに大暴れしたいな。
●月□日
頭の中がぐるぐるして、胸の奥がどきどきする。気持ちを持て余してる感じがすごくて、体が熱い。
シュウの顔がまともに見れない。落ち着かなきゃ。
と言う訳で、ここ最近のことをまとめようと思う。
あれからルフェイを連れて、デュリオの仕事に付き添うことになった。
場所はイタリア、シチリア島。ヨーロッパ最大の活火山があることで有名な島だ。
内容はキマイラの討伐。
魔法使いが作る合成獣じゃなくて、ギリシャ神話に出てくるオリジナルのやつ。何でも突然変異種らしく、しかも繁殖して群れまで作ってしまっていて普通の戦士じゃ手におえないんだとか。
準備を整えてキマイラの住処に行こうとしたその時、アーサーが姿を現した。
眼鏡をかけた紳士風のイケメンで、一見して和やかな雰囲気だけど、なんだか不気味な男。
アーサーは妹が私たちといることに驚いた後、案の定シュウに立ち合いを申し込んできた。
でもシュウは仕事を片付けるのが先ってことで受けなかった。
それでもアーサーは退かず、私たちがキマイラ退治に行くと聞くと、自分もそれを手伝うと提案してくる。早めに終わらせて自分と戦えってことだろうけど、妹の反応とデジャブるわ。どっちにしても一度叩きのめすつもりだったし、このまま逃がすよりはそっちの方がいいので了承する。
結局、得するのはデュリオ一人だってところは気に入らないけどね。
そのキマイラ退治は手早く済んだ。
シュウとデュリオの活躍もあったけど、アーサーもかなりの腕前で、ほとんど一方的に終わってしまった。
二人ともそこまで消耗してなかったし、というかむしろ身体があったまってちょうどいいって感じだったから、そのまま立ち合いを始めようとした。
その瞬間、地震が島を襲った。
と言っても大地が揺れてるんじゃなく、まるで空間そのものが揺れるような現象。強い力を持つ存在がオーラを解放する時と似た感覚だ。
直後、火山が噴火して、中から巨人が現れた。
天を突くような巨体と、顎と肩周りから生えた無数の大蛇……ここはシチリア島で、そして火山はエトナ活火山とくれば馬鹿でもわかる。
ギリシャ神話最強の怪物、テュポーンだ。
主神ゼウスを一度打ち負かし、弱体化を経てやっと封印されたという不死身の魔神。復活した理由は直前の空間震が関係してるんだろうけど、そんなのどうでもいい。逃げなきゃ死ぬ。そんな確信があった。
だって明らかに神格クラスだ。それも弱体化してさえ主神と戦えるほどの。全盛期なら天龍にすら匹敵しそうな奴相手に、いくら強いとはいえ人間と悪魔が数人程度じゃ敵うわけがない。
デュリオもアーサーもひどく驚いていて、ルフェイは怯えて腰を抜かしてた。少し戦える人なら絶望的な力の差がわかるはずだから、これは当然の反応。
誰もが退こうとしてる中で、でもシュウだけはまっすぐテュポーンを睨んでる。
一目であいつに挑む気だってのがわかった。
このままテュポーンを放置すれば、島は滅ぶ。いずれギリシャの神が対処に来るとしても、その時にはもう遅い。何百万って人が一日も経たずに死ぬ。
だから、時間を稼がなくちゃいけないってシュウは言う。今それができる可能性があるのは自分だけだとも。
意味わかんない。理解できない。
何百万って言っても見ず知らずの人たちだ。シュウには関係ないし、見捨てたってしょうがない。だって敵にはどうしたって勝てないんだから。
私は無駄死になんて嫌。まだまだ悪魔として生きていたい。美味しい料理だっていっぱい食べたいし、楽しいことだってしたい。白音にだって、いつか謝らなくちゃ。……シュウとも、もっと一緒にいたいと思ってるのよ?
