ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
スネイプ先生にお願いしたら、なんとなんでもないかのように鰓昆布を貰えてしまった。一時間以上潜り続けることもあるかもしれないと言うことで割と多目に貰ったけれど、今度一緒にご飯を食べに行くことになった。
……私がお金を払うんだったらともかく、スネイプ先生が私の分までお金を払ってどうしてお返しになるのかわからないけれど、スネイプ先生がそれでいいと言うんだからいいんだろう……と、自分を誤魔化しておくことにした。
そう言うわけで、第二の課題をクリアする目処がたったのだけれど……私がずっと目を逸らし続けていたある問題が浮き出てきた。
そう、クリスマスにおけるダンスパーティのことである。
代表である私はパーティの一番初めに生徒達の前で踊らなくちゃいけないのだけれど、正直に言ってあまりどころか全くやる気にならない。伝統だからと言う話だけれど、悪習は直すべきだと思うんだよね。
「それはそれとして、ハリーさん。私と踊ってもらえませんか?」
「60センチ強の身長差をどうすれば埋めて踊れると思う?」
「……ハリーさんが若返ればできると思います。あるいは私を一時的に成長させれば」
「OK、踊ろうか。……ああ、後で成長した姿を見せてくれ。それに合わせて服を作るから」
「はい!」
私にとって最高の相手を誘うことに成功したので、後は気楽だ。第二の課題のクリアもできそうなので、第三の課題の内容が発表されるまでは授業を受けたり新しい呪文を覚えてみたりしようと思う。
まずはハリーさんが使っていた『失神呪文』に『粉々呪文』、『切断呪文』に『爆破呪文』に『妨害呪文』に『盾の呪文』。それに使えれば便利な簡単な呪文も覚えておきたいし、最悪の状況を想定してハリーさんオリジナルの呪文をこの時間のある間にいくつか習えることになっている。
できれば『無言呪文』と『多重無言呪文』も欲しいし、『約束された星の破壊』程とまでは言わないけれどもう少し威力のある呪文が欲しい。欲張りかもしれないけれど、必要になるかもしれないならば一応は覚えておくべきだ。少なくとも私はそう思う。
そう考えつつハーマイオニーを探して移動していたら、なんだかかなりの修羅場に遭遇してしまった。
図書館の端の方で、一人の女子生徒と三人の男子生徒が集まっている。女子生徒は三人の生徒を呆れたような目で見ているけれど、男子生徒達は誰一人として退こうとはしていない。
……まあ、女子生徒って言うのはハーマイオニーで、三人の男子生徒のうちの二人はロンとマルフォイだと言うことはわかると思うけれど……なんと、三人目はダームストラングのクラムだった。
マルフォイを見つけたので近くにクラッブとゴイルも居るだろうと思って探してみると、本棚の影からマルフォイ達の行動を見持っている姿を見付けた。私が近付いていくとあちらもどうやら私に気が付いたようで、本棚の影に隠れたままちょいちょいと手招きをしている。
私は空気が読めるし、基本的にことなかれ主義なので静かに移動してクラッブとゴイルの近くに行く。
「……なんとなくわかるけど、どういう状況?」
「フォイがグレンジャーをパーティに誘うためにやってきた→ウィーズリーとかち合った→クラムもやってきた→現在に至る」
「大体予想通りだった。期待を裏切らないね」
「フォイだからな」
そう囁き合いながらも、本棚の影から四人を見守る。いつも通りにいがみ合っているロンとマルフォイ。そして若干おろおろしているが引く気配は見せていないクラム。
さて、この三人のうち、誰がハーマイオニーと踊ることができるのだろう? 私としてはロンに頑張ってもらいたい所だけど、ハーマイオニー自身の意思が一番大事だから口出しはしない方向で。
「俺達の場合は是非フォイを選んでほしいがな。フォイの初恋なんだよ」
「あー、それは実ってほしくなるね」
「……だが、ウィーズリーも初恋だと聞いたぞ?」
「ロンは自覚してないからダメだよ。ノーカンノーカン」
「それもそうか」
「……それにしてもハーマイオニーは魔性だね」
「古くから続く純血の家系の二人に、今を騒がせる世界最高のシーカーだからな」
「あれならマルフォイの方が上手いと思うけどね」
「お前とフォイとハリー様は除いてな」
「そうだね……って、ハリー『様』!?」
「……もうハリーさんはハリーさんじゃなくてハリー様でいい気がするんだよ」
「ハリーさんって様付け嫌いだったと思うけど」
「ハリーさんはやっぱいつまでもハリーさんだよな!」
「そうだな!」
クラッブもゴイルも必死すぎて笑えてしまう。私も同じ状況になったら同じようなことをすると思うけど、それがわかるからこそ余計に笑ってしまうわけで。
そうしている間にあちらでは決着がついたらしく、orzとなっているマルフォイとロンの姿が哀愁を誘う。
どうやら平和的に誘う順番をジャンケンで決めたらしく、マルフォイもロンも自分の出したチョキの形の右手を憎々しげに睨み付け、クラムは右手の拳を高々と掲げて雄叫びを上げていた。
まあ、あくまで決めたのは順番だけなのだから脈があればクラムの誘いを断るだろうし、今までのマルフォイやロンとの関係を考えてみればまず間違いなくどちらかが誘えば一緒に行くと答えるだろう。
いくら他人からの恋心に鈍いハーマイオニーとは言え、そろそろ気付いてもいい頃だ。ロンとマルフォイの二人の想いに。
……それにしても、あの三人は本当に歪だよね。どうしてあの三人が三角形を保っていられるのか、本当にわからなくなってくるレベルで。
自分の心の機微に凄く鈍いロンと、他人からの恋心に凄く鈍いハーマイオニーと、存在事態がギャグのようだから言っていることが全て軽々しく聞こえてしまうマルフォイ。みんながかなり致命的な欠点を持っていて、かなりの速度ですれ違いながらも一定の距離と関係を保ち続けている。ある意味では奇跡みたいな状況だ。
……そのせいで、ホグワーツ全体で三人の関係がどうなるかの賭けがされてたりするんだけどね。一番人気は意外に『ハーマイオニーの重婚』だったりする。一番人気がないのは、『第三者に持っていかれる』だね。
なんで重婚が一番人気かと言うと、ハリーさんがそこに20ガリオン賭けたから。ハリーさんの予想は凄くよく当たるからね。
……ただし、この賭けでハリーさんが損をすることはまずあり得ない。たとえ外れたとしても……いや、むしろ外れた方が得るものは多いのかもしれない。
だって……この賭け、胴元はハリーさんだしね。
当たったらそれなりにもらえて、当たらなければかなりもらえて、どっちにしろある程度の余剰分はハリーさんの懐に入ってくる。
……なんともえぐい稼ぎ方をするよね。ハリーさんは。
結局ハー子が誰を選んだのかは秘密です。
次回作は……?
-
鬼滅の刃
-
鋼の錬金術師
-
金色のガッシュ
-
BLEACHの続き
-
他の止まってるやつの続き