転生した先が死後の世界で矛盾している件   作:あさうち

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 今回から新章です。暫くバトルからは離れますが、面白くなるように努めますので、よろしくお願いします。


死神代行消失篇
第四十二話


 それは、謹慎が明けてすぐのことだった。

 

 漸く思う存分修行ができるようになった僕は、この間までと同じように朝は砕蜂隊長と修行に取り組み、その後仕事を終えた。身体が鈍っていないか心配だったけれど、家でも最低限の修行を行っていたことが幸いし、なんとかなっていた。ただ、長い間休んでいた所為か、身体が羽根のように軽かったんだけど、それも修行していく内に感覚を取り戻していけるだろう。

 

 そして僕は今、砕蜂隊長と食事に来ていた。前から瞬閧の名前の件で誘っては貰っていたんだけど、藍染の乱の影響で連日ドタバタしていた為、二人で食事に行く時間が取れなかったのだ。

 丁度砕蜂隊長も僕に話したいことがあるらしいし、その上でこの約束はおあつらえ向きだったということだろう。

 

 砕蜂隊長に連れていかれたのは貴族街にある高級料亭だった。砕蜂隊長は貴族の出らしいので、こういう店のチョイスで育ちの良さが伺える。普段僕が食事をするとなると、大抵が居酒屋になるので、こういう機会に普段の僕なら行こうとも思わない場所に連れて行ってくれるのは正直嬉しかった。

 

 店の中に入るとそこは別世界だった。貴族街に入った時から、ある程度察せては居たけれど、店内はもっと凄かった。煌びやかな装飾に雅な着物を身に纏う貴族の人たち、僕と砕蜂隊長の二人なのにも関わらず、与えられた個室は無駄に広かった。

 そして、出された料理もこれまた別格だった。味もそうだけど、マナーを気にして食事をするのも久し振りである。

 

「ほう」

「どうしたんですか?」

 

 滅多に食べられない御馳走に舌鼓をうっていると、砕蜂隊長から何やら感心するような声が聞こえてきたので、そちらに視線を向ける。

 

「いや、思っていた以上に作法がしっかりしていたのでな、少し驚いただけだ。以前にも貴族街に来たことがあるのか?」

 

 確かに僕はこの世界では流魂街の生まれだ。それもかなり数字が大きい方の地区に居たので、作法などを身に着ける以前に、自分の命を守らないといけなかった。

 そして尸魂界に来てからも、このような高級な店には来たことがなかったので、自ずと僕の作法は現世で培われたものということになるんだけど、それをいう訳にもいかないので、適当に考えた理由を口にする。

 

「ありませんよ。ただ、貴族街にまで連れて来てくれた砕蜂隊長に恥をかかせる訳にはいきませんからね、少し勉強してきました」

「そうか……」

 

 僕の言葉を聞いた砕蜂隊長は少し嬉しそうに頬を緩めた。

 

 そうして雑談を交わしている内に食事を終え、食器が片付けられ、お茶と共に食休みへと移行した時だった。

 

「そろそろ、本題に移ろうと思う」

 

 砕蜂隊長がそう言った瞬間、周囲の空気が一気に変わったように感じた。湯飲みを置く音がやけに多く感じる。

 そして、此方を見据えた砕蜂隊長が次の言葉を言い放つ。

 

「蓮沼。お前、隊長になってみる気はないか?」

「え?」

 

 正直言うと、砕蜂隊長の言葉は予想していたものだった。だけど、それを言葉にされた瞬間、僕の中にあった迷いが一気に身体中を駆け巡るような錯覚に陥った。

 

 

***

 

 

 砕蜂が卯月を隊長にしようと決意したのはつい半日前のことだった。

 現在、護挺十三隊は藍染達が謀叛を起こしたことにより、三、五、九番隊の隊長が空席となっている。現状雛森、吉良、修兵が隊長代理としてそれぞれの仕事にあたっているが、何時まで経ってもそのままという訳にはいくまいという声が上がっていた。

 

 そして、砕蜂はその候補の一人として卯月の起用を考えていた。卯月は副隊長への昇進を断っていたこともあって、現在も三席に落ち着いているが、既に卍解を習得しており、縛道や瞬閧などを鑑みると、その実力は並の隊長格を凌駕している。

