ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ハリーさんになでなでされながら焼おにぎりをパクついていたら、なぜか私も三大魔法学校対抗試合に参加することが決定していた。参加する気は全く無かったのだけれど、魔法契約がどうとか言うので強制参加になるらしい。

 ハリーさんになんとかならないか聞いてみたら、なんとかするだけならできるがかわりに別の参加者を選ぶ必要があり、しかもそれはハリーさんにある程度近い存在でなければ結びつけることができずに魔法契約が破綻して色々と大変なことになると言うことだったので諦めざるを得なかった。

 ちなみに、もっと簡単な方法に私の名前を変えてしまえばいいと言う話もあったけれど、魔法界において名前と言うものは非常に重要なものだからと却下されてしまった。命と名前だったら命の方が大切だから、今回に限って変えてしまってもいい気がするのだけれど……駄目なのかな?

 それに、三大魔法学校対抗試合が終わるまで名前を変えておいて、試合が終わったらすぐに元の名前に戻すようにしてしまえばなにも問題は無いような気がするんだけれど、魔法使いの常識って言うのはよくわからない。

 

 まあ、そんな訳で私も参加することになったのだけれど、今からでもとにかく魔法を覚えようと思う。いったいどんな試練があるのかはわからないけれど、とにかく自分の命を守るためにできることはなんでもしよう。

 ……ハリーさんに聞けば試練の内容はわかると思うし、生き延びるだけなら……まあ、できるよね?

 

「……と言うか、毎回即座に棄権しちゃえばそれでいいんじゃないの? 全力で試練に取り組むことを義務付けられてるんだから、全力で試練を棄権することに取り組めば契約も守りつつ安全も確保できて万歳じゃ?」

「確認したが無理なんだと。昔に冷やかしで参加して同じことをやる奴が居たらしく、それについての対策もバッチリなんだとさ」

「……ハリーさん、なんとかなりません? せめて第一の課題の内容とか……」

 

 そこまで言った直後、私はハリーさんに頭を撫でられた。

 

「安心しろ。課題の内容から娘っ子にできる最善の策まで用意してやる」

「ハリーさん……ありがとうございます(結婚してください)

「やっぱり自力でやってもらっていいか?」

「ごめんなさい!でも結婚はしたいです!愛人でもペットでもOKですけどとりあえず助けてください!」

 

 無表情なハリーさんに言われると、それが本気か冗談かわからなくなってくるから困る。多分冗談だろうとは思っても、もしかしたら本当かもしれないと思わされてしまうそのハリーさんの表情と雰囲気では、やっぱり冗談かどうかの区別が完全につけられるようになるまでは乗らない方がいいだろう。

 

 ……この表情を浮かべたハリーさんは、迷うことなく他人の傷を抉って塩と唐辛子を混ぜ合わせた軟膏をたっぷりと刷り込んだ挙げ句に別のところに同じような傷をつけてそのまま去っていくような鬼畜外道でもやらないような事を平然とやっていく。

 先程のカルカロフが騒いだ時に、何かを耳元で囁いて杖先を腕に押し付けただけでカルカロフを恐怖から半狂乱にさせた事や、マダム・マクシームの耳元で何かを囁いただけでマクシームの顔色が目に見えるほどの急変を起こした上で文句ばかりを垂れ流していた口を全て閉じさせたことからもその事がわかるだろうけれど、私に言えることは一つだけ。

 この表情を浮かべたハリーさんに逆らったり、必要以上に騒がしくしてはいけない。ただ、それだけだ。

 

 ……ところで、ハリーさんはカルカロフにいったい何をやったんだろうか? あんな風に半狂乱になるような呪文でも使ったのかな?

 

 

 

 

 

 side ハリー

 

 つい、あまりにも五月蝿かったのでやってしまった。俺の左手に僅かにこびりついているお辞儀さんの力で、カリカリロースの腕に浮き出てきている筈の『闇の印』を熱くさせてしまった。

 あくまでもカリカリロースの物だけ熱くしたので他の死喰い人は感付かなかっただろうが、その時にカリカリロースの耳元で囁いた言葉がちょっと余計だったかもしれない。

 

『俺様は、見ているぞ』

 

 ただそう言っただけだと言うのに、臆病なカリカリロースは恐怖の表情を浮かべて俺の事を見てきた。

 その愕然とした表情のカリカリロースに向けて、にっこりと優しい笑顔を浮かべたところで……何故かカリカリロースは発狂したかのような行動をとりはじめた。

 魔法学校の校長ともあろう者が、たかが一魔法学校生徒に笑顔を向けられて声をかけられただけで半狂乱になってしまうとは、本当にどうなっているんだろうか? ダームストラングはこんなのが校長で本当に大丈夫か心配になったが、まあ別にどうでもいい。

 ただ、半狂乱になっていたのを起こしてからいくら不満があろうともちゃんと(●●●●)採点をしてくれると嬉しいという事を伝え、それからマクシームの所に行ってちょっとしたお願いをしただけだというのに、何故か……そう、何故か、娘っ子だけでなく他校の生徒にまで畏怖と恐怖と理解できないものを見るような視線を向けられた。

 なんと、あの『アラスター・ムーディ』にも同じような視線を向けられたと言うのだから、よほど俺はやばい顔をしていたのだろう。

 こっちの世界に来てから目を開けていない分恐怖効果は少ないはずだし、殺しも発狂させもしていないのたからそんな目で見られるようなことはないと思うんだが……やっぱり何故かそんな目をされる。

 

 ……まあ、いい。今はそんなことよりもずっと大切なことがある。娘っ子に課題の内容とその対策方法を教え、実行できるように練習させ、足りないものがあれば用意する術を教えてやらなければならない。

 ただ、ルールとして俺が直接手を貸すわけには行かないので、俺がするのはあくまでも独り言。ハー子とロニー坊やとフォイとクラッブラーとゴリルが直接の手助けをしてやればいい。

 で、俺は俺でやることを先にやっておく。今年から数年は、忙しいことになるだろうな。

 だが、それが終わればもう後は殆ど大きな事件などは起きない。残党など出さないほど綺麗に、完璧に、完全に、汚いものや必要ない物、面倒なものを全部まとめてさっぱりとさせてやるさ。

 遣り甲斐はあるだろうが、多分誰も認めない俺の功績の一つとして覚えておくとしよう。

 

 ああ、実に忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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