ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side クィリナス・クィレル

 

 扉を抜けて私は進む。今の扉が誰の物かはわからないが、恐らくは私の知らないダンブルドアか……あるいは追加で組み込まれたものだろう。それはつまりこの先の試練が一新しているかもしれないと言うことだが、恐らくそれは無いだろう。私が呼ばれなかったことから見ても、一新ではなく追加されたと見るのが正しいはずだ。

 しかしそれも後から追加されたものである以上、それ以前に用意されていたものに比べて少しは弱体化しているはず。無理に詰め込められた魔法はその本領を発揮することはできず、最悪の場合はむしろそれ以前にかけられていた魔法に干渉してそれらを弱体化し合うことも考えられるからだ。

 

 私は進んでいく。緩やかに下っている坂道を、できるだけ急いd

 

「ヘブッ!?」

 

 ……道の途中に足がかかるのにちょうどいい穴が空いていた。急いでいた私はその穴に足を取られ、顔面から叩きつけられるようにしてつんのめった。

 

「何をしている!」

「も、申し訳、申し訳ありません!」

「早く立て!進め!」

 

 ご主人様の声に追い立てられるようにして私は走る。今度はちゃんと足元にも注意して穴を飛び越えt

 

 ビィンッ!

 

「ォゲフッ!?」

 

 ゴズッ!

 

「がはぁっ!?」

 

 ……今度は飛んだ途端に丁度喉の高さに細い糸が張ってあったようだ。喉に糸の直撃を受け、地面に叩きつけられる。そして後頭部に居るご主人様が床に叩きつけられ、苦悶の声をあげた。

 

「貴様……!」

「申し訳ありません!申し訳ありません!しかしこれは誰とも知れぬ者が張った罠でして!私の意思では……」

「黙れ!」

 

 直後、頭の内側から針で刺されたような痛みが走る。ご主人様からのお仕置きだ。

 しかし今回のお仕置きは長くは続かず、すぐに終わりを迎えた。

 

「……今はこの程度で済ませておいてやる……早く先に進め!」

「は、はい!」

 

 すぐに立ち上がr

 

 ゴインッ!

 

「ごべらっ!?」

「ぐぅっ……も、申し訳ありませんご主人様!しかし今は少々お待ちを……っ!」

 

 私は杖を振るい、そこら中に仕掛けられている罠を破壊しながら進んでいく。とにかく今はご主人様の肉体を取り戻すために進むことを選択する。

 立ち上がった瞬間に降ってきた盥に打たれてしまったご主人様には申し訳無いが、お叱りの全ては後にこの命で支払わせて頂く。

 そうしている間にどうにか罠の道を抜け、漸く次の部屋の入り口に到達した。全身に打撲や擦過傷ができており、なにもしていないでもずきずきと痛んでくるが……しかし私の歩みは止まらない。

 私の知る限りでは初めの部屋はフリットウィックの呪文で鍵が飛び回っていた筈だが、私の目に映っている光景は記憶とは全く違っている。フリットウィックの使いそうな呪文ではあるのだが……だが…………!

 

 本物を探せ!

 

 ここにある数多くの賢者の石から本物と同じ形をしているものを探し出して扉に嵌め込んでください。ノーヒントですが何度でも挑戦できます。

 ただし、三秒経過する事に個数が三倍に増えた上で位置がランダムにシャッフルされますので、急ぐことをおすすめします。

 

 追伸・あくまで形だけなので本物と違ってちょっと強く噛むと歯形がつきます

 

 見てみれば、既に27個に増えている赤い石。この中から本物を……81個に増えた。

 

「早くしろ!」

「は、はい!ご主人様!」

 

 私は必死になって石をかき集めては扉の窪みに填めていく。しかし次々に分裂して増えていく石の全てを嵌め込むのはどうしても不可能で、増え続ける石に埋もれて潰されそうになる。

 ついに石は部屋の床どころか壁の半ばまでを埋めつくし、開いたままの入り口の扉から溢れ出ていく。埋もれないように必死に上に向けて泳いでいくが、結局今はどこが入り口の扉でどっちが謎解きのための扉かもわからなくなってしまった。

 

 三秒ごとに派手な音を立てて量を増やす真紅の透き通った石に身体が埋もれていく。必死に上を目指してもあっという間に天井は見えなくなり、そして下に行こうにも石の方が基礎体積辺りの重量が重いので潜っていくことも難しい。上には出口は無く、下は塞がれて進めない。

 私は杖を振るってなんとか下に下に進んでいくが、三秒ごとに地面の代わりとなっている石の山が三倍にまで膨れ上がるためいつまで掘っても進んでいるような気がしない。

 石の中に無理矢理洞穴を作ってその中にいるが、だんだんと空気が薄くなっていく。深い穴を作るために石山を常に割り続けているため疲労が早いし、死なないようにするためには杖を振って魔法を使い続けなければならない。

 

 ゆっくりと意識が暗闇に落ちていく。空気の流れが無い縦穴の底にずっと居ればそうなることは自明の理であったが、それをどうにかする手立ては今の私には無い。私にできることと言えば、ただひたすらに山を掘り続けることだけ。

 私の視界は真紅の石に覆い尽くされている。石榴の身の一粒にも似たそれらの石が私の精神を削り続け、そして酸欠と疲労からついに私は……意識を失った。

 

 

 

 

 

 目を醒ました時、私の身体は床に伏していた。あれだけあった石は姿形もなく、いつの間にか潜っていたはずの扉の前にいた。

 

「……ご主人様?」

「……遅いぞ、クィリナス」

 

 ズギンッ!と一瞬頭痛が走るが、あっという間にそれは消え去った。私がここに居ると言うことは……ご主人様が私を助けてくださったのだろう。

 

「さあ、クィリナス……部屋の中にある石をここから扉に嵌め込むのだ……」

 

 部屋の中を見てみれば、端の方に三つ並んだ石があった。その三つはどれも形が違ったが、どれが穴に丁度嵌まる形かはわからなかったのでそれぞれ一度ずつ、様々な向きで石を扉に押し付けた。

 そして三個目を数十秒使って押し付け続けた結果……ガヂリと鈍い音を立てて扉に空いていた穴に嵌まり込んだ。

 ギギギギ……と錆び付いたような音をさせながら扉が開いて行き、数十秒の時間をかけて完全に開ききった。

 

「進め、クィリナス……『賢者の石』を手に入れるのだ……」

「はい、ご主人様!必ずや!」

 

 私はご主人様の期待に応えるため、直ぐ様立ち上がって前へと進んでいった。

 

 

 

 

 




 

 ※一度部屋を出れば増えた石はリセットされます。また、部屋に入らなければ増殖しません。
 この試練の正解は、外から石を動かしてはめ込むことです。入った時点でああなることは確定でした。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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