でもシュウは曲がらない。
自分には戦いの才能しかないから、それさえ否定して逃げてしまうと何で生きてるのかわからなくなる、って。
必ず生きて帰るから心配は不要だ、って。
だからお前はルフェイと逃げろ、って。
本当にバカ。
一人でどうにかできるわけないじゃない。
確かに昔神殺しをやったことがあるのかもしれないけど、そのころと比べて弱くなってるって言ってたの覚えてるんだからね。
だいたい、シュウがいなくなったら私はどうすればいいのよ。
エクソシストとの契約はシュウがいて成り立ってたんだから、いなくなったら反故されるに決まってる。人間社会にも紛れにくくなるし、今までみたいな生活ができなくなる。そんなの嫌だ。
……一番嫌なのは、一人ぼっちになること。
フランスでシュウと別行動をとってた間は、全然楽しくなかった。
もうシュウは私の生活の一部になっちゃってるんだから、責任をとってもらわないと困る。
……うん、私はシュウが好き。
シュウがいないなんて考えられないほど、愛しちゃってる。
こんな土壇場で気付くなんて思ってなかったし、ロマンチックな雰囲気なんて欠片もあったもんじゃないけど、自覚しちゃったんだからしょうがない。
シュウが死ぬことを考えるだけで胸が痛くなる。
こんな状態で、逃げられるわけないじゃない。
だから、覚悟を決める。
シュウは困った顔になって、「馬鹿者」だなんて呟いたけど、バカはあんたよ。
意外なことにデュリオとアーサーも残って戦うみたい。
デュリオは「友達を放っておけないから」、アーサーは「彼が残るなら自分も残らないと勝負以前の問題になるから。あとテュポーンの強さに興味があるから」。
まあ、理由はともかく仲間が増えるのは歓迎だから良しとする。
おろおろしてるルフェイには、周囲の人たちの避難を頼んだ。戦うにしても周辺被害はシャレにならない規模になる。
テュポーンの封印はまだ完全には破られてない。片腕と上半身の半分を火山から出しているだけだ。怒り狂って理性も無いようだし、勝機はある……かもしれない。
敵の咆哮を合図に戦いが始まった。
まさしく死闘、集中に集中を重ねて、絶え間なく攻撃を放ち続け、敵の攻撃を躱し続ける。
デュリオもアーサーも私も、そしてシュウも、相手の攻撃をまともに受ければそれだけでアウトだ。互いが互いをフォローして助け合わなくちゃ、その時点で戦力のバランスが崩れて私たちは終わる。
テュポーンの攻撃をデュリオが神器で、私がオリジナルの術で迎撃して、その隙にシュウとアーサーが本体を刻む。
相手は不死身の化け物だ。高い再生能力も持ってるから、ちょっとやそっとじゃ全然堪えていないみたいだったけど、諦めないで戦った。
いつしか体力も切れそうになって、でも精神力だけで持ちこたえていたその時だった。
多分、何か手伝えることがないかと思ったんだろう、戦場にルフェイが戻ってきてしまった。
私はそれに気を取られてしまって、気が付くと敵の攻撃が目の前にあった。そして、シュウが私を庇って吹き飛ばされた。
一目でわかる致命傷。背筋がぞっとして、すぐさま駆けつけたけど、私の治療能力じゃどうしようもない。泣きながら声をかけることしかできなかった。
でも、信じられないことにシュウは立ち上がった。
とんでもない質量の気を身体に循環させることで自分の身体を無理矢理動かして、今までよりも速く、今までよりも強く。
気の奔流で傷を穴埋めして戦うなんて、どう考えても命を削る行為。でもそれができるからこそ、今までシュウは生きてこれたんだろう。それが少し悲しい。
大きな一撃をぶつけるから隙を作ってほしいと言って、シュウは走り出す。
隙を作るって言っても、私の全力攻撃でだってピンピンしてるのにどうすれば。
そう思ってると、待ってましたとばかりにデュリオが禁手化。もっと早めに出してよそれ、って思ったけど、後で聞くとまだ未熟だから体力の問題で無暗に使えなかったとのこと。
アーサーもコールブランドで空間を切り裂いてテュポーンの顔の上に現れると、聖剣の能力を全開にして額に突き立てる。聖剣は魔物に特効効果がある。テュポーンもいちおう魔の存在だから、かなり効いたはず。
私は前から特訓してた術式付与を全力でシュウの刀にかけた。
デュリオの禁手が開いた道をシュウが駆け抜け、気付いた時には斬撃がテュポーンの額に叩き込まれてた。
誰も認識できないほど速い一撃。威力もとんでもなくて、テュポーンの頭を割るぐらいのダメージを与えていた。
