インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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初陣です。


プロローグ 第12話 初陣!オリ主VSデリバリー女教師!

自宅に帰ると、母さんだけではなく父さんも既に居た。二人ともいつものように接してくれる。護衛の都合上、俺の両親は卒業式に出ることは出来ない。そして卒業時式が終われば、俺は東京に戻り入学試験を終えたらまた群馬に戻る。そしてそのままIS学園行きだ。今日が終われば次に会えるのは早くても夏休みだ。

 

その日は両親と夜遅くまで話した。その後自室に戻り、ベッドで寝た。この家を離れたのは四日だけだったが、ベットの感触がやけに懐かしく感じた。

 

翌日、いつも通りの朝食を食べ学校に向かおうとすると急に母さんが俺を抱きしめた。いつの間にか俺より小さくなってしまった母さんに少しだけ寂しさを覚える。

 

「ノリ君…」

「俺、正直ISに乗れることが解ってすげえ浮かれてた。自分が特別だって思って周りに優越感を感じていたんだ。その時俺は父さんや母さんのことを何も考えてなかった。そんな時友達から重要人物保護プログラムの話を聞いたんだ。そしてその時初めて二人のことを考えたんだ、すげえ焦った。」

「ううん、いいの。そんなことは…私たちは大丈夫だから。」

「本当に…ごめん。」

 

母さんは…泣いていた。続いて父さんが声を掛ける。

 

「紀春、お前に親父として言っておかなければならないことがある。」

「ん…何?」

「自分の人生が常に自分の思い通りに行くとは限らない。いや、自分の思い通りに行くことなんてほとんど無い。」

「思い通りに行くことはないって…それでも父さんはカチグミサラリマンじゃないか…」

「父さんな、本当は野球選手になりたかったんだよ。怪我で野球をやめてしまったがな。」

「えっ…そんなの初めて聞いた。」

「初めて言ったからな。とにかく父さんが言いたいのは、自分の人生を自分以外の人間や、自分ではどうにも出来ない事が決めてしまうこともある。でもな、それでも自分の人生は自分だけの物だ。結果に後悔をするな、結果の先で最善ではなくても最良の道を見つけろ。」

「うん…なんとなくだけど解った気がするよ。」

「なんとなくでも十分だ。今はそれでいい。」

「うん。」

「別に今生の別れでも無いんだ。また帰って来い。この場所じゃないだろうが。」

「わかった。父さん、母さん。行ってきます。」

 

父さんはああ言っていたがこれは俺が望んだ人生だ。後悔だけはしてはいけない。

俺は玄関の扉をに手を掛ける「行ってらっしゃい。」と母さんが言った。それはその言葉に小さく頷いて玄関を開けた。

 

玄関先にはヤクザが居た。しかも十人も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卒業式は特に混乱も無く終わった。俺は卒業生の列に並ぶことは無く。会場の隅で十人のヤクザに囲まれて立っているだけだった。

 

卒業式も終わり、卒業生の集団がいろいろ会話をしているらしいのを遠目に見ながら車に乗り込もうとする。そこに篠ノ之さんが駆け寄ってきた。

 

「藤木!」

 

ヤクザたちが警戒する。それを俺は制し、篠ノ之さんに答える。

 

「やあ、篠ノ之さん。元気?」

「お前今まで何処に行ってたんだ?」

「う~ん、強いて言えば温泉旅行かな?」

「温泉?お前またふざけてるのか?」

「言えないんだよ、口止めされてる。」

 

篠ノ之さんがヤクザを見る。

 

「お前、もしかして…」

「いや、それについては大丈夫。三津村がなんとかしてくれる。この人たちは三津村の護衛。」

「そうなのか、良かったな。」

「篠ノ之さんのお陰だよ。感謝している。」

「友達だからな私達は。お前の役に立てたようで嬉しいよ。」

「そうだ、これ。」

 

俺は篠ノ之さんに二つのチ○ルチョコを投げ渡す。

 

「ん?なんだこれは?」

「知らないの?チ○ルチョコ。」

「いや、今お前がこれを渡す意味が解らないんだが。」

「ホワイトデーには会えないからね。前倒し。」

「そういうことか。」

「ひとつは花沢さんに渡してくれ。つまり、倍返しだっ!!」

「…そうか。」

「じゃあ、そういう事で。IS学園で会おう!」

「ああ、IS学園で会おう。」

 

