転生した先が死後の世界で矛盾している件   作:あさうち

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 前話の修正と大学の課題に追われ、更新が遅れてしまいました。


第六十六話

「倒した……倒したぞ!!」

「日番谷隊長が滅却師を倒した……!!」

「しかも卍解すら使わずに……。行ける、行けるぞ!」

 

 真空の氷の刃を成す術なく受け、そのまま動かなくなったバズビー。

 

 戦いの行方を後ろから見守っていた隊士達は自分達の隊長と副隊長の勝利に、思い思いの声を上げていた。

 

「いい雰囲気ですね、隊長」

「ああ、そうだな」

 

 そんな隊士達の雰囲気に、乱菊は張り詰めていた緊張を弛緩させ、冬獅郎もそれに同意を示す。

 

 一次侵攻でも、蒼都を打破した十番隊だったが、それはネリエルが増援として駆けつけたことが大きく、自分達の力で敵を倒したかと聞かれれば、微妙なところだった。

 そんな中で臨んだ二次侵攻。冬獅郎と乱菊は、編み出した新たな技で見事バズビーを打倒した。卍解も使わずに敵を圧倒したという事実は隊士達の士気を上げる大きな要因となっていた。

 

「このまま他の隊の加勢に向かいますか? ……隊長?」

 

 このいい空気を無駄にしない為にも、乱菊は他隊の救援に向かうことを提案するのだが、冬獅郎の返答はなかった。

 訊き返しながら、乱菊は冬獅郎の顔に視線を向ける。彼の視線は、既に倒した筈のバズビーを捉えて離さなかった。

 

 ここで漸く、冬獅郎は口を開く。

 

「構えろ松本。――まだ、終わってねぇ」

「ッ!?」

 

 冬獅郎の言葉に驚きつつも、バズビーに視線を向けた乱菊は、半ば反射的に斬魄刀を構える。

 

 そして次の瞬間――バズビーを中心として一本の火柱が立ち昇った。炎と、今までバズビーを建物に貼り付けていた氷が接触したことで、その場に居た者達の視界を水蒸気が覆った。

 

「おいおい、ツレねぇじゃねーか。小手調べの途中で、勝った気で居るなんてよぉ!」

 

 熱風によって水蒸気を払ったバズビーは、そう言いながら歩み寄ってくる。

 

 今の今まで、バズビーは本気で戦っていなかった。先程までバズビーが放っていた炎は、冬獅郎が出した氷に対して適当だと思った炎を、目算ならぬ霊算によって出していたに過ぎず、その炎は彼の全力とは程遠い。

 冬獅郎と乱菊がバズビーを圧倒していたのは、真空氷壁の強度がバズビーが加減して放った炎の威力を上回って居たからで、決して彼の全てを凌駕した訳ではなかった。

 

「ば、馬鹿な……。貴様、どうして……!?」

「日番谷隊長の氷で斬り裂かれたんじゃないのかっ……!」

 

 しかし、それを瞬時に理解できたのは、この場に居る者で冬獅郎と乱菊だけ。

 それ意外の者は驚愕で目を剥き、抱いた疑問をそのまま口から漏らした。

 

「斬り裂かれたぜ。マントはな。見ろ、星十字騎士団の一帳羅がボロボロだぜ」

 

 そんな隊士達の疑問にバズビーは律儀にも答えてみせる。

 ひらひらと見せびらかした彼のマントの一部は、凍らされたことによりポロポロと崩れ落ちていた。最早邪魔となったそれを脱ぎ捨てたバズビーは、視線を冬獅郎に移す。

 

「そういやさっき、お前程度の炎を防ぐには……って言ってたっけな。いい事を教えてやるぜ。てめえらの総隊長の炎に焼かれた星十字騎士団は俺も含め生きてる。何故だか分かるか? ――俺の炎でてめえらの総隊長の炎を相殺してやったんだよ!」

「っ!?」

 

 バズビーの発言に冬獅郎は瞠目する。

 彼の言っていることが、本当かどうかそれは定かではないが、バズビーが一次侵攻の際に元柳斎と相対した上で今この場に立っている。それだけは事実だった。

 であれば彼は、少なくとも元柳斎の炎を軽減できるだけの炎を操れるということになる。

 

