ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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ホグワーツに侵入するのはヘルメスドライブで余裕でできた。『姿表し』とも『姿くらまし』とも違う物なので、恐らくこれに限定した妨害魔法なりなんなりを作らなければ防げないんだろうと思ったが、内部での移動が予想以上に面倒だった。

まずはゴースト。そして絵の住人。この両者はシルバーカーテンで透明化すれば見付からずに行動することもできたが、数が多い上にどこにでも現れる。気付かれなければそれまでだが、気付かれればあっという間に話は校長の耳まで届くことになるだろう。俺のシルバーカーテンは魔力を使って電子を操ることで光学的にステルスをかけるものなので、魔法的な探知にはすさまじく脆弱であることは確認済みだし。

 

しかし、方法はある。シルバーカーテンと同時にアリス・イン・ワンダーランドを散布しておけば、電子的なものだけでなく魔法的な探知まで丸ごと無力化することができるのだ。

さらに【ド器用】から来る気配遮断を使えばほぼ完璧。それでも見付かった時のためにライアーズマスクで変装して、ついでにアリス・イン・ワンダーランドに水滴をつけて視界を霧で覆い尽くしてやれば……多分大丈夫なはず。

 

……それでも校長だけはどうしても警戒しなくちゃならないが……まあ、本当に見付かったら11年後に校長が一旦居なくなった時に再挑戦だな。

 

そう決めつつも俺はホグワーツの8階にある【バカのバーナバス】の絵がかかっている廊下を探す。直感に任せて適当に歩き回っていたら直ぐに到着したが、ここからは慎重にやらなければならない。

ヘルメスドライブを使ってこの近くに人もゴーストも猫もいないことを確認し、廊下の端と端に壁を作り出して誰も入ってこれないようにしてから端から端まで三度通り過ぎる。そして真ん中辺りにある壁を見てみると……今までそこには無かったはずの扉がそこに出現していた。

その扉を開いて中を見てみれば、ごちゃごちゃと無数のがらくたがところせましと放り込まれていた。

このがらくたの山から探し物を見つけ出すのは正直面倒臭かったので最近凄くお世話になっているヘルメスドライブに任せてみたら、あっという間に見付けてしまった。

これが駄目だったら大量に自動人形でも出して人海戦術で探そうと思っていたんだが、そんな面倒なことにならないで本当に助かった。

 

探し物を見付けたついでに何か面白いものが無いかを探してみた。ホグワーツには色々と珍しいものがあると言う話を原作から知っていた俺は、とりあえず殆どの者から隠されているために知られずにいるこの『必要の部屋』から幾つか物を頂いていく事にした。

『必要の部屋』には様々な物が置いてある。例えば壊れた箒や今では違法らしい悪戯道具だったり、勉強に必要なのかどうかは知らないが様々な本に、壊れかけの机やなにかの骨等々、今の俺には全く理解できないものが大量に並べられている。

その中でも予想できないものは、どうやってこんなところまで持ってきたのかわからないベッドや本棚、どう見ても間違いなく呪われている事がわかる本、ついでに好きな相手へのラブレター(宛名も書いた本人の名前も塗り潰されていて読めないが、内容を読んでみると相手の名前はリリーと言い、それなりに長い付き合いがあったようだ)等が隠されていた。

……ラブレターは本気で理解できない。好きなら好きだと直接伝えてしまえば良いだろうに、なんでわざわざ手紙なんぞで伝えるのやら? 特に幼馴染みと言ってもいいくらいに付き合いがある仲だったら直接言う機会なんていくらでもあっただろうに……理解できん。

 

それにしてもリリーか。うちの母親と同じ名前なんだな。確か魔法薬学の脛イ毛先生がうちの母親の事が昔っから好きで好きで仕方無くてストーカー紛いの事までしていた癖につい怒らせてしまってうちの父親に持ってかれちゃってそれでも好きだったって話があったような気がしたが……まさかこの手紙は脛イ毛先生の…………?

……だとしたらかなり面白いな。いつか本人の前でちょっと読み上げてみるとしようか。どんな反応をするのか……非常に楽しみだ。

 

……どうせだったら他にも何か無いか探してみるとしよう。誰かの弱味を握っておくのは悪いことじゃない。使い所を間違えなければとても有効な力として働いてくれる。

そうだな……できればどこぞのお偉いさんのやつがあればいい。あまり重要な証拠は持っているとバレたら消されかねないのでやめておくとして、軽く相手の精神に大ダメージを与えられるものを探すとしよう。謂わば黒歴史と呼ばれる類いの物だな。

若い頃に書いてしまった恋を詠う詩集とかポエム集とか、若い頃の厨二感溢れる日記とか、若気の至りで色々とやらかしてしまった時の思い出(オブラート包装済)の品とかがあれば……。

……あ、またラブレター発見。名前は…………セブルス・スネイプよりリリー・エバンズへ。愛を込めて……か。

……なにこれギャグ? それとも俺を狙って笑い殺そうって言う身体を張った罠? 俺はこれを見てどうすればいいわけ? 笑えばいいのか? それともネタとして預かってればいいのか? ……とりあえず本人の顔と態度を見てから決めよう。似合わなかったら大爆笑してやる。

 

……またラブレターだ。この部屋ラブレター多いな……。名前は……セブルス・スネイプより愛しのリリーへ……ね。

……こんだけ書いてるんだったら一通くらい出せばいいじゃねえかよ。なんで出そうとすらしてないんだ?

……ほうほう、内容からしてこれ脛イ毛教授が卒業する間近の……って、確かうちの両親が付き合い始めたのは五年の頃だって話がどこかにあったような気が…………未練タラタラじゃねえかよ。

いやまあそのお陰で原作のハリー君は助かってるわけだから文句を言う理由は無いわけだが、あの教授本気で女々しいわぁ……しかも最終的に惚れた相手を守ることもできずに生き長らえてるわけだな。

 

m9(^∀^)

 

( ^∀^)(^∀^ )

 

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……あー、笑った笑った。俺らしくないくらい笑ったよ。マジで。

ここまで腹の底から笑ったのは……もう何年振りか……普段は笑うより寝る派だからな。

さて、健康のために大笑いしたし、色々と他人の弱味も握れたし、今日は買ったばかりの家に帰ってのんびり寝るとしようか。明日は明日でまた忙しいし、とりあえず六つの分霊箱の内、日記と蛇以外の四つを集めるまでは安心して眠れない。

日記は時期が来れば寄ってきてくれるし、蛇については今のところ居場所がわからない。見付けたらすぐに捕まえておく予定ではあるが、やっぱり生きた分霊箱ってのは厄介極まりないな。

 

……頑張ろう。未来のために。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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