ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
フォイ!(挨拶。意訳:おはよう、こんにちは、こんばんは。等)
side エリー・ポッター
私頑張った。凄く頑張った。具体的には、水の中で何時間も生き延びる方法を探すために図書館の本を禁書の棚を除いてほとんど読破した。協力してくれたスネイプ先生にはもう本当にお礼しか言えません。ありがとうございました。
……とは言っても民明書房の本は読めていないけれど、そのあたりはハーマイオニーが凄く詳しいから聞いてみてもできそうなものの記述はなかったらしい。
正確には、やる方法はあったけれど習得するまでに命の危険が何度もある上に、できるようになったとしてもそれからの人生になんらかの後遺症が残ってしまう可能性が非常に高いからと言う理由で、探し物に協力してくれた生徒達全員からダメ出しを食らってしまった。
そこでなんと、ネビルが解決策を持ってきてくれた。それは『鰓昆布』と言う、地中海にのみ分布するという珍しい魔法水棲植物を使うことで、それを使えば人間でも水中で行動するのに適した身体へと変質させてくれるらしい。
けれど、鰓昆布なんて私は一度も聞いたことはないし、魔法薬の材料を買いに行ったダイアゴン横丁の店にも、魔法使いしかいないホグズミードの町にも鰓昆布なんてものは影も形も無かったと言うことを思い出せた。
……お金はある。物があったら十分な量が買えるだけの大金がある。
ただ、そもそもの話として物がない。いくらお金があっても売られていないものを買えるわけがなく……要するに、私の命が凄くピンチ。
……魔法水棲植物、つまり魔法植物。それをホグワーツの中で扱う事があるとすれば、救護室かあるいは薬草学、魔法薬学のみ。ただし、鰓昆布には救護用の効果なんて無いらしいし、薬草学で扱うものは基本は地上の薬草のみ。地中海の水棲植物は範囲外だろう。
となると期待できるのは魔法薬学……つまり、スネイプ先生のところだけなのだけど……いくらなんでもスネイプ先生に直接鰓昆布をもらうのは迷惑になってしまうだろうから、入手ルートを教えてもらって自分で手に入れないと。
……ハリーさん? 確かにハリーさんなら私の望んだものを手に入れてくれるだろうけど、ハリーさんの場合『どこで』『どうやって』手に入れたかがわからないから凄く怖い。もしかしたらスネイプ先生のところから無断で拝借してくるかもしれないし、ハリーさん屋敷の地下に自生しているのを持ってきているのかもしれないけれど……どちらにしろハリーさんは答えてくれないだろうと思う。
ハリーさんは少し秘密主義が過ぎると思う。もう少しでいいから、私もハリーさんのことを知っていたいと思うのは駄目なことなんだろうか?
それも大切なことではあるけれど、今はそれよりも鰓昆布を手に入れることを優先したい。死んだらそれまでなのだから、死なないように。生きている状態から死ぬのはできるけれど、死んだ状態から生き返るのはちょっとどころじゃなく難しい。だったらできるだけ生きていかないと損じゃない。
私は前を向く。ハリーさんの姿に、ハリーさんの在り方に習ったように、進むべき場所を見ながら進む。
足元ばかりを見ていれば確かに転ばないで済むかもしれないけれど、前を見ないと速くは進めない。転んだら起き上がればいいし、転ばないように気を付けながらでも歩いていけばいい。ハリーさんに追い付くのは時間がかかるだろうけど、幸運にも私には時間がたっぷりとある。その時間を使って、ハリーさんの姿を見失わないようにしたい。
さあ、進んでいこう。誰のためでもなく、私のために。私だけのために。
私は職員室に向かい、スネイプ先生を探す。スネイプ先生は職員室にはいなかったけれど、マクゴナガル先生から地下牢教室で授業の準備をしているはずだと言う情報を手に入れることができた。
マクゴナガル先生にお礼を言って、地下牢教室に向かう。途中でピーブスを見かけたけれど、最近はあまり大暴れはしていないようだ。
その代わりにハリーさんが非常に暴れまわっているせいでホグワーツ全体での平穏は侵されっぱなしだけれど、ハリーさんがやる悪戯は基本的に冗談で済む範囲だったり本人にとってはむしろありがたいことだったり逆に色々なものが改善されたりするので文句を言う人は多いけれど、それと同じくらい感謝の言葉を言ってくる人も多い。
それはそれとしてピーブスをやり過ごしてからまた進む。ちゃんとがんばらないと、私の命がなくなってしまう。ふざけている暇なんて無い。
side フォイ
「フォイ!(挨拶)
さて、ここでちょっとした話をしよう。みんな大好き、ハリーさんの話だ。興味があれば是非聞いていってほしい。
ハリーさん。名前はハリー・オライムレイ。生年月日は7月31日。両親はマグルだが、本人は魔法使いとしてもそれ以外としても素晴らしい素質を持っている。正直に言って羨ましいほどだね。
そんなハリーさんだけれど、彼の秘密に興味は無いかい? 無いんだったら別に構わないけれど、あるんだったら是非とも聞いていくといい。あまり大したことのない秘密ではあるけれど、それでも全く知らないと言うのよりはずっといいはずだ。
実は、ハリーさんはここ最近よく動いていた。自分をある意味では敵役にすることでエリー・ポッターの応援をしやすくしたり、色々と無茶なことをしてエリーが振り回されている姿を見せることでエリーに同情を向けさせるようにしたり……。
本人にはその事は知られていないし、ハリーさん自身が割と楽しんでいることもあってハリーさんの趣味以上の物があるとは思われていないはずだ。エリー本人がそう言っていたのだから、恐らくは間違いないと思う。
この数年で、エリーは僕達に頼ることを覚えた。自分にできないことをできないままにしておこうとはせず、できるだけ自分にできることを増やそうとした。
エリー自身はハリーさんが起こした事件をなんとか解決しようとしているうちに顔もその性格もホグワーツに広く知られることになっているし、そうして働き回っている女の子に悪い気を持つものは少ない。むしろ、その子が困っていたら何か手伝いをしてあげたいと思うだろう?
だからこそ、僕達はポッターの探し物を手伝ったし、先生方もそれとなくヒントを出してくれた。一部の先生は、あからさまと言えるくらいの贔屓をしている人だっていた。それは例えば……スネイプ先生だ。
スネイプ先生はポッターに懇願され、希少なものであるはずの鰓昆布を一瓶まるまる渡した。これでポッターは第二の課題をクリアすることができるだろう。第二の課題で奪われたものが何かは知らないが、ポッターもこれで一安心だろうね。
……正直に言って、ポッターが一番大切に想っているだろう相手は対抗試合に参加しているんだけど、いったいどうするつもりかと言う部分が一番気になっていたりするのだけれど、本当にどうやってやるんだろうね?
……それじゃあそろそろ僕は失礼するよ。スネイプ先生から呼ばれているからね。
フォイ!(挨拶)」
フォイ!(挨拶。意訳:さようなら。またいつか。等)
次回作は……?
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鬼滅の刃
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