 藍染の乱に於いても、ウルキオラに敗北したものの、同じ十刃であるゾマリに勝利し、現世での戦いでもバラガンの従属官を一人倒し、その後も仲間の支援に徹し、護挺十三隊の勝利に大きく貢献した。

 加えて人格、素行共に問題なく、正にこの早急に解決が必要なこの人選に於いてこれ以上ない人材と言えるだろう。唯一空間転移の無断使用の件があるが、それも藍染に攻撃を入れると同時に元柳斎を護る為だったという十分な理由がある。それにそれを言ってしまえば、剣八やマユリなど上記の二点に於いては問題だらけの隊長も居るので、卯月のそれはまだ可愛いものだろう。

 

 そんなこれ以上ない人材と言っても過言ではない卯月だったが、砕蜂が彼の隊長への推薦を決心したのはつい今日の事だ。

 何故そこまで砕蜂が卯月の隊長への推薦を渋っていたのか、それには歴とした理由があった。

 

 ――それは甘さだ。

 

 暗殺任務を担う隠密機動として数多くの任務に携わったのにも関わらず、蓮沼卯月という男は甘すぎる。彼は今まで引き受けた任務を全て対象を暗殺することなく、牢に送ることで成功させている。

 成功させているならば、文句を言うべきではないのかもしれないが、これから卯月を隊長に据える場合、その甘さは今後必ず彼の首を絞めることとなる。

 隊長とは、隊士を導き、護る存在でなければならない。そうなれば、何かを斬り捨てなければならない場面が必ず出てくる。今後藍染のような巨悪が立ちふさがって来た時、一々敵を捕らえているようでは、隊士の守護まで手が回らなくなるかもしれないし、藍染の乱での市丸のように折角捕らえた敵が復活してしまう場合も大いに予想できる。

 卯月の甘さは優しさと見ればそれも美徳だろう。実際彼が捕らえた対象を尋問することで事件の解決が迅速に進んだこともあったし、それは砕蜂も理解している。だが、殺すべき敵まで捕らえているようでは何時か必ず破綻する。

 故に少なくとも、それを見分けることができる判断力と実行することができる覚悟ができるまで、砕蜂は卯月を自分の手元に置いておくつもりでいた。

 

 だが、その考えは今日の朝に他でもない卯月自身によって塗り替えられた。卯月の謹慎が明けた今日の朝、砕蜂は一か月間碌に身体も動かせずに鈍っているであろう卯月を全力でしごくつもりでいた。しかし、その考えは僅か二合で砕かれた。

 一合目、瞬歩を使用して自身に接近してくる卯月の動きはただ単純に速かった。自身の予想の遥か上を行くその動きに、砕蜂は驚くも冷静に卯月の攻撃をいなし、距離を取った。

 そして二合目、今度は砕蜂から攻撃を仕掛け、そして卯月もそれに合わせ拳を突き合わせたのだが、今度は砕蜂が押され負けた。

 

 ――間違いない。何があったかは知らんが、蓮沼の霊圧がこの短期間で急上昇しているっ!?

 

 その二合で砕蜂は確信する。謹慎中だったのにも関わらず、この短期間で卯月の霊圧が急激に上昇していることを。その強化された霊圧により、速力は砕蜂と互角、膂力に至ってはそれ以上にまで引き上げられていた。

 それにより、砕蜂は何時にも増して気を引き締めて卯月と対峙したのだが、結果としてそれは杞憂に終わった。

 

 ――何故なら、卯月自身も自分の力の上昇を把握していなかったのだから。

 

 砕蜂はこの一か月間で何かがあったのではと疑っているが、卯月はこの一か月間、瞬閧の制御などを初めとする簡単な修行しか行っていない。つまり、力の上昇の秘訣はそれよりも前、藍染の乱にある。

 卯月は藍染の乱の終盤、天界結柱で尸魂界に移した空座町にて、一護が来るまでの時間を稼ぐべく、崩玉と融合した藍染と対峙していた。そしてその内容は瞬閧と睡蓮の能力により、藍染の攻撃を受けてもその分回復し続けるという、正に生き地獄のようなものだった。二人の間の力の差は歴然だったので、当然卯月も致命傷とは行かないまでも、無視することができないほどの怪我を何度も負い続けた。

