Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回のテーマは「人を食らうアオアシラ」と「鉱石をも食べるイビルジョー」です。
食性が変わるだけでこんなにも危険度が跳ね上がる、ということを示したかった。

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2014/11/20:誤字修正


part14:「黒熊獣と王暴竜の生態」

 食事はとても大切だ。誰しも食べなければ成長しないし、酷い時には死に至る。人間もモンスターもそれは同じで、皆が食べるということで生きることを実感していく。

 そしてこれも同じことだが、モンスターにもグルメという言葉の意味が当てはまる。宝石類ばかり食べて体が宝石になったウラガンキン変異種がその良い例だろう。

 

 

 人間を食べるのが好きになったモンスターなどもいるから、困ったものである。

 

 

 さらっと言ってしまったが、モンスターも時には人間を喰らう。だが大型の肉食モンスターのほとんどはおつまみ程度でしか感じていない事だろう。

 何せいくら大柄な人間が居たとしても、アプトノスやリノプスよりは小さい。大きな体の食欲を満たすなら大きい肉の方がいい、ということだ。

 

 だがしかし、ここでもモンスターのグルメ精神が一役買ってしまう。

 同じ種族でも好みが違う以上、好みなのがあったらそれを主に食べたくなるのは当然のこと。

 特に雑食性のアオアシラなどに至っては食の幅が広い為、通に走ってしまう者も多くは無い。

 

 そんなアオアシラの中には、人間を主に食べたがるという恐ろしい者もいる。

 こういったアオアシラは、獲物の返り血や栄養素によって毛が赤黒く染まり、凶暴性が高まる。

 これをアオアシラの変異種、「黒熊獣(クロユウジュウ)」というのだが、これがまた厄介なモンスターだ。

 

 すなわち、人のみならず村や住宅を襲う確率が格段に上がる。

 

 通常のアオアシラよりも少し強い程度だが、この黒熊獣の恐ろしい所は、積極的に人の住処を襲うことだ。

 人を見かけたら即座に襲い掛かるだけでなく、人の臭いを嗅ぎ分けて集落を見つけ、人を襲う。

 このような習性があることから、ユクモ地方では黒熊獣の討伐を最優先とし、緊急クエストとして召集をかけることがある。

 

 また、ハンターとして対峙するとしても、充分な注意が必要だ。アオアシラだからと油断するハンターもいるだろうから、念のために忠告しておこう。

 アオアシラ変異種の攻撃を受けるのは問題ない。ただ、絶対に捕まってはいけない。

 

―食べられるから。

 

 人間を好んで食べるアオアシラに捕まったら、まず美味しく頂かれてしまう。その発達した顎と牙は通常種より強く、ひとたびでも噛まれれば致命傷を負ってしまう。

 通常種以上に警戒すべきは、積極的に捕らえて食べようとするアオアシラ変異種の食欲。もしガンナーが居るのなら、彼らの食欲が成せるスピードに注意しておいて欲しい。即座に狙われるので。

 そんな危険性もあるからか、ハンター達は一切の容赦なく討伐し、黒熊獣の数を減らしつつある。

 

 

 強さではなく、別の意味での危険性の高さを持つ、人を主な食料とする狂暴な牙獣種。人を積極的に襲い、喰らおうとするその姿は、まさに食欲の権化。

 噂に名高い覇喰のパリアプリアに劣るとはいえ、これも脅威の一つであろう。

 

 

 だが、モンスターの食に対するこだわりはこんな所で終わらない。

 

 

 あるイビルジョーがウラガンキンを主に捕食していたとしよう。

 ウラガンキンの体内にはバクテリアがあり、そのバクテリアの働きで鉱物から栄養を得ている。

 ではもし、このバクテリアがイビルジョーの体内での活動を可能にしたら?

 そんなことがあったとしたら、貴重な鉱石やお守りを片っ端から喰らいつくす最悪のイビルジョーが誕生するだろう。

 

―実際にいるのだが。ウラガンキンを主食としたことで進化した、イビルジョーの変異種が。

 

 そう、食による進化は、時に恐ろしい者を生み出す。

 鉱石を主な食料とすることで異常な硬度を手に入れたオニムシャザザミ。

 ブナハブラやバギィを食してきたことで様々な毒を操るギギネブラ変異種。

 宝石ばかり食べて体が宝石となったウラガンキン変異種がそれに当てはまる。

 

