Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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皆様、お待たせいたしました!
今回より活動報告で募集した「モンスターハンターデルシオン4G」の投稿モンスターが登場いたします!
短いかもしれませんが一話につき一体ずつオリジナルモンスターが登場します。苦手な方はご注意ください。
また投稿者が納得できない箇所も多数あると思います。過度なご期待はご遠慮ください。

また、今回からギルドナイト(オリキャラ)が多数登場します。

8/4:タイトル修正。×「鉈蛇竜」→○「鉈尾竜」でした(汗
8/17:勝手ながら文章を元に作者が描いたアイコンを挿絵に追加しました。


Extra7-2:「鉈尾竜の生態」(※挿絵あり)

 バルバレギルドがギルドナイトにG級モンスターの調査を依頼してから二日目。

 初日からバルバレに所属するギルドナイトの1人が行方不明になったこともあって、二日目のギルドナイトは緊迫した空気に包まれていた。

 そんな中でもギルドナイトの皆は調査を続行する。それが自身たちギルドナイトの義務であり、行方不明になった者への誠意でもあるから。

 

 だからといって、行方不明となったアークザットと同時期に任命された友人が感情的にならない訳がなかった。

 

 

 

―――

 

「ナフィック、そっちはどうだ?」

 

「そっちと同じよ、クイード。それらしい影はないわ」

 

 太陽が天の頂点に昇り、明るい日差しが原生林に降り注ぐ頃。

 ギルドナイトの青年クイードと女性ナフィックが合流し、情報交換を行おうとしたが……無駄骨だったらしい。

 赤毛のクイードが大剣を、金髪のナフィックがライトボウガンを所持しており、両者の防具は歴戦の傷が多く刻まれていた。

 傷が多い防具を持つギルドナイトは若輩者でもあり、アークザットと同じく若いギルドナイトであることが解る。

 

「アイルー達に聞いたが、番いの蛇に心当たりは無いらしい」

 

「ダイダロさんも、ガララ・アジャラの死骸があるってこと以外は大した情報が無いって言っていたわ」

 

 先輩であるスキンヘッドの大男・ダイダロの用心深さは2人も心得ており、これらを合わせると彼らが探しているターゲットは原生林から姿を消していると予測される。

 「番いの蛇」……ガララ・アジャラの死骸があったエリアの石に血文字で記されたそれはアークザットの遺言であり、新たなモンスターの情報となりえるものだ。

 ギルドナイトは何よりも冷静さを必要とする故に表立って感情的になることはなかったが、同期であるクイードとナフィックは心の中で敵討ちを近い、原生林の調査に踏み込み今に至る。

 

 ガララ・アジャラを仕留めるほどの強者である可能性が高い為、念入りに探索していたのだが……。

 

 

 

 風に運ばれてきた、ある臭いに不意に気づく。

 

「……っ!?ペイントの臭気!」

 

「この方角……ダイダロさんがいる方角よ!」

 

 咄嗟に判断し走りだす二人。目指す先は風の向きから考えて……エリア6。

 クールに、そして危機感に思考を走らせながら、若きギルドナイトは臭気を辿って目的地へと向かっていった。

 

 

 

―――

 

(な、なんなんだアイツは!?)

 

 それは、ギルドナイトとして長年ハンターズギルドに仕え様々な任務をこなしてきたダイダロにとって衝撃的な出会いだった。

 接近している故に鼻につくほどに濃いペイントの臭気が漂う中、ダイダロは走りつつ……否、逃げ惑いつつ後ろを振り向いてそいつ(・・・)を見る。

 

 エリア6故に天井の蔓草が邪魔なのか、蛇竜種特有の長大な身体を地面に這わせ、しかし角の生えた頭は確実に獲物(ダイダロ)を狙っている。

 元は砂漠地帯に生息しているのか、黄土色の体を砂に近い黄色の甲殻で覆われ、砂地であれば保護色として役立てたことだろう。

 

 そしてギルドナイトであるダイダロに危機感を覚えさせたのは、この蛇竜種の特徴的な尻尾にある。

 

 蛇竜種は這うのを止め、尾を持ち上げ、ダイダロに向けて振り回した。それだけで地面が切り裂かれた(・・・・・・・・・)

 この蛇竜種の尾の先端は、まるで鉈のようになっているからである。オマケに尾につれて筋肉が発達しているのか、地面に難なく刃が食い込み、易々と引き抜ける。

 切れ味と振り回す力に優れたこの攻撃は人間が食らえば簡単に両断することができる一撃。ギルドナイトが恐れる理由には充分だった。

 

 

 鉈のような尾を持つこの蛇竜種の後につけられる名は「グローディウス」。別名「鉈尾竜」。文字通り鉈のような尾を持つ竜のモンスターだ。

 