 そして、魂魄の力が最も上昇しやすいのは死の危険に瀕した時だ。つまり、藍染の乱の終盤で常に死と隣り合わせの状況にあった卯月の霊力は、本人の与り知らないところでみるみる上昇していったのだ。

 だが上記にも述べたように、藍染と卯月の実力の差は歴然。霊力が上昇したといってもそれは藍染からすれば微々たるもので、それで状況が変わるようなことはなかった。故に卯月は自分の力の上昇に気付かなかったのだ。そして、藍染の乱が終わってからも、卯月には一ヵ月間の謹慎処分が下され、碌な修行ができない生活が続いた。つまり、卯月は霊圧こそは上昇すれど、それを認識する機会に恵まれなかったのだ。

 

 そして今朝の組み手ではそれが完全に裏目に出た。回避をすれば何時もよりも余計に跳んでしまい、それにより滞空時間が長くなり隙を作ってしまうし、瞬歩の加減が分からなくなり、何度も木にぶつかりそうになった。

 やがてそのまま組み手は砕蜂の勝利に終わったのだが、この組み手が砕蜂が卯月を隊長に推薦する決定打になった。結果だけ見れば、砕蜂の勝ちに終わったが、単純な身体能力で言えば卯月の方が上だった。彼ならば、自分の認識と実際の実力の誤差など、すぐに修正してくるだろう。そうなれば、負けるのは砕蜂の方かもしれない。

 白打の技術や瞬閧に関しては自分の方が上だと砕蜂も自負していたが、白打の方はともかく、瞬閧は卯月の類まれなる霊力操作のセンスがあれば、すぐに追いつかれるであろうことも察せられた。それらを認識した時に砕蜂は思った。

 

 ――果たして、自分が蓮沼に教えてやれることはあるのだろうか、と。

 

 まだ夜一や砕蜂と同等とはいかないまでも、白打と瞬閧は十分に実践で使えるまでに上達した。それに加えて縛道や、斬魄刀を鑑みると、卯月は少なくとも隊長格と互角以上に渡り合えるまでになっていた。

 恐らく、今後彼をこのまま二番隊三席として起用しても、彼の甘さは改善しないだろう。もし彼の甘さが改善するとするならば、それは藍染に匹敵するくらいの巨悪が出現した時だ。もう既に隠密機動の任務では卯月を変えることはできないのだ。何故なら、全て捕らえることができてしまうから。

 故に、そんな彼を何時までも自分の手元に置いておくのは、彼の成長の妨げになるのではないかと砕蜂は考えたのだ。

 

 そして、砕蜂は決心した。卯月の隊長への推薦を。

 

「現状三人の隊長が欠けている影響で、隊長になるには恐らく隊首試験を受ける必要があるだろうが、お前なら問題なく通るだろう」

 

 隊長になる為の方法は三つだ。

 

 一つ目は、総隊長を含む隊長三名以上の立会いの下行われる隊首試験に合格すること。

 

 二つ目は隊長六名以上の推薦を受け、残る隊長七名のうち三名以上に承認されること。

 

 三つ目は隊員二百名以上の立会いの下、現隊長を一騎打ちで倒すこと。

 

 しかし、現状は隊長が三名も欠けている以上、二つ目の条件が適用されるかも分からないし、三つ目の条件に至っては剣八以来誰も使用していない。

 それ故最も確実なのは一つ目の条件だった。

 

「とは言え、これはお前の今後を左右する重要な選択だ。一週間時間をやる、それまでに答えを出しておけ」

「……はい」

 

 会話を終えると、二人は食事に戻る。

 

 あれだけ美味しかった料理の味が、卯月には分からなくなった。

 

 

***

 

 

「僕が隊長か……」

 

 帰り道、同じ二番隊である以上お互いの家が近い砕蜂隊長と帰ることを、一人で居る時間が欲しいと断った僕は誰もいない場所でそう呟いた。

 

 元々隊長になる為に努力をしていたし、卍解を習得した以上いずれそういう話が来るであろうことも分かっていた。だから本当は喜ぶべきなのだ。喜んで、快く話を受けるべきなのだ。

 確かにそういう感情が僕の中に無いわけではない。だけど、それ以上に言い表し難い複雑な感情が僕の心を支配していた。

 

