Monster Hunter Delusion【更新停止】 作:ヤトラ
三連休だからって油断していました・・・定期更新って難しい(←ウッカリ作者なだけ)
今回は二匹同時公開。テーマは「尾に氷をつけるドボルベルグ」「キノコを食すブラキディオス」です。
両方とも共通したテーマとしては「食料の確保」です。食べるのも大事ですが、いかに食を維持できるか、が課題。
この本では何度も記していることだし、生物の進化における基本でもあるのだから、言わなくてもいいのではと考えてはいる。
だがあえて言おう―――生物において、食の力は偉大である、と。
世界には様々なモンスターが存在しており、種によって様々な食性を持っている。
草食、肉食、雑食、食虫、バクテリアによる鉱石食など様々で、同じ種族でも食物の違いは生じてくる。
特に多くの食性を有しているのが、逞しい脚力で大地を闊歩する獣竜種だ。
枯木を食すドボルベルク、虫を食べるボルボロス、鉱石を食らうウラガンキン、そして多くの肉食種。
モンスターの中で最も種類が多いとされる飛竜種でも、彼ら獣竜種の幅広い食性には遠く及ばない。
そんな獣竜種の中でも、食の力によって変異した変異種――ウラガンキン変異種とイビルジョー変異種がそれに当たる。
宝石ばかりを食した故に体が宝石になった、ウラガンキンばかり食した故にバクテリアを宿したなど、食べ続けた故に進化したものだ。
しかし今回紹介する獣竜種二匹は、そういった偏食タイプの進化ではない、独特の進化の形がある。
まずご紹介すべきは、尾槌竜ドボルベルク。
最たる特徴は別名の由来にもなっている巨大な尾だが、注目すべきは背中に生えている二つのコブだ。
この二つのコブには脂肪が詰め込まれており、有事の際にこれを燃焼させエネルギーを補給する。
このエネルギーは興奮時にも使われる他、苦手とする寒さを凌ぐ為の冬眠時にも使用されている。
この脂肪の塊があるからこそ、乾燥地帯である砂原に出没する亜種が誕生したとも考えられる。
つまり、エネルギーを蓄えることさえできれば、あらゆる地方に足を運ぶことができるのではないか?
学者達がそのような疑問を投げかける中、それに答えるようにしてドボルベルクは答えを出す。
なんと、ドボルベルクが凍土に出没したのである。
この凍土のドボルベルクを最初に発見は、凍土関連のクエストを受注した女ハンター(ネブラUシリーズ)である。
目撃時は大きな雪山が聳えており、モンスターの死体でも埋まっているのかと近づいた所、そこから青白いドボルベルクが出現した。
そいつは眠りを妨げられたのか、酷く興奮した様子で雄叫びを上げ、全身を地面から引きずりだしてきた。
その際に目撃したのだが、特徴的であった尾が氷に包まれており、原種や亜種のよりも巨大な尾だったという。
さらに特徴的なのは背中のコブ。原種や亜種よりもひときわ高く、背の高い山が生えているかのようだった。
幸いな事に女ハンターは唐突の出会いでありながら冷静を保ち、しばし逃げながら観測した後、モドリ玉で退却しクエストを脱退。
即座にハンターギルドに詳しい情報を報告してくれたことにより、すぐさま調査隊を出すことに成功した。
この後は、調査隊やハンター達の情報をまとめたものを挙げるとしよう。
ギルドは凍土に出現したという青白いドボルベルグの別名を「
別名の由来は女ハンターの証言にもあった、氷で包まれた尾の事を指している。
ただでさえ異常にまで発達し巨大を誇っていた尾を、凍土の水辺にてつけることで氷を纏い、さらに巨大化させたものと考えられる。
何度か地面を叩くだけで纏っていた氷が自然に破壊されるものの、その大きさ故に一撃は重い。
重すぎて動きが鈍重になる他、振り上げにも力を有して時間が掛かり、逆に大きな隙を生んでしまう。
しかしそれ以上にパワーは凄まじく、周囲を雪煙で多い、周囲の地面を盛り上げる程の力を秘めている。
コレほどまでのパワーを誇れるのは、原種よりも大きなコブに起因しているものと考えられる。
4人のハンター達が対峙して解かったことなのだが、この尾氷竜は非常に高い体力を誇っている。
食性は定かではないが、このコブに蓄えているエネルギーは通常よりも遥かに硬く大きいとされている。
この膨大なエネルギーと、日頃は雪に紛れて眠っていることから、節約と貯蓄の繰り返しにより寒冷地の適応が可能になったものだと推測される。
惜しむべきは尾氷竜の食性がはっきりと解かっていないことか……。
凄まじいパワーとタフネスを繰り出す豊富なエネルギーを有した獣竜種。
厳しい環境の一つである凍土でこれだけの脂肪を維持するのに、一体どのような食生活を送っているのか?
