ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 みんながホグズミードに行くことができる日、通称ホグズミード週末がハロウィーンにあるそうだ。けれど、残念なことに私は今年保護者が蒸発してしまったのでホグズミード行きの許可証にサインなんて貰っていない。貰えるはずもない。両親は私が小さい頃にヴォルデモートに殺されてしまっているし、今の私は両親も保護者もいない状態にある。

 ハリーさんの場合は自分が保護者だから自分で書けばOKと言っていてそれが通ってしまったのでホグズミードに行くことができる。行かないつもりらしいけれど、行かないだけのハリーさんと行くことのできない私ではその間には大きな大きな隔たりがある。

 それに、ハーマイオニーの猫、クルックシャンクスがロンのネズミ、スキャバーズをよく襲うせいで二人の仲が大分険悪になっているのも気にかかる。でも、本当にクルックシャンクスはなんであんなにスキャバーズの事を襲うんだろう?

 

 ロンはハリーさんに、スキャバーズがクルックシャンクスに襲われないようにするにはどうすればいいか聞いていたようだけれど、ハリーさんはなぜか全く気乗りしない風だった。むしろ、スキャバーズはさっさと死ねばいいとロンの目の前で堂々と言ってのけるほどにスキャバーズの事を嫌っていた。

 なんでそんなに嫌うのかわからなかったけれど、ハリーさんが言うにはネズミと言う種族自体が嫌いなわけではなくて、スキャバーズと言う単体に恨みがあるんだとか。

 その話を聞いてロンはこの件でハリーさんに頼るのを辞めたようだけれど、ハリーさんは一応一つの対応策として以前雄鶏を入れるのに使っていた鳥籠を改造したネズミ用の篭をロンに渡した。恨みはあるが一応ロンのネズミだから殺さないようにしていると言いつつ、実に面倒臭そうに篭を作ったハリーさんは、そのままさっさと寮の寝室に戻って眠ってしまったらしい。

 ……スキャバーズがいったい何をしたのか、ハリーさんは絶対に教えてくれない。でもハリーさん曰く、私には一度話したことがあると言っていた。スキャバーズの話なんて聞いたことがないけれど、きっとスキャバーズのことじゃなくて他のなにかがスキャバーズに繋がることなんだろう。

 

 ついでにハリーさんはスキャバーズを掴んで軽く診察した結果、心労だと言い切った。寿命の線は絶対に無いと言ったけれど、その理由も私は知っているらしい。正直意味がわからないけれど、ハリーさんが知っているはずだと言うなら知っているはずだ。ただ、スキャバーズの事とその話が繋がらないだけで。

 前からそんなことはたくさんあった。ハリーさんの言葉は聞いたばかりの時には全然わからなかったけれど、暫くして実際にそれが起きるとわかるようになることが多々あった。だから、正直なところハリーさんが言ったならかなり突拍子の無いことでも信じてしまうだろう。

 もちろんハリーさん自身の口から冗談だとかそう言う言葉が出てくることもあるけれど、今みたいに冗談だと言わない限りはどんなにふざけたような表情で言われてもそれに納得してしまう。よく訓練されたホグワーツ生は、大なり小なりハリーさん耐性(効果は微妙。使えるのは弱理不尽耐性くらい?)を持っているので、ある程度ハリーさんの言う突拍子の無いことを信じてしまうのだ。

 その時の感情でそれを否定したとしても、後々になれば事実だったことばかり。だから、ハリーさんがロンに言った

 

「あのとき殺しておけばよかったと思う時が必ず来るぞ」

 

 と言う言葉も、きっと本当にそう思う時が来るんだろう。

 

 私はそれはそれだと現実を適当な場所に放り投げつつ、ロンとハーマイオニーを見送った。お土産にハニーデュークスのお菓子を沢山買ってきてくれると言っていたので、それについては期待しておこうと思う。

 ちなみにスキャバーズは篭に入れられたままロンが男子寮の中に置いている。あの篭が去年に雄鶏を入れるのに使っていた強力なものだと言うことが確認できたから使っているそうだ。

 とは言っても事故で触ったりしても大丈夫なように色々改造が加えられているらしい。具体的な改造の内容は教えてもらえなかったけれど、改造前から十分すぎるくらいの能力はあったので大丈夫だと言うことは知っている。改造して変わった部分は、触れた相手に対する事ではなくて内側を護るようにしたらしい。

 今までは外で何かが起きればそれが中に振動や音として聞こえていたものが、振動も音もなくなったらしい。しかし、外の様子が見えないと言うのは中の生き物にストレスを与えるらしいので、一応中から外を見ることはできるようになっている。

 ただし、外から中に干渉できないのと同じように、中から外に干渉することもまずできないようにしてあるとか。

 

 ……スキャバーズのことが嫌いなのにどうしてそこまでするのかと聞いたら、商売人としては金を出す相手には商品で応えるのが唯一の絶対条件であると言う思いがあるからだとか。

 商品を売る所までが自分の役割で、売った後にその商品がどこでどんな使われ方をしようが関係はない。それは売った自分ではなく使用者の責任だとしているらしい。

 だから、もしも自分の商品で自分に被害が降りかかってきたとしても確りと対応できるように考えてあるそうで……とりあえず、本当にハリーさんから買ったものでハリーさんに何かをしようものならハリーさんから『Dirty deeds done dirt cheap』……つまり『いとも容易く行われるえげつない行為』を受けることになるらしい。

 詳細についてはまだ秘密だそうだけれど……基本的にえげつないハリーさんがわざわざ口に出して『えげつない行為』だと言うんだから、きっと私なんかには想像もできない程にえげつない行為なんだろうと思う。

 

 ……とりあえず、ハリーさんの商品を悪用するのだけは辞めようと思う。ハリーさんからえげつない行為を受けるなんて、間違いなく人生終了の合図になると思うし。

 

「……ハリーさん? もしも私がハリーさんの商品を悪用したら……手加減してくれますか?」

「地下に閉じ込めて杖を奪って魔法封じの首輪を着けて鎖で繋いで飼い殺しにするだけで勘弁しておいてやろう」

 

 え、何それご褒美? 大変、すぐに悪用しなくちゃ。

 

「……なんか娘っ子の目がヤバいからおしりペンペンに変更な」

「そんなぁ!ハリーさん酷いです!期待させておいて落とすだなんて……そんなに私をからかって弄ぶのが好きなんですか!」

「好きだぞ」

「わーんハリーさんのドSーっ!」

 

 真顔で堂々と言い切ったハリーさんから逃げ出した。とりあえずスネイプ先生の所に匿ってもらおうと思う。丁度魔法薬で聞きたいところもあった所だし。

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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