 僕が隊長を目指すことになったきっかけはほたるとの約束だ。僕が隊長となった時、彼女を副隊長として任命し、その時に彼女の告白に対する返事をするというものだ。

 実力で言えば、彼女は既に副隊長として相応しいほどの力を身に着けている。始解はもう何十年も前に習得しているし、現在も五番隊三席として隊長代理の桃をしっかりサポートしてくれていることから、隊長を支える副隊長としての下地も十分にあるだろう。そして、副隊長の任命は隊長に一任されている。故に僕が隊長となり、彼女を副隊長に据えることは十分に可能なことだ。しかし、現実はそんなに簡単なことじゃない。現在、三、五、九番隊の副隊長はイヅル、桃、修兵が任命されている。順当に行けば、仮に僕が隊長になっても彼らをそのまま副隊長として起用するのが普通だろう。

 そんな中、ほたるを副隊長として任命するのは、彼女にとって良いことなのだろうか。副隊長の三人はそんなこと思わないと信じているけど、必ず副隊長となったほたるを良く思わない隊士が出てくるだろう。果たして、その重圧をほたるに押し付けることは本当に正しいことなのだろうか。……いや、言い訳は止そう。ほたるが副隊長に足る力を持っている時点でそんなことは関係ない。確かに他人の顰蹙を買うかもしれないが、彼女ならそれを跳ね除けることもできるだろう。だから、考えるべきなのはそこではない。もう一度考える時が来たのだ、あの夜と同じことを。

 

 ――僕が彼女を好きなのかということを。

 

 あの告白から随分と長い時間が過ぎた。よくもまあこんな優柔不断な男を好きで居続けてくれるものだと何度も思った。

 護廷十三隊当初は僕を毎日起こしに来てくれた。僕が現世で目覚まし時計を手に入れてからも、毎日朝ご飯を作りに来てくれた。二番隊に異動してからも、時々おかずが余ったからとお弁当を届けに来てくれた。

 そして、藍染の乱の時には虚圏に行こうとする僕を説得してくれた。

 

 もう、何時までも逃げ続けるのは止めにしよう。僕はこんな面倒臭さい人間である僕を支えてくれて、間違った時は諭してくれるそんな彼女のことが――。

 

 そこまで考えたところで僕は足を止めた。僕の目に映るのは建物に寄り掛かる一人の人物の影。その人物は僕をみるや、持たれていた建物から身体を離し、ゆっくりとした歩みで此方に近づいて来る。

 その人物は僕が良く知る人物。

 

「よう、卯月。今からちょっと時間あるか?」

「修兵?」

 

 修兵だった。

 

 

***

 

 

「で、どうしたの、急に話って?」

 

 あれから、場所を何時もよく行く居酒屋に移した僕と修兵は、軽く食事をしながら話すことになった。とは言っても、僕は先程砕蜂隊長と食事は済ませたし、その時にお酒もそれなりに飲んだので、僕が頼んだのは緑茶のみだ。

 それに対して修兵はお酒とそのおつまみを頼んだので、それらが配膳されてから僕は話を本題に移した。

 

「ああ、それなんだがな。今日、隊首試験の受験に関する通達が来た。どうやら、狛村隊長が話を通していたらしい」

「良かったじゃん。それで、受けるの?」

 

 本来は同隊の隊長が推薦をするのだろうけど、九番隊の隊長は現在空席なので、藍染の乱で修兵の卍解を間近で見た狛村隊長が動いてくれたのだろう。

 

 そして、僕の問いに修兵は力強く頷く。

 

「ああ、今回の戦いで、俺は東仙隊長が何を考えてあそこに立っていたのか分からなかった。副隊長だったのに、俺はあの人のことを何一つ理解できていなかったんだ。だから、俺は一度あの人と同じ立場に立ってみたい。それで何かが分かる訳でもないかもしんねぇ。だが、このまま立ち止まってても何も変わんねぇからな」

「そっか……うん。いいと思うよ。まあ、僕が口出しするようなことでもないんだけどね。おめでとう、修兵」

「おめでとう、じゃねぇよ。お前はどうするんだ?」

「……あれ、気付いてた?」

「そりゃあ、俺が推薦されてお前が推薦されてねぇ訳がないからな。もう一々お前に先越されて悔しがるのは止めたんだよ。まあ、これで最後だろうが。それに皆言ってるぜ、何であいつ三席なのってな」

