ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
「ちょっと用ができたから出掛けてくる」
ハリーさんはそう言ってどことも知れない場所に行ってしまった。どこに行ったのかは知らないけれど、また何か物凄いことをやらかそうとしているのだろう。
……そう思ってのんびりしていたら、突然マクゴナガル先生からの校内放送が入った。生徒は全員寮に戻らなくちゃいけないと言うことだったけれど、しばらく待ってもハリーさんが戻ってくる気配はない。
でもまあハリーさんだし、大丈夫だよね。
「ただいまー。いや、予想よりちょっと手こずった。やっぱ他人を守りながら何かをするのは苦手だな」
「お帰りなさい、ハリーさん」
……あれ? 今のってなんだか新婚さんっぽくなかったかな? ここで『ご飯にします? お風呂にします? それとも、わ・た・し?』って繋げちゃったら完全に……。
「まずは飯かね」
「…………口に出してました?」
「いやいや、あんだけ分かりやすければ俺じゃなくてもわかると思うぞ?」
「……ハーマイオニー、わかった?」
「細かい内容はともかく、またいつものようにハリーとの新婚生活の一場面を想像しているのはわかってたわよ? エリーって、考えていることが顔に出やすいんだもの」
……ああ、なんだか顔が熱いや。燃え尽きちゃいそうなほどに……。
「そ!そう言えばいったいどうして突然生徒を寮に集めたんでしょうね!?」
「ハー子、娘っ子が話を逸らしたぞ」
「ハー子は辞めなさいって。そうね、話を逸らそうと頑張ってるわね」
「あれじゃあフォイでも逸らされてくれないんじゃないか?」
「マルフォイはあれで結構優しいから騙されてくれるんじゃない?」
ハリーさんとハーマイオニーが私をにこにこと笑いながら眺めている。うぅ……。
「おっと、もうそろそろ終わりにしとくか。娘っ子が泣きそうだ」
「ちょっとハリー、なにエリーを泣かせてるのよ?」
「涙目の女の子を弄りたいからやった、後悔はしていない」
「開き直って何て事を言ってるんですかハリーさん!?」
「よし泣き止んだな」
確かに泣き止んでいるけどなんだか凄く負けたような気分に……うん、できるだけ気にしないようにしよう。気にしたらきっと負けなんだよ……。
「……それで、結局なんで私達は寮に集められたんでしょうか?」
「赤毛のジーニーが『秘密の部屋』に拐われたらしくてな。『彼女の白骨は永遠に秘密の部屋に横たわるであろう』って書かれてたそうだ」
「ジニーが!?」
ロンが驚愕の悲鳴をあげる。それにつられてフレッドとジョージ、パーシーが近付いてきた。
「おいおい、いったいジニーがなんだって言うんだ?」
「ジニーが『秘密の部屋』に拐われたって、ハリーさんが!」
ロンの言葉に三人は息をのみ、そしてハリーさんに視線を向けて問いただし始めた。
「確かなのか?」
「まあ、まず間違いない。先生方もそう言っていたし、現実に今この寮の中にあんたらの妹は居ないだろう?」
ハリーさんはまるで天気の話でもするかのように絶望的な事実を語り続ける。ハリーさんの言葉が間違っているとか、どうやってハリーさんは先生達の話を聞いたのかを聞くような生徒は一人もいない。一年生も、この一年で随分ハリーさんの突飛すぎる行動に慣れてしまったようだ。
「まあ安心しろ。まだ暫く時間はかかると思うが、50年前とは違って今回は誰一人として死亡することなく事件は解決を迎えるさ」
「なぜそうだと言い切れるんだ?」
ハリーさんの話を聞いたパーシーが吐き捨てるように言うが、ハリーさんは当然の事を当然のようにやるだけといった風に気負うことなく答えた。
「んなもんあの赤毛の娘っ子を『秘密の部屋』まで迎えに行って原因を潰してから入り口の前に放置してきたからに決まってんだろ」
「決まってないですよ!? と言うかハリーさん『秘密の部屋』がどこにあるか見つけた上に蛇語まで話したんですか!?」
ついツッ込んでしまったが、誰もそれについて咎めようとはしなかった。それどころか、ハリーさんから話を聞くために色々聞いてくれと言う無言の圧力がかかってくる。
パーシーはハリーさんをさらに問い詰めようとしていたけれど、フレッドとジョージの二人に口を塞がれて静かにさせられていた。
「動物が何を考えているかは『開心術』でわかるから、蛇を捕まえて『開け』って蛇語で言ってもらってそれを録音したのを使って単語だけ練習したら割と簡単に行けたぞ? 場所は大体わかってたしな」
「んぅぅぅっ!ぷはっ!ど、どこに『秘密の部屋』の入り口gむぐっ!?」
「パース、ちょっと黙れよ」
「今はハリー様が我らにお話しくださっているだろう?」
「ちなみに俺は入り口は使わずにバジリスク御用達の通路……ってか配管を使って行ったから入り口開いてないし、蛇語とか意識しないと話すの面倒だから開ける気はねえぞ? 中にまだバジリスクがいないとも限らんし」
「バジリスクはもう死んだ筈だろう!」
「いつ、一匹だけだと決まったんだ? 俺が行ったときには何匹か居たぞ?」
「いっぱい居たの!?」
「居たな。鶏鳴かせてきたら静かになったけど」
「皆殺しにしちゃったー!?」
「かわりにつれていった鶏がコカトリスに進化してなぁ……」
「進化!? 鶏って進化するような生き物でしたっけ!?」
「美味しかったぞ」
「ハリーさん!独り占めは狡いです!私にもちょっとください!」
「ツッ込むところはそこじゃないわよエリー!?」
「と言うかジニーはどこにいるんだよ!?」
「ホグワーツ」
「だろうね!」
「イギリス?」
「広くなった!?」
「地球上」
「これ以上の場合『宇宙のどこか』になりそうだな!?」
「残念、この次は『太陽系』、そしてその次は『銀河系』だ」
「結局どんどん広くなっていってるんじゃないかよぉぉぉっ!?」
コカトリスの唐揚げ、美味しいです♪
「エリー!? ツッコミ放棄しないで!?」
「あ、ハーマイオニーも食べる? コカトリスの唐揚げ」
「今はそれよりも大切なことがあるでしょう!?」
「ハリーさんが『死人は出ない』って言ったんだから大丈夫だよ。ツッコミはするけどあくまで非常識だなって思うことにツっ込むだけであって、目の前で起きたことは受け入れてるし……ハリーさんの事を信じてるからね」
……それにしてもご飯と唐揚げが美味しいなぁ……♪ 唐揚げの衣にジンジャーとガーリックが少し、それに天ぷら粉を使ってるんだね。
ああ、美味しい。
ちなみに、ハリーの言う『入口』は『秘密の部屋』の入口ではありません。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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