ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
今年もハリーさんは絶好調。授業開始一日目にして数十の驚愕を私に与えてくれた。
スプラウト先生の薬草学ではマンドレイクが叫ぶ暇もなく移し変えてみせ、授業が終わるまでに休み休みでも10近くのマンドレイクを植え替えて見せた。15秒程度で10本目を植え替えたところでスプラウト先生からストップが入り、ハリーさんはそれ以降は温室の隅で太陽の光を浴びながらうとうとしていた。
凄く気持ち良さそうに眠っていたけれど、授業がもうすぐ終わるって言うときには耳当てを外していたし……寝てはいても周りの事はわかるみたいだ。ハリーさん凄い。植え替えの時に手先が見えないなんて……。
「もうちょっと人間らしい行動をしてください」
まあ、こうやってツッコミしたところで耳当てをしている間はなにも聞こえないんだけど。
と、そこでハリーさんが杖を取り出して空中に文章を書く。杖先の残像が残ったような薄い茶色の文字はハリーさんの方から見てちゃんとした文になっているらしく、私の方からはなんと書いてあるのかわからない。
ハリーさんは数秒でその文を書き終えてもう一度杖を振る。すると空中に浮かぶ文字がくるりと反転し、ちゃんと読めるようになった。
『これでも人間らしい範囲に収まっている。人類最終ほど極めても無いしな』
……なんでハリーさんは私の言ったことがわかったんだろうか。読心術?
『読唇術だ。心じゃなくて唇な』
ああ、なーるほど。
…………って。
「今のは口に出してないんですけど!?」
『気にすんな★ミ』
ハリーさんの書いた星がキラキラと光りながら小さな星を撒き散らしていた。綺麗だけど才能の無駄遣いだと思います。
そして次の時間は変身術。コガネムシをボタンに変えると言う課題だったのだが、ハリーさんが変えたコガネムシは確かにボタンになった。
……真珠を削り出して作ったらしい、とても美しいボタンになっていた。それも全く歪みの見当たらない、最高級の真珠を削り出したものだ。
その美しさはマクゴナガル先生がそれを見てグリフィンドールに5点をくれるほど。ただ、ここで終わらせておけばハリーさんはただ凄い人で終わるのにさらにやって見せ……ボタンだけでなく服まで作ってしまった。材料はコガネムシ一匹と言う、凄まじくリーズナブルな服だ。
しかも、周りでは全員が呪文を唱えて魔法を使っているのに対して、ハリーさんは何も言わずに。
マクゴナガル先生曰く、ハリーさんがやったのは無言呪文と言い、OWL試験の難易度を遥かに越えている上級生ですらできない者の方が多い技であるらしい。ハリーさんはそれを『発音するのが面倒だから覚えた』と言っていたけれど……去年既に無言で魔法を使っていた事から結構前から普通に使えたんじゃないかと思っている。
なお、マクゴナガル先生はハリーさんの無言呪文に二十点くれた。驚きの高得点だ。
そしてお昼御飯。やっぱりホグワーツのご飯は美味しい。泣きそうになっちゃうくらいに。
後ろでなんだか快活な声が一瞬聞こえて次の瞬間に聞こえなくなった気がしたけれど、後ろを振り向いても何もなかったし気のせいだと思う。顎に鑢がけしたみたいな傷をつけたロックハート先生なんて見てないよ?
……ちなみに私の隣はハリーさんだった。ハリーさん・私・ハーマイオニー・ロンの順番で並んでいたけど、やっぱりハーマイオニーは凄いと思う。完璧にコートのボタンをいくつも作っていたしね。
それから闇の魔術に対する防衛術の授業になったけれど……ハリーさんはここでもまた色々やった。
一番始めにあった下らないテストの三問目の回答に、こんなことを書いていたのだ。
『功績を残した他人から話を聞き出し、忘却術をかけて全てを忘れさせて主人公を自分に置き換えた話をあたかも自分のやった行為であるかのように振る舞えるその面の皮の厚さには驚愕を覚える。と言うか、それ以外にまともなことやってなくね? 文才はあると思うけど』
……先生に真っ正面から喧嘩を売って、しかも最終的に勝っちゃうハリーさんは本当に凄いと思います。
ただ、その回答を読んだときにロックハート先生の表情がひきつって見えたので……多分本当にそんなことをやってたんだろうなと思います。
その後ハリーさんはロックハート先生に呼ばれてロックハート先生の部屋に行き……部屋の中から色々聞こえてきた。例えば
『お前に足りないもの、それは……情熱思想理念頭脳気品努力能力実力迫力知識気力性根精神魔力信頼優雅さ存在感勤勉さ!そして何よりも!速さが足りない!!』
……っていう声と多数の打撃音とか、
『フォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォーーーーイ!!』
…………っていう声と無数の打撃音&破砕音とか、
『食らえ、悪い子のためのランランルー体操500時間耐久レース!エクスカリバーも一緒!』
……っていう声とかね。
……うん、何が起こっていたのかはわからないけれど、とりあえずハリーさんがロックハートをボコボコにしたのはわかってくれたと思う。途中でマルフォイの声になっていたのは……まあ、ハリーさんだしね。ハリーさんなら声がマルフォイになろうが部屋から出てきた時に両手の拳が血塗れになっていてロックハートが出てこなくても……。
「いやいやおかしいよなに染められそうになってるの私!?」
とりあえずロックハート先生は医務室に運ばれた。
……ハリーさんに呼ばれたピーブスが運んだと言う時点で、ロックハート先生の冥福をお祈りしておいた。
明日の更新は18禁版『エリーちゃんの夢のペット生活一日目』です。
次回作は……?
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