魔法? んなもんねーよ   作:社畜系ホタテ

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第四話

やはりというか、なんというか。うん。本気になったじじ様は誰にも止められないとです。

 

あれから1年と数ヶ月。俺も今では歴とした武術家(五歳)。毎日毎日じじ様とバトっています。どうしてこうなったし。

 

いや、原因は俺だよ。もっと言うと特典を神頼みにした前世の俺。つーか、ひょっとこさんよ。なんでノーダメ体質にしちゃったんだよ。おかげで、お弟子の皆さんに人外認定されたじゃないか。ヌケニンでさえ、喰らう技があるというのに。最終的にじじ様の孫だからと納得していたお弟子さん達もどうかと思うけど。

 

……まぁ、いっか。過ぎた事は仕方ない。こうなったのも、特典を決めたひょっとこさんの所為じゃなくて他人任せにしたカーズ様状態の前世の俺に非があるんだし、今頃になって文句垂れているのはお門違いにもほどがある。切り替え切り替え。

 

「フタエノキワミー」

「ちょっ、それはいかん技……アッーーー!」

 

漫画やアニメの技もなんとか頑張って修練積めば実現できるこの神様ボディーを存分に楽しもう。プラス思考で生きてこー。

 

 

 

 

 

 

 

「突然じゃが、空閃や。都会に行きたくはないかの?」

 

寒かった冬がすぎ、ようやく暖かい風が吹き始めた三月。修練もほどほどにやった後、縁側でほのぼのとお茶を啜っている俺に、ふとじじ様が聞いて来た。

 

「都会とな? 名探偵空閃はこれを旅行の布石とみた。けどだるいからパス」

「そういうことじゃないんじゃが」

 

じじ様は苦笑いでござる。

 

「お主ももう小学生になるじゃろう。いい機会だし都会の小学校に行かせてはどうか、という話がでての」

「ほうほう、それで?」

「お主の世界を広げるためにワシも賛成なのじゃが、お主が行きたくないっていうなら話は別じゃ。行くか、行かないか。それは空閃。お主自信で決めといい」

 

久しぶりの真面目な話らしい。その証拠にじじ様の気達がピリってしている。ちょっと赤いし。多分、味はピリ辛なのだろう。

 

「んー、都会ってどこなん?」

「ワシの友人の息子が住んでいる海鳴市というところじゃ。お主の生活面などの面倒もその息子に見てもらう」

「まさかの知らん家に住み込みとかさすがの俺も驚きを隠せない件」

 

家族全員で引越しかと思ったら俺だけ行くのかよ。

 

まぁ、じじ様もママンも、各々の事情で家を離れらんないし、俺一人で暮らすのも無理な話だしな。一人暮らしとか1週間で餓死する自信があるわ。つーか、居候生活か。なんだそれ。胸が熱くなるな!

 

「じじ様、俺行くよ」

「……うむ。わかった」

 

俺の返事に少し悲しそうな表情の後、じじ様は優しく微笑んでそういった。その姿にじじ様からの愛を感じる。

 

そして、なんだか暖かい気持ちになる。この新しい人生でじじ様はママンの次くらい俺と一緒にいたんだ。離れ離れになるって考えるとぶっちゃけ俺もちょっと寂しかったりする。顔には出さないけど。

 

「で、その俺が住み込む家の人ってどんな人なん?」

「高町士郎といっての。御神神刀流の使い手で昔、少々手合わせをしたがワシに何太刀か入れるほどの実力者じゃ。ワシにも負けん色男じゃったわい」

 

え、なにその化け物。神様ボディーの俺でさえ、気の皆さんによる拘束を禁止したら、じじ様に一撃入れんのは相当苦労するって言うのに。ということは、その人は戦闘民族かなんかだろう。

 

確信。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは。わたし、高町なのは。もうすぐ小学生一年生になる平凡な五歳の女の子です。

 

 

