ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
お仕事初日は凄く暇だった。ハリーさんの経営しているらしい紅茶専門店は本当にお客が少なく、日に一人二人が来ればかなり良い方だと初めに聞いてはいたけれど……本当にそんなに少なかった。結果から言えば今日は一人も来なかったし。
そう言うわけで私はこのお店の制服であるスーツのまま、休みの間の宿題を終わらせることにした。
「ところでハリーさんは宿題は……」
「学校から戻る汽車に乗る前に全部終わらせた」
「一時間かからずに!?」
「十五分で十分だった」
「教えてください」
「別に良いけど暗号で書いてるから読めないと思うぞ」
「なんで暗号!?」
「ノリ」
「ノリ!?」
ノリで暗号で書いたらしいハリーさんは、普通に書いたそれを見せてくれた。ただ、一部の物を除いてどう見ても三種類の文字を使ったもので解読なんてほとんどできない。
……嘘。殆どどころか全くできない。いったいどうやってこんなものを考えたのかわからないけれど、ハリーさんは本当に物知りだ。実際に存在している別言語で書いてあるだけらしいし。
ハリーさんは何ヵ国語喋ったり読み書きできるのかと思ったけれど、ハリーさん曰く殆どの人間国家及び一部の非人間族の言語を喋れるそうだ。……ハリーさんって本当に私と同い年なんだろうか? 今なら百歳越えの不老不死の人だって言われても納得してしまいそう。
「いいから宿題進めな。今日はどうせ暇だし、娘っ子は仕事覚えるのが早くて丁寧だから時間も空くしな」
「あ……ありがとうございます」
私は羽ペンを使って羊皮紙にカリカリと教科書の中身を写していく。魔法史の宿題に魔法薬学の宿題、変身術の宿題にはレポートを書いてくること。17歳に届かないと学校の外で魔法を使うのは禁止されているから「新しい魔法を覚えてくること」って言われるよりずっと良いけれど、やっぱりこう言う宿題は面倒だ。
特にビンズ先生の宿題は何も考えずに教科書の内容を丸写ししてしまえば良いんだから楽ではあるのだけれど……まあ、ある程度の長さを持たせるために色々と書き足していく必要があるから実際には割と面倒な科目の一つだったりする。
逆にある意味で簡単なのがスネイプ先生の魔法薬学。教科書に書いてある通りに書けば一応それなりの点数は貰えるし、ちょっとした努力の跡が見えれば少しだけだけど加点もしてくれる。意地悪に見えるけれど、けして悪い人ではないのだ。あの人は。
……前にそう言ったらロンに正気を疑われたので、とりあえずしゃがんでもらってからハリーさんに習ったシャイニングウィザードとか言う技を打ち込んでおいた。女の子の正気を疑ってかかる相手への天罰だ。相手は選んでるから大丈夫な筈だしね。
今のところ失礼なことを言ったロンとあまりにもグダグダとしているマルフォイを正気に戻す時以外に使ったことはないけれど、実は割と威力が高い技だったようなのでロンに対する使用は制限しようと思う。
マルフォイは……何度も『どこからともなく飛んでくる悪夢のような銅貨』によって縦横無尽に回転しながら飛び回っているので大丈夫。そのうち何度かハーマイオニーに怪我を治してもらったりしてお礼も言ってたから、多分少しはあの純血主義も良くなってきているんだと思う。
あるいは、前にハリーさんがしてた話が原因なのかもしれない。確か……
「そも、魔法使いとは何なのか。魔法使いとマグルの違いはいったいどこにあるのか。魔法使いとマグルと言う似通った存在には魔法の使用の可否という壁があるが、何故このようなことが起きるのか。それを検証してみたところ……魔法使いとはマグルから一歩にも届かない程度進化した……所謂『亜種』のようなものだと判明した。
何をもってそう言うか。それは遺伝の法則と、マグル生まれとスクイブの存在が鍵になる。
元々世界に魔法使いなどと言う存在は居なかった。それがなぜ生まれたのかはわからない。しかし、魔法使いとマグルに共通していることは『どんな者でも多少の魔力を備えていること』だ。勿論スクイブにも多少の魔力があることも確認している。
しかしマグルは魔法を使えないし、スクイブも魔法を使えない。この原因として、自らに魔力を集める器官の有無と、自らの魔力を外に出力する能力の有無、そして魔力を溜めておく器の有無があることも確認している。……アカシックレコードで。
この場合『魔力を集める器官』の有無がマグルとそれ以外を分けている。例えマグルが器と出力能力を持っていたとしても産まれてすぐの赤子には何も魔力が溜まっておらず、魔力がなければ魔法も使うことができない。故に魔力を持たず、魔法生物を確認することもできないマグルとなる。
そして魔力を溜める器官か出力する能力が欠如していた場合、それはスクイブと呼ばれる者達となる。
彼等は魔力を集めることができるがゆえに魔法生物を確認することができるが、魔法を使っても何も周囲に影響を与えることができないほど貧弱であるか、そもそも魔法を使うことができない。これを解決する方法はあるにはあるが……今は割愛させて頂こう。興味がある物は俺の空いている時間に俺に会いに来てくれ。気分次第では説明だけでなく解決まで手伝ってやるかもしれん。
……と、話が逸れたな。魔法使いがどうやって産まれたかと言う話だ。
要するに、魔法使いと言うのはマグルの突然変異だと言うことであり、さらにその魔法使いの因子は優性遺伝であると言うことだ。
初めの一人の魔法使いがいつ、どんな方法で生まれたのかはわからないが、それでも一つ言えることがある。
魔法使いである者は、家系図にすら残らないような古代まで遡れば間違いなく一人の……あるいはごく少人数の『始まりの魔法使い』にたどり着くだろう。それが純血主義者であろうとも、それがマグル生まれであろうとも、それがスクイブであろうとも……だ。
ただし、もしもその一人ないし数人に起源を持たないマグル生まれの者が居た場合……その者は間違いなく『純血一代目』である。現代まで続くどの純血の一家よりも濃厚な魔法使いの血を持つ可能性は、マグル生まれの者のみに与えられる……随分と性格の悪いことだよな?
……さて、純血、マグル生まれ、半純血の諸君。俺の話は事実であると言っておくが、それが本当だと信じるか嘘だと拒絶するかは諸君に任せる。別に信じて貰おうとしているわけでも、信じてもらって俺に何か良いことがあるわけでもないしな。
ただ、これだけは理解してほしい。
……純血だからって、俺に本気で殴られて死なない訳じゃないんだぞ?」
……だったっけ。
正直なんて言っているのかはよくわからなかったし、何を言いたいのかもよくわからなかったけれど……最後の言葉にだけはみんな納得していた。
………………そして、スリザリンの純血主義の人達が私の前に列をなしていたっけ……私に相談するために。
……うん、とりあえず宿題頑張ろう。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き