ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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エリー・ポッターといともたやすく行われたえげつない勝利
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 side エリー・ポッター

 

 シリウスおじさんに連れられてやってきたのは、私達二人が住むには大分大きい一軒家。ここが、新しい私の家になるらしい。

 ただ、シリウスおじさんは掃除と洗濯はともかく料理はできないそうなので、色々なところから買ってくるか私が作るかのどちらかになりそうだ。

 それに、収入が無いのは痛い。今はシリウスおじさんが持っているグリンゴッツの金庫にたくさんお金があるそうだし、ついでに魔法省からの慰謝料や示談金が沢山入ってきたから暫くは平気なんだろうけど、お金は使い続けていれば必ず無くなるものだ。無くなる前に供給していかないとね。

 ……シリウスおじさんは魔法省の間違いとはいえ何年も犯罪者として扱われ、凄く有名になってしまったのだから働き口が見つかるかどうかわからないけれど、糊口を凌ぐために魔法省からの慰謝料が出てるんだからそれがなくなるまでには……多分見つかる筈だ。

 ただ、シリウスおじさんはずっとアズカバンにいたせいで最近の事をあまり知らない。その辺りの事もちゃんと考えておかないと、働き口はもしかしたら見付からないかもしれない。

 ……そんなこと、考えたくもないけどね。名付け親がニートで犬で家事とか一切できないなんて、ちょっとどころじゃなく困ってしまう。

 やっぱりこのご時世、たとえ男の人でも料理くらいはできないとね。生活できるだけの収入と、一緒に居て苦痛に思わない程度の優しさがあれば間違いなく優良物件。ハリーさんは……優良なんだろうけど、あの人をからかう癖がなぁ……。

 実のところシリウスおじさんもハリーさんにからかわれたそうだし、シリウスおじさんが去年グリフィンドールの寮に入り込んだときに連れ出してダンブルドア先生のいる校長室に行くまでかなりもふもふされた上に初めて呼ばれた時の呼び名が『レグルスだったかプロキオンだったかペテルギウスだったか忘れたけどなんか星の名前と、グレーだったかブルーだったか忘れたけど色の名字を持つナイスミドル(笑)(かっこわらいかっことじる)』だったそうだし、その時ダンブルドア先生に『若かりし頃に妹のパンツを盗んで頭から被って変態仮面ごっこに興じていたと言う噂がたつかもしれない校長先生』って呼んで社会的にやばい噂をたてようとしたり、どこからか『罪袋』と呼ばれる集団を呼び出して何かの作業をさせていたり(ホグワーツの制服を着ていた。寮を見分けるバッジだけはどこにも無かったので誰かはわからないけど、よくあんな袋を被って細かい作業ができるなと感心してしまったそうだ)、スネイプ先生に『真実薬』を用意してもらって魔法省の人の立ち合いの元で初恋の相手の名前を答えさせられてしまったり(その時の記録は魔法省に三十年は記録されてしまうそうだ)……まあ、とにかく色々とやられてしまったらしい。

 それと、ハリーさんは私のお父さん……ジェームズ・ポッターにそっくりだったらしい。ただ、お父さんよりも大分底意地が悪くて性格が悪くてやってることが悪辣で、悪戯をするときには味方に入れておいた方がいいと言う話だった。

 

 さて、シリウスおじさんがハリーさんにいいように弄ばれて弱味を握られてしまったことはどこかその辺にでも置いておくとして、今は簡単な引っ越しをしよう。

 私がホグワーツにいる間にシリウスおじさんが色々な物を一通り揃えておいてくれたけれど、流石に私の使う下着や服の一部は用意できていなかったようだから新しく買いに行くか、あるいはまだまだ着れるのを繕って使うか……。

 ……もう五年くらい同じのを使うことになるんだよね。確かにまだまだ着れるけど、流石に全体的に生地が薄くなってきてるのをどうにかしておきたい。どうしても無理そうならある程度の大きさに切り揃えて雑巾として活用してからどうしようもなくなったところで捨てることを考えることになるのかな?

 

「……エリー。服くらい買う金はある。買いなさい」

「まだ使えるのにもったいないじゃないですか」

「いいから」

 

 シリウスおじさんに怒られてしまった。正確には怒っているわけではなさそうだけれど、なんだか不憫なものを見る目で見られてしまった。

 でもまあ、使い古しの服の未来なんて、再利用する以外には古着屋に持っていくかお下がりか捨てるかしか無いと思う。けれど古着屋に持っていくにはあまりにもボロボロすぎるし、お下がりする相手もいない。捨てるのはあまりなももったいない。

 だったらもう再利用するしかない。それしか道がないんだったら、その道を進むしか無い筈だ。誰だってそうするだろう。私だってそうする。

 ……ハリーさんだったら新しく道を作ったりするんだろうけどね。例えば錬金術の材料にして何か凄い服を作ったりとか、錬金術の材料にしてなにか凄い鎧を作ったりとか、襤褸布からなぜか黄金○衣(ゴールド○ロス)を作り上げたりとか、そんなことを平気でやってしまいそうな気がする。きっと気のせいなんだろうけど、ハリーさんが今までやって来たことを考えれば何にも疑問に思わないからある意味凄い。

 具体的には石ころと草と水で真っ赤な賢者の石を作ったり、凄く固い金属と銀色の丸い宝石みたいなものとなにかの蜜を入れて青っぽい別の賢者の石を作ったり、人間を含んだ動物の魂のエネルギーを凝縮して作り上げたと言う間違いなく違法にして外法にして禁忌な作り方で賢者の石を作ったりしたんだよね。

 まあ、最後のは流石に生きている人間の魂を使っちゃうとまずいからって言う理由で、死者の魂を使ったらしいんだけどね。吸魂鬼の腹を手刀で捌いて引きずり出して使ったんだって。全部罪人かそれ未満の魂だから使うのに躊躇いなんて生まれなかったそうだ。

 

 ……さてと。それじゃあハリーさんが私の使い古しのシャツを手に入れたらそれを材料にいったいどんなものを作るかの考察なんていう何の役にも立たない考えはどこかその辺りに放置しておくことにして、シリウスおじさんと一緒に新しい服を買いに行こう。もう丸三年は使っているし、そろそろ薄くなりすぎて大変なことになっているし。

 どのくらい薄くなっているかって言うと、夜寝るときに着ていても違和感を感じないレベルだね。一ヶ所も破れていないのにこの薄さって言うのは逆にびっくりした。

 

「……それじゃあ、買いに行きましょう」

「ああ。いい店を知っているから付いてきてくれ」

「安くて丈夫であればいいんですけど……」

「少々高いが、丈夫だ。最近できた店で、『万屋オリノ』と言う店なんだが……値段に比べて品質がかなりいい。確かに多少値は張るが、それだけの価値はある」

 

 シリウスおじさんの言葉を信じて、私は買い物に出るのだった。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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