ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 朝起きたら、ハリーさんは平然と年齢線を踏み越えて炎のゴブレットに名前を入れていた。その時、隣に居たのは多分十年くらい若返っているのだろうマルフォイで、ハリーさんの持っていたダガーで指先を軽く刺された直後に元に戻っていた。

 ハリーさんの持っている短剣は『クロム・クレイドル・トゥ・グレイヴ』と言う名前で、刺した相手と使用者との間で年齢のやり取りができるようになると言う効果を持った道具らしく、それを使って一時的に実際に十七歳以上になったから普通に年齢線を抜けられたのだとか。

 さらに、一回一クヌートで様々な人に年齢を移しては次々に炎のゴブレットに名前を入れさせ、それからまた次の人へと年齢を移していく。殆ど労力を使わずに、ほんの僅かにではあるけれど多くの人からお金を貰っていくと言うのは実にハリーさんらしい手だ。

 しかも、それをダンブルドア先生の目の前でやることで物凄い勢いで胃袋のライフを削っていっていると言うのもまたハリーさんらしい。なんだかダンブルドア先生の頭の上にいくつかゲージが見えて、そのうちの一つがガリガリと削られていっているように見えるのは気のせいじゃないだろうと思う。

 ……とりあえず、私は一度寮の自室に戻ってハリーさんからもらった胃薬の旧型の方を持ち出す。新型の方が効果は高いし副作用も小さいのだけど、かわりに普通の時のはともかく身体に合わなかった時の副作用が酷すぎるから他人に薦めることは流石にできない。

 そう言うわけでダンブルドア先生がお腹を押さえながら踞っている所に、『アグアメンティ』で出した水を入れたコップと一緒に胃薬を持っていった。ダンブルドア先生はその胃薬を飲んだらたちまち元気になったけれど、あんまり飲みすぎると不老不死になってしまうからやめた方がいいと言う話をしたらまた一瞬眉をひそめてお腹に手を当てようとした。きっとまた一瞬お腹が痛んだところで即座に胃薬の効果で癒されてしまったのだろうと思う。

 

 そこで、ハリーさんのダガーの力を借りずに年齢線を越えようとしたフレッドとジョージの二人が年齢線から弾き飛ばされた。ハリーさんなら年齢線を無効化してもおかしくないとは思っていたけれど、もしかしたらダンブルドア先生が年齢線を間違えたのかもしれないという考えもあったのが見事に粉砕された形になったわけだ。

 ダンブルドア先生はため息をつき、ハリーさんにこれ以上元々の年齢が十七歳を越えない人の参加を助長する行為を禁止させてからその場から去っていった。

 ダンブルドア先生の背中にはなんだか哀愁が漂っていたけれど……まあ、ハリーさんが炎のゴブレットに名前を入れた時点でホグワーツからの代表はハリーさんに決定したと言ってもいい状況にあるわけだし……納得も理解も十分にできる。

 それと、年齢線から弾き飛ばされて顔中髭と白髪だらけになっていたフレッドとジョージの二人はハリーさんの手で元の姿に戻っていた。

 その時に何か話をしていたようだったけれど、離れていたので何を話していたのかはわからなかった。唇と舌の動きから相手が何を言っているのかを理解するというマグルの技術があるそうだけれど、私はそんなことはできないのでその話について何かを知ることはできなかった。

 

 ……これが、今年を素直に楽しむことができた最後の日になるなんて、思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 side ハリー

 

 双子のウィーズリーの髭を消し、幾つかの魔法薬の材料を三年ほど格安で融通してやることで二人から『忍びの地図』を買い取った。俺はホグワーツ中の気配を読むことくらいは余裕でできるが、その気配の相手の名前を知ることも、その気配の人間が元から化けていたりした場合には本人かどうかの区別がつかない。

 そこで、ホグワーツ内限定ではあるがどこに誰が居るのかを一目で見通すことができるこの地図があれば……まあ、マッド・アイが本人かどうかの確認ができる。

 

 まず、俺は誰も来ない場所を選んでそこに陣取り、古びた羊皮紙に見えるその地図を杖で軽く叩く。叩く杖は柊と不死鳥の尾羽根を使った『ハリー・ポッター』の杖だが、俺の杖でやったらまた何か妙な反応が起きるんじゃないかと若干不安になったせいだったりする。

 そうして出てきた地図を確認する前に、自前で気配察知をして狙いの人間がどこにいるかを把握する。この時、俺の杖の芯の一つであるののちゃんの髪から流れ込んでくる力を響かせる事で正確さと感知範囲が広がるが、今回は広くある必要はそこまで無いので正確さだけを借りた。

 そうして狙った奴がどこにいるかを確認した後、その場所を地図で見てみれば……そこにあったのは『バーテミウス・クラウチ』の文字。そして同じ文字が全く別のところにも同時に存在している。

 俺は地図を閉じて、ニヤリと笑う。確証を得るのは大分遅くなったが、これで実際に行動に移すことができる。

 ただ、炎のゴブレットは昨日の夜からあの場所に置かれている。つまり、娘っ子……エリーが対抗試合に参加する可能性は非常に高くなったと言っていい。これを何とかするなら、それなりの立場に居る奴の協力が必要だ。例えば……原作のようにマッド・アイに化け続けていた誰かさんとかの……な。

 あれは最後の最後まで娘っ子が有利になるように動く。お辞儀さんに娘っ子を殺すことを許可されていないし、そのお辞儀さんが完全に復活するには娘っ子の血が必要だ。

 そこで、それを利用する。要するに最後の最後に俺が一位になってしまえばいいのだから、それまでは娘っ子を守らなければならないムーディに任せればいい。

 

 ……そう言えば、もっと簡単な確認の仕方があったな。

 傷だらけの顔を思い浮かべ、俺はそいつの名を呼んだ。

 

「アラスター・ムーディ」

 

 ……確定だ。あいつの使っている名は偽名。そうでなければこんな長い名前を一発で呼べるわけがないからな。

 それと、第一・第二の課題は変わらないはずだ。第三の課題はどうなるかまだわからないが、多分原作と同じだろう。初めのドラゴンと、次の湖。いったいどうやって攻略してやるとするか……正直、楽しみになってきている。

 

 ①、三分クッキング~美味しいドラゴン親子丼の作り方~

 ②、世の中金だ!金なんだよぉ!~バラして売れるところは売ってしまおう~

 ③、とりあえず殴る~我が世界最強である~

 ④、慈愛に満ちた解決を~慈愛? 自愛の間違いだろ?~

 ⑤、めんどくさいなぁ~即死の魔眼のお披露目~

 

 ……どうするかねぇ……?

 

 

 

 

 




 

※最後のはアンケートではありません。何番とか送られてきても困ります。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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