驚愕の事実! 俺のお家は沖縄付近のとある離島に建てられているらしい。島の名前は『本多島』という。なにそれこわい。
なんでも、第二次世界大戦時にじじ様がこの島で一人、米国軍と戦闘を繰り広げていて、遂には相手戦艦を占領してしまったのだとか。じじ様は米国に勝った男としても有名だとはアメリカンなお弟子さん談。
じじ様をリアル範馬雄一郎だと認識した瞬間である。つまり、その孫である俺はバキなんですね、わかります。胸が熱くなるな!
ていうかお弟子さん、本当にHAHAHAHAって笑うんですね予想外デス、あと歯が白い。
そのときの戦利品というか国からの礼みたいなのがこの島なのだとか。じじ様スゲーって本人に言ったら、ただならぬ雰囲気で「ワシはお国からここを守れと命を受けただけじゃ。今も昔も……そして、これからも」と言っていた。なんだかいろいろあるみたい。
だけど、俺はシリアルは好きだけどシリアスは苦手なので「なんだか知んないけど家のじじ様は最高にかっけーっすよ!」ってグッジョブポーズを笑顔で決めてその場を退散。戦略的撤退である。
あとからママンに聞いた話だとじじ様大号泣だとか。え、なぜに?
なんでも「あの人が言ったとおりにこの島が輝いている人が増えた。孫も島人も……この島にいるものは生き生きとして輝いておる。あの人との約束を守ってきてよかったわい」だそうだ。だからシリアスはやーめーてー。
閑話休題。じじ様の過去編なんて興味あるけどそう簡単には聞いてはいけないような気がしてならないからここはスルーしておいて、だ。
なんとね、ここ沖縄だったのですよ。道理で熱いと思ったね。台風もバンバン来るしさ。シーサーがいないから気がつかなかったわ。
シーサーがいない理由はじじ様がいるのに他の守り神がいる? って笑顔でママンに言われたら納得した。でも、シーサー。沖縄といえばシーサー。……まぁ、いっか。じじ様がシーサーだと思えば。
自己完結。
☆
「空閃」
「んーなんぞー?」
「そろそろ空閃もいい歳じゃ。どうじゃ? 武術でもやってみんかのぅ?」
「お断りー」
「」
最近、じじ様の武術への勧誘がしつこい。いや、前からだったか。
今俺は4歳だから一年くらいは勧誘されている。ことの始まりはあのお弟子さんピチューン事件からだったか。嫌な事件だったね。
どうやら俺には武術の才能があるらしい。
普通は気というものは自分の生命エネルギーから使用していくのだが、俺のそれは違うらしく、なんでも、自然が放出する空気中に分散されている気を吸収して使用しているんだとか。
しかも、その吸引力も半端なく、近くにいたじじ様の周りから気が消えたと錯覚してしまうほどだったらしい。それなんていうダイソン?
「その能力を上手く成長させれば空閃はわしを越える武術家になるんじゃぞ。世界一じゃ、世界一。男の子が憧れる一番を空閃は手に入れられるんじゃ」
「二位じゃだめなんですか?」
「ばっかもーん。男なら一位を目指せ!」
明日から修練じゃぞ。と勝手に話を進めているじじ様を見て発言にミスったことに気づく。ネタへ速攻に走ってしまう自分の口が恨めしい。はー、と溜息一つ。
「じじ様。俺はね、争いとか闘いとかそういうの、興味が無いの。こうやって縁側でほのぼのお茶飲んだり、ダラダラゴロゴロしたり、お昼寝したり、そういう生活がしたいんだよ」
「ばっかもーん。男が争わないでどうする! 社会に出たら争いばっかじゃぞ! そんなんじゃったらすぐに窓際族になってしまじゃろ!」
「まぁまぁ。俺は将来、綺麗な奥さん見つけて紐にしてもらうから。社会出る気ないし」
「ばっかもーん。女は本能的に強い男を求めるんじゃー! 武術で世界一になったらウハウハじゃぞ」
もうやだこのじじい。あーいえばこういう。波平さんでも乗移ったのだろうか。こうなればまた戦略的撤退だー。
「あっコラ空閃! どこ行くんじゃー! 話はまだ終わって……なっ!? 体が動かんじゃと!?」
ちょっと気の皆さんにお願いして、じじ様を拘束してもらった。一つ一つは小さいけど、人間大に集まれば力は強くなるってね。
てなわけで、あばよーとっつぁーん!
原作はいつになれば入れるんだろうね。
作者でさえわかんないよ。行き当たりばったりだから。