ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 『彼女の名はハーマライデン』タグを追加しました。



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 side エリー・ポッター

 

 私はハーマイオニーと組んだ。ロンはシェーマスと組み、そしてハリーさんは……。

 

「それじゃあよろしく頼むよロングハット先生」

「ハハハ!組めずに残ってしまったのならば仕方ありませんね!お相手してあげましょう」

 

 ……そう、ロックハートと組むことになった。

 ただ、私は知っている。ハリーさんが近付いてきたスネイプ先生に何かを囁いた次の瞬間にスネイプ先生とハリーさんの表情がニタリと邪悪な笑みの形になったことと、スネイプ先生があえてハリーさんを一人残させたことを。

 ……と言うか、ロックハートはハリーさんにあれだけやられているのに懲りないのだろうか。クィレル先生でも一週間でハリーさんを避けるようになったのに、ロックハートはいまだに何も考えずにハリーさんに向き合っている。

 

「相手と向き合って!そして礼!」

 

 ハリーさんの目の前で、ロックハートは頭を下げた。ハリーさんは頭を下げずにロックハートをじっと見つめる。むしろ超邪悪に笑っている。

 ……以前にハリーさんのスネイプ先生嫌いは凄いと言ったことがありましたが、そんな二人でもロックハートを相手にするときだけは気が合うらしく、視線を合わせてニヤリと笑い合っていた。

 

「杖を構えて!私が三つ数えたら相手の武器を取り上げる術をかけなさい」

 

 ………………私の見間違いかどうかはわからないけれど、とりあえずハーマイオニーにハリーさんの方を見るように視線と杖先を向けてみる。ハーマイオニーは訝しげに眉を潜めてハリーさんの方を見て……唖然としていた。

 それであの光景は私の見間違いではないことがわかったのだけれど、ちょっと信じがたい光景がそこにあった。

 

 ハリーさんは無言呪文で何かの魔法を唱えていた。それも一つや二つではなく、もっともっとたくさんの呪文を使っている。

 その呪文はどうしてか杖から僅かに離れた場所で球体を形成し、新しく真っ赤な閃光が追加される度に少しずつ大きく、光が強くなっていくのがわかる。

 しかし、わざとらしく杖先を自分の背中に隠してその真っ赤な光球をロックハートの視界から隠しているらしくロックハートはそれに気付かない。今や殆どの人がハリーさんのやっていることに気付いているのに、ロックハートはまだまだ気付かない。

 

「一───」

 

 ロックハートが杖を振り上げると同時に、ハリーさんは更に体を捻る。まるで身体の全ての力をそこに集めようとしている野球の投手のようだ。

 

「二───!?」

 

 ロックハートが漸くハリーさんの作った光球に気付いて慌てて止めようとした。

 しかし、それをするには遅すぎた。

 

「───三!」

 

 わざとロックハートが打ち切ろうとした声を飲み込むほどの大声で、スネイプ先生が号令をかけた。ロックハートはスネイプ先生を見て愕然とした表情を浮かべているけれど、スネイプ先生はにやにやと悪どい笑みを浮かべている。

 

「エクスペリアームズ!」

 

 ハリーさんの杖先から、真紅の光の奔流が溢れ出る。人を丸々飲み込んで余りあるほどの太さを持つその光は、私達が見ている前でロックハートの全身を飲み込んでいった。

 突然に視界の光景が色を失い、ゆっくりになる。じりじりと迫っていく真っ赤な光に、ロックハートの表情が泣きそうに歪んでいくのがはっきりとわかる。あんなものが高速で迫って来ていることを考えれば、あのくらいの表情は浮かべても仕方がないような気がしてくる。

 そして光は私達の視界を横切り、ホグワーツの壁を貫いていく。そのまま遥か彼方に消えていった後には……倒れ伏したロックハートが転がっていた。

 ……頭の中に何故か『ヤムチャしやがって……』という言葉が流れた。なんででしょう?

 

「あ、あれは『集束魔法』!?」

「知っているのかハーマライデン!?」

「誰がハーマライデンかは知らないけれど、ハリーの技については知っているわ!あれは『集束魔法』と言って、さっきスネイプ先生が使った『多重無言呪文』を複数人で再現するという、本来は多人数で同じ魔法を使って使う技術よ!