 そして今、バズビーはその力を振るわんとしていた。

 

「……松本、俺が綾陣氷壁で時間を稼ぐ。その間にお前は隊士と一緒に下がれ。ここからは俺が一人でやる」

「でも隊長……いえ、分かりました」

 

 バズビーとの会話。それから上昇していく彼の霊圧を感じ取った冬獅郎は、瞬時に判断を下す。本当なら、卍解を温存した状態で倒せるのがベストだったが、この状況で出し惜しみをしていては、負けるのは冬獅郎の方だった。

 

 そして彼が卍解を使えば、互いの斬魄刀の出力差で今までのような連携は行えなくなる。故に冬獅郎は乱菊を隊士と共に安全な位置に移動させることで、一度態勢を立て直そうとしたのだ。実際その判断は正しく、素早いものだったのだが、彼には一つ誤算があった。

 

 ――それは、彼が時間稼ぎの為に展開した氷壁が、バズビーの炎に耐えるだけの強度を有していなかったことだ。

 

「氷を細かく編み込んだ氷壁か。色々考えるねぇ。だが、教えとくぜ。今のてめえの氷じゃ何をどうしようが、指一本ってところだ」

 

 綾陣氷壁の詳細を読み取ったバズビーは、人差し指を氷壁に向こう側に身を隠す冬獅郎の方へと向ける。なるべく目線の近くで照準を合わせようとするその様は、銃による射撃を彷彿とさせる。

 

「【バーナフィンガー・1】!」

 

 そして瞬間、バズビーの指から一直線に熱線が走った。

 彼の持つ膨大な炎を一点に凝縮させたようなその攻撃は、何の抵抗も受けていないかように綾陣氷壁を通過し……。

 

「【卍解“大紅蓮氷輪丸”】――っ!?」

 

 

 ――その奥に居た冬獅郎の胸を貫いた。

 

 

***

 

 

「……やれやれ。どうせまたいきなり襲撃してくると思って、廷内にあれこれ細工しておいたんだけど、参ったなぁ……。まさかこんな形で地の利を潰されるとはねぇ」

 

 時は少し遡って開戦直後。京楽は姿を変えゆく瀞霊廷を見て、状況把握に努めていた。

 普段の浅薄な印象の反面、実は誰よりも物事の真実を見通すことに長けた彼は、既に何が起きているのかおおよその事を理解していた。それは罠が潰されたという彼の発言から読み取ることができるだろう。

 

「どうしますか、隊長?」

 

 そんな彼に質問を投げかけたのは、副隊長である伊勢七緒だ。斬魄刀を持たず、鬼道という遠距離の戦闘手段しか有していない彼女は、戦うことが自体があまり得意ではない。そして、突発的に起こった現在の状況は、その極みとも言うべき事象なのだが、そんな状況下でも彼女は冷静に、京楽に指示を仰いでいた。

 

 それは、普段と変わらない京楽の口調のお陰であった。いつもはそんな彼に振り回され、気苦労の絶えない七緒だが、今の状況ではそれが却って彼女に安心を与えていたのだ。

 

 それだけではない。七緒は、一次侵攻から僅か一日で、対滅却師用の結界を二種類も習得していた。また、その効力もマユリの所有する二人の滅却師によって証明されており、それが七緒の自信に繋がっていた。

 

「どうするもこうするも、戦うしかないんじゃないの? 実際、皆も戦っていることだしねぇ」

 

 しかし、それで七緒の求める答えが得られるかと言えば、そういう訳でもない。先程の京楽の発言の中に『まさか』という単語があった。これは、彼にとって現在の状況が予想外であるということを示しており、その状況で直ぐに適切な対応など取れるはずもなかった。

 

 それでも、強いて挙げるとするならば、目の前の敵を打破することだろう。脳筋や戦闘狂と疑われるかもしれないが、これが戦争である以上、敵の打倒が自軍の勝利に近づく手段の一つであることは確かだった。

 

