転生した先が死後の世界で矛盾している件   作:あさうち

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第八十二話

「……来たか」

 

 影の中を抜けた先、見えざる帝国となった瀞霊廷にて一人佇んでいたユーハバッハは、まるで待ちわびたと言わんばかりに身体を翻した。

 

「どういうつもりじゃ? 何故、儂らが来るまでの間に、行動を起こしていない?」

 

 余裕あるその対応に、元柳斎は怪訝な表情を浮かべる。

 

 一護からユーハバッハに関する情報を訊き出している間、確かにユーハバッハには時間的余裕があった。故に、元柳斎はその時間を活用して、世界を崩壊させる準備や、これから始まる戦いの準備をしているものだと思っていたのだ。

 しかし、ユーハバッハがしたことと言えば、ただ待って居ただけ。

 

 つまるところ、完全に嘗められていたのだ。

 

「言っただろう。お前達が大きな幸福を感じた瞬間に殺すと。であれば、私が行動を起こすことは、絶望の上積みにしかならない。お前達が私を追って来るのは視えていた。どのような希望に縋るのかもな」

 

 そこまで答えて、ユーハバッハは視線を元柳斎から、卯月へと移す。

 これは、護挺十三隊と仮面の軍勢の希望の一つが卯月の卍解と気づいているからに他ならなかった。

 

「蓮沼卯月。どうしてか今の私の目を以てしても、お前が卍解をしている姿を視ることができない。故に、その卍解は私を滅ぼし得るものなのだろう。だが逆に言えば、私は卍解以外のお前の行動の全てを見通すことができる。卍解が脅威ならば、それを発動する前に殺すまでだ」

 

 例え卯月の卍解がユーハバッハを殺し得る力を持っていようが、発動しなければそれは意味を為さない。そして、未来を視ることによって、これから起こるあらゆる事象に先回りできるユーハバッハにとって、それは造作もないことだった。

 

 戦いにおいて、敵に策が筒抜けであることは絶望的だ。だが、ユーハバッハの言葉を聞いた卯月は――、

 

「どうした、何がおかしい?」

 

 ――クスッと笑みを溢した。

 

「いや、僕の卍解をした姿が見えないと聞いて安心したんだ。未来改変に関する情報は一護君からの伝聞だけだったからね。実際に僕の卍解が通用する確証はなかった訳だし。――だから、これで心置きなく戦えるよ」

 

 実際にが原作知識も少し備えている卯月だが、それも伝聞という意味では変わらない。

 そしてたった今、ユーハバッハ自身の発言によって卍解が通じるという裏が取れた。嘘をついている可能性もあるが、それならば最早打てる手は何もない。

 

 一本の筋道が通った。それがこの場で重要なことだった。

 

「ククっ、そうか。だが、果たしてお前に私の攻撃を受けてなお、卍解を発動できるだけの余裕はあるのか?」

「分からないけど、それが唯一の道なら、這いつくばってでも進むしかないさ」

「なら早速、試してみるがいい!」

「っ、来るぞ!」

 

 瞬間、動き始めたユーハバッハに合わせて、皆が戦闘態勢に入る。

 ユーハバッハの能力で最も厄介なのは、勿論未来改変であるが、星十字騎士団、霊王、一護などの様々な力を我が物として来た彼は、基礎的な戦闘力だけでも護挺十三隊を屠り得る。そんな彼の動きは目で捉えるだけでも一苦労だった。

 

 そして卯月を中心に、黒い霊力の奔流が襲いかかる。

 現在のユーハバッハの姿は、元々彼が羽織っていた外套に、複数の目が黒に浮かび上がる形をした霊力が纏わりついたようなものとなっている。彼はこれを手足のように扱い、卯月に攻撃をしかけたのだ。

 

「【縛道の八十三"穹窿"】――ぐっ、ああ!!」

「「卯月君(さん)!?」」

 

 これを見て、受け止めることは不可能だと判断した卯月は、受け流す為の高位縛道を高速で展開するのだが、ユーハバッハの攻撃はその結界を真正面から突き破り、前に突き出していた卯月の腕を飲み込んだ。

