ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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目が覚めたら腹が減っていたので、千の顔を持つ英雄を使って料理の完成品を出して食べておく。この身体になってからもう一年以上経っているが、どうもこうして妙に腹が減る感覚には慣れない。

成長に必要なんだろうと思って一応食べてはいるが、これだけ食べてかなり運動して俺的には普通に寝ていれば未来ではかなり背が高くなったり……するといいなぁ……。

ライアーズマスクを使っても身長は変わらない。肉体年齢を誤魔化してやることで身長を変化させることならできるんだが、それでも自分の成長具合によってはなれない身長と言うものがある。

巨人のような気違い染みた長身にはなれそうにないし、妖精のように凄まじく小さくなることもできない。だがこうして赤子から少年、青年、中年、老人まで自在に年齢を変えることができるのならば、それはつまり成長過程全ての身長にいつでもなることができると、そう言うわけだ。

だから俺は自分の身長ができるだけ高くなってほしいと思っているんだが……そう上手くはいかないだろう。

普通は本当に身長が欲しいと思うんだったら成長期の内に成長ホルモンを随時身体の中に注入し続ければいいんだが、俺の場合はそういった薬を後付けで入れても身体に作用しないから自前で作ったやつ以外には頼れない。そんな感じでできるだけ自前の成長ホルモンを多く作れるように睡眠時間を多く取っている。

食事して運動して眠る。運動の際に色々と手に入れることができているが、俺の身体に負担をかけるには足りなさすぎる。そこら辺は諦めて太陽の元で昼寝したり月光の元で眠ったり漣の音の中で眠ったり木の葉の擦れる音の中で眠ったりしんしんと雪が降り積もるのを眺めながら眠ったりすることにして、後はこの世界の魔法の練習をすることにした。

ゴーントの指輪は呪いを斬魔剣・弐の太刀で壊してしまえば結構簡単に手に入ったし、シロ・クロ・ぷちかーず召喚の三つの宝具が使えないかわりに皆の髪の毛を芯にした杖を用意してそれを使いこなす練習をしたり……まあ、中々に忙しい日々だった。

一番大変だったのは魔法省から隠れること。アリス・イン・ワンダーランドを核金50個分もバラ撒いてようやく安心して魔法の練習をすることができるようになったが、よくよく考えたら一度17歳を越えた時点で臭いをつける魔法は解除されていたはずだと気付いてがっくりきた。その日は疲れたのですぐに寝てしまったが、個人的にはいい日だったかもしれない。

 

さて、俺がそんな風に一人で立派に生活している間に魔法界では俺の名付け親のシリウス・ブラックが多数の死者を出してアズカバン送りにされたというニュースが話題になったり、うちの妹君であるエリー・ポッターがどうやってヴォルデモー太君を退けたのかを専門家同士で語り合ったとか、死喰い人が新しく捕まったとか、そう言う話題が事欠かなくなってきていた。

喜ぶべき事があれば悲しむべき事もあるんだろうが、俺はそんなことは正直どうでもいい。未来で楽して寝れればそれが最高だ。

俺はその考えを曲げることはなく、今日もまた自分の家のベッドでゆっくりと惰眠を貪るのだった。

 

……ふぁ……眠い。できれば俺がなんの憂いもなく、のんびりゆっくりだらだらと惰眠を貪ることができる世界であってくれればよかったんだが……この世界がそうなるにはまだまだ時間が必要であるみたいだ。

未来のために頑張ろう……と言うが、俺のやっていることが本当に俺の未来のためになるのかと言う疑問ももちろんある。俺は自分を信じて働き続けて来たが、元々対症療法のように何かが起こってからその何かに対応する方が得意な俺としては……こう言った裏方仕事のノウハウを持っていないため成功と失敗とを分けるための分水嶺がどこにあるのかわからない。分霊箱だったらどこにあるのかわかるのにな。

やっぱり俺は束姉さんのような『全ての事象に特化したスペシャリスト』にはなれそうもない。昔からわかってはいたが、完全にその道が断たれてしまうとなるとやはり悲しみはどこからともなく湧いてくるものだ。

 

……とりあえず、未来で復活することがおよそ確定しているヴォルデモー太君の手足を減らすためにもアズカバンには一度行っておく必要があるな。吸魂鬼をどうにかするのに守護霊の呪文以外にいい手はないかを模索したり、中に居る犯罪者を実験台にして呪いの練習をしたり、記憶を吸い出して使える呪いのレパートリーを増やしたり、ついでに簡単な黒歴史の収集もできるんだから行かない理由はほとんど無い。

一番は未来で俺か俺の妹君に関わる可能性が非常に高い吸魂鬼についての対策だが、これにはあまり期待していない。守護霊以外でこの世界の魔法で効果がありそうなものが想像できないし、多分斬魔剣とかそっち系統は効果があるだろうと予想しているからだ。

だったら俺は一応その予想を確信に変えたあと、確信が事実かどうかを確認しておきたい。面倒だが、吸魂鬼を相手にして毎回毎回体高150メートルを越えるような巨大なドラゴン型の守護霊を呼び出すわけにも行かないし。

……いやまあ一応抑えようとすれば抑えられないことはないんだが、その場合高確率で座から誰かが意識を移してくるからあまり人前では使えないという形であることには変わり無い。

 

……頑張ろう。主に俺の自己満足のために。睡眠時間のために。

 

あとヴォルデモー太君、死ね。頼むから死ね。頼んであげるから死ね。マジで。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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