普段寝ていることもあるが、その生態はまだまだ謎が多い。出没する時期も安定しない上に実質的な被害もない為、しばらく放っておこう。
続いては、ブラキディオスの変異種について説明しよう。
近年発見されたこのブラキディオス変異種は、火山を筆頭に水没林などにも姿を現しているという。
細かい説明は後ほどするとして、このブラキディオス変異種の特徴は「菌類を食す」ことにある。
菌類……つまりブラキディオス特有の粘菌はキノコ類にも含まれ、キノコは食料に分類される。
ドスファンゴもこのキノコ類を好みとしているが、肉食種であるブラキディオスが何故キノコ類を食すのか?
それはブラキディオス本来の特性である「爆発性粘菌との共生」に繋がる。
ブラキディオスの最たる特徴でもある爆発性粘菌を活性化する機能を、攻撃とは別の活用方法として編み出した。
それが食性としての活用……キノコ類を延々と増やし、纏い、それを食べることで上を凌ぐのだ。
なぜ肉食であるのに、攻撃に用いるのではなく、食用として活用するようになったのか。
これも暴食の悪魔ことイビルジョーが齎した、食物連鎖の一時的な崩壊に繋がっている。
主に肉食であるイビルジョーが草食種を平らげてしまったことで食料危機に陥り、その際に編み出したのではないかと考えられている。
どんな時でも食料を調達できなければ死に至るのが生命。飢餓を凌ぐ為に食性を変えることもまた定めといえよう。
さて、気になるキノコの栽培方法と食事方法だが、割と大胆なものだ。
腕に当たる箇所に唾液を塗りつけ、そこにキノコ類を付着させると、短時間で爆発的に増殖していく。
唾液まみれの前脚は数十分と立たずにキノコで覆いつくされ、まるでボクサーグローブのように膨れ上がる。
そしてその前脚についたキノコの塊を、マンガ肉に齧り付くかのようにして食べるのだ。
ちなみにこの食事の際、薬草も一緒に食しておけば自然治癒能力が数段に跳ね上がり、回復効果が見込める。
モンスターも食物の特性、つまりは薬草やアオキノコの特性を理解しているからこそ出来る技といえよう。
回復効果もさながら、ニトロダケを用いた高熱攻撃も凄まじい。
キノコの採取ポイントにニトロダケが生えていた場合、ブラキディオス変異種はそれらを前脚と頭の突起に付着させる。
こうすることで高熱作用を引き出すニトロダケを増殖させ、炎にも勝る高熱攻撃を繰り出すのだ。
また、毒テングダケなら毒攻撃、マヒダケなら麻痺攻撃など、キノコによって攻撃方法が変わってくる。
キノコの採取ポイントによっては変幻自在に攻撃方法を変えてくるので、対峙する際には充分な警戒が必要である。
また、ニトロダケによる高熱の殴打によって溶かした鉄鉱石を身体に付着させ、己の甲殻にすることもできる。
これによってブラキディオス変異種は黒に近い鉄を帯び、原種並みの硬さを誇る。
このように、キノコ類を食料にするだけでなく、攻撃にも回復にも用いる高性能な獣竜種が誕生した。
我々はこのブラキディオス変異種の別名を、原種の別名に合わせて「
キノコによって攻撃方法や回復手段が変わるが、ニトロダケを主な攻撃手段としているのが目撃例によって解かっている。
採竜と戦う時は、火属性の耐性をつけておくことをオススメする。
エネルギーの確保と、新たな食性への活路を見出す術。この二匹は、食性の幅が広い獣竜種ならではの進化の道といえよう。
―完―
常々、この作品は食をテーマに魔改造を繰り返しているなぁと思います。宝石ガンキンといい人食い熊といい……。
もともと読者様のアイディアは断片的なものだったのですが、いつの間にか食性の話も追加されてましたし。
いやぁ、食べるって大事ですよね。
ところで余談ですが、尾氷竜をpixivで公開した際、「氷」ではなく武器の名前にして欲しかったというコメがありました。
自分ももうちょっと別名を捻ればよかったかなぁと軽く公開してます。だってこっちの方がピッタリなんだもん。
○本日の防具と素材一覧
●ドボルYシリーズのスキル一覧 (共通)
・腹減り無効
・スタミナ急速回復
・破壊王
・回避性能DOWN
●ブラキYシリーズのスキル一覧 (共通)
・食王(拾い食い・早食い+2・アイテム使用強化の複合スキル)
・体力回復量UP
・腹減り倍化【大】
●主に剥ぎ取れる素材
・尾氷竜の蒼氷甲
尾氷竜のアイシスメタルが張り付いた甲殻。美しい青色の氷は重苔甲より硬い。
・尾氷竜の高仙骨
原種以上に大きく見事な仙骨。より固く大きい為、剝ぎ取りは困難を極める。
・採竜の頭殻
主にニトロダケが塗りこまれた採竜の頭殻。活性粘菌を塗ると非常に高い熱を放つ。
・オオニトロダケ
活性粘菌が塗られたニトロダケが束になって固まった物。超高温を発することができる。
さぁ堕天使ハンターよ、見事珍味中の珍味「ドボルの霜降り肉」と「ブラキノコ」を手に入れてみせよ!