ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

66 / 199
065

 

 

 

 

 side エリー・ポッター

 

 スネイプ先生は地下牢の教室や薬剤保管庫にはいなかった。どこに行ったのかはわからないので、仕方無く図書室にでも行って本を読むか、ふくろう小屋でヘドウィグと適当に遊んでいようと思ったのだけれど……正直なところ、ハリーさんから逃げてきてしまったのでやることがない。

 暇を潰すには、二年間を過ごしてきたこの学校は新しい驚きが足りていない。私自身が知らないことは沢山あるだろうけれど、私が知らないことは私にとっては無いのと同じこと。なにかもっと楽しめることはないのかなぁ……?

 

 暇を潰すにもやることがないので、しょうがなく宿題をやることにした。宿題のために教科書と図書館の本を使ってレポートを書いていくのだけれど、私はハリーさんのように凄まじくアレな手を使うことはない。『羊皮紙二巻』と言われたらちゃんと市販の羊皮紙二巻分を書いていくし、長さで出されたらちゃんと市販の羊皮紙に横書きで書いていく。

 ハリーさんの場合は『小さく切った羊皮紙』で二巻持っていくし、長さで出されたら羊皮紙を横にして一行で何メートルにもして提出する。そんな真似をしていれば普通は間違いなく成績は悪い筈なのだけれど、なぜかハリーさんの場合はテストで見事な答えを幾つも並べてしまうので落第にもできないと言う……教師泣かせと言うか、注意できない問題児と言うか……まあ、とにかくハリーさんだと言うことなのだ。

 ……ちなみに、小さく切った羊皮紙に書く場合は縦横数センチずつしかない紙に何千文字と書き込んでいるし、長さで出された場合には一行に数十万文字書いていくからある意味ではしっかりしているという、これまたなんとも厄介な書き方をしているらしい。

 そんなわけで、今では宿題を一番真面目にやるのはハーマイオニー、一番不真面目にやるのはハリーさん、一番まともに終わらせるのは私と言う状態がグリフィンドールでは当然の事になっている。

 ハーマイオニーがしっかりと真面目に書いてくる優等生とすれば、ハリーさんは出来る限り手抜きをしてくる不良生徒、私はその中間辺りである程度ちゃんと書いてくる普通の生徒。先生方からは何故か清涼剤のような扱いをされているような気がしますけど、それはそれで別に構いません。私に損がある訳じゃないですし。

 

 普通の生徒らしく教科書に書いてあることを基準にしてレポートを書いて、教科書と合わせて確認してからまた進む。正直あまりこう言う作業は好きじゃないのだけれど、宿題なんだから仕方がない。

 ハーマイオニーとハリーさんはいつも通りにとっくに終わらせていたらしいのだけれど、私はそんなにすぐ終わらせることができないので今頑張っている。

 ……凄く暇。暇すぎて死んでしまいそう。早くみんなが帰ってきてご飯の時間にならないかなぁ……。

 

 

 

 

 

 side ハリー

 

 娘っ子に逃げられてしまったので、暇潰しに今年の予言書のような本を読む。具体的に何を読んでいるかと言えば『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』なんだが、それによるとまさに今日、この学校にシリウス・ブラックが侵入していることが露見するらしいのだ。

 それはつまり、今頃は食事の時間であることを見計らっている俺の名付け親が、どこかの抜け道のなかにでも身を隠しているという訳だ。

 俺はいつも通りに目を閉じたまま【気配察知】をする。じんわりと認識できる距離が拡がって行き、ホグワーツからは離れているがホグズミードよりはずっと近い場所に名付け親の気配があることを察知した。

 それからなのちゃんの力を借りて音の反射などから地形を探る『エコーマップ』で秘密の通路を見付け出し、どの通路から名付け親が入って来るのかを探り当てた。

 ついでに娘っ子がどこで何をしているのか、他の先生方がどこに居るのか等もわかったが、それはどうでもいい。おれがやるべき事は、名付け親がちゃんと親友の仇をとることが出来るように御膳立てしてやることだ。

 そのために必要なものは三つ。

 まずは、名付け親がこのホグワーツに入ってこれるようにしてやること。これについてはもう殆どクリアしたと言ってもいい。放っておけば勝手に入ってくる事だろう。

 次に、グリフィンドール寮に入ってこれるようにしてやること。これについては割と難しい。と言うか、グリフィンドールの寮棟を護るのが『太った婦人』である限りは、合言葉を知らずに押し通るのも知っていて通ろうとするのも無理だろう。シリウス・ブラックの顔は有名だし、まず間違いなく入れてはもらえない筈だ。

 そこで、俺は変装してから名付け親を一旦捕獲してアンダーグラウンドサーチライトの中に放り込み、寮の中で誰がそれをやったのかわからないように外に出す事で入れてやるつもりだ。これで二つ目の問題点は解決することになるだろう。

 最後の三つ目は、俺が渡したあの檻だ。ロニー坊やには篭だと言ってあるが、実際のところは内部の物を逃がさないようにする効果の方が主体の檻で、外から中身を守る効果はむしろおまけのようなものだったりするわけだ。

 それを破るには、鍵が必要だ。ロニー坊やが常に持っているものが一つ。トランクの底の中敷きの裏に隠してあるスペアが一つ。そして俺が持っている……と言うか、持っていることになっているだけで実際には自在に作り出しているのが沢山ある。

 これで鍵を開けるのは容易いが、それをしたらロニー坊やに俺がやったようなものだとバレてしまう。それはまだ早い。

 となれば、やることは簡単だ。どこにでも入ることが出来る奴に、スペアでも常に持っているやつでもいいから鍵を無断で拝借させればいい。と言うか、最大限ぶっちゃけてしまえば鍵を落とさせるだけでも十分だ。あのマントの内ポケットに入れているようだが、何度もお下がりされているあのマントの内ポケットはいつ破れたところでおかしいとは感じないだろう。

 それを『偶然』発見したシリウス・ブラックが『偶然』そこにあったネズミの篭の鍵だと知って『偶然』使ってみたくなってネズミを出して『偶然』ネズミに『変身解除呪文』をかけてみたくなって実行した結果『偶然』そのネズミが未登録のアニメーガスであり死んだことになっている筈のピーターパソであって色々調べてみた結果『偶然』シリウス・ブラックの罪が濡れ衣だったとわかる可能性だって……まあ、無い訳じゃない。

 それに、あり得ないといくら言ったところで現実にあることを無くすことはできはしない。できるわけがない。『無かったことにする』事は出来るだろう。しかし、事実として無かったことにするのは不可能な筈だ。俺も色々探してはみたが、時間を遡ろうと世界を越えようと過去を変えるのは不可能だった。

 正確には、変えることはできてもそこで別の新しい平行世界が出来るだけで、それが起きなかった世界と起きた世界に別れてそのまま進んでいくだけだ。

 

 ……さて、そんな世界と時間の考察はまたいつか課題が出された時のレポート用にでもとっておくとして、移動を始めた名付け親を捕獲しに行くか。

 まずは分身して香水で体臭を誤魔化して、それから【ライアーズマスク】で……娘っ子の父親の姿になってから『透明マント』で姿を隠して行こう。半透明には……なれるのか。じゃあ半透明で行こう。

 後はハロウィーンパーティの時間を見計らって名付け親を外に出すだけだ。

 

 ……おっと、あとロニー坊やのマントの内ポケットに穴を開けてから鍵を消しておかないとな。後は消したのと同じのをそこら辺に放置して……と。

 

 それじゃあ俺はハロウィーンパーティに参加するかね。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。