 

 グローディウスの這うスピードと鋭い鉈を軽々と振り回す攻撃を前に、ランスでは相性が悪いと判断したダイダロは逃げる一方。

 しかも恐ろしい事に、先ほど毒キノコを摂取したからか、尾の鉈からは毒液が滲んでいる。仮にガードできたとしても、振り撒かれた毒にあたれば危機的状況に堕ちかねない。

 故に仲間であるクイードとナフィックに来てもらうようペイントボールを投げつけたのだが……まさかこれで怒られるとは思いもしなかった。

 

「ダイダロさん!」

 

 カン、と甲高い音と同時に響く声にダイダロは安堵感を覚え、しかし油断することなくグローディウスを見ながら走り続けた。

 グローディウスの頭部に何かが直撃し、注意がダイダロから声のした方へと向けられる。その隙にダイダロ自身も声のした方へと走りだす。

 

 後は言葉など不要。駆けつけてくれたクイードとナフィックと共に並び、グローディウスの様子を身構えながら見る。

 敵が増えたことで咆哮を轟かせるグローディウスを前に、ダイダロはハンドサインで2人に情報を伝える。

 

(動き、素早い。一撃、鋭い。大剣、ランス、相性、悪い。注意されたし)

 

((了解))

 

 受け取ったクイードとナフィックは頷き、ナフィックだけがライトボウガンを構える。

 グローディウスが地に伏せたまま鉈を振り回して威嚇の意を示す中、三人は調査を含め、戦闘を開始するのだった。

 

 

 

―――

 

 グローディウスの特徴は何も鉈だけではない。それを理解したのは、エリア6の天井……蔓草の足場ではっきりと解った。

 

 跳ぶのである。とぐろを巻き、バネのように勢いをつけて。

 

 2人が牽き付けている間に頭上から攻撃しようとしたナフィックを仰天させ、すぐさま冷静に逃げなければならなかったほど。

 確かに鉈のような尾を軽々と振り回せるほどだ。尾の力はもちろん、長い身体全てに結構な筋肉が詰められているのかもしれない。だからこそなせる技なのだろう。

 ババコンガやリオレイアも支えられる蔓草ではあるが、まさかガララ・アジャラと似たような大きさと長さを誇るグローディウスを支えられるという事実にも驚いたが。

 

 攻撃の要にして有効な属性や状態異常を確認できるナフィックを援護すべくすぐさま登り、グローディウスを牽き付けるクイードとダイダロ。

 だがグローディウスの尾を使った攻撃は器用なもので、広範囲のものから、範囲は狭くも連続で斬り付けるという強力な攻撃など様々な使い方で追い詰めていく。怒りが治まった途端に毒が薄まったが。

 そして何も尾による攻撃だけでなく、ガララ・アジャラにもあるような突進、グローディウス独自の絞めつけによる拘束攻撃などもある。

 いずれも持ち前の警戒心や身体能力を用いて回避できたものの、当れば優れた防具を持つ彼らでも致命傷になりかねない。

 

 加えてグローディウスは独自の方法で獲物を感知しているのか、閃光玉は効果が薄いことが判明。

 一時的に眩暈を起こすものの、復活するまでが早いのだ。そして怒り状態になりと、尾に毒液が滲み出るようになった。

 

 有効な属性は……今のところ判明できていない。

 これはあらゆる属性に強いというわけでなく、ギルドナイトが所持するライトボウガンでは決定打にならなかったからだ。

 旧大陸やロックラックほどではないとはいえ、バルバレにおける最新武器がここまで通用しないとなれば、相手はG級であることがわかる。

 アークザットの言っていた「番いの蛇」ではないだろうが……これだけの実力を蛇竜種がいると解っただけでも充分な成果だ。

 

 

 

 その結果、ギルドナイト三人組は特殊なアイテム「モドリ玉」によって戦線を離脱。

 グローディウスに関する情報を多く収集した彼らは、目的である「G級モンスターの調査」を達成できたからだ。

 

 

 

 この後、クイードの卓越な描写力によってバルバレギルドに新種の蛇竜種を報告。

 この特殊な蛇竜種を「グローディウス」と名づけたのだが……三人が出会った後、グローディウスを目撃したという情報は少なくなった。

 目撃情報の大概は砂漠地帯で発見されており、グローディウスの更なる生態調査が必要になっていくだろう。

 

 

 

―さらなるG級モンスターを捜し求めながら。

 

 

 

―完―




作者の描いた「鉈尾蛇」はいかがだったでしょうか?
詳しいデータは活動報告「モンスターハンターデルシオン4G」をご覧ください。

さ~て次回はどんなG級モンスターが出るのかな?二週間後(予定)をお楽しみに!

鉈尾竜アイコン(作者描写)

【挿絵表示】

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