Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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キリンさんが好きです。けどガムートさんの方がもっと好きです。

というわけで、モンハンクロスで見てから書きたくて仕方なかった夢の対決。
前回の三つ巴の戦いが人気だったので、今度は乱闘風にしてみました。


Battle2「巨獣VS轟竜VS金獅子」

―名は体を表す。

 

 名付けとは人間が勝手にやっている事だが、名は個別を差す単語として非常に解りやすく、そして後世の為に役立っている。

 特にモンスターに関していえば見た目や特徴を表す事で、初心者から熟練者まで解りやすく伝えられる。

 

 例えば轟竜ティガレックス。咆哮轟かせる竜。

 例えば雷狼竜ジンオウガ。雷を宿す狼が如き竜。

 例えば重甲虫ゲネル・セルタス。最も重い甲虫種。

 

 

 例えば……巨獣ガムート。老山龍ラオシャオロンに匹敵しかねない巨体を持つ獣。

 

 

 ガムート。ポッケ村に聳える雪山を主な生息地としている牙獣種。

 ティガレックスの歯牙ですら及ばないとされるガムートは、「不動の山神」の別名に相応しい圧倒的重量感を宿していた。

 重量感といえば「重量級の女帝」とも呼ばれている重甲虫ゲネル・セルタスも居るが、彼は別の意味で重い。

 

 即ち、圧倒的な巨体。これこそ解りやすいステータスは無いだろう。

 

 

 

―かといって巨体だからといって敵が居ないかと言えば……そうではないのだが。

 

 

 

―――

 

 ガムートは気が立っていた。

 

 現在の雪山ではガウシカやポポを始めとした草食種の繁殖期を迎えており、草食にとっての食糧不足が生じている。

 同じ草食であるガムートもその被害を受けており、鼻息と足音を荒くして苛立ち、そんなガムートを目の当たりにしたギアノスやブランゴは我先にと逃げ出す。

 

 その巨体から見て解るように大食漢で、食物連鎖において最も下層にして大量の草木とはいえ、彼にかかればゴッソリ減ってしまうのは致し方ない。

 しかも降雪地帯と言う厳しい環境下の為、草木の食糧難とは多く多発しているものだ。普段は大人しいガムートとはいえ、空腹で苛立つ機会は多かったりする。

 

 

 その苛立ちを助長するのが、草食種の繁殖期だからと我が物顔で食らいつく肉食モンスター達の存在だ。

 

 

 ガムートの歩く先には、死骸となったポポに貪りつくティガレックスの姿があった。

 体中にある傷の数からして相当の場数を踏んだのだろう。ガムートを見た途端に威嚇ついでの咆哮を轟かせる程に威勢も良い。

 

 だが、ガムートには関係ないとばかりに鼻息を荒くし、ドゴンドゴンと足踏みを鳴らす。

 眼前のティガレックスはこれまで居たティガレックスとは別物だが、幾多も強敵を返り討ちにしてきた彼には退くと言う選択肢は無い。

 空腹で気が立っていて、眼前に己の命を脅かす肉食モンスターが居て、何より向こうがヤル気満々。迎え撃たずにはいられない。

 

 ティガレックスも上等だと言わんばかりに姿勢を低くしようとし……不意に周囲を見渡しだした。ガムートも一緒に。

 

 2匹は自分達以外の存在―それもかなり高等の存在―を野性の勘が察知していた。

 何かが居る。それが何かを自ら示すかのように―――山全体に響き渡るような咆哮が轟いた。

 

 音量は轟竜の咆哮よりも小さいが―――2匹の聴覚に届いた途端、体が震え出した。

 

 「絶対強者」たるティガレックスと「不動の山神」たるガムートを震わす程の存在。

 この危機感は2匹の戦闘意欲を中断させ、その脅威の存在に全神経を向けさせた。

 

 

 

 そして2匹が地に足を付けて身構える中……その【脅威】がやってきた。

 

 

 

 漆黒の体毛。側頭部に伸びる一対の角。剛腕を垂らす屈強な肉体。

 

 

 世界広くモンスター多しと言えど、世間一般的に「超攻撃的生物」と呼ばれている唯一無二の存在。

 

 

 

 

―――金獅子ラージャン。金の獅子という、解りやすい強者の証を名に持った牙獣種。

 

 

 

 

 ラージャンはガムートとティガレックスの姿を見る以前に存在を確認していたんだろう。

 既に息は荒く、2匹を見た途端嬉しそうに剛腕を振り上げ、歓喜の咆哮を轟かせる。

 

 最初に応じたのはティガレックス。恐怖による錯乱ではなく、強者だと明確に悟ったが上の迎撃である。

 隣にガムートが居る事など気にしないとばかりにラージャンへ突っ込んでいき、大きく跳躍して飛びかかった。

 

 対してラージャンは避けるまでもなく……しかし剛腕でティガレックスに逆に掴みかかった。

 だが体格差ではティガレックスに分があり、突進の勢いも助けてぶっ飛ぶ……かと思ったが。

 

 

―パゥワァァボムゥゥゥ!

 

 

―アイエェェェェ!?

