ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ホグワーツに到着した。組分けがあった。ジニーはやっぱりグリフィンドールだった。宴会になった。とても美味しい。

 ハリーさんのお陰で今年の夏は生き延びることができたけれど……来年も同じように生きていけるかはわからない。もうまともなご飯がない生活は……

 

「…………」

「ちょっ!? エリーなに泣いて……」

「ハー子、なに娘っ子を泣かせてんだよ」

「ハー子呼びはやめなさいよ!あと私はなにも……!」

「おーい!ハー子が娘っ子泣かせてるぞー!」

「ハー子呼びはやめてよ!というか突然何を……」

「なに!? グレンジャーがエリーを泣かせた!?」

「なに!? グレンジャーがポッターに悪戯して泣かせた!?」

「なに!? グレンジャーがポッターに悪戯だと!?」

「おのれっ!グレンジャーめ許さん!」

「絶対に許さんッ!」

「物凄い早さで情報が錯綜する現場を見たわ!?」

 

 ハーマイオニーがハリーさんにからかわれているのを視界に入れつつ、私は涙を拭いてご飯を食べる。グリフィンドールどころかハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの三つの寮の二年生以上の生徒はハリーさんの行動にそれなりに慣れているからハーマイオニーを本気で責めたりしていない。ちゃんと冗談だと言うことを理解していて、全員で最後に大笑いするためにこうやって色々言っているにすぎない。

 ハーマイオニーも、ハリーさんがこうやって色々言うのは誰かが暗くなっていたりするときだと言うことをよくわかっているし、ついでにハーマイオニー以外にもロンやパーシー、マルフォイ等も被害を受けることがかなり多いので甘んじて受けているという側面もある。

 

「もう、ハリー!あなたのせいで……いないし!」

「話を逸らすなグレンジャー!お前あれだろう、ポッターを泣かせてその柔らかな頬を流れる涙を舐め取って堪能するつもりだったんだろう!」

「貴方と一緒にしないでよ!私はノーマルです!それにまだ恋愛とかには興味はないわよ!」

 

 ……なんだか周りが騒がしいけれど、私は気にせず全体的に少し減った料理をぱくぱくと食べる。ハリーさんはまたいつの間にか居なくなっていたけれど……まあ、ハリーさんだし気にする必要はないよね。

 そう言えばロックハート先生が今年から『闇の魔術に対する防衛術』の先生をやることになったみたいだけど……ハリーさんがまた何かするんじゃないかと少し心配……かな?

 

 

 

 

 

side ハリー

 

 秘密の部屋に入ってみた。今年は随分とこの部屋が取り上げられるらしいから何か変わったことがあるんじゃないかと思ったんだが、やっぱり俺が最後に来たときから何も違いはなかった。

 それはそれとして、もう一つの目的を果たそうと思う。

 

「『スリザリンよ、ホグワーツ四強の中で最強の者よ、我に話したまえ……フリスク!また来たぞ!』」

 

 がりがりと石像の口が開いていく。何度見ても顎が外れそうだと思うがそれは置いておくとして、記憶の通りの大きな穴が現れた。

 そしてその穴の中からは、巨大な蛇が顔を出す。ずるずると全身を引きずり出して俺を見るが、俺から見てもその姿は美しい。

 

「『久し振りだな……フリスク』」

「『はい……我が主』」

 

 フリスクはあの頃と何も変わらず、恭しく俺に頭を下げている。俺はその姿に若干笑みを浮かべてからフリスクに話しかけた。

 

「『借り物を返しに来た。ついでに利子もな』」

「『借り物……ですか?』」

「『ああ、借り物だ』」

 

 俺がシルバーローブから取り出したのは、解析を終えたフリスクの左目。賢者の石を使って作られた保存液に漬け込まれているそれは、ほぼ完全な形を残してそこにあった。

 

「『ありがとうな、フリスク。……お前のお陰で俺の左目はお前のと同じになったよ』」

「『勿体無きお言葉です……』」

 