 これにより、卯月の腕はズタズタに引き裂かれてしまうが、予め瞬閧と始解を発動していた卯月は、素早く回復して、また万全な状態で構えを取る。

 

 その間、卯月のフォローをすべく動き始めた護挺十三隊と仮面の軍勢は、続々とユーハバッハに攻撃を仕掛けていく。

 

「【卍解"双王蛇尾丸"】! 【蛇牙鉄炮】!」

「【卍解"千本桜景厳"】」

「【舞え"袖白雪"】! 【次の舞"白漣"】!」

「「【虚閃】」」

 

 恋次が新たに習得した真の卍解、白哉の卍解、ルキアの始解などの斬魄刀の能力に加え、破道、仮面の軍勢の虚閃が一度にユーハバッハを襲った。

 

 だが、これと似た攻撃は先程ユーハバッハが去る前にも行っていた。その時と比べると、卍解も発動しているので、威力は大幅に上昇しているが、今のユーハバッハに、全く通じなかった攻撃の出力を多少上げたところで、有効打になるとは考えにくい。

 

 故に、彼らの狙いはそこではない。

 

 ユーハバッハが先程と同じように攻撃を四散させた時、彼の目の前には凶悪な笑みを浮かべる剣八の姿があった。遠距離攻撃は囮。本命は特記戦力の一人に数えられる程の力を持った剣八にあった。

 無論、ユーハバッハは未来視によってこうなることが分かっていた。しかし、囮である遠距離攻撃の対処に多少なりとも時間を割く以上、そこには必ず隙が生まれる。未来を変えられるとは言っても、ユーハバッハは一人。彼の行動にだって限界はある。

 

 とは言え、ユーハバッハの基本能力は非常に高く纏まっている。そんな彼の一瞬限りの隙を付ける者など、ほんの一握り。現在この場に居る者の中では、今攻撃を仕掛けている剣八と元柳斎くらいのものだろう。

 

「【呑め"野晒"】」

 

 そうして、始解をした剣八の斬撃がユーハバッハに向かって放たれる。大斧になったことによって肥大化した斬魄刀は、まるで逃がさないと伝えているようだった。

 それが伝わったのだろうか。これに対し、ユーハバッハが回避行動をとることはなかった。黒い霊力と共に、静血装を纏ったユーハバッハは、そのまま剣八の斬撃を受け止めた。

 

「っ!?」

「力を増したな、更木剣八。以前はお前の実力を特記戦力に足らないと言ったが、撤回しよう。今のお前の戦闘力は脅威に値する」

 

 傷は負っていない。だが、今もなお押しきろうと斬魄刀に力を込める剣八をユーハバッハは脅威だと断じた。

 

 故に――、

 

「折っておいたぞ。その斬魄刀」

「なっ!?」

 

 その不安要素を排除した。

 大斧を折られた剣八は、こうも一瞬で折られるのかと、目を剥く。しかし、驚いている場合ではない。斬魄刀に力を込めていた剣八は、それが折られたことによって、前かがみにバランスを崩していたのだから。

 

 続くユーハバッハの反撃。咄嗟に折れた大斧を間に挟み込んだ剣八は、攻撃を受け止めつつ、一度後退する。剣八としては、隙間なく攻撃を再開しても良かったのだが、やめた。

 

「【炎熱二ノ地獄――炎魔・業火ノ執行人】」

 

 何故なら、ユーハバッハの背後には、既に業火を纏う元柳斎の姿があったのだから。

 遠距離攻撃、剣八、元柳斎。これら三つの攻撃が別々なのは、互いを巻き込まない為でもあるが、一番は攻撃の手を緩めないようにする為だ。

 

 だが――、

 

「懲りないな。山本重國。それが私に通用しないことは貴様とて理解しているはずだ」

「なん……じゃと……!?」

 

