ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
マルフォイが意識を取り戻したお陰で窮地を脱したハーマイオニーと一緒に大広間に行く。いつもよりも疲れたように見えるダンブルドア先生と、なぜか大広間の入り口で十字架にかけられて煙をあげているピーブス、それに何故か先に来て座っているハリーさんの姿が。
……ニックに話を聞いてみたところ、どうやらハリーさんは少し怒っていたようで……ポルターガイストで触れられないはずのピーブスを素手で掴んで眼球部分に豆をひたすら詰め込んでいったらしい。
なんで豆かと思って見ていたら、豆が触れる度にピーブスから煙が上がっていくのを見てゴースト達がなんとか救ったらしい。豆には邪気払いの効果があるそうで、邪気だらけのピーブスが触れると邪気が払われて綺麗だけど小さなピーブスに変わる……と、ハリーさんは言っていたそうだ。
……綺麗なピーブスかぁ……ちょっと想像つかないかなぁ……。どのくらい想像つかないかって言うと、ハリーさんがなんの裏もなく人を助けるためだけに行動している姿を見たって言う噂とか、リータ・スキーターって言う人の書いた記事の信憑性くらい。
そんな風に、去年少し我慢したらしい分を発散するために色々と動き回っているらしいハリーさんの行動の結果をスルーして、グリフィンドール用の席についた。
いつもと同じように私とハリーさんのところにお皿が多いのだけれど、今年は何故か例年よりも更に多くなっているように見える。気のせいではないようだけれど……いったいどうしてだろう?
「……ハリーさん。どうしてかわかりますか?」
「皿が多い理由か?」
主語が無い問いかけだったのに、何故かすぐに理解してくれたハリーさんはなんでもないように答えてくれた。
「ちょっと暴れまわっていたピーブスをボコったら礼を言われたから、礼をするなら俺を中心とした場所にいつもより多目に料理を出してくれるように頼んどいた結果がこれだ」
「ハリーさんはいつ学校についたんですか」
「三時間前だな」
「汽車が駅に着いたのが一時間前だと思うんですけど!? 一緒にいましたよね!?」
「そうだな、プロテインだな」
「聞いてくださいよ!?」
「何を? フォイの歌うフォフォフォフォイ音頭の曲か?」
「……ちょっと見てみたい気もしますけど違います!」
「じゃあハーマライデンの
「私もよく聞かされてますけど、今は違います!」
「じゃあ、世界で初めて人間に殴られたポルターガイストの断末魔の悲鳴でも……」
「やめてあげてください死んでしまいます」
「死んでる奴はもう死なない。ただ消滅するだけだ」
「何の違いが!?」
「ゴーストやリッチやゾンビやら何やらに成る可能性があるか無いか……あるいは即座に消滅することが決まっているか否か、って所だな」
「ピーブスは……」
「消滅する方だな」
「やめてあげてください」
「だいぶ娘っ子もからかったし、いいよ」
「……嬉しいような、嬉しくないような……微妙な気持ちです。凄く」
やめてもらえたのは嬉しいけれど、それが私がからかわれたからだって言うのは……ちょっと……。
「微妙って言う気持ちがなくなるほどからかってから決めた方がよかったか? だったらそのリクエストに応えて……」
「わーいやめてもらってうれしいなー!」
藪をつついて蛇を出してしまったので、出てきた蛇にお帰りいただいた。ハリーさんはにこにこ笑いながら私のことを眺めているけれど、私としては全身から冷や汗がすごいことになっているような感覚だ。
そこで、ようやく一年生達の組分けの儀式が始まった。マクゴナガル先生が長い羊皮紙を持って、そこに書かれた名前をアルファベット順に読み上げて一年生たちを呼んでいる。
そして呼ばれた一年生達は次々に前へと進み出ては古ぼけた組分け帽子を被り、自分達の入るべき寮に振り分けられていく。
「あれを見て『卵の大きさ分けみたいだな』と思うのはおかしいことではないだろうと思いたい」
「『魔法使いの卵』って言う意味だったら間違ってない気がしますけどね。分けるのは大きさ別じゃなくって産まれてくるもの別みたいですけど」
「……娘っ子、上手いこと言うようになったなぁ……」
「ハリーさんの言葉遊びに付き合っていたら、大体どんな人でもこんな風になっちゃいますよ」
「……そう言えば、ヒナちゃんやなのちゃんみたいな純粋系の子にはよく染みてたな」
……………………。
「……ハリーさん?」
「おや、娘っ子が何故か悪鬼のような羅刹のような修羅のような夜叉のような仁王のような明王のような鬼神のようなやけに恐ろしい顔をしている。いったいこの十秒にも満たないような短い時間に娘っ子に何があったのだろうか。普通で普通な一般的魔法使いたる俺には理解できないな」
「ヒィ!?」
何故か私の表情を見たロンが悲鳴をあげた。まるでヴォルデモートの名前を聞いてしまったかのような恐怖の表情を浮かべているけれど、どうしてそんな表情をしているのだろうか? 私にはよくわからない。
「……ハリーさん。今言った二人って誰ですか」
「戦友と弟子だ。かつて世界を幻術に落とし込んで平和を実現しようとした馬鹿が居てな。そいつの作戦を読んで準備が整わない内に秘密基地を強襲して作戦の元になった二人のうち一人を一方的に殴り殺して必要だったもの全てに火をつけて使えなくして大爆笑しながら二人目の頭を掴んで持ち上げてその光景を見せつけてから握力だけで頭を握り潰したりした時に力を貸してくれた奴と、さみしんぼさんだった二歳だか三歳だかの頃に音楽家として接触した結果何故か弟子になった奴だ」
「……それだけですか?」
「……知り合いだ、と追加しろと?」
「…………いえ、なんでもないです」
ハリーさんの表情には不思議そうな物しか浮かんでいなかった。いったいいつの話だとか、世界全てを幻術の中に落とすとかどれだけぶっ飛んでるんだとか、色々と言いたいことはあったけれど……ハリーさんだし、何があっても「不思議なこともあるんだね」で終わっちゃうし、その辺りは気にしないようにしよう。疲れるし。
と、ちょうどそこで組分けの儀式が終わり、ダンブルドア先生が二言三言の挨拶を終わらせてからご飯の時間になった。
それじゃあ……いただきます。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き