魔法? んなもんねーよ   作:社畜系ホタテ

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無印編
第一話


俺が高町家に居候して早24ヶ月とちょっと。つまり2年ぐらいの期間が経過した。時間が経つのは早いものだ。

 

俺は今ではコイキングも唖然とするほどのピッチピチの八歳児。余談だがなっちゃんも先日、お誕生日を迎えたので同じく八歳。

 

この前小学校へと入学したと思ったら、もう三年生なのである。

 

海鳴市にディアボロさんがいるのかと思えるぐらいに過程がすっ飛ばされている気がしてならないほど、あっという間の2年間だった。光陰矢のごとしとはまさにこのことだと思う。

 

「俺は時間すら超越する光になる。いくぜ、じじ様! 光化静翔(テーマソング)!」

「ぐぅっ……まだまだじゃ。ワシを倒すにはまだまだ力と速さとその他諸々が足りんわぁ!」

「……姿が見えないのに戦闘音だけ聞こえるの」

 

そんななっちゃんを連れて帰郷した春休みも昨日で終わり、今日から三年生。前世だと理科と社会が始まる学年である。

 

しかしまぁ、三年生になったからといって、これといった変化はない。

 

だけど、変わったことを一つだけ挙げるとするならば。

 

「なっちゃんなっちゃん。どう? 俺、スマートに操作出来てる?」

「クー君。嬉しいのはわかったからそんなに連続してスライドさせないの。指の動きが早すぎるから画面が残像を残してるよ」

 

俺、スマフォデビューしました。

白戸家の犬のお父さん、俺やったよ!

 

これは春休みの帰省中にじじ様から、「都会っ子には必要じゃろ」とのことでプレゼントさせた品である。前世では高校生になって初めて買ったので、この歳から所持できることは素直に嬉しい。

 

なんでも、このスマートフォン。じじ様の知り合いのマッドサイエンティストが製作したらしい。

 

電気ではなく気を注入することで使用することができるという。そう、動力が気なのだ。充電不足に困ることがない。

 

電気要らずとはなんというエコ。マッドサイエンティストなのに地球に優しいとか、なんか好感が持てるキャラをしている。

 

いかにも、フゥーハハハハ! と笑いそうなので、今度会ってみたいでござる。

 

他にもいろいろとオプションがついているとのことなのだが、説明書を読まないのがデフォルトの俺。なので、そのオプションとやらを知る日は一生こないのだと思うとです。

 

というわけで、念願のスマフォデビュー。これをしたことによって、三年生からの生活が劇的に変わる気がする。

 

もう、友達からの連絡を家電ですることはないし、調べ者をするためにいちいちパソコンを立ち上げる必要もない。

 

それに何といってもアプリとして地図が付いていることが最大のポイントだ。結構休日とか時間が空いたらちょっとした旅行に行ったりするのでこの機能は非常にありがたい。

 

それにカーナビ状態にして空を翔ければ、札幌に向かったのにモンゴル着く、なんて道に迷うことはないだろう。ところで、この地図の上に書かれている第97管理外世界とはなんのことだろうか。……まぁ、いっか。気にしても仕方ないし。

 

ともかくこれで、俺もようやく現代人の一員になったということだ。

 

さてと、えっちぃサイトでも探しますか……なにっ、年齢制限……だと……?

 

 

 

 

 

 

「ところでフェレットってなんだ?」

 

新学期が始まってから数日経った夕飯の時。

 

塾へ行く前になっちゃんが公園で怪我をしている迷子のフェレットを発見したらしく、飼い主が見つかるまで高町家で預かっていいかと士郎さんに聞いたところ、帰ってきた回答がこの疑問。

 

高町家の子供達は苦笑いである。

 

「ふーむ、フェレットか。空閃君は知ってるかい?」

「薬味の相棒である変態的妖精」

「あれはオコジョでありカモなの」

 

違ったらしい。どうやら恭夜さんと美由希さんが言うにはフェレットとはイタチの仲間であり、大分前からペットとして人気の動物なんだそうだ。

 

人気の動物なのに飼っているという情報とかを聞いたことがないのは何故か。とても不思議である。俺が情弱なだけの話かもしれない。

 

閑話休題。そんなことよりも。現状として今の高町家では動物を飼うことができない。

 

そのことをなっちゃんはお忘れなのだろうか。……忘れてるんだろうな。今のなっちゃん、結構興奮して舞い上がってるっぽいし。

 

仕方ない。俺がビシッと言ってやろうではありませんか。

 

「動物避けのスキルを持つ俺がいる限り高町家には動物が訪れないの巻」

「……確かにここ数年、家の周りで野良猫どころか鳥一匹見かけないけど、……それでも、あの子は人に馴れてそうだし、とりあえずクー君が近寄らなければ大丈夫だと思うの!」

「おい」

 

泣くぞ。いいのか? 俺の涙腺は崩壊寸前なんだぜ。ちょっとした衝撃を与えれば簡単に大洪水だわ。

 

あっ、桃子さんタオルは大丈夫です。ちょっと頬が濡れてるだけなんで。

 

「あらあら。じゃあ一応だけど渡しておくわね。それでフェレットのことだけど、なのはがしっかりとお世話できるのなら私はいいと思うわ」

 

どうかしら、と桃子さんはその他面々へと問いかけた。恭也さんと美由希さんに異存はなく、俺もこんな体質だが動物は常日頃365日年がら年中ウェルカムなことを伝え、それを聞いた最終的に士郎さんが高町家で預かっていいことを了承。

 

ということで、高町家に初のペットが出来ました。飼い主が現れるまでの期間限定だけど。

 

よかったね、なっちゃん。

 

「うん! あっ、フェレットさんは私の部屋で飼うからクー君は部屋付近に近寄らないでね」

「…………。ブワッ」

 

どこからともなく、溢れ出る何かを瞬間的にタオルで抑えた。

高町家の人々に慰められながら、桃子さんにタオルを借りておいてよかったと思う俺であった。

 




書いては消して、書いては消しての一週間。やっと完成したのが、こんな話。

プロットとか全然考えてないから、これからも日にちが開くと思いますがご了承ください。

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