 今の元柳斎では、ユーハバッハを脅かすには足りなかった。炎熱を纏った元柳斎の斬撃は、未来改変による斬魄刀の破壊によって意図も簡単に防がれてしまう。

 せめて卍解が使えたならば、話は別だったのだろうが、彼の卍解は一次侵攻の際にユーハバッハに奪われたままだ。

 

「卍解がない状態で、ハッシュヴァルトを打倒したことは誉めてやろう。だが、私に殺されかけた時のままの貴様に一体何ができる?」

 

 あれから、ユーハバッハは霊王、星十字騎士団、一護らの力を取り込むことで、大幅に力を増したのに対して、元柳斎は一次侵攻でユーハバッハに敗れた時から何も変わっていない。

 ユーハバッハがそう考えるのは、最早当然の帰結だった。

 

「ははっ、ほんの小手調べでこれか……」

 

 それらの攻防を、傷の治療をしながら見ていた卯月は、乾いた笑みを漏らす。

 鬼道や虚閃は通じない。だからと言って斬魄刀で攻撃を仕掛ければ折られてしまう。戦いが始まってから僅か数分にして、圧倒的な実力の差をまざまざと見せつけられた。

 

 加えて、ユーハバッハは今の攻防で、全ての斬魄刀を折ることはしなかった。できなかったという訳ではない。敢えてそうしなかったのだ。

 何故なら、態々折らなくても、対処することが容易だから。

 

「どうした、蓮沼卯月。もう戦意が失せたか? 這いつくばっても進むという言葉は嘘だったのか?」

「勝手に早とちりしないでくれるかな? 僕はまだ無傷、まだまだ行けるよ」

 

 死覇装は破れてしまったものの、回復したことによって全快した腕を、卯月はプラプラと動かしながら見せつける。

 確かにユーハバッハの力は圧倒的だが、そんなことは戦う前から分かっていたことだ。

 それに元より、卯月の目標はユーハバッハを倒すことではなく、この場で一護が来るまで生き残ることだ。それさえ可能であれば、最早力の差など関係なかった。

 

 尤も、この場には力の差など関係なく、ユーハバッハを倒そうとする者も居るのだが。

 

「ははっ! 面白れぇじゃねぇか!」

 

 そう心から愉しそうに笑みを浮かべたのは、たった今斬魄刀を破壊された筈の剣八だった。

 

「ほたる」

「ええ! 【蛍火】」

 

 それを見て、卯月はほたるに指示を出す。

 既に準備は済んで居たのだろう。指示を聞いたほたるは、素早く自身の斬魄刀に込めていた霊力を剣八へと分け与えた。

 

「んあ? なんだこりゃ?」

「【蛍火】。ほたるの斬魄刀、御霊蛍に込められた霊力を付与する技です」

 

 急に淡く光り出した自分の身体に困惑する剣八に、卯月が説明する。

 

 この戦いが始まる前から、卯月は蛍火による強化の対象は剣八しかいないと考えていた。その理由は、剣八の強さの根幹にある。

 一般的に、死神の最高戦闘術は斬魄刀を用いた戦いだ。鬼道や白打などの戦闘術もあるが、それでも斬魄刀がそう言われる所以は、やはり始解と卍解の存在が大きいだろう。それ故に、卍解略奪の手段を持った滅却師は、これまでにないほどに強大な敵だった。

 

 だが、剣八の強さはこの一般論とは、少し異なる。確かに、鬼道が使えない剣八はいついかなる時も、一振りの斬魄刀のみで戦って来た。この部分だけ聞けば、一般論と何ら変わらないように聞こえるが、ここで重要なのは、つい最近まで剣八の斬魄刀は、始解ができないどころか、刃こぼれが目立つなまくらであったということだ。

 しかし、剣八はそのなまくらで多くの敵との戦いを制して来た。そんな彼の強みは、果たして本当に斬魄刀なのだろうか。否である。剣八の強さとは、言わば剣八自身。抜群の戦闘センス、膨大な霊圧、戦いへの飽くなき執着。多くの死神が己と斬魄刀の力で戦って来たとするならば、剣八は己の力で戦って来た死神だ。

