ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 シリウスさんとスネイプ先生が険悪です。誰かなんとかしてください。

 

「なんとかしようか?」

「ハリーさんはなにもしないでいてください」

「肋骨の隙間に抜手を入れて肺を強打して気絶させてから服を剥いて半裸にして同じベッドに放り込んで愛の妙薬を飲ませてやるだけでみんな仲良し!」

「ダメな仲良しですよそれ!? と言うか気絶が前提ってなんでハリーさんはいつもいつもそう荒っぽいんですか!?」

「……荒いか?」

「自覚なし!?」

「…………ああ、確かに薬を使うのは荒っぽいかもな。魔法でいこう」

「過程が違うだけで結局やってることの荒っぽさは大して変わらないですよ!?」

「じゃあ気絶させてからゆっくりせぶぶぶとゆっくりしりうちゅにしてやるから……」

「薬から離れましょう!?」

「安心しろ、人をゆっくりにするくらいなら薬などを使わずとも魔法でイケる」

「魔法もダメです!」

「……仕方無いな。じゃあ物理的に骨と肉の形を変えて薬を使わない科学的な方法で洗脳してゆっくりにするか」

「だからって科学に走ってまで人をゆっくりにしようとしないでくださいよ!?」

「薬も駄目、魔法も駄目、科学や物理的な方法も駄目となると……魔法以外の世界干渉系ならイケるか?」

「まず人をゆっくりにするところから離れてくださいよぉ!」

 

 ハリーさんは自重すると言っていたはずなのに、なぜか全く欠片もほんの僅かも自重が見られない。もしもこれで自重していると言うのなら、来年以降が怖すぎる。

 

「人の喧嘩を止めるには、そいつらを人じゃなくしてやればいい。『人』の喧嘩じゃなくなるからな」

「だからってゆっくりは無いでしょう!?」

「じゃあ人狼と吸血鬼にでもするか?」

「なんでそういうライバル関係にある存在に変えようとするんですかねぇ!?」

「暇だから」

「暇だから!?」

 

 暇だから人を人外にするとか、ハリーさんマジ鬼畜。もしかしたら私もそのうち人外にさせられちゃったりするのかな……?

 ……あれ? そう言えば私、賢者の石が入った胃薬をたっぷりと飲んじゃってるから、既に割と人外なんだっけ!最近怪我が治るのが妙に早いし、おかしいとは思ってたんだけどね!

 …………そっかぁ……私も人外かぁ……。

 

「……なに泣いてんだ? いい歳した大人が子供の前で自分の感情を抑えることもできない姿を見せられて悲しみのあまり涙が出てきてしまったとか、そんな感じか?」

「「ぐはぁぁぁっ!?」」

「ああっ!? スネイプ先生とシリウスさんが血を吐いて胸をかきむしって悶え苦しみ始めちゃった!?」

 

 片手で胸を押さえ、もう片方の手で床を引っ掻くようにして苦しむ二人に私とハリーさんは駆け寄っていく。

 ……ちょっと訂正。私は駆け寄ったけれど、ハリーさんはにっこりと笑顔を浮かべてゆっくり優雅にも思える足取りで二人に歩み寄っていった。

 そして手始めにスネイプ先生の傍らに座り込んで、耳元で何かを囁いた。

 

「……ねえねえ自分の惚れた相手の娘に情けない姿を見せちゃった今、どんな気持ち?」

「ぐはっ……」

「ああっ!? スネイプ先生の痙攣が止まって辺りが血の海にっ!? しっかりしてくださいスネイプ先生!」

「……リリー……僕を……見てくれ…………」

「私はエリーですよ!? スネイプ先生!? スネイプ先生ーっ!?」

 

 私がスネイプ先生を抱き起こしている間に、ハリーさんはシリウスさんに同じように近づいていって何かを囁いた。

 

「ねえねえ、親友の娘にまるで駄目なおじさん略してマダオ扱いされた今、どんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?」

「ぐばぁっ!?」

「ああっ!? シリウスさんまで!? ハリーさん!トドメをさして回らないで下さいよぉ!」

「大丈夫大丈夫、こいつらは10年以上も吸魂鬼と一緒にいて平気だったり、自分の心に嘘をつかないままに行動した結果絶望を味わっても必死に生き足掻こうとできるだけの心の強さを持った奴だからな。……言ってみれば、身体は人間心はフォイ、って感じだ」

「あ、だったら安心ですね」

「だろ?」

 

 ハリーさんはいつもの通りに両目を閉じたまま、私に悪戯っぽく笑いかけてきた。私はハリーさんのこういう笑顔はよく見るけれど……よくよく思い出してみれば、私の周りにいる年上の人って心からの笑顔を見せないことが割と多いことを思い出した。

 ダンブルドア先生は何かを裏に隠しているような、表面は綺麗に取り繕ってあるかわりに地面に映る影を繕うのを忘れて本当はちょっと悲しげだと言う感情を抑えきれずにいる笑顔を浮かべることが多いし、スネイプ先生は……なんと言うか、自分以外の自分に自分の身体を動かさせて笑っているような……そんな感じの笑顔を浮かべるし、ハリーさんは悪戯っぽく笑おうが邪悪に笑おうが面倒臭げに曖昧に笑おうが関係無く、いつでも本当は誰に構うこともなく寝たいと言う感情があるような気がする。

 ……お腹の中身真っ黒な人達ばっかりだ~。

 

「俺は中身だけじゃなく外身も割と黒いぞ?」

「……私、ちゃんと『閉心術』できてますよね?」

「校長は無理でもヴォルデモー太君くらいだったら違和感すら与えずに騙しきることができるくらいのをやってるな。俺は演技も地味になるのも見慣れてるからあんまり効果はないようだが……むしろ、なんでそこまでできるのか知りたいもんだ」

「……ダーズリー家で生活していた初めの頃に、叩かれたり蹴られたりしてるときだけ私の意識がふわっと浮いて、叩かれてる私や叩いてくるおばさんが他人みたいな感じに見えたことがあって……これが意識を割ることだろうと思ったから使ってるんです」

「OKよくわかった、それは分裂病のなり初めだな。よくもまあそうやって今も普通に会話できる状態にあるもんだ」

「……あの子が全部引き受けてくれましたから」

「おいそこの倒れた犬っころに似非蝙蝠。ちょっとこれからお礼参りに行くからついてこい」

「ああ、そうしよう」

「……今だけは手を組もう。……エリーのために」

「ああ、そうだな。……彼女のために」

「よくわからないけどやめてください怖いので」

 

 私がそう言ったら、どうしてかシリウスさんもスネイプ先生もさっきと同じように倒れてしまった。

 

「ねえねえお二人さんお二人さん、大事な大事な娘っ子に『怖いのでやめてください』って言われてどんな気持ち? 『怖い』って言われちゃってどんな気持ち? ねえどんな気持ち? 教えてよーねーえーねえってばー今どんな気持ちなのー?」

「ハリーさんはだからトドメを差さないでくださいにやにやしながら!?」

「色々文章がおかしいぞ?」

「色々行動がおかしいハリーさんに言われたくないです」

 

 まったくもう……。

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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