ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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ハリー・ポッターさんの『賢者の石とか関係ねぇ!』
ハリー編 1


 

 

 

 

 

 生まれ出でて一年と三ヶ月。この世界がハリポタだと気付いてからおよそ一年。そして……

 

『ぐぁぁぁぁぁぁっ!?』

「……殺害成功……と」

 

 ……家の前に現れたヴォルデモー太君の心臓と眉間と腹に一本ずつ両刃の剣を遠隔で撃ち込んで吹き飛ばし、かなり離れたところで爆破してから、五秒程度。多分ヴォルデモー太君は何が起こったかもわからずに死亡しただろう。

 一応俺はこの時点では普通の子供としての姿しか見せていないため、まさか俺が殺したなどとはつゆとも思われないだろう。『家族、友人、知人、本人を含めた全ての存在に気付かれなければ殺してもいい』って言うのはいったい誰の言葉だったか……まあ、いいや。面倒だし。

 

 ハロウィーンのパーティーを小さな家でやっているのだが、父親も母親も幸せそうに笑っている。今まさに敵にこの場所を襲われたなどと言うことを知りもせず、学生時代からの友人の一人に自分達が売られたと言うことも知らず、ただ平穏な時間が過ぎる。

 原作だったらここで俺の両親は死んでいて、俺はダーズリー家に送られることになったんだろうが……そんなことは御免被る。睡眠時間もろくに取れなさそうな所に誰が行くかってんだよ。

 

 ……まあ、両親の死亡フラグは破壊した。ついでに俺を売った男のことも殺しておくことにする。気配察知は12km圏内なら『誰が何処で何をしていてどんな体勢でどっちに移動しているか』までわかるんだが、流石に35万kmも離れるとどの辺りに居るかを見付けるのが精一杯。

 だが、それでも50cm程度の誤差で押さえられるので一方的に殺すだけなら簡単だ。ちょっとそいつの居るところに金属球でもなんでも出して爆破してしまえばいい。

 両親……特に父は悲しむことになるかもしれないが、俺は俺に襲いかかってきたり、どう考えても害しか与えてこないような奴を案内するような奴はできることなら死んでくれるとありがたい。むしろ俺がこれから殺すんだが。

 

 そう言うわけで、かなり離れた場所に居たワームテールの頭を縦に貫通するように槍を撃ち出す。そして槍が穂先が頭を抜けて首を貫き、胸部腹部を通って縦に貫通したところでランブルデトネイターで内側から爆破した。

 ……こんなことなら前に会った時にワームテールを洗脳して心と身体を改造してワームテールからワムウテールに進化させてやるんだったよ。

 風を自在に操ることができるようになり、かつ色々と改造して俺達を護ることを至上の目的であるように思い込ませてやれば、『死の呪文』を始めとする呪いの全てを風で逸らして突き進む最強種的な何かになってくれたかもしれないし。

 まあ、過ぎた事だ、諦めて未来のことに目を向けよう。

 

 俺はかなり幸せな家庭で育っている。純血主義などで染まった家系の生まれではなく、だからと言ってよく否定されるようなマグル生まれでもなく、両親から愛を受けることを当然のこととして生きていく権利を持っている。

 魔法の事も色々と教えてもらえそうだし、この一年で色々と魔法を見てきているためいくつかはもう使うこともできるだろう。やったらできたし。

 そして重要なことは、俺は敵対することが半ば確定しているヴォルデモー太君が俺の敵にすらならなさそうだと言うこと。魂未満の屑状態でも気配察知でどこに居るかわかるし、もうちょっと身体が成長すれば地球の裏側まで斬魔剣・弐の太刀を飛ばしてヴォルデモー太君の魂の本体を消し飛ばしたりもできそうだが、今はまだ無理っぽい。

 なにしろこの身体は赤子。魂が俺だから身体も少しずつ上位に上がってきているとはいえ、まだまだ漬け込み時間が足りない。魔法についてもほとんど知らないし、知っていることよりも知らないことの方がだいぶ多い。

 もしも俺一人だったら、多分ハリポタの死の秘宝を上下巻共に読み直して分霊箱を集めに行くんだろうが、今の俺には家族がいる。あまり無茶をする気にはなれない。

 ついでに言うと相手であるヴォルデモー太君は俺が殺したことを知らない。それはつまり俺が狙われる率を若干下げてくれる効果があるとにらんでいる。

 代わりにそれでも狙われた場合、恐らくヴォルデモー太君は俺に近付いたことで何らかの呪いが発動して自分を攻撃したと考え、自分ではなく他者の手を借りて俺を殺しに来るだろう。厄介になるか狙われなくなるか、二つに一つだ。