 そう二人が会話を交わしている間にも、あちらこちらで交戦している。絶え間なく響き続ける戦闘音や、ひしめき合う霊圧は戦いの激しさを物語っていた。それは、今こうして自分達が普通に会話できていることが不思議に思えてくるほどで、まるで嵐の前の静けさのようだった。

 

「……漸くお出ましみたいだねぇ」

 

 そんな中、京楽は一つの霊圧を感じ取った。

 他隊と比べると少し遅かったが、どうやら彼ら八番隊も戦う時がやって来たようだ。京楽の言葉を聞いて、七緒を始めとする八番隊の面々も、斬魄刀を抜き構えを取る。

 

 先に仕掛けたのは、滅却師の方だった。

 滅却師は姿を現さぬ内に、遠距離から無数の矢を放つ。上空に向かって放たれた矢は、ある程度まで上昇したところで弧を描き、そのまま重力に従って下降する。驚くべきところは、上に向かって放たれたはずの矢が寸分違わず京楽の下に降り注いでいることだろう。これだけでも、敵が優れた霊覚と弓術を有していることが理解できた。

 

「【縛道の八十一“断空”】」

 

 迫りくる矢を防いだのは、京楽の隣にいた七緒だった。展開された高位鬼道は矢の行く手を完全に遮った。

 

「ありがとう、七緒ちゃん」

「いえ……。隊長、この霊圧は……」

 

 京楽に答える七緒だが、その歯切れは悪い。しかし、京楽もその原因には察しがついていた。何故なら、今の七緒の敵の霊圧に対する戸惑いは、京楽も少なからず抱いているものなのだから。

 

「うん。こっちに来てなかったから、無くは無いと思っていたんだけど……。どうやら彼も面倒な事に巻き込まれたみたいだねぇ」

 

 そう言って京楽が視線を流した先には、一人の滅却師が仮面で顔を隠し、佇んでいた。

 

 

***

 

 

 十一番隊の斑目一角と綾瀬川弓親は開戦から、隊を率いて行動していた。

 隊長である更木剣八は修行の為に赴いた真央地下大監獄“無間”から未だに帰ってこず、副隊長である草鹿やちるは行方不明となっており、実質的な権限が彼らに移行しているのだ。

 

 一角が卍解が使えるとはいえ、隊長が不在という状況は、どうしても不安が募ってしまうが、そんな事は戦闘狂の集いである彼ら十一番隊には関係ない。むしろ自らが敵を討ちとらんと、鬼気迫る勢いで移動していたのだが、そんな彼らの足は現在、ある一点で止まっていた。

 

「どうなってやがるっ!?」

 

 その原因は、一人の隊士が殺されてしまったことにある。当然、敵襲と判断するのが妥当なのだろうが、幾つか奇妙なことがあった。

 

 ――それは、何の前触れもなければ、痕跡もなかったということだ。

 

 敵が目にも留まらぬ動きで仕留めたというなら、まだ分かる。しかしそれでも、何の痕跡もないというのはおかしな話だ。何故なら霊なる者が攻撃した時、そこには必ず霊力の痕跡が残るはずなのだから。

 それが感じられないということは、死んだ隊士は霊力による攻撃以外で死んだということになるのだが、隊士の身体には殴打や斬撃の痕が刻み付けられていた。

 

 結果、十一番隊の面々は居るかも分からない敵の存在に警戒させられることとなったのだが、そんな彼らの前に一人の老人が姿を現した。

 

「ざぁざぁざぁざざーっざーっざぁ。驚いたじゃろう?」

 

 六角形の眼鏡に、耳と何故か頭部に取り付けられたヘッドフォン。そんな容貌をした老人の滅却師は、まるでノイズを口頭で表したかのような笑い声を発した。

 

「てことは、こいつをやったのはてめぇか?」

 

 そう言って真っ先に前に出たのは一角だ。既に始解を済ませた彼は何時でも戦いに移れるように構えを取っていた。普段なら、最大限に戦いを楽しめるよう始解すらも後に取っておく彼だが、今回に限っては最初からある程度ギアを上げていた。

 既に味方が殺されている以上、その判断は正しいと言えるだろう。

 