 そして、イビルジョーの変異種という凶悪な存在までも生み出す要因にもなる。

 このイビルジョーは、グラビモスやウラガンキン同様にバクテリアを体内に宿し、鉱石を喰らう術を持つ。

 食料とするだけでなく、その巨体に鋼鉄の皮膚を施すことができ、鋼色の巨体は圧巻の一言に尽きよう。

 

 このイビルジョー変異種を「王暴竜(オウボウリュウ)」と名づけるとしよう。

 

 この王暴竜の恐ろしい所は、生態系どころか自然ですら破壊しかねない食の広さにある。食欲に飢えているイビルジョーの食の幅が広がり、より被害が増える結果となったのだ。

 もちろん生物という生物をも喰らいつくすため、自然が崩壊するのも無理はないだろう。

 

 戦闘能力においても、通常種とは比べ物にならない力を秘めている。

 鋼鉄を含んだ巨体の為にスピードは下がっているが、その分パワーは桁外れで、あのウラガンキンですら一撃で吹っ飛ぶという高性能タックルを備えている。

 さらに全ての鉱石は牙となって集結する為、その歯は鋭く硬い為、噛み砕く力も凄まじい。ウラガンキンを背中からバリバリ食べられる程の顎、と考えてもらえれば想像できるだろうか?

 

 この恐ろしい王暴竜が居て大丈夫なのかと言うだろうが、安心して欲しい。とっくに滅されている。

 一つの小さな火山地帯を滅ぼした王暴竜が別の火山地帯へと足を運んで……斬り殺されたのだ。その縄張りの主に。

 

 そこらを支配していたのは、かのオニムシャザザミに並ぶ三大甲殻種が一匹……刀蟹ことツジギリギザミ。

 縄張り意識が強く好戦的なツジギリギザミは、例え暴食の上位種が相手だろうとも戦う事を選ぶ。

 王暴竜も、大抵は自身から逃げ出すはずの獲物が自ら寄って来たとなれば戦いざるを得ない。

 

 こうして両者が争ったわけなのだが……結果は王暴竜の惨敗で終わった。

 パワーはあれど機動力の無い獣竜種に、天井に地中にと縦横無尽の機動力を持つ甲殻種相手に苦戦するのは至極当然。

 とはいえ、仮に相手が通常種であったのなら己のパワーと鋼鉄の甲殻を前に平伏し、食事となっていたことだろう。

 だが相手はツジギリギザミ。油と火炎攻撃で熱した鋼鉄の体は、切れ味抜群の刃前には無力だった。

 割合しているようだが、両者の戦いは凄まじいものであった。甲殻種とはいえ百戦錬磨の強者。変異種に成り立てのイビルジョーにとって分が悪かったのだろう。

 

 

 このように、食の力とは凄まじい。環境の変化や突然変異に等しい力を得るほどに。長年の月日や偏食、未知なる食に挑む勇気という苦難はあれど、その価値は充分にある。

 ハンター諸君も好き嫌いなどしていたら、逞しい体にはなれないぞ?

 

 

 

―完―

 




本当に食べる力って便利です。変異種化の理由の一つとして(笑)
モンスターハンターの世界では常識ですよね。食性の違いによる変化というものは。
……ただの亜種じゃないかって?その通りですとも(コラ)
それでも、人を食べたり、ハンターにとって宝と言えるお守りですら食べたりしたらたまりませんよね。

今回はそんな回です。採掘ポイントを減らすモンスターとか出たら採掘ツアーの天敵になりかねませんね(笑)
え?オニムシャザザミとかもそうじゃないのかって?その通りですとも(コラ)

○本日の防具と素材一覧

●アシラBシリーズのスキル一覧 (共通)
・拾い食い
・ハンター生活
・攻撃UP【中】
・腹減り増加【小】

●バンキンGシリーズのスキル一覧(共通)
・火事場力+2
・力の解放+2
・体術-2
・腹減り増加【大】

●主に剥ぎ取れる素材
・黒熊獣の剛毛
アオアシラ変異種の体を覆う剛毛。餌食となった人間の怨念が聞こえる……気がする。
・血まみれの牙
これまで多くの犠牲が出たためか、染み込んだ血によってどす黒く染まった紅い牙。
・王暴竜の鉄鱗
薄くも硬い鋼鉄の鱗。バクテリアによって分解され吸収された鉱石がにじみ出ている。
・王暴竜の硝酸
鉱石を液状に変えるほどに強力な酸。ほとんどを溶かすので採取が難しい為、かなり貴重。

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