 

 ……まあ、何かあるまで平穏に、ついでにちょくちょくヴォルデモー太君の力を削りながら過ごして行くとするか。

 

 …………ワムウテール、いい考えだと思ったんだがなぁ……。どうせならエッシディッシ、プロンカーズ、ムニタナもやってみたら面白そうだ。その場合学校で魔法薬学の教授が酷いことになりそうだけど。

 

 

 

 

 

 日々是爛漫、世界は平和、特筆することもないままに、俺は11歳まで成長した。

 父親には魔法薬学の脛イ毛との昔の話や学校で色々として来た悪戯の話を教えてもらったし、俺の名付け親でもある尻打つはそれ以外にも色々な話をしてくれた。ただ、ワムウテール……もとい、ワームテールが死んだ時には思いきり泣きながら

 

「あァんまりだァァァァァッ!!」

 

 と泣き叫んでもいた。どうやらワームテールは必死にヴォルデモー太君と戦い、そして相討ちか相当の深手を負わせて撤退させたと思われていたらしい。本当は単なる裏切り者だったのが、偉くなったものだネ☆ミ

 

 さて、11歳となれば今年はホグワーツへの入学がある。俺の両親は嬉々としてホグワーツにいくための準備をしてくれた。

 ただ、母親は俺が尻打つや父親から貰った悪戯道具やらなにやらかにやらを殆ど取り上げようとして来たが、自分用に死の秘宝の透明マント(ON・OFF機能付き)を作ってその内側にアンダーグラウンドサーチライトを作ってその中に入れておいた俺に死角は無い。なにしろこの死の秘宝の透明マントは内側にあるものを外側から完全に隠し通すものであるからして。

 ちなみに本家の透明マントよりも力は強いらしく、魔法の目を再現してみても中を見通すことはできなかった事を追記しておく。

 

 そして日課のヴォルデモー太君苛めとして、今日も斬魔剣・弐の太刀を使ってヴォルデモー太君の魂を削り落としていく。無機物で作った分霊箱の物はともかくとして、本体の方や生物を入れ物にした分霊箱は放置しておくと勝手に成長するようなので、日々の嫌がらせが一番大切なのだ。

 日々魂がどこからともなく飛んでくる何かによって削り飛ばされていく気持ちってのはいったいどんなのかね? 欠片も同情する気はないしやめる気も全く無いが、とりあえず笑っておこうと思う。

 

 さて、それはそれとしてホグワーツに行く日になったが、原作と違って俺は特に有名ではないため他人に妙にからまれることもなく普通にホグワーツに到着した。

 到着するまでずっと寝ていたが、途中で若干騒がしくなったときに何度か拳を振るった覚えがある。そのせいかどうかわからないが、俺の乗っていた車輛のおよそ半分が消し飛んでいた。あと、目の前に座って気絶していた赤毛のやつが俺を見る度にガタガタ震えたりもしたが、気にしないことにした。とりあえず俺が居た車輛が最後尾の最後部で助かった……と言うべきなのかね。

 

 

 

 

 

「グリザクロフ!」

 

 ……わからないと思うが、これは俺が受けた組分けの結果だったりする。どこだよとかなり本気でツッコミ入れてみたんだが、帽子はそれ以来沈黙を続けている。

 ……殴ったせいで不具合が出たから喋らないわけではないと思うが、いくらなんでもこれはひどい。どこに入ればいいのか全くわからん。

 

 最終的に俺は『名目上全ての寮に同時に在籍している』という異例の状態でホグワーツ生活を送ることになった。その際色々と言われたこともあったが、その場で同時に四ヶ所に存在する方法として分身して見せたのでなにも言えなくなった某魔法薬学の先生が居たりした。

 

 

 

 

 

 俺の杖は自作の物。神鉄に英霊の髪を寄り合わせた綱を入れ、俺自身の魂に若干接続することで他人には絶対使えないようにした。

 ……まあ、そこまで深く繋がったお陰で、杖だけでなく俺自身の方にまで色々と影響が出てきた。具体的に言うと……料理を作ると時々大失敗するようになった。

 いつも作っていた料理で失敗して物凄いものが……まあ、100回に1~2回ほど出るようになった。唯一の救いは失敗したら料理が見れたものじゃない形態になるから間違って食べるようなことはまず無いことだ。

 ちなみに某ターバン巻いた教師の後頭部に間違って叩き付けてしまったときにはターバンが溶け落ちて下にあったなんか気持ち悪いものが絶叫を上げていた。殴り飛ばす間もなくそこから消え去り、ターバン教師の全身が灰になって崩れ去ってしまったが……まあ、それについては別にいいだろう。校長先生は『秘密じゃぞ?』とだけ言ってこの事を揉み消したし、事実俺はそこまで悪いことはやっていない。人間の形をした灰の塊に乗り移った犯罪者に麻婆豆腐を食べさせただけだし。