 本来は『多重無言呪文』と違って複数人が全く同時に同じ魔法を使い、同一人物が使ったものほどではないにしろ呪文の威力を増幅させる技で、この技の利点は人数を集めてタイミングを合わせれば理論上は無限に威力を上げることができることよ。その事から『集束魔法』で威力を遥かに増幅した魔法の事を『約束された星の破壊』って呼んでいたらしく、実際に150人の『麻痺呪文』を纏めて作り上げられたそれは幾つもの山と谷を消滅させたという話も残っているわ。

 けれど、実際に使われた回数は殆ど無く、使われたとしてもそのあまりの威力にたった一度で殆どの者は『集束魔法』を使わないようにしたわ。気の合う者達が同じ目標に向けて使おうとすれば使えるこの技だけれど、一人一人が大魔法使いと呼ばれる10人が使った『爆発呪文』が見渡す限りの荒野を作り出してしまったの。それ以来、公式に使われたことは一度もなかったはずよ。

 ちなみに、その10人の大魔法使い達が作り出した荒野は今では砂漠になっているわ。アジアにあるタクラマカン砂漠がそこであるということは言うまでもないわね」

 

 多分この場に居る殆どの人間が聞いたことのないことを、ハーマイオニーは言うまでもないと締め括った。どう考えても言う必要はあったと思うのだけど、ハーマイオニーは凄く満足げにしている。自分の知識を披露することができて嬉しかったのかもしれない。あと、私はタクラマカン砂漠なんて知らない。どこ?

 

「あー……先生、ロールマント先生(さきなま)が倒れてしまいました、救護室に連れていっていいですか?」

「許可しよう」

「ほら、私12歳の子供ですから普通に考えて大人を背負っては行けませんし、連れていく時は足を掴んで引き摺っていっても?」

「許可しよう」

「運んでいる最中に偶然開いた口に変な薬が入って効果が出た結果、毎夜毎晩靴下とネクタイだけをつけて後は全裸に白目を剥いて髪を振り乱しながら『ビックリするほどユートピア!』と自分の尻を何度も叩きながら叫びつつ学校中を練り歩くようになっても仕方ありませんよね?」

「仕方無いな、偶然そうなる可能性は無いとは言えぬ……」

「ハリーさんの場合本当にやりそうだから怖いんですけど!? と言うか許可出しちゃった!?」

「いやいや、気絶したローンラットを運んであげるだけだ、むしろ加点されてもいいほどの優しさだと思うぞ?」

「無いですよっ!?」

「グリフィンドールに200点!」

「って高ぁぁぁっ!? 加点された上に高っ!?」

「しかし教師に暴力を振るったのはいただけん、グリフィンドールからマイナス150点減点!」

「マイナス減点って結局加点されちゃってるんですけども!?」

 

 スネイプ先生はこの十秒で350点もグリフィンドールに加点してくれた。ツッコミはしたけどありがたくはある。

 ……でも、よっぽどロックハートが嫌いなんだろうなと再確認した。

 

「じゃあ俺は医務室に行く。……おっと、『毎夜毎晩靴下とネクタイだけをつけて後は全裸に白目を剥いて髪を振り乱しながら『ビックリするほどユートピア!』と自分の尻を何度も叩きながら叫びつつ学校中を練り歩くようになる薬』がそでぐちからおちてロブスターラードのくちにはいってしまったー、これではローズアントが『毎夜毎晩靴下とネクタイだけをつけて後は全裸に白目を剥いて髪を振り乱しながら『ビックリするほどユートピア!』と自分の尻を何度も叩きながら叫びつつ学校中を練り歩く』ようになってしまう~、大変だ~(棒)」

「せめて何もなかったかのように歩きながら言うのはやめてあげません!? 棒読みはもういいですから!」

 

 ずりずりとロックハートを引き摺って部屋から出ていくハリーさんにツッコミを入れておく。これで多分ロックハートは毎晩……うん、想像しないようにしておこう。

 私はさっきスネイプ先生がやっていたように、呪文を唱えてハーマイオニーに杖を向けてみた。

 

「エクスペリアームズ」

 

 ハーマイオニーの杖が飛び、私の手に収まった。成功。

 

 

 

 

 




 
『約束された星の破壊』
ググればわかる。簡単に言えばなのはさんのスターライトブレイカー。どこかのMADでカード化されたなのはさんの専用トラップカード。

ちなみに、ハリーがやったのはスマブラXで言うと「開幕サムス必殺技」。あんな感じでゆっくり飲まれていきました。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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