 

 そんな剣八がついに習得した始解は、戦いが始まってから僅か数分にして壊されてしまったが、そんなことは彼の戦いは関係ない。例え折られようが、刃が無くなろうが、そこに敵が居る限り更木剣八は戦い続けるだろう。

 

「――まだ、暴れ足りないんじゃないですか?」

「ああ、そうだな」

 

 やや挑発気味な卯月の言葉に剣八は同意すると、手に持つ斬魄刀に視線を落とす。

 そこには、抵抗することも許されずに折られた大斧があるが、それを見た剣八は笑みを浮かべた。

 

(まだ、斬れる)

 

 確かに折られはしたが、まだ敵を斬る為の刃は残されている。剣八にとって、それさえあれば十分だった。

 

 次の瞬間、剣八が弾かれたかのようにユーハバッハへ急接近する。

 剣八VSユーハバッハ。この構図が第二ラウンドの始まりだった。

 

 

***

 

 

「す、凄ぇ」

「う、うん。私にはもう何が起こっているのか見えないや」

 

 恋次の言葉に、雛森が同意する。

 あれから、剣八とユーハバッハの戦いは、時間を経る毎に激化していた。最初こそ、ほぼ全員で遠距離からの支援を行っていたのだが、それがどんどん減って行き、今や剣八のサポートをできているのは、自力のある元柳際、元々付与していた霊力を持続させるだけのほたる、そして回復担当の卯月だけとなっていた。

 

 しかし、これは何も脱落していった者達が悪い訳ではない。この短時間で別人のように力を増して行く剣八が異常なのだ。否、この場合は本来の力や感覚を取り戻していると言った方が正しいのだろう。

 黒い霊力の斬撃を受けた時、未来改変の能力で仕掛けられた罠に身体を貫かれた時、その度に剣八はより強固に生まれ変わっていた。以前、卯月が藍染と対峙した時、短時間の内に何度も死の淵を行き来したことで、大きく成長したことがあったが、今の剣八の上昇幅はその比ではない。

 何故なら、あの時の卯月は敵の力が隔絶していたことで自分の力の上昇に気づかなかったのに対し、剣八とユーハバッハの実力は少しづつ、着実に狭まっているのだから。

 

(どういうことだ……?)

 

 またユーハバッハも、その異常性に気付き始めていた。卯月の治療の効果もあるのだろうが、どれだけの攻撃を当てても、剣八の勢いが止まるどころか増すばかりであるということに違和感を抱き始めたのだ。

 思えば、剣八は過去の戦いを振り返っても、このようなことが多かった。一護との戦いも、ノイトラとの戦いでも、剣八は結果に依らず、一進一退の戦いを繰り広げて来た。今ほどではないが、これらの戦いで剣八は大量の傷を受けても、それを意にも返さず戦っていた。

 根性、気合い。そんな精神論で片付けることは簡単だ。だが、こうした事例が複数観測できる以上、そこに法則性を見いだすこともできるはずだ。

 

 次にユーハバッハはこれらの戦いと、一時侵攻で剣八を倒した時の状況を比較する。共に重症を食らわせたのにも関わらず、片や最後まで戦い続けているのに対し、もう片方は早い段階で気絶していた。これらの違いは何か、真剣に考察をする。

 

 そして、ユーハバッハの口元がニヤリと歪んだ。

 

「見事だ更木剣八。斬魄刀が折られても消えないその闘志、どれだけ傷を負ってもそれらを糧とする異常性。心身共に貴様は恐れるべき存在だ。――それ故に、手加減することも最早できまい」

 

 思考を終え、剣八が脅威であると認めたユーハバッハは、彼を本気で殺しにかかることを決めた。

 

「きゃっ!」

「ほたるっ!?」

 

 まず手始めに、剣八に強化を施していた御霊蛍を、未来改変によって破壊した。

 これまでは大した強化ではないと、放っておいたが、その対象が剣八だと命取りになりかねないと判断したからだ。

 

