ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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遅くなりました。ようやく繋がってくれましたので更新します。


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 side エリー・ポッター

 

 そのバッジの事を知ったのは、自分にできることで最低限必要なものを身に付け終え、暫くはこれから先の事のために色々と手を広げていたある日のことだった。

 スリザリンだけでなく、ハッフルパフもレイブンクローもグリフィンドールですらもそのバッジをつけるようになっているのを見て、私はそのバッジについてマルフォイに話を聞いてみたのだった。

 一瞬、ハーマイオニーがやっているしもべ妖精福祉振興協会のバッジかと思ったけれど、色も形も全然違う。

 

 そしてそれについて聞いてみると、それをなんでもないかのように見せてくれた。

 そのバッジには、みんな同じ文字が同じ色で書かれ、薄暗い中でその存在を主張するように光っていた。

 

【 エリー・ポッターを応援しよう

 我らがホグワーツの良心を! 】

 

「ちなみに、これだけじゃないんだ」

 

 そう言ってマルフォイが自分の胸につけられたバッジを身体に押し付けると、鮮やかな赤から文字が反転して真っ青になり、全く別の文字が浮かび上がってきた。

 

【 ハリーさん、自重 】

 

「……まあ、そう言うわけだ。なんならいくつかあげようか? まだまだ沢山残ってるんだ」

「……これ、誰が考えたの?」

「さあ? 少なくとも僕じゃない。多分だけど、うちの寮の上級生の誰かだと思うね」

 

 そう言ってマルフォイは肩を竦めるけれど、もしもこれがバレたら初めに考えた人も実行した人もハリーさんからお仕置きと言うか何と言うか……とにかく、それなりの事をされるんじゃないかと思うんだけど……大丈夫なのかな?

 

 ……ちなみに、次見た時にはロンとハーマイオニーはともかくとしてハリーさんまでこのバッジを付けていたことから、もしかしたらこのバッジの制作者はハリーさんなんじゃないかと考えもした。

 それに、ハリーさんのバッジだけは胸に押し付けても【 ハリーさん、自重 】に変わらなかったし、その可能性は十分にあると思った。

 まあ、だから何が変わると言うわけでもなく、私はいつもと同じようにスリザリンの生徒と一緒に地下牢教室で魔法薬を煎じる作業に入った。私はどうやらそれなりに魔法薬には才能があると言うことで、スネイプ先生からも色々な魔法薬の裏技のようなものを教えてもらっているのでこのくらいの解毒剤だったら十分に作ることができる。

 ……本当に、真面目に授業を受けていてよかったと何度思ったか。

 

 と、そこで邪魔が入ってしまった。私より一学年年下のコリン・クリービーが、私とハリーさんを呼びに来てしまったのだ。

『魔法薬学』は私の好きな授業の一つ。だからあと一時間、しっかり受けてから行きたかったのだけど……バグマンさんが呼んでいると言うのだから仕方がない。私は官権にはあまり逆らいたくない、言わば事なかれ主義の人間だから。

 

 仕方無く大鍋や鞄を纏めて教室の外に出る。写真を撮るとコリンは言っていたけれど、わざわざこんな時間に集まってからやることが写真を撮るだけな訳がない。きっと他にも色々とやることがあるはずだ。

 

「……ところで娘っ子。杖は磨いてるか?」

「え? あ、まあ、月に一度くらいは……」

「そうか。俺より大分高頻度だな」

「ハリーさんの場合は使う杖の数が凄いからしょうがないんじゃないですか?」

「わあ、そうなんですか!?」

 

 コリンがはしゃいだように私達の会話に混ざってくる。コリンのことは嫌いではないけれど、やや苦手な部類に入ってしまうからあまり話をしない分、ここで話をしておきたいと言うことらしい。

 ……それにしても、コリンも大きくなったよね。初めて会った時には私よりちょっと……ちょっと!高いくらいの背だったのに、いつの間にか『ちょっと』とは言えない差がついてしまった。

 ……うん、悲しい。ハリーさんの胃薬のお陰で歳を取りにくくなってるから仕方無いって言うのはわからなくもないんだけれど、それでもやっぱり悲しい。

 私の身長は101.2センチ。入学当時より2センチくらい伸びてはいるけれど、それでも同年代の人よりずっと背は低い。理解はしているけれど、やっぱりここまで低いのはちょっと……。

 

 そうこうしている間に、指定の教室に到着した。コリンに別れを告げてからドアをノックして中に入る。

 そこは狭い教室だった。昔は居残り授業にでも使われていたのかもしれないけれど、少なくとも私は今まで入ったこともなければ使ったこともない。

 既にクラムとフラーは中に居て、どちらも話すことなく手持ち無沙汰にしていた。

 けれど、見たこともない人が二人、その部屋の中に居た。一人は恐らく日刊予言者新聞のカメラマンで、煙臭いカメラを首から下げている。そしてもう一人は……何と言うか、凄くちぐはぐな格好をした女の人。なんだか凄く……関わり合いになりたくない空気を纏っている。

 

「遅くなった。待たせてしまったようだ」

「いやいや!構わないよオライムレイ君。それに、君達が最後ではなく後から他の審査員達も来るはずだからね」

 

 ハリーさんがのんびりと言うと、バグマンさんがそう返す。どうやらこの二人はそこまで険悪な様子ではないので、バグマンさんはどちらかと言うと味方に入るらしい。

 

「ああ、何も心配することはないよ。ちょっとした『杖調べ』の儀式なんだから」

「杖調べ?」

「君達の杖が万全の機能を備えているかどうかを調べるのだよ。杖はこれからの課題において最も重要な道具なんでね」

 

 ……だったら、多分大丈夫だろうと思う。確かめてもらうだけならそう時間を取られることもないだろうし、なにか大変なことになるわけも……無いよね?

 ……こう言うことを考えると、いつもなにかしらの事件や不具合が起きちゃったりするんだよね。ハリーさん曰く『フラグ』って言うらしいけど、そんなものはあんまり欲しくないのになぁ……。

 

「ところで、儀式が始まる前にエリーとちょっとお話ししていいかしら?」

「え、ごめんなさい嫌です」

 

 私からの即座の否定に、その人は一瞬固まったけれど……まるでそんなものは聞かなかったとでも言うかのようにバグマンさんに言葉を向けた。

 

「あー、彼女がいいと言うのなら……」

「絶対嫌ですけど」

 

 とりあえずまた叩き切っておいた。さっきバグマンさんが呼んだ名前から考えて、この人はあのリータ・スキーター。こう言う機会を与えたが最後、間違いなくあること無いこと書き連ねて色々と謗りに来るに違いない。

 別に言われたところでなんとも思わないけれど、言われた方がいいかそうでないかと言えば間違いなく言われない方がいい。

 

 そんなわけで私は、リータの度重なるお願いを全力ではねのけながら儀式が始まるのを待っていたのだった。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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