陰陽師になりました。   作:ラリー

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15話

ー武視点ー

 

今、俺は目の前にある存在についてとっても悩んでいる。

その存在は……。

 

 

土御門 夏目。

 

 

 

長髪をリボンで束ねる美少女もしくは美少年でも通用する美形だ。

 

 

 

 

彼は二メートルほどの身長を誇り。

 

 

 

 

 

 

ボディービルダークラスの筋肉鎧を纏う。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……。

 

 

 

 

 

 

全身を油でテカらせ、ブーメランパンツを履いている。

 

 

 

 

「夏さんと呼べ」

 

 

 

やべぇ……。

男子寮をうろうろしていた夏目の式神を保護した後、夏目が帰ってくるまで

改造して遊んでいたら大変な事になってしまった。

さっきまでこのポーズをキメた『マチョ夏さん』で大爆笑して遊んでいたのだが、夏目の

 

「ない!!」

 

と言う声を聞いて思い出したのだ……これは夏目の式神だと。

元に戻すにしても……。

 

「夏さんと呼べ」

 

ムッキーン☆

 

無理だ!!

首から下が完全に別の生き物になっている!!

元に戻すにしても時間が掛かる!!

どうする!!どうする!!このまま外に放逐するか?

ダメだ!!ばれたら確実に殺されて、寮母共に本物と認識される!!

それだけは阻止せねばならぬ!

 

…………!!

 

 

そうだ!!

いい事を思いついた!!

この方法を使えば確実にバレることなく………。

 

 

ー春虎視点ー

 

 

「おい…どうかしたのか?夏目」

 

夏目は寮に響くほどの大声を出した後、走って俺達の居る

食堂に戻ってきた。

忘れ物でもしたのか?

 

「部屋に置いてた式神が…簡易式の形代がなくなってる……居なくなってるんだ!!」

 

ん?簡易式?ああ、そういえば今日の課題であったな。

それがなくなったのだろうか?

 

「課題の?」

 

「違う!昨夜作ったオリジナルの簡易式だよっ!!朝は間違いなくあったのに……」

 

課題の簡易式か?と思い夏目に聞いてみたが、どうやら違うようだ。

俺達に説明した後、頭を両手で抱えて顔を青くする夏目。

なんだ?そんなにやばいものなのか?なんかブツブツ言っているぞ。

でも、今朝あった簡易式がなくなるなんて……。

 

「まさか、盗まれたのか?」

 

「オリジナルって、どんなものを作ったんだ?」

 

「あ、いや、それは…」

 

考えてた事と疑問を口にする俺と冬児の言葉にうろたえる夏目。

なんだ?そんなにやばいものだったのか?

 

「あれ?夏目、なんでここにいるの?」

 

「さっき塾舎出たときすれ違ったばっかなのに」

 

「じゃ、あれは人違――――い!!?」

 

帰ってきた三人組の寮生の言葉を聞いて凄まじい速度で食堂を出て行く夏目。

 

「? な…なんだ、あいつ」

 

「ははぁ……読めた」

 

俺と帰ってきた寮生の三人組が唖然と夏目の奇行に驚いて居る中、冬児は夏目の行動を理解した

かのような言動を口にして食堂の椅子から腰を上げる。

夏目を追うのだろうか?

 

「春虎、俺達も塾舎に戻るぜ。夏目がトラブったらしい」

 

 

 

 

マジで?

 

 

 

ー天馬視点ー

 

まいったなぁ……。

塾が終わった帰り道。

のどが乾いたから、ジュースを買おうと思い財布をいつも入れている

制服のズボンのポケットから取り出そうとしたんだけど……。

ポケットに手を入れた瞬間、あるはずの財布がないことに気が付いた僕は

面倒だけど、来た道を引き返して塾舎に戻ってきて財布をさがしている。

教室にはなかったから、あるとすればもう呪練場のロッカールームだ。

もしかしたら、着替えるときに落としたのかもしれない。

そう思い、ロッカールームまでやって来た僕は、ロッカールームの扉を開けた。

 

「えっと……誰?」

 

そして、扉を開けた僕が見たものは……。

 

 

身長は僕と同じくらいで顔をドクロの仮面で隠し、赤い外装に黒いアーマーを装備した……

 

 

「ふむ…呼び名はいくつかあるが……『アーチャー』と呼んでくれたまえ」

 

 

不審者だった。

 

 

 


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