ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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ちょっとヴォルデモー太君に呪詛を送ってやってから暫くして、俺はちょっと色々と頑張った結果……原作よりも三年ほど早く大奥様とやらをお亡くなりあそばせることに成功した。

別に毒を盛ったり暗殺したりしたわけではなく、毎夜毎晩頭に直接『エクスカリバーの歌』を無限ループで流し続けただけなのだが……どうやらかなりのストレスになったらしくあっという間に衰弱して死んでしまった。

これで原作通りあの家はアズカバンにいる名付け親の物になったわけだが、大変なのはここからだ。話をしなくちゃならないのにその機会すら作れないってのは中々にきつい。正直、うちの妹君が五年生になるのを待って普通に話をすることができるようになるまで待つべきじゃないかと言う考えも出始めている。

 

……一回力任せに行ってみるか。アリス・イン・ワンダーランドを使って警報とかそう言う類いの物を一旦完全に無効化して、それから真正面から話をしに行く。

で、あのロケットがどう言うものかを伝えて、破壊するために何が必要になるのかを教えて……開け方どうしよう? 俺って蛇語話せるのか?

……まあいいや。あとで確認しよう。話せなかったら仕方無い、力技で砕くか斬魔剣・弐の太刀で中身だけ破壊するかだな。

話せるような気はするから多分大丈夫だと思うし、直感も百回やったら百回『大丈夫』っていう結果が出てるから心配はあんまりしてないけど。

 

よし、それじゃあ今日は蛇語を話せるかどうか確認して、ついでにアズカバンに色々と手を回しておこう。とりあえず何人か死喰い人を殺しておいて、未来でのヴォルデモー太君の手駒を減らしてしまおう。

相手の大駒は少なければ少ないほどいい。レストラン夫妻は確実に殺しておかないと後々面倒なことになったはずだし、しっかりと潰しておこう。

こんな時にこそルリヲヘッドが役に立つ。閉心術なんて一切無視して欲しい情報を抜き取れるし、被らせている間は相手を操ることだってできてしまう。超便利!

 

じゃあ、行くかね。アズカバン。

 

 

 

 

 

……ってわけで行ってきた。成果は上々だ。なにしろ死喰い人を含む魔法使い数千人分の杖と、様々な犯罪に必要な無数の技術、さらに色々とヤバい感じの後ろ暗い記憶の数々。魔法界ではかなりのお偉いさんだったり顔が効くらしい奴がやって来た犯罪の記憶と、その証拠の在処や作り方など……。

……俺、まだ三歳なんだけど……なんだか凄く汚れてしまったような気がするよ。三歳なのに。

まあ、これだけ色々と知識や技術を手に入れたんだから、とりあえず色々と試してみるべきだろう。記憶が劣化しないようにペンシーブ……『憂いの篩』にそれらの記憶を大量に放り込み、そしてその記憶の中で行われていたことを身に付ける。『禁じられた呪文』の使用経験がある三歳児とか、後にも先にも俺だけなんじゃないかと勝手に思ってみたりもするが、それより今は練習だ。

まずは呪文を身に付けること。一度18になったことのある俺の体にはもう魔法省の『臭い』はついていないが、魔法行使は世界のどこであろうとも関知することができる魔法省の目を眩ますために大量にアリス・イン・ワンダーランドを使用するのは変わっていない。

確か入学は11歳。それより二年は早くアリス・イン・ワンダーランドを解除できるように呪文を覚えておかなければならない。努力あるのみと人は言うが、俺の場合は気合いとその場のノリで割となんであってもどうにかなっちゃうからあまりやる気はない。

そんなやる気のない状態でも、他人の記憶としてであろうとも一度経験していると言う事実はかなり大きい。杖の振り方も呪文の発音も全て解っているし、当然使用して何が起こるのかと言うことも、その呪文でいったい何ができるのかと言うことも殆ど問題はない。

唯一何か問題があるとすれば、無言呪文だろう。流石にこれだけは記憶からそのまま一度やってみただけでは使うことが難しく、ちゃんと自分で呪文を唱えて一度使ってみなければできない物が多かった。

 

記憶を参照→呪文詠唱→無言呪文→記憶を参照……と言うループを何度も繰り返していたら、そのうち杖無しでも魔法が使えるようになったのでそれも練習しておく。

正確には杖無しで使っているわけではなく、自分の身体を杖の代わりにして魔法を使っているだけらしいが、よくよく考えてみれば魔法使いは杖を使わずとも本能的に魔法を使うことができると言う描写はあったし、魔法使いではないが杖を使わずに自分の意思で魔法を使っていた者も居ることは居るので人間の魔法使いだけができない道理はない。

杖と言うものは自分の魔力を自分の身体以上に通りの良いものに通して増幅させて魔法を発動させるものらしい。無くても魔法を使うだけなら十分できるが、そうして発動した魔法が自分の思い通りの効果を及ぼすことはまず無いそうな。

さて、ここで考えてみて欲しい。今の俺の身体は間違いなくこの世界で生まれ育った『ハリー・ポッター』の物だ。しかしその肉体に宿っている魂はかつて英霊の坐にまで届き、人類最強種として世界に知らぬものなどいなかった『織斑一夏』の物。ただの人間の魂に比べて魔力の伝導率やなんらかの力に対する耐性等は並外れているし、高次元の魂は俺の……正確には『ハリー・ポッター』の身体を高次元の存在に無理矢理引き摺り上げている。

結果として俺の骨肉は杖としての役割を果たせるだけの魔力伝導性を持ち、俺自身の身体であると同時に別人の魂との若干の齟齬によって僅かに威力が減衰する。

杖の方は……芯が本物の英霊たち……しかも【坐】に居る無制限最強状態の髪を使っているのだ。ちょっと引き上げられた程度の俺の身体よりもよっぽど魔力伝導率は高いだろう。

 

ちなみに、実際に使っているのは俺こと【眠たがりの破滅神】を除いて……【恐怖公ブラッドウィンター】、【可愛い兎さん(自称)】、【夢幻抜刀】、【双甲龍王】、【ドドM狙撃種】、【幸運集積者】、【半目魔眼の悪夢】、【豪鉄弾爵】、【世界を演じる聖女】、【ミサイル搭載型小動物】、【英雄女王】、【JIMI神様】、【万将不当】、【戦場の鬼神】、【虚の魔王】、【陽光天砕の魔導王】、【白き眼の小銀狐】、【人形遣いの常夜の魔女】のもの。なんか全員凄い軽く渡してくれたが……アズカバンで吸魂鬼が俺の杖を奪おうとした瞬間杖が自動で変形して吸魂鬼を消滅させたあたり、俺以外に使わせる気が欠片も無いことがよくわかった。

 

……本命は手が届かなかったけどな。残念。

 




 
「ちなみに、吸魂鬼はボディ一発で消し飛んだぞ。まともな対抗策ができてよかったよかった」

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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