普通の相手ならこれで死んでる。でも相手はギリシャ神話最大最強の怪物。まだ戦意を失っていないし、戦闘能力も残ってる。でもってこっちはもう限界。
ヤバいと思った次の瞬間、雷の槍がテュポーンに突き刺さった。
ギリシャ神話主神、ゼウスの登場だ。
遅いってんのよ、もう。
あとのことはあんまり覚えていない。疲れてたのと安心したのとで眠っちゃったみたいだった。
ギリシャ神の誰かに傷を癒してもらったのか、私が起きた時にはみんな万全の状態に戻ってた。火山も周辺の被害もきれいさっぱり元通り。町の人たちも事件のことは覚えていないみたい。神さまってすごいのね。
ルフェイは私とシュウに平謝りしていた。確かにシュウが攻撃を喰らったのはルフェイのせいと言えなくもないけど、私としてはあんまり責める気が起きなかった。
もう済んだことだし、油断をしてしまった私も悪い。それに、戻ってきたのは善意からの行動ってのがわかってるしね。そこのところはシュウも同じみたいだ。
でもルフェイは気が済まないみたいで、最終的に魔法使いの伝手をたどって白音の情報を調べることを条件に許した。
アーサーはシュウとの決闘を諦めたみたい。今のままじゃ勝てないのがわかってるからだって。
あくまで「今は」諦めただけってことは一目瞭然。
とりあえず家に戻る事にしたようだ。一から鍛えなおすとかなんとか。
あれ、いつかまた挑戦しにくるわね。
デュリオはいつものように「じゃあまた!」って言って去って行った。ブレないわね。
でもあいつがシュウに友情らしきものを感じてるのは本当みたいだ。今回の件でそれがわかった。
悪いやつじゃないんだろうけど、私は最初の出会い方がアレだったからあんまりね……。
三人と別れてイタリアの宿に帰る。
シュウと二人きりの状況なんて今まで数えきれないほどあった。でも今はそれがなんだか愛おしくて、嬉しい。
でもテュポーンを前にした時の言葉を思い出すと、怒りが込み上げてきた。
シュウは自分に戦う以外の価値は無いと思ってるようだけど、それは違う。
どれだけ強くたって、性根が歪んでたら誰も着いてこない。少なくとも、私はシュウが強いから好きになったわけじゃない。
何考えてるかいまいちわからなくて、怠けることに厳しくて、デリカシーに欠けるけど、普段はお人好しだったり、押しに弱かったり、大抵の事を否定せずに受け入れてくれる、そんなシュウだから好きになった。
流石に面と向かって好きだなんて言わなかったけど、そんなことを伝えるとシュウは驚きに固まってしまった。
初めて見る表情だ。すごくレアな光景を見れて、怒ってたはずなのになんだかラッキーと思えてくる。
しばらく眺めていると、再起動したシュウから一言「ありがとう」と言われた。
そして笑った。
あの仏頂面がデフォルトのシュウが、穏やかな顔で微笑んだ。
驚くのはこっちの番だった。
なによう、普段は鉄面皮なのにそんな表情もできるなんて反則じゃない。
胸のどきどきが止まらなくなった。まさかあんな顔するなんて思わなかったんだもん。
おかげでしばらくシュウの顔を直視できなくなったぐらいだ。
大げさかもしれないけど、私にとってはそれほどインパクトがあった。
それでおしまい。
ふう……ちょっと落ち着いたかも。
ちなみにあの空間震は、次元の狭間でグレートレッドが力を解放した影響だったらしい。座標の関係でシチリア島が一番大きな被害を受けたとのこと。
余波だけでテュポーンの封印を壊しかけるとか、さすが世界最強ね……。
普段は滅多に暴れないって聞くけど、いったい何があったのかしら?
――!!
――日記の持ち主の気が近づいてくるのを感じる。すぐ近くだ。
――少し慌てつつ、日記をもとの場所に戻す。
――そして持ってきていたお菓子を広げ、その人物を迎え入れた。
――彼女の関心はすぐさまお菓子へ。身内ながらちょろい。
――日記のページも終わりに近い。ここまできて邪魔されるわけにはいかないのだ。
――あなたは先ほど読んだ内容を想い出しつつ、目の前の姉を生暖かい目で見つめた。
お待たせしました更新です。
日記……日記? なにこれ無駄に長い。こ、こんなはずじゃ……。
聖女さまと接触した悪魔……いったい何ドラさんなんだ……。
ちなみのこの聖女はアーシアではありません。文中の通りこちらは人間しか癒せないので。
アーシアみたいに信仰上問題のある神器でもないので、追放まではされないでしょう。
テュポーンに関しては、全盛期だとこれ絶対天龍クラスはあるよなぁ、と思います。
でも世界最強十指にハーデスがいてゼウスが入ってなかったり、どうなってるんだろうD×Dギリシャ神話。