「あははは……」

 

 修兵の言葉に僕は苦笑する。確かに今までにも砕蜂隊長に僕を引き合いに出されて叱られた大前田副隊長から「なんで三席なのにこいつこんなに優秀なんだよ」って文句を言われたことが何度かあった。

 一応これでも卍解は会得してるし、隊長格くらいの実力はあると自負しているからね。

 

「で、受けんのか?」

「うん。実を言うとね、ついさっきまで迷ってたんだ。隊長として隊士を引っ張っていくのが不安というのもあるんだけど、それ以上に、ね?」

「蟹沢のことか?」

「うん」

 

 真央霊術院からの付き合い故か、修兵は僕とほたるの関係性に何となく察しがついている。恐らく青鹿君もそうだろう。

 

「まだ拗らせてたのかよ……。いい加減はっきりしてやれよ。じゃねぇと愛想尽かされるぞ」

 

 修兵は呆れるようにそう言った。修兵は冗談で言ったんだろうけど、それがそうでもないんだよね。

 僕がほたるの想いに彼女から言われるまで気づかなかった理由の一つに、ほたるが好きな人は修兵だと長い間思っていたという事がある。

 実際に言葉にされた訳じゃないので分からないけれど、僕がここで言いたいのは、時間の移り変わりで気持ちも変わってしまう可能性は、往々にしてあることだという事だ。

 

 故に、もうここで終わらさないといけないんだ。何時までもウジウジとしている僕の為にも、そして何より、これ以上ほたるの時間を無駄にしない為にも。

 

「うん、分かってる。だから言ったでしょ? 『迷っていた』って」

 

 ――だから、僕も前に進もう。

 

 東仙隊長を理解しようと、彼の背中を追う事を決めた修兵のように。

 

「一つお願いがあるんだ」

 

 息継ぎをした僕は、強い眼差しで修兵を見つめ、力強く声を発した。

 

 

***

 

 

「本当にそれでいいのだな、蓮沼?」

「はい!」

「分かった。ならば私から言うことは何もない、今までご苦労だったな」

「はい、今まで本当にありがとうございました!!」

 

 翌日、僕は決意が変わらぬ内に砕蜂隊長に報告を済ませた。

 

 

 そしてその一週間後、僕と修兵は隊長に任命された。

 

 




 実を言うと、卯月を隊長にするのか否かつい最近まで悩んでいました。

 選択肢としては三つありました。

 一つ目は本作に書いた通りの卯月が隊長になるルート。

 二つ目はこれまで通り二番隊三席を続けるルート。

 そして、三つ目が九番隊の副隊長として修兵を支えるルートです。

 この三つの中で、何故卯月が隊長になるルートを選んだのかと言えば、それは蟹沢さんの為です。
 本作のヒロインである蟹沢さんですが、彼女は物語の都合上と私の実力不足により、これまであまり出番を作ってあげることができませんでした。
 その為、本作の死神代行篇に於いて蟹沢さんは影の主人公だったりします。

 本来なら、私は千年血戦篇の後に原作ではリサが就任していた八番隊の隊長と副隊長に二人を据えるつもりだったのですが、それだとBLEACHというバトル漫画としての綺麗な終わり方を重視してしまってあまり二人関係の行方を深く書こうとしない自分の未来がありありと想像できたので、急遽この章に卯月の昇進を早めました。
 一応、原作でも仮面の軍勢である平子達を隊長にするのはそれなりに時間が掛かったらしいので、本作の護挺十三隊の中で卍解を持っている卯月や修兵に先に話が来てもおかしくないという結論に至りました。

 その為仮面の軍勢から護挺十三隊の隊長就任するのは一人だけとなり、その一人は平子にする予定です。

 ……この作品つくづく仮面の軍勢に対する扱いが雑だなぁ。別に彼らのこと嫌いじゃないんですけどね。中でも平子は好きなキャラですし。

 いや、でもそれよってローズが自分の卍解能力が音楽によって起こることを敵にペラペラ話した所為で鼓膜を潰され、攻略されるムーブが無くなるし、多少はね?

 ……マイナス要素を消すことでしか仮面の軍勢の面目を保つことができないのかこの作品は。

 それと、次回の更新は9月26日の予定です。

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