 

 

 なお、上記の台詞はイメージです。

 

 突進の勢いをそのまま活かしたパワーボムが炸裂!背を逸らしただけでティガレックスを地面に陥没させてしまう。

 降り積もった雪の上なのが幸いなのだが……ティガレックスは見事なぐらいに頭が地面にぶっ刺さったおかげで動きが取れなくなった。

 

 バタバタともがくティガレックスを「とりあえず置いておくか」と言わんばかりに後ろ目で見た後、次の敵を目の当たりにし――――

 

 

―ガムートの巨体が持ち上がり、前脚を自分に踏みつけようとしたのを目撃した。

 

 

 轟音からの地鳴り。ガムートのボディプレスはラージャンを確実に範囲内に収めていた。

 ガムート自体も手応えならぬ足応えを感じたが油断はせず―――だからこそ驚愕した。

 ラージャンは両腕をガムートの両前足に添え、地面に陥没しつつも受け止めていたのだから。

 

 圧倒的な巨体による踏みつけで雪が吹き飛んだのか、ラージャンの足元にはひび割れた地面がむき出しになっている。

 巨体を受け止めたラージャンだが、踏ん張りを入れ、両腕と両足の筋肉を膨張させてガムートを持ち上げようとしていた。

 受け止めただけでなく、ガムートが全体重を前に傾けているにも関わらず押し戻す。驚くべきパワーだ。

 

 両手と両足を真っ直ぐにして押し出す中、ラージャンは支えていた片腕を離して握り拳を作り―――振り上げる。

 

―ドッゴンッ!

 

 轟音からの打撃音。前脚から襲い掛かる反発力により、ガムートの体が持ち上がったではないか。

 ほんの少しの浮遊感がガムートを襲い、続けざまに側面から痛撃が襲い掛かってくる。何が何やら解らない。

 なんてことはない。ラージャンが下から殴り、その隙に右へ跳び、さらに跳んでガムートの右側から殴っただけだ。

 

 それでも巨獣の名は伊達ではなく、天すら割るとされるラージャンのパンチですらよろめく程度に留まり、むしろ長い鼻でラージャンを捕えてやった。

 流石のラージャンも空中では身動きが取れず、瞬時に巻き付かれるしかない。それでも離せと言わんばかりに暴れるが。

 

 自慢の鼻を殴られたら溜まったものじゃないと、ガムートは即座にラージャンを放り投げる。

 その蛮力は凄まじくラージャンを遠くへと投げ飛ばすが、ラージャンは宙でクルクルと回転、雪上でも難なく着地することに成功した。

 

 

―隙有じゃワレェ!

 

 

―アイエェェェ!?ティガ!?ティガレックスナンデ!?

 

 

 なお、上記の台詞はイメージです。

 

 忘れてはならないが、ティガレックスは死んだわけではない。

 着地したラージャンに横からティガレックスが突っ込み、今度は不意を突いたことでラージャンを巻き込んで乱闘に持ち込む。

 殴る。噛みつく。前脚で押さえつける。前脚を掴む。マウントポジションはティガレックスが有利!

 

 そうやってドッタンバッタンと2匹が取っ組み合っている最中でも、ガムートは容赦しない。

 

 

―おい、俺も混ぜろよ。

 

 

 なお、上記はイメージです。

 

 ここで踏みつけなりすれば2匹まとめて倒せるだろうが、先ほどの事もあってそれは止める事にしたようだ。

 だから今度は、平たく太い牙を地面に押し付け、そのまま頭と鼻を加えた薙ぎ払い攻撃をしてみる!

 

 今度は綺麗に決まったらしく、ラージャンとティガレックスを纏めてぶっ飛ばした。今回ぶっ飛んでばっかやな。

 あ~れ~と言わんばかりに空中でもがく2匹だが、ティガレックスは飛竜種らしく翼を広げて僅かに滑空、ラージャンはクルクル回って着地!

 

 遠くへふっ飛ばしたので、ガムートはラージャンに狙いを定めて鼻から雪玉を発射。

 この程度なんてことないわ!と言わんばかりに腕を振り、正面から飛んできた雪玉を拳で粉砕する。

 その隙を逃すまいと着地したティガレックスが再びラージャンに突進。どうやらティガはラージャンにご執心の様子。

 

 雪玉に気を取られていたかと思っていたが、同じ手は2度も食わないらしい。

 ラージャンは斜め後ろから突進してくるティガレックスの頭を掴み。そのまま剛腕を使ってガムートに投げつける!

 首をへし折られる事はなかったにしても、ティガレックスは玉投げでもするような剛速球でガムートに向かい、そのまま激突。

 不幸にも盾のように硬い甲殻にぶつかってしまって大打撃。ガムートは怯んで下がり、ティガレックスはそのままズレ落ちてぐでり。

 

 流石に2匹同時に相手するのは厳しかったのだろう。怒髪天となったラージャンの体毛が黒から金に染まり、咆哮を轟かせた。

 ガムートとティガレックスにない圧倒的な気配に、今度は本気を出してやると言わんばかりにガムートも咆哮。

 

 そんな咆哮合戦に「負けてられねぇ!」と言っているかのように体制を瞬時に整え、体中に血管を滲ませて大声を轟かせる。

 轟竜の別称に相応しい大咆哮はラージャンもガムートも怯ませたが、それだけだ。3匹の戦闘意欲をより沸かす原動力になってしまった。

 

 

 

 

―いざ、第2ラウンド!

 

 

 

 

―完―




敢えて途中で終わらせることで読者様の妄想を掻き立てるという策(嘘
やっぱりパワーVSパワー、それも別種のパワーファイターがぶつかり合うのって良い(笑

本日の午後、作者の活動報告にしてモンハン関連の投稿小説についてのアンケートを実施します。
今後のモンハン小説活動に関わる事なので、できれば閲覧とコメントをお願いします。

MHFの最新情報(あんなの)を見ちゃったら……ねぇ(汗

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