俺はそう言うと、車に乗り込んだ。車は東京の三津村商事に向かう。

初陣は明日だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三津村重工業本社地下二十階にそれはあった。

コンクリート製の半球型ドームのあちこちに強化ガラスだろうか、窓がついている。

窓には多くの白衣を着た研究者や、スーツを着たサラリマンが見える。その中に楢崎さんと有希子さんが居た。手を振ってみると楢崎さんは笑顔で手を振り返してくれた。有希子さんは目を逸らした。

俺は今、打鉄を装着して三津村重工業の特殊実験場に居る。ここが俺のIS学園入学試験会場だ。

 

俺から見て半球型ドームの向かい側の扉が開く。来たようだ。

 

「お待たせしました、藤木君。私が試験官を勤めます山田真耶です。」

「よろしくお願いします、山田先生。あ、そうそう。カスタム機の件はすいませんでした。」

「そのことなら気にしなくていいですよ。織斑君に対しては専用機がIS学園から送られる予定があるんですが、藤木君に関しては時間が無いというのもあったんですが何も出来そうになかったんです。そのことを考えたら私はそれで良かったんじゃないかと思いますよ。」

「『私は』ねぇ…」

 

『私』以外はどうなんだろうね。

山田先生が苦笑する。しかしながらおっぱいデカいな。

 

「えー、では試験の内容を説明しますね。試験内容は模擬戦。藤木君のシールドエネルギーがゼロになるか私に有効打が与えられた時点で試験終了です。藤木君の勝利条件は言わなくても解りますよね?」

「有効打を与えるって事ですね。」

「はい、そういうことです。早速ですが試験を開始してもいいですか?」

「はい。よろしくお願いします。」

 

有効打一発でいいのか…これは、以前考えた必勝の策が決まれば確実に勝利することが出来るな。

 

山田先生が大きく後ろに跳ぶ。ちなみに山田先生が装着しているのも打鉄だ。

山田先生は動かない。あの日の有希子さんを思い出す。途中から思い出せないけど。

よし、攻めるか。今の俺はあの日有希子さんに戦い方を相談しながら戦った俺とは違う。途中から思い出せないけど。

俺はまっすぐ突進し、山田先生に近接ブレードを振り下ろす。

山田先生はそれを近接ブレードで受け止める。もちろん片手で。もう山田先生が有希子さんに見えてきた。

振り下ろしからの連続攻撃も全て弾かれてしまう。ついには俺と山田先生は鍔迫り合いをはじめた。

 

「ぐっ…」

 

少しづつ押されている。生身の筋力なら山田先生に負ける気はしないが、ISを装着するとその力関係は逆転してしまう。

力任せに近接ブレードを弾き距離を取る。山田先生は微笑んでいる。

圧倒的な実力の差があるのはわかるが、明らかに手加減されている。少し悔しい。

 

あの必勝の策は今はまだ使う時ではない。あ、ちょっとした奇策を思いついた。とりあえず試してみよう。

 

両手で持っていた近接ブレードを左手だけでで持つ。俺は大きく振りかぶりながら山田先生に突進し、近接ブレードを右斜め上から左下へ袈裟切りに振るう。山田先生はバックステップでそれを避ける。その瞬間小さな隙が生まれる。俺は袈裟切りの勢いそのままに空いていた右手で正拳突きを繰り出す。

 

「こっちが本命だ!―がっ!?」

 

俺の正拳突きは山田先生の乗る打鉄の盾に阻まれ、お返しとばかりに近接ブレードの突きを受けた。腹部に衝撃が走る。

俺は大きく後退した。それに追随するかのように山田先生が迫る。

 

「さっきのは少し驚きました。ではそろそろ、こちらからも攻めますよ。」

 

山田先生が大きく振りかぶって近接ブレードを振り下ろす。隙だらけの動きだ、もう手加減されっぱなしだ。

俺はそれを右サイドステップで回避し、右手にアサルトライフルを展開。山田先生に弾丸を浴びせる。

しかし、それも山田先生は盾で防ぐ。

俺はその隙に大きく距離を取る。

 

山田先生は俺の射撃の隙を突き、ジグザクに移動しながら俺に近づく。おれの射撃ではこの動きを捉えきれない。山田先生は距離を詰め俺のアサルトライフルに近接ブレードを打ちつける。アサルトライフルが俺の手から吹っ飛んだ。

