ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 マスゴミが娘っ子に絡み続けているのを完全にスルーしながら時間になるのを待つ。マスゴミが時々突然弾け飛ぶように身体を仰け反らせていることが気になりはするが、不思議には思わない。原因は俺だし。

 もちろんそんなことをわざわざ言う気はないが、バレないように隠しているわけではないので気付く奴は気付くだろう。

 ……撃っている動作すら見えない超高速で放たれる拳圧の弾丸に気付く奴が居ればの話だが。

 

 さて、マスゴミの首が千切れ飛びそうな勢いで仰け反り続けているなんて言うどうでもいい話は放置しておくとして、杖調べの儀式をすることになった。

 一番初めはボーバトンのブルァ。二番目は娘っ子で、三番目にg(グラム)で最後に俺と言う順番になった。

 ブルァの杖はやや出力に波があるようだが、髪がブルァ自身の祖母の髪と言うだけあってブルァには合っているらしい。まあ、孫は可愛いものだよな。

 それから娘っ子のだが、樟にユニコーンの尻尾の毛を使った杖。よく磨かれているようで、綺麗な艶がある。これもまた問題はなく、あまり時間をかけることなく娘っ子の手に返された。

 三番手のgは……何と言うか、gと書くと某黒くて素早く動く太古から生き延びている昆虫を思い出してしまいそうだがそれには触れないようにして……gはクマシデにドラゴンの心臓の琴線を使った杖を確認してもらい、それからまた問題なく万全であると保証してもらっていた。

 

 そして最後に俺だ。お辞儀さんの杖の芯と同じ不死鳥の尾羽根を使った柊の杖。長さは28センチで、使っている不死鳥自身が強力な部類に入るものであるせいか、非常に強力な杖でもある。

 杖職人の老人はそれまでの杖よりも時間をかけてこの杖を確認し、完璧な状態を保っているといって俺に杖を返してきた。

 

 だが、実のところ俺の杖はこれではない。……いや、『ハリー・オライムレイ』の杖はこれなのだが、『俺』は『ハリー・オライムレイ』だが『ハリー・オライムレイ』は俺ではない。

 万全を確認してもらうなら、もう一つの自前の杖の方も確認しておくべきだろう。俺は一応杖を作ったが、だからと言って杖に詳しいと言うわけではないからな。

 

「悪いんですが、こっちの方も確認してもらえませんか?」

「…………これは?」

「俺の杖です」

 

 老人に手渡す前に、今回に限って杖に接触と確認することを許してもらった。本来なら触れた瞬間に本人の魔力を吸い尽くして呪文を使って殺害するんだが、それを起こさないように頼んでおいたのだ。まあ、健康診断のようなものだと言っておいた。

 老人は俺から金属製の杖を受け取った瞬間に目を見開いた。まあ、この杖は正直ニワトコの杖よりも強力だ。触れただけでそれを理解できたと言うことは、それだけこの老人の杖職人としての腕の良さを表している。

 

 老人はじっくりと俺の杖を眺める。先端と持ち手に力を加えたり、芯として使われているものを見ようと先端を覗き込んだり、なにかを聞こうとしているように耳を寄せてみたりしている。

 

「……金属製。ただし、その辺りで摂れるような金属ではない……小鬼(ゴブリン)製の金属杖に似ているが、それよりも……芯は……髪。幾つもの種類の髪が束ねられている……異なる芯を纏める役割の髪が一つある……」

 

 ……初見の杖でこれだけわかるって、本当に腕がいい。いつか杖の話をしてみたいものだ。

 

「……この杖は、実に愛情深い。一度認めた者以外が触れようものならば、全力をもって反撃しにかかるだろう。また、忠誠が奪われることもあり得ない……もうこの杖は、あなただけの物だ……大切になされよ」

「勿論」

 

 俺の言葉に笑顔を浮かべ、老人は俺に杖を返してきた。どうやら万全だと言ってもいい程度には杖の調子は良好であるようだ。

 俺は俺の杖を懐のアンダーグラウンドサーチライトにしまってから下がる。かなりの時間がかかったが、俺にとってはそれだけの価値がある時間だった。

 

「……さて、次は写真を撮るんだったか?」

「うむ、そうじゃの。終わったら直接夕食の席に行くがよい」

 

 そう言うわけで写真を撮った。原作ではマスゴミババアラッチがしゃしゃり出てきて色々やって来たから遅くなったが、マスゴミは突然その場に崩れ落ちて眠り始めたためにすぐに終わった。

 校長三人と、娘っ子とブルァとg。そして俺が映った写真が一枚だけ撮られ、それからすぐに夕食を食べに行けた。

 

 ……あのマスゴミババアラッチも、流石にしてもいないインタビューをでっち上げはしないだろうと思いたいが……もしもやってきたら被害者は恐らく娘っ子になるだろうな。

 それと、原作ではハー子が受けたような立ち位置には俺が立つことになるだろうし、最悪色々と呪いやら薬品やらが送りつけられてくるだろう。

 呪いはともかくとして、薬品類についてはむしろ嬉しいからいいんだが……吠えメールが来たらキレない自信が無い。吠えメールは出した声を一定倍する手紙だから、吠えメールに録音した音を別の吠えメールに録音してやれば音量がヤバいことになるんだが……まあ、仕返しにはちょうどいいよな。

 俺が大声で叫んだらその衝撃で海が割れたりとかもするし、そんな音量を更に数十倍にまでしたら間違いなく家の一つ二つは崩壊するんだが……自業自得と言うことで一つ。

 そもそも、生きてられるかどうかもわからないしな。なのちゃんの『極大声圧砲』を至近距離で食らって大丈夫なら大丈夫だろう。たぶん。

 

 俺は写真を撮り終えてから娘っ子を連れて大広間に向かう。きっと今ごろ、他の奴等は夕食を食べ始めた頃だろう。あのマスゴミがしゃしゃり出て鬱陶しい事を繰り返し、我儘を言い続けていたらいったいどれだけの時間が過ぎていただろうかわからない。本当に、あそこでマスゴミが気ぜt……眠ってくれて助かったよ。

 

「ハリーさん!ご飯ですよご飯!」

「ああ、そうだな」

 

 娘っ子が幸せそうに料理をパクつき、周りの奴が娘っ子に色々なところから料理を取って回す。娘っ子は受け取ったそれを見てキラキラとした目でそれを食べて笑顔を浮かべ、嬉しそうに食べていく。なんとなく家主……恋ちゃんを思い出すが、あれだけ食べても身体能力に違いは出ないんだよな。びっくりすることに。

 ……あくまで差が出ないのは身体能力についてであって、魔力はなんだかじりじり増えてるようなんだがな。

 

 もぐもぐと食べる娘っ子。娘っ子の食事風景に癒される周り。

 こんな日常が、いつまでも続くといいんだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……と、意識的にフラグを立ててみた。意識的に立てるとフラグの効果が反転するらしいんだが、実際にはどうなることやら。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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