 ちなみにこの事で俺は校長先生から120点ずつ全ての寮に加点してもらうこととなった。かなりでかい加点だが、全ての寮に等しく入るんじゃなぁ……。

 

 俺はスリザリンでフォイと話したりグリフィンドールでハー子と話したりハッフルパフで冬眠する穴熊のように寝たりレイブンクローの入り口の金具が出してくる問題を意味もなく何度も何度も解いてみたりしながらのんびりと学園生活を楽しむ。暇潰しにレイブンクローの髪飾りを必要の部屋から引っ張り出してみたが、見た目的にはただのボロい髪飾りだ。

 本体にはくすみや破損は無いんだろうが、だからと言って埃まみれにならない訳じゃないってことだ。

 そう言うわけで分霊箱であるレイブンクローの髪飾りを右手で握って力を込める。すると髪飾りはギシギシと軋みを上げながら変形して行き、最後には完全に握り潰されて原型を失ってしまった。

 さらに力を込めればそれは真ん中から砕き潰れ、中心に埋まっていた宝石も魔法をかけられた金属部も圧壊してしまった。

 そして器が壊れれば、中身の魂は当然砕けて消える。分霊箱とはそう言うものなのだ。

 魂が砕かれて苦痛の声をあげる。しかしそんなものは俺には関係ないので軽く流してもう一つ……今度は金のカップを取り出した。そしてこれも同じように握り締める。

 何年か前にグリンゴッツに忍び込んで俺の身体がどのくらいまともな状態から外れてきたかの目安として使っていたんだが、ここ二年くらいは全くやっていなかった。しかし、どうやら随分と人外らしく……織斑一夏らしくなってきたな。

 

 よし、今度名付け親の尻打つ……じゃない、えっと……シリウスおじさんの実家に行って屋敷しもべ妖精と話をしよう。破壊できないロケットがあの家のどこかにあるはずなんだ。

 それさえ破壊してしまえば後は指輪と日記とカップの…………あ、カップ壊れた。じゃあ指輪と日記だけ。今の時期ではまだ生きた分霊箱は作っていないはずだから、それを壊してから日課をやればあっと言う間にラスボスは死ぬな。一面ボスがターバン教師。二面ボスが日記の記憶。三面ボスが吸魂鬼。四面はボスが何体もいるが、強いて言うなら脱獄した死喰い人。五面ボスはガマガエル女とラスボス。六面ボスはフォイを始めとする死喰い人軍団。七面はラスボスが直々に相手をしてくれる。

 

 ……が、一面ボスはなにもできずに死に、二面ボスは動くこともできず、三面ボスは名付け親が脱獄する以前にアズカバンに行っていないから来ることもなく、四面については今まさに心配事が解消されたところだ。五面ボスは来たら即座にアリス・イン・ワンダーランドで洗脳するし、六面ボスは……実は不幸な事故があったらしく、フォイは汽車の駅から父親が落ちて亡くなってしまったらしいのであまり派手には動かないだろう。七面ボスは……七回殺さなくちゃならないのをもう既に二回……ああ、指輪を壊し終わったからもう三回殺している。そして後は日記とロケットと本人、あるいはそれ以前に新しく分霊箱を作ったとしたら更に一つ二つ追加される可能性もあるが……とにかくそれだけ殺せば終わり。

 

 ……原作、影も形もないな。俺は箒で飛ぶのはあまり好きじゃないからクィディッチにも参加してないし、悪戯らしい悪戯も相手を選んでごく小規模的にしかやっていない。俺の父親や名付け親に比べて、慎ましい生活だよな?

 

 

 

 

 

 一年が過ぎる。クィディッチに参加することもなく、必要以上に校則を破ることもなく、俺は一年を過ごしていった。それなりにテストの成績は良かったが、闇の魔術に対する防衛術は教師が頭の一月も持たずに姿を消してしまったため素晴らしく簡単なテストとなった。時々校長が代わりに授業をやってくれて、それが分かりやすかったと言うのもあるだろうけどな。

 

 さて、家に戻るか。眠い。

 

 

 

 追伸。指輪盗んで日記盗んで壊しておいたらこの世界からヴォルデモー太君が消えてしまった。どうやら前からやっていた日課が偶然ロケットを壊していたらしい。まあ、とりあえずこう言っておこう。

 ハリー・ポッター、完っ!!

 

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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