そこから山田先生は怒涛の連続攻撃(俺にとっては)を始める。近接ブレードや盾でいくらかは防ぐことは出来たが、それでも俺のシールドエネルギーはゴリゴリ削られていく。

やられっぱなしだが、それでも山田先生は手加減しているのだろう。山田先生の表情は余裕が見える。

 

そうだ、これでいい。この状況を耐え抜け。そしてさっき避けた大振りの振り下ろしを待て。その瞬間が勝負だ。

 

トドメを刺すつもりなのだろうか、山田先生が大きく振りかぶった。コノシュンカンヲマッテイタンダー!

 

「これで、終わりで「今だッ!」――えっ!?」

 

俺は、近接ブレードを振りかぶる山田先生を、”抱きしめた”。

 

よし、最初の賭けは成功だ!山田先生を抱きしめることが出来た!

さて、次の賭けを始めよう。

 

「山田先生……いい匂いしますね…俺…ドキドキしますよ……」

「えっ、えっ?藤木君!?こんな所で……ダメですよ……」

 

俺はオリ主ボイスをお耽美な感じにして、山田先生に語りかける。山田先生の顔は真っ赤だ。

山田先生の気を引くことも出来た。二つの目の賭けにも成功した。つまりこの瞬間俺の勝利が確定した。

 

「山田先生…」

「藤木君…」

「俺の…勝ちだ。」

 

俺は左手に持っていた近接ブレードを逆手に持ち替えて更に刃の真ん中あたりを握る。それを抱きしめていた山田先生の背中に突き刺した。

その瞬間ガンッというという音が特殊実験場に響き渡る。その後、ブザーが鳴った。

 

『試験終了、勝者、藤木紀春』

「いよっしゃああ!」

「えっ?えっ?」

 

俺は山田先生から腕を解き、山田先生に背中を向け叫ぶ。山田先生はまだ混乱しているようだった。

俺は背中越しに山田先生に語りかける。

 

「山田先生、一つ覚えていてほしいことがあります。」

「はっ、はい。何でしょうか?」

「これが男の戦いだ。(ドヤ顔)」

「アッハイ。」

 

俺は背中に王者の風格を漂わせ、山田先生を残し特殊実験場からクールに去る。

山田先生が俺の背中を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は打鉄を外し、控え室に居た。そこには楢崎さんと有希子さんが来た。

有希子さんが嬉しそうに俺に喋りかける。

 

 

「ぎゃははははは何だよお前あの戦い方。」

「面白かったでしょう?」

「ああ、面白かったよ。山田真耶のあんな顔初めて見たわ。」

「真面目に考えるとですね、さっきの模擬戦って実は世界で初めて男と女がISで戦った試合なんですよ。いや、織斑一夏が先にやってるかも知れないな。」

「ああ、それなんだが織斑一夏が先にやってるな。相手は同じ山田真耶。山田真耶がテンパって勝手に自滅して織斑一夏の勝ちになったらしい。そして、その間織斑一夏は何もしていない。」

「はぁ!?何それズルイ!俺はコテンパンにされながら何とか勝てたのに、織斑一夏は楽して勝ったのかよ!?そもそも本当に山田先生って有希子さんより強いの!?」

「いや、本当は強いんだよ…」

 

これが主人公とオリ主の差か…織斑一夏がうらやましい。

まぁ、差を嘆いても仕方ない。明日から群馬に逆戻りだ、ホテルに帰って寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あああああ、やっちゃったやっちゃったやっちゃったよーーーーーー。何やってんだよーーーーーー。

 

俺は今三津村商事本社ビルに近い高級ホテルの中のスイートルームのベッドの上で、枕に顔を埋め足をバタバタさせている。

何が「これが男の戦いだ。(ドヤ顔)」だ、きっと山田先生も心の中でで爆笑し、今頃俺のことをブリュンヒルデと一緒に馬鹿にしているに違いない。

 

あれ?これなんてデジャヴ?

 

とりあえず自殺を試みた。やっぱり死ねなかった。




強くないオリ主がやまやに勝つためには、そんなこと考えた結果がこれだよ。

次回でプロローグ最終回です。超短いです。プロローグ第二話くらいの短さです。

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