「いかにも」

「そうかい。それだけ聞けりゃあ十分だ。――十一番隊、斑目一角だぁ!」

 

 流儀通り名乗りを上げた一角は、槍となった己の斬魄刀を握り締め、瞬く間に敵との距離を詰める。

 先手必勝。その言葉を体現するかのように、そのまま槍を突き出すのだが、初撃は虚しく空を切った。

 

 そして、十一番隊にどよめきが走る。

 

「なにっ!?」

 

 それが単に躱されただけなら、彼らがここまで驚くことはなかっただろう。何せ敵はこちらが認識できない程の攻撃を放つ相手だ。幾ら三席として規格外の実力を持つ一角と言えども、苦戦することは想像に難くない。

 

 故に、彼らが驚いたのは別のところにあった。

 

「消えた……だと……!?」

 

 彼らが驚いたのは攻撃を回避したことではなく、その回避方法にあった。一角の槍が老人を穿たんとしたその瞬間、なんと老人は忽然と姿を消したのだ。

 

「っいや!? 姿は見えねぇが、霊圧は感じる。……そこだぁ!!」

 

 あまりの衝撃に気づかなかったが、霊覚を研ぎ澄ませば、しっかりと敵の霊圧を感じることができた。

 そうなると、隊士が殺された際に敵の存在を認識できなかったことが疑問として浮かび上がるが、それは突然の出来事に動揺していたことと、その時点ではまだ敵の霊圧を記憶していなかったことが原因だろうと、心の中で片付けた。

 

 それよりも、今は目の前の敵だ。そうやって思考に区切りをつけた一角が再度槍を突き放つのだが――今度は敵の霊圧までもが掻き消えた。

 

「チっ、クソっ!?」

 

 それだけではない。この二度目の攻防で一角は手痛い反撃まで食らってしまった。

 右肩から滴り落ちる血液。それが視界に入るまで、攻撃を喰らったことに気付なかったことに、一角は思わず舌を打つ。

 

「無駄じゃよ。わしは『V』、“消失点(バニシング・ポイント)”グエナエル。お前らでは例え万回斬りかかろうが、わしを傷つけることはできん」

 

 少し遅れて、グエナエルは名乗りを返した。

 不気味なのは、こうして声を発しているのにも関わらず、全く彼の位置が把握できないことだろう。辺りに響くその声は、まるで立体音響のようだった。

 

「それはどうかな?」

 

 そう発言したのは、今まで一角の後ろで彼の戦いを見ていた弓親だった。

 

「今の攻防を見ていて分かったことがある。恐らく君は隠密系の能力者だ。それだけならここに居る誰もが気づけたことだろうけど、問題はその能力に姿の消去と、霊圧を含む存在の消去の二段階があることだ」

 

 いや、もしかしたら見せてないだけでまだあるのかもしれないね、などと言いながら、弓親は続ける。

 

「確かに理論上は無傷で居られるんだろうけど、それはあくまで君が逃げに徹した時だ。僕らが実体の無い君に触れることができないように、君も実体のないままでは僕達に触れることができない。つまりは、君が僕達を攻撃する瞬間、そこにつけ入る隙があるんだけど……分かったかい、一角?」

 

 粗方敵の能力に関する考察を終えた後、弓親は一角に問いを投げ掛けた。

 

 そもそも、弓親が敵の能力を声に出して考察したのは、一角に突破口を教える為である。

 能力を見破っていないという体で弓親が相手をしていれば、意表を突くことができたかも知れないが、グエナエルとて、自身の能力の唯一とも言える弱点くらい把握して、常に警戒をしていることだろう。

 それならば、仲間と敵の情報を共有した方が、よほど建設的と弓親は判断したのだ。

 

 そして何より、グエナエルは誰よりも早く攻撃を放った一角の敵だ。その一騎討ちに水を差す者は、弓親も含め、この場に誰一人として居なかった。

 

「あぁ。要は我慢勝負だろ?」

 

 問いと共に視線を寄越して来た弓親を見返しながら一角は答えた。

 

