ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
シリウス・ブラックの全世界指名手配が解かれたのは、ハリーさんがあの大きな犬と見知らぬおじさんとどこかで見たことがある気がするおじさんをどこかに連れていった日の次の次の日の朝のことだった。つまり、十一月二日の朝のこと。
日刊予言者新聞を定期的に購読している人達が朝食の席で絶叫をあげ、なんだなんだと人が集まった先にあったのがそのニュースだった。
日刊予言者新聞の一面を飾ったその記事は、ハリーさんが前に言った通りの話。シリウス・ブラックが私の両親を裏切ってピーター・ペティグリューに追い詰められて多数の人間を殺したのではなく、ピーター・ペティグリューが私の両親を裏切ってシリウス・ブラックに追い詰められ、周囲にいたマグルを多数殺害して逃亡してシリウス・ブラックに罪を擦り付けていたという話だった。
シリウス・ブラックとピーター・ペティグリューは『真実薬』を飲んで証言し、『開心術』を受けて記憶の混乱や異常がないことを確認された結果として今のように立場が逆転したことが報道されており、ピーター・ペティグリューは勲一等マーリン勲章を剥奪されてアズカバンに収監されたらしい。
また、ピーター・ペティグリューはホグワーツの生徒のペットとしてホグワーツに潜り込み、生き残った女の子───つまり、私のこと───の近くにずっと潜んでいたらしい。
ピーター・ペティグリューが変身していたのはネズミで、片手の指が一本足りていなかった。そしてそのネズミを飼っていたのは……ロンだった。
「……な? 殺しておいた方がよかっただろう? 守ってやる価値なんてどこにも無かっただろう?」
「……なんで、ハリーさんはそれを知ってたのになにも言わなかったんですか……?」
「それだとシリウス・ブラックが無罪だと証明するのが面倒になるだろうが。いくら俺でも無実の罪で十年以上も投獄されていた娘っ子の両親の敵をとろうとした男をアズカバンに放置しておきたいとは思わないし、どちらかというと出してやりたいと思うさ。俺は心優しい男だからな」
「ダウトよ、ハリー」
「ダウトだ、ハリーさん」
「「ダウト、ハリーダウト」」
「ダウトですハリーさん」
「俺のどこが女に見える?」
「ダウトなのはそこじゃないですよ!?」
「『無実の罪を着せられている男の冤罪を晴らしてやる』と言うのは心優しいだろう?」
「そうですけど!そうなんですけど!普段の自分がやってることを思い出してから物を言ってくださいよ!」
私はグリフィンドールを代表してツッコミを入れる。スリザリンの方からも「ダウト」の声が聞こえてきたし、色々なところからツッコミ頑張れという声援が聞こえてくる。
しかし、私にツッコミを入れられたハリーさんは不思議そうな顔をして小首を傾げた。
「普段やっていることと言うと……図書館の本を全部写して俺の家の地下にある大図書館にしまい込んだりとか、賢者の石を奪われないように校長がわざわざグリンゴッツからホグワーツに持ってきて厳重に封印していたのにそこらの石と草と水を適当に混ぜて鍋で煮込んで魔法をかけて賢者の石を量産したりとか、フォイにクヌート銅貨を叩き込んだりとか、校長の部屋の『憂いの篩』の中の記憶全てのBGMを『エクスカリバーの歌』にしたりとか、臑イ毛が昔書いたラブレターを写して添削して本人の枕元に毎日置いたりとか、ロニー坊やの靴を新品状態まで直してやったりとか、
「何をやってるんですかあなたはまったくもぉぉぉぉぉぉっ!!」
予想以上に色々なことに手を出していたハリーさんに全力でツッコミを入れた。こんなに色々やってるなんて予想できるわけがない。正確には、色々やっているだろう事は予想していたけれどその内容については予想外なものが多すぎた。
正直、私はハリーさんの言っていた物のうちの半分も知らなかったし、それは多分この場に居る全員がそうだろう。先生達の被害の事なんて知っている人の方が少ないと思う。
……一部はすごく気になるし、一部は身体よりも精神的に色々きついものがあるし、一部はむしろ良いことなんだろうけれど……基本的にぶっ飛びすぎだと思う。
「……ハリーさん。お願いですからもう少し自重してください……」
「わかった。今年自重した分来年が酷くなるが構わないな? よし、それじゃあ今年は大人しくしておくか」
「やめてください!?」
ハリーさんはにこにこ笑いながら口を閉じた。もう遅い……ってことなんだと思う。
……来年が怖いなぁ……今からもう泣いちゃいそうだ。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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