どうやら今日は特別な日になりそうなの。昨日お父さんが、明日から新しい家族が増えるぞ、と言っていた。最初はわたしもお姉ちゃんになるんだと思っていたが、わたしに新たな妹、弟ができる話ではないらしい。

 

なんでも、お父さんのお父さん。私のお祖父ちゃんの友人の孫が、こっちの小学校に入学するために引っ越してくるんだって。けど、どうやらその家族が家庭の事情で海鳴市に来ることが出来ないから、急遽高町家で預かることになったらしい。

 

その子の歳は、どうやらわたしと一緒みたい。お父さんが言うには男の子で武術の天才なんだって。すごいね。運動神経が悪いわたしからしたら憧れてしまう。

 

 

お昼時、今日の来訪者さんのためにお父さんとお母さんが経営している喫茶店、翠屋はお休み。そのためリビングには、わたしの他にお父さん、お母さん。それにお兄ちゃんとお姉ちゃんがいる。皆が皆、まだかまだかと新しい家族を待っていた。

 

ピンポーン、とインターホンが鳴った。胸がドキっと大きく動いた。お母さんがハーイといってお父さんと共に玄関へと向かう。そのあとにお兄ちゃん、お姉ちゃんが続いていった。

 

わたしは忙しくなく鳴っている心臓を沈めるため、少し深呼吸。すー、はー。

 

「よしっ」

 

随分よくなった。まだ幾分かドキドキしているがさっきよりは断然いい。わたしは新たな家族がいるであろう玄関へと向かった。

 

どんな子かな。仲良くなれるかな。意地悪な子じゃなきゃいいな。玄関へと向かう途中、わたしの心では様々な考えがぐるぐると渦巻いていた。楽しみであり、不安であり、いろいろ。

 

でも、多分楽しくなるだろう。だって、まだ会っていないのにこんなにもわたしの心をワクワクさせてくれるのだから。

 

いた。彼は、お父さんと握手をしている大きなおじいさんの隣に立っていた。少し遠くから見た彼の特徴はくるくる髪が印象的で面倒くさがりなんだろうなと思わせる目。身長はわたしよりかは大きいと思う。

 

そんな彼は何故か顔色があまり優れない。少し俯き気味だし、なにかあったのだろうか?

 

 

「あらあら、なのはったら。そんなとこに立っていないでこっちに来て空閃君に挨拶しなさい」

 

 

廊下で彼を観察しているわたしに、お母さんが気づいた。わたしはその言葉に慌ててお母さんの隣にまで走り、彼の目の前に立った。俯いている彼はわたしに気づいたのか顔を上げる。やっぱりわたしより大きい。いや、そんなことよりも自己紹介が先だ。

 

「わ、わたし、なのは! 高町なのは! ようこそ、高町家に!」

 

声が上ずっているのがわかる。まだ緊張していたらしい。彼には気づかれて無いだろうか? 気づかれていたら恥ずかしい。お母さんやお父さん。そして、お姉ちゃんとお兄ちゃんは気づいていたのだろう。くすくす笑っているし。恥ずかしい。わたしは思わず俯いてしまった。

 

でも。目の前の彼の反応が気になった。顔を少しだけ上げ、目の前の彼をチラッと見ると、なんだか驚いた顔をしている。気づかれてはいないらしい。だけど、どうしたんだろう?

 

すると彼の口は僅かに開かれ、そして、お父さんやお兄ちゃんとはまた違う子供特有の高い声音で呟いた。

 

「す、すげー……さすが戦闘民族一家。高町ナッパとか名前からして格が違った」

 

どうやらわたしは彼とは仲良く出来ないかもしれません。




なのはさんのこれじゃない感。まぁ仕方ないですね。これがホタテクウォリティーだと思ってください。

素人作者には大魔王なのはさんの心象描写は難易度が高かっただけの話です。

というか他視点はやっぱり難しいですね。多分もうやらないと思います多分。

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