 続けてユーハバッハは黒い霊力を右手一ヶ所に集中させ、そこに動血装も纏わせながら、どんどん肥大化させて行く。まるで全てを飲み込むような、このどす黒い霊力が、この戦いで一番の威力を持つことは考えるまでもなかった。

 

 剣八が粘り強く戦う時と、あっさり戦闘不能になる時の差。それは敵の攻撃の仕掛け方に起因する。粘り強く戦う時は、敵との実力が拮抗している為、徐々に傷を増やしながら、強くなっていくが、あっさり戦闘不能に陥る時は、圧倒的な敵の力に反撃する間もなくやられていた。

 つまり、剣八を倒す時は余計な時間をかけず、最初から圧倒的な力でねじ伏せにかかるのが効率的なのだ。例外として、一護は拮抗した戦いを繰り広げつつも剣八に勝利を納めたが、あれは一護の規格外の潜在能力が成せた業だろう。

 

 それを再現する為にも、ユーハバッハは全力を以て剣八を殺す必要があった。色々遊んでしまったが、今ならまだ間に合う。

 

「更木隊長!」

「隊長!!」

 

 瞬間、剣八の前方が黒で埋め尽くされる。最早、回避は不可能。そんな状況で足を止めた剣八の心を埋め尽くしたのは――、

 

(まだ、終りたくねぇ)

 

 ――やはり、飽くなき闘争心だった。

 

 これから先も戦い続ける為には、どうすればいいか剣八は思考を巡らせる。だが、彼にできることは元より一つだけだ。

 

(斬る!)

 

 剣を携え、戦いに身を置き続けるからこその剣八。考えた次の瞬間には、目の前の脅威へと駆け出していた。

 

「ぉらあああぁぁぁ!!」

 

 ユーハバッハの攻撃に野晒を叩きつけると、凄まじい衝撃波が、辺りに震撼する。全ての音を掻っ攫うかのような衝撃は、力の拮抗を感じさせるが、形勢の変化は早々に訪れた。

 

「ぐっ!」

 

 徐々に徐々に、剣八の斬魄刀が押し込まれて行く。剣八も負けじと押し返そうとするが、このままでは戦い続けるどころか、命が失われてしまうだろう。

 そんな危機感を剣八が抱き始めた時――、

 

 ――剣………

 

(なんだ……?)

 

 何やら声が聞こえてきた。

 

 ――剣……ちゃ……

 

 最初こそ朧気だった声は、時間を経る度に明確なものとなって来る。

 

 ――剣ちゃん

 

 突如として姿を消したその人物は、どれだけ探しても見つからなかった。だが、その声を剣八が間違える筈がない。

 

(やちる……か?)

 

 どうしてこの場に居るのか、理由があったとしてもどうやって自分の側までやって来たのか。剣八には皆目見当もつかなかったが、鮮明に声が聞こえるようになった時、草鹿やちるは剣八の肩に身を寄せていた。

 

「お前、どうして……」

「ほんと、何も知らないんだから。剣ちゃんがあたしを使えば、斬れない奴なんて居ないんだよ」

 

 疑問を口にする剣八を遮り、やちるが話を進める。今までには無い、剣八を諭すような口調だった。言っている意味が分からないのに、何故かやちるの言葉に引き寄せられる。

 

「何だお前ェ、今何をした……? 力が……」

 

 そうして話している内に、力が漲って来るのを感じた。ほたるの支援ではない。既に彼女の斬魄刀は折られているし、何より感じる霊力が彼女のものではない。霊圧感知は苦手な剣八だが、この時は何故か直感でそれを感じた。

 そして、突如として与えられた力に戸惑う剣八を見て、やちるは得意げな笑みを浮かべて話を続ける。

 

「その力はね――卍解だよ」

 

 瞬間、剣八を中心とした爆発が辺りを包みこんだ。

 

 




てことで今回の話……というか次回までは剣八が主役です。ジェラルドを砕蜂と修兵が倒した分、彼にはここで暴れて貰います。

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