 あの時と同じように眼球を一度抜き取り、より洗練された術式を宿す目玉に入れ替える。今まで使っていた物は、とりあえずさっきまで使っていた保存液を再利用して漬け込みなおす。そして戻した改造済みの目の方は賢者の石(ドラクエ版)の効果で瞬時に回復する。千の顔を持つ英雄でハリポタ的な賢者の石とドラクエ的な賢者の石を作ることはできたんだが、鋼の錬金術師的な賢者の石は流石に作れなかった。欲しかったんだか作れないなら仕方無い。

 そう言うわけでフリスクを完全版にしてからドラクエ版の賢者の石を額に埋め込んで緊急時の回復手段を与えておく。これで首を飛ばされたり脳を破壊されたりしない限りは早々死なない毒蛇王フリスクの出来上がりだ。

 

「『それから、フリスクにはその目の制御を体得してもらう』」

「『制御を……ですか?』」

「『ああ』」

 

 フリスクが首を傾げる。かなり身体がでかい上に牙やら鱗やらが凄いのになんだか少し可愛く見える。

 ちなみに俺の家の庭にいるフリーザは、普段は魔眼を抑え込むことに成功している。普段抑えた分使う時はかなり強力で、常時使い続けていれば行動鈍化程度の効果しかない未成熟な目でも一瞬だけ即死効果を持たせることができる事がわかっている。

 それをもしも、完成した魔眼を持ったフリスクができるようになれば……もしかしたら魂ごと消し飛ばすことができるようになったり、あるいは鏡や水に映った状態でも相手を即死させられるようになるかもしれない。

 

「『……と言うわけだ。俺としてはお前に力を与えたい。機械化や改造と言う手も無くはないが、流石に気分が良くないからな』」

「『我が主の仰ることならば是非もありません。主のお手を煩わせることになりますが、どうか私めに主の望むだけの力を得る機会をお与えくださいませ』」

 

 フリスクは深々と頭を下げた。俺がフリスクと同じ目を持っていると言う話を聞いてからは普通に目を開けているし、俺は人前で開けたら周りがヤバい左目だけを開けている。

 ……それじゃあ早速勉強だ。

 

 

 

 

 

 制御にはある意味成功した。だが別のある意味から見たら大失敗だ。

 フリスクは魔眼の制御として、戻ってきたばかりの魔眼をじっくりと見直したらしい。それから右の方と合わせてじっくりと改変していったら……なんと、ON/OFFはできないがhigh/lowができるようになったらしい。lowは相手に精神的な威圧感を与えることから始まり、恐怖、恐怖からの行動鈍化及び錯乱、硬直、麻痺、石化、臨死、即死、必滅の順に強くすることができるそうだ。俺のと同じ感じだな。

 ちなみに必滅まで強くすると同族相手にも麻痺か石化くらいまでの影響を与えることができるらしいが、正直よくわからない。

 だが、とりあえずなんでもかんでも相手を殺さずに済むようになったと言うのは良いことだ。無駄な殺しは好きじゃないしな。必要になったらいくらでも殺るが。

 

「『ありがとうございます、我が主……!』」

「『お前の努力の賜物だよ。褒美……って訳じゃないが、ほら、食うといい』」

 

 フリスクの前に千の顔を持つ英雄を使って作った食材を出す。バジリスクは蜘蛛の天敵と言うことだったので、前回出した竜や牙獣の肉だけでなく、巨大な蜘蛛の死体も出してみたが……やはり一番に飛び付いたのは蜘蛛のそれだった。

 ……雑食と言うか偏食と言うか……まあ、いいか。相手は蛇だし。

 

 俺は俺で上から持ってきた料理をぱくぱくと食べ、喜びからかくねくねと踊るフリスクと一緒に楽しい時間を過ごした。

 

 ……ちなみに、進化したフリスクの目を普通に両目で見ても俺の身体にはなんの影響も無かったことをここに記しておく。やっばり俺は化物らしい。フリスクの毒も効果無かったし。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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