ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
フランスの物らしいブイヤベースと言う貝類が沢山入ったシチューのような料理に、ドイツの物らしいシュニッツェルと言うらしい子牛のだと言う肉料理。食べたこともないような色々な料理を、私はパクパクと食べていく。
最近、また食べられる量が増えたにも関わらず背も体重も胸もお尻も全然大きくならないし増えないのでちょっと悲しくはあるのだけれど、これもきっとハリーさんの胃薬のせいだろう。
一部の人達は私が明らかに体格に見合わない量の料理を食べている事に驚いているようだったけれど、ホグワーツ歴の長い人達はあきれたように苦笑するばかりで驚いたような表情を見せることは無かった。
「……エリー。貴女、その体格でよくそんなに食べられるわよね?」
「むぐんぐ……んくっ……ぷは……うん。私もちょっとびっくりしてる。食べた分はどこに行ってるんだろうね?」
「背じゃないことは確定ね」
「泣くよ?」
「胸じゃないことも確定ね」
「ほんとに泣くよ!?」
「魔力の方に行ってるんじゃないの?」
「突然真面目に返ってきた!?」
でも、魔力の方かぁ……食べれば食べるだけ強くなれるってことだよね?
だったら嬉しいんだけど……本当にそうなのかな? こう言う時にはハリーさんに聞いてみよう。
「ハリーさん、質問があるんですけど……」
「お前はおよそ食べることに特化してるから、下手物だろうが美味いものだろうが毒物だろうが関係無しに、何でも食って消化できるぞ。食った分は……魔力とスタミナだな。ドラクエで言うとMPじゃなくて攻撃魔力と回復魔力、ついでにモンハンのスタミナみたいなもんだ」
「聞き終わってないのに何でわかったんですか?」
「ハー子との話を聞いてればわかるだろ。いいから今は食べとけ」
「はーい」
私はまた食事を再開する。ハリーさんのように高速じゃないし、ハリーさんほど多くは食べられないけれど、マイペースに食べたいものを選んで食べられるだけ食べていく。
……やっぱり、ホグワーツのご飯は美味しいなぁ……こう言う祝いの席に出てくるご馳走は、慣れてしまっているようで未だに慣れない。一口目でお腹がびっくりするような事はなくなったけれど、それでも幸せだと言う気持ちは失われていない。
皆普段から食べ慣れたものにばかり手をつけていて、外国の料理には誰かが手をつけて好評になってからしか食べないようなので、私がその先頭に立つ。私が食べては頬を綻ばせているのを見て、それでロンや他のグリフィンドール生も食べ始めている。
暫く食べたところでお皿に残った料理が消えて、それから今度はデザートが現れる。どこかで見たことがあるような気がする……と言う程度のマイナーなデザートもあれば、定番と言われるほど有名なデザートも、恐らく外国の物だろうと思われる見たこともないデザートも勢揃いしている。
ハリーさん曰く、人間の身体と言うものは好きなものを見付けると胃が広がってもっと入るようになると言う。私はお腹一杯とは言えない状態ではあったけれどそれなりに食べた筈のお腹に、また次々とデザートを流し込んでいく。
流し込むとは言っても、勿論ちゃんと噛んで味わってから飲み込んでゆっくりと食べてはいるのだけれど……なぜか、こうしてお菓子を食べている間は周りの人の動きが遅くなっているように見えるし、人の声も低く聞こえてしまう。
なぜかはわからないけれど、みんながゆっくりしているうちにささっと集めて食べることができるので幸せではある。
食べたことのあるデザートも食べたことのなかったデザートも美味しかった。そう思って目を閉じてからゆっくり開くと、奇妙にゆっくりになっていた周りの動きも低くなっていた音も元の通りに戻る。いつも通りの楽しい宴だった。
そこでようやく、職員用のテーブルに新しく人が増えていたのを確認できた。新しく入ってきていたのは二人。一人は元有名クィディッチ選手だったと言うルード・バグマン。もう一人はパーシーの上司だと言っていた筈のバーティ・クラウチ。
……多分、今回の三大魔法学校対抗試合を成立させたのはこの二人なんだろう。
クラウチさんは国際魔法協力部と言う、異なる国同士の間で条件やら何やらの擦り合わせを行う部の部長であり、バグマンさんは魔法ゲーム・スポーツ部の部長。三大魔法学校対抗試合をスポーツの一種と考えれば、間違いなくこの二人の協力は必要となるだろう。
パーシーの言っていた『クラウチさんは忙しい』と言うのも、きっと三大魔法学校対抗試合を成立させるための条件の落とし所を模索するのに忙しかったりしたのだろう。
……まあ、さっきも言った通り、そんなものはどうでもいい。私は参加しないし、参加したところで勝ち抜けるとは思わない。死人が多数出たと言われるような大会なんて、例え賞金一千ガリオンが一億ガリオンだったとしても参加する気は全く無い。
私は是非ともロンかマルフォイに頑張ってもらって、優勝杯を得たどちらかがハーマイオニーに告白でもしてくれないかなと思っているんだけれど……やっぱりダンブルドア先生の引いた年齢線があるならちょっと難しいかもしれない。
でも、ここまではハリーさんが話しておいてくれた通りのもの。年齢線を抜くやり方も、ハリーさんが教えてくれた。きっと今日はハリーさんの所にお願いしに来る人が沢山いるだろう。
……魔法を使って浮かせて入れてしまえばいいような気もするけれど、きっとそれはダンブルドア先生の魔法で弾かれてしまうだろう。だからハリーさんはあえて魔法を使わないやり方を提示したに違いない。
ハリーさんの場合、年齢線を蹴破って普通に入って普通に入れて普通に出てきそうだし、一般人向けのやり方として教えてくれたと言うことで間違ってはいないだろう。
「……あるいは『呼び寄せ呪文』や『追い払い呪文』でゴブレットの方を年齢線から出してから入れるとかな」
「ハリーさんってそう言うルールの隙間を縫うと言うか、誰も思い付かないからこそルールブックに反則として乗っていないようなことを平然と思い付いて実行しますよね」
「いやいや、本当にやるんだったらバレないようにあの箱の中に入っている間に箱をすり抜けて入れとくよ」
「ゴーストか何かですか」
「確かにあの炎で牛とか焼いたら美味そうだよな」
「ローストじゃなくて」
「朝御飯はこれにバターを塗って……」
「トーストでもなく」
「最大級の」
「
「役職のことか」
「それはポスト!」
「プロレス技でそう言う蟹が……」
「それはボストン!」
「冗談だよ」
ハリーさんははははと笑う。なんだか凄く疲れたよ……。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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金色のガッシュ
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