ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side クィリナス・クィレル
フリットウィックのひたすら増え続ける石の問題の部屋を抜けてから、再び続く罠の道を潜り抜ける。前回は主にブービートラップで時間を稼いでいる印象だったが、今回は呪いや奇妙な魔法が使われていて力任せに突き抜けることができないようになっている代わりに慎重に進めばダメージを受けることはなさそうだ。
ただし、その危険度はこちらの方が相当に高い。前の廊下の罠はあくまで足止めが目的だとわかる簡単な罠ばかりだったが、今度のこれは間違いなく初めから殺しに来ているとわかるほどの凶悪なものばかり。
流石に『禁じられた呪文』は使われていないが簡単な呪文の組み合わせで恐ろしい効果を持たせていたり、逆に単体の呪文の力押しがあったり、そのどちらもが同時に襲い来ることもあった。
しかし、その全てを私とご主人様は切り抜けて次の部屋の扉の前に立っている。扉になんらかの罠がないかを確かめ、扉以外の周囲に罠が無いかを確かめて、私は扉を開けた。
そこにはいくつもの台が並んでいた。一番右側と真ん中と左側、三つに別れて机が並び、その上にはテーブルゲームが並んでいた。
『
勝ち抜け!
この場にある64のゲーム全てに勝ち抜けば次の部屋に進むことができる。
その場から再挑戦できる回数は合計三回まで。それ以上敗北した場合は勝利数と再挑戦数がリセットされて初めの位置に戻されます。
制限時間は無し。ただし食事が無いため急ぐことを推奨。
右側からイージー、デスペラード、ルナティックの順に難しくなりますが、難しければ難しいほど先に進むための勝利回数は少なくなります。
イージー→VSマクゴナガル教授。一試合五戦、三本先取で次のマスへ。
デスペラード→VSダンブルドア校長。一試合三戦、二本先取で次のマスへ。
ルナティック→『可愛い兎さん(自称)お手製AI』。一本勝負。
どの道を選ぶも自由。だがこれだけは言わせてもらう。
「え~? イージーモード~? きっも~いwwww」
「イージーモードが許されるのはぁ~、一年生までだよねぇ~wwwwwwww」
』
……私は無言で一番左の列へと近付いていった。そしてその席に座ると、勝手にカードがシャッフルされて配られた。
それと同時に『大貧民』と言うプラカードが机の真ん中からせり上がり、すぐに机の中に戻っていった。
そしてすぐに試合が始まり…………
『ジョーカー、ジョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカージョーカー!』
「待てぇぇぇぇっ!!」
『オマエノマケダ、カエレッ』
座っていた椅子が爆発し、無理矢理に扉の前に戻らされた。
……勝てる方法がどうしても見つからないので、次は『デスペラード』の真ん中の席に向かう。
『3で革命、2で革命、4で革命、Aで革命、5で革命、8で革命、そして13。わしの勝ちじゃな、出直してくるがよい』
再び椅子が爆発し、扉の前まで吹き飛ばされて戻ってきた。これも正直勝てる気が全くしない……と言うか、あからさまなほどにイカサマされているので勝てるわけがない。せめて自分でカードを配れれば……。
それからイージーモードに向かう。イージーモードのある一番右側の机の列に座れば、首から上だけになって丸っこくなっている神経を逆撫でする笑顔を浮かべたダンブルドアとさっきの機械、そして恐らくエリー・ポッターであろう丸っこい首がぴょんぴょんと跳び跳ねながら甲高い声で話しかけ続ける。
「ねえねえハゲターバンハゲターバン、一年生までだろって言われたイージーモードをやるのってどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「ねえねえ紫ターバン紫ターバン、できると思って難しい方に行って勝てるわけ無いって諦めざるを得なかったのってどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「ねえねえリョウメンスクナノターバンリョウメンスクナノターバン、イージーモードでも負けることがかなり多い今の気持ちってどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「ねえねえターバンマミーターバンマミー、急がなくちゃいけない時に限って相手が妙に長考してきたり勝てないことがわかっちゃった時ってどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
ずっとそう聞き続けるそいつは、本格的に鬱陶しい。魔法で吹き飛ばそうにも何故か効果が無いし、直接投げたり殴ったりすると殴った部分から腐り落ちてそこから芽が生え、潰した奴と同じのが何十何百と増えてくる。
成長を阻害しようと魔法を使っても効果が無いし、直接芽を踏みつけてもまるで釘の頭を踏みつけているかのように全く折れも曲がりもしないで育って行く。……むしろ踏みつけた方が強く育っているようにすら見える。
私はダンブルドアと機械のヘルメットとエリー・ポッターの生首のようなものを必死に無視しながらマクゴナガルのような何かとひたすらに対戦を続ける。そして何度も始めに戻されて、何度も挑戦を続け…………最後の最後に漸く到達した。
最後のゲームは……
『……オソカッタナ。倍満』
『待っておったぞ? 倍満』
『申し訳ありません校長……倍満』
ダンブルドアとあの機械とマクゴナガルの三人を同時に相手にした……麻雀だった。
しかも全員が平然と倍満を上がっていることから考え……大きく息を吸った。
「無理だろぉぉぉぉぉぉっ!!?」
『ああ、言い忘れていましたが子供用のイージーモードには一戦ごとにセーブとロードをすることができます。何故使わなかったのかと不思議に思っていたのですが……そうですか、知らなかったと……ちゃんと説明書は最後まで読みましょうね?』
「私の十二時間がぁぁぁぁっ!?」
ここまでの63のゲームのうち、何度戻されて時間を無駄にしたと思っているのだ!それを……それを全て無駄だったなどと……。
「納得できるかぁぁぁぁぁっ!!」
『ならばセーブせずに始まりまで戻りますか? さっさと行動しなさい、人面疽付きエセ紳士風キレ茄子』
『歯軋りがグィリグィリうるさいぞ、グィリ茄子・グィレル』
『キレルノカ? キレ茄子・キレル』
「いい度胸だいつか絶対に殺してやる!」
私はそう叫んで雀卓の空いている場所に座った。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き