 一角は攻撃を受けつつ瞬時に攻撃を放ち、グエナエルが攻撃直後に一角の反撃を喰らわないように立ち回る。一角が圧倒的に不利な状況ではあるが、確かに我慢勝負と称したのも頷けた。

 

「なら結局やることは一緒だな。――近づいて斬る、ただそれだけだぁ!」

「無茶言うな、もう!」

「ざぁざぁざぁざざーっざーっざぁ。では試してみると良い」

「じゃあ、遠慮無く行かせてもらうぜ!」

 

 そう言うと一角は再度、いつの間にか姿を現していたグエナエルへと接近を始める。

 

 その愚直なまでに真っ直ぐな剣筋は先程となんら変わっていなかった。

 

「これは驚いた。まさか本当に近づいて斬るだけとは――っ!?」

 

 それを見たグエナエルは落胆するのだが、それは一瞬にして驚愕へと塗り替えられることとなった。

 

 確かに一角は、接近して斬撃を与えるという自らの言葉を実行しているが、グエナエルはそれは言葉の綾のようなもので、実際には何かしらの策を巡らせるものとばかり思っていたのだ。

 しかし、どれだけ接近しても一角が何かをするような素振り見られなかった。

 

 ――攻撃に移るまでは。

 

 グエナエルが一角に呆れ、警戒を緩めたその瞬間、一角はそれまで槍だった鬼灯丸の形状を三節棍へと変化させた。

 

 一角の斬魄刀、鬼灯丸は十一番隊らしい直接攻撃系の斬魄刀で、その特徴は槍と三節棍の二つの形状を使い分けられることだ。

 間合いを大きく変えることができるその斬魄刀は、持ち主である一角の戦闘技術も相まって凶悪なものへと昇華されている。

 

 そして、この攻防において特筆すべきことは、鬼灯丸の三節混は棍棒と棍棒の間が鎖によって繋がれているということだ。

 

 そんな鬼灯丸を突き出した瞬間、槍から三節棍へと変形させたらどうなるか?

 

「裂けろ、鬼灯丸!!」

 

 ――鎖の分、射程が伸びる。

 

 自分の過ちを悟ったグエナエルは、即座に二段階目の消失へと切り替えるが、警戒を緩めたことで反応が遅れ、身体に決して浅くはない傷を負ってしまう。

 致命傷には至っていないが、あとほんの数瞬反応が遅れていれば、彼の命はなかっただろう。

 

 存在を消し、安全を確保したグエナエルは汗を拭いながら息を整える。

 隠密性に優れた彼の能力の活用法を考えた時、真っ先に挙がるのが暗殺だろうが、こういった態勢を立て直したい時にも役に立つ。

 

 もう二度と同じ轍は踏まない。そう思考を巡らせたグエナエルはより一層警戒を強めた上で、二段階目から一段階目に能力を切り替えるのだが。

 

「へぶっ!?」

 

 次の瞬間、グエナエルの顔面を何者かの拳が捉えた。

 

 吹き飛ばされる最中、グエナエルは再び存在を消去し、自分を攻撃した者を突き止めるべく意識を向ける。

 

 だが、一角は先程から一歩も動いていなかった。それどころか、他の十一番隊の面々にも攻撃した様子は見られない。

 それどころか、全員ある一点を見て、驚愕の表情を浮かべている。そこには、先程までは居なかった新たな死神の姿が。

 

「あれ? 変なの、当たったと思ったのになあ……」

 

 突如戦闘に乱入して来たその死神は、このような戦場からは程遠い存在であろう幼女の姿をしていた。

 しかし当の本人は、そのようなこと意にも返さず、存在を消したグエナエルに首を傾げている。

 

「ふ、副隊長っ!?」

「あ、やっほー! つるりん、ゆみちー!!」

 

 一角が声を掛けて初めて気づいたのか、その幼女、草鹿やちるは呑気に手を振りながら、十一番隊の下に帰還した。

 

 




 何か思ったより一角が戦えてて、書いた自分でも驚愕を禁じ得ない。
 本当なら、サクッとグレミィ出して、剣ちゃんと交代するつもりだったんですが、どうしてこうなった!?

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