東方虚真伝   作:空海鼠

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洩矢編はあっさりと後味薄くもっさりと終わります。


博麗

「…それで、言い訳は?」

 

「ついむしゃくしゃしてやった。今は反省している」

 

ただいま、洩矢神社にて神奈子にお説教を受けている真っ最中。最終的に「その幻想をぶち殺す!」とか言い出して殴りかかってこないか、少し不安。

まあ、どうしてこんなことになったかというと……。

……………………………………あれ?回想パートに自動突入しない?ああ、回想パートに入るにはいちいち僕が思ださなくちゃいけないのか、不便だ。

しかしアニメとか漫画とかの回想パートって一体相手にどうやって伝えているんだろうか。普通は台詞から動作までそんなご丁寧に覚えてない。その上に美少女の台詞とかをおっさんが話してたりするんだろ?気持ち悪いだろ。

じゃ、回想パート(うろ覚え)突入。

 

 

『おー。どうやら決着着いたみたいだね』

 

『あ、冥利さん。はい。どうやら、私は貴方にお酒をあげなくてはならなくなったみたいです』

 

『何それ賭けてたの?てゆーか冥利なぜ私に賭けなかったー!うがー!』

 

『で、敗戦処理だけど…。どうするの?』

 

『どうするの、とはどういうことだ、加城冥利』

 

『名前覚えててくれているとは、うれしいぜ。いやね。洩矢の神は祟り神だからね。祟りを恐れつつ諏訪子を信仰しているこの国の人たちは、はたしてぽっと出の神を信仰するでしょうかというお話』

 

『そんな……!では、どうすればよいのだ』

 

『人に何かを聞くときは、ちゃんと逆立ちしてブレイクダンスを踊れよ』

 

『………?』

 

『ああ、冥利の言うことに基本意味はないから、無視していいよ』

 

『意味どころか、理由も意義もさっぱり無い』

 

『いばって言うようなことじゃないような気がします…』

 

『そういえば、後ろに控えていて私の勝利とともに祝いにかけつける予定だった神たちは…?』

 

『あ、ごめん。皆殺しにしちゃった』

 

『……………』

 

『……………』

 

『………………は?』

 

『皆殺し。英語で言うとMassacre』

 

『…………………………はあ?』

 

 

以上、回想終了。

そんなこんなで一応理由は説明したんだけど大和の国力がうんたらかんたらで今叱られているわけだ。人のためを思って行動したのにこんなのってないや!嘘だけど!

 

「おい、聞いているのか?」

 

「あ、うん。聞いてる聞いてる。一番おいしい貝の食べ方だよね。バター醤油で焼くのがいいと思うよ」

 

「聞けよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「神奈子、冥利に何を言っても無駄だよ。どんな話しても右から左に抜けていくから」

 

その言い方は少し違う。右から脳へと一旦入るけれども僕の脳が腐っているから左へと流れるのが正しい。頭の中で納豆が生産できる勢いだ。

しかし、諏訪子は僕という存在を何故か深く理解しているようで、思わず「きみが僕の何を知っているというんだ!」というような思春期な台詞を吐いてしまうところだった。

 

「ところで、信仰はどうするか決まった?」

 

「それはまだだけど……冥利、何かいい考えない?」

 

「自分たちで考えなさい。見た目幼女でも何百年かぐらいかは生きてるんだろ?」

 

しゃがんで帽子を押さえ、「あーうー……」と言う諏訪子。そのまましゃがみジャンプしたらおそらくヒゲのおっさんに変身できるんじゃないだろうか。そうしたら幼女の称号から解放されて新たに「老け顔の二十六歳」の称号が貰えると思う。

ちなみに僕はそんな称号受け取りたくはない。

 

「さて、僕は旅に出よう」

 

「おい、私の説教はま「まだまだ始まったばかりだ!」っておい!どこへ行く!」

 

神奈子の台詞に打ち切りを重ねて加城先生の次回作にご期待いただけるよう僕は夕日に向かってジャンプした。

 

「………まあ、冥利だしね」

 

諏訪子の呆れたような声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ここ、どこだろう」

 

迷った。

さすが僕だ、視聴者の期待を裏切らない。これなら視聴率もきっと五十パーセント超えは確実だなとくだらない妄想スケッチにふけってみた。嘘でもある。

森である。ゆけどもゆけども森である。一応最終手段にそらをとぶで最寄りのポケモンセンターへと移動するという手があるけど、せっかくの旅だ。それは無粋というものだろう。

 

「…………ルーラで洩矢に戻ろっかな」

 

しかし森だ。いい加減全く変わらない景色にも飽きてきた。洩矢で地図を貰えばよかったと今更後悔。そういえばやらないで後悔するよりやって後悔した方がいいという言葉があるけど、やって後悔したってことは取り返しがつかなくなったってことだろう。それならまだ取り返しがつくかもしれないやらないで後悔の方がまだマシというものだ。

 

「…きみもそう思わないか?」

 

今日も安定の独り言。

返事を期待しない自己満足で自己完結の言葉。

 

「……………な、なんでバレたんですか」

 

の、はずだったんだけどなあ…。

僕の後ろにある木の陰から誰かが出てくる。えー。マジで誰かいたの、全く気がつかなかった。

その女の子は、背中まである髪の毛をこの時代にしては珍しく、大きな一本の三つ編みにして纏めていた。

 

「気配がダダ洩れだよ。もっと修行しないと」

 

三つ編みちゃんに対して、適当に嘘で応じる。

 

「え、でも、私の『気配を消す程度の能力』は完全に気配を消すはずなのに」

 

「僕は『全てを見通す程度の能力』を持っているから」

 

嘘に嘘のコーティング。嘘のオブラートに包んだ嘘の薬を召し上がれ。

そんなことはつゆ知らず、「ほえー」と、関心する三つ編みちゃん。

 

「それで…何で僕をつけてきたの?」

 

問題はそれだ。木の陰に隠れて気配を消している、つまり尾行だ。英語で言えばスネークだ。嘘だけど。尾行をするということはそれ相応の理由があるということだ。リンチとか、カツアゲとか。

 

「えっと……このあたりは、夜になったら妖怪が出てくるので、危ないから、注意を……」

 

言うにつれて萎んでいく声。しかし嘘は言っていないようだ。人見知りなのだろう。

まあとりあえず、形式的に心のこもってないお礼でも言っておこうか。

 

「ありがとう、でも僕はそれなりに強いと自惚れていてね。中妖怪程度ならどうにかなるよ」

 

「そ、そうだったんですか。え…えと……後をつけてしまって、すいませんでした…」

 

「あー、僕は頼櫛湊(よりぐしみなと)という偽名なんだけど、きみは?」

 

「ぎっ、偽名!?偽名なんですか!?わ、私は博麗玲華と言います…」

 

………博麗?霊夢の先祖か…。

こうも続けて巫女の先祖たちに出会うとは、主人公補正の存在を危うく信じてしまいそうになった。僕が主人公をやったのは遠く昔数億年前だというのに。

 

「へえ、巫女さんとかやってるの?」

 

「い、いえ。やってませんけど……」

 

む、まだ博麗神社はできていないのか。なら博麗神社の祭神を見ることもできるかもな。

 

「よし、きみの住んでいる村へ案内してくれ。今日からそこに住む」

 

「ええ!?そ、え、えと」

 

「案内してくれ。ついていくから」

 

「は……はい…………」

 

○月×日、△曜日。きょうは、れいかのすんでいるむらに、はくれいじんじゃができるまでいすわることにきめました。まる。

 

 

 

 

 

 

 

 




地球のみんな!僕に文章力をちっとずつ分けてくれ!

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