ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
ここからはクィレル&ヴォルデモー太君のターン!
024
side クィリナス・クィレル
ダンブルドアをホグワーツから引き離した。魔法省のあるロンドンまで。ロンドンからホグワーツにまで戻ってくるには、やはりそれなりの時間が必要だ。
私はダンブルドアがいない間に、四階のあの部屋から『賢者の石』を頂いていく。忌々しい小僧のせいで、ご主人様は大分力を消耗してしまっている。……急がなければならない。
初めにいる三頭の犬は、ドラゴンの卵と引き換えにして間抜けな森番から聞き出した方法……音楽を聞かせて眠らせた。ハープに魔法をかけて音楽を奏でさせれば、その程度の事は簡単にできる。
眠りに落ちたバカ犬を床の扉の上から退かす。ハープの音色があるうちはバカ犬は起きることは無いだろうが、できるだけ素早くやっておく。もしかしたら森番の言っていた事が大嘘で、音楽を聞かせていても起きてしまう可能性があるからだ。
しかし、ここさえ越えてしまえば後はどうとでもなる。スプラウトの『悪魔の罠』は火をつけるか、あるいは空を飛んで触れないようにすれば問題ない。フリットウィックの鍵は一度見付けて『妨害の呪文』をかけてしまえばいい。見逃さないようにするのが難しいかもしれないが、ご主人様と共にある私ならば問題なく捕まえることができるだろう。
それからマクゴナガルのチェスは……ご主人様のお力を借りればなんと言うことはなく抜けることができるし、私が用意したトロールは全く問題ない。スネイプの物は不明だが、スネイプ風情にご主人様の力を越えることはできないだろう。
だが、問題はダンブルドアの仕掛けだ。いったいどのような物を用意しているのか、そしてどのようにすればそれを越えることができるのかはわからない。ご主人様がこの世で唯一恐れたとされる魔法使いのかけた魔法は、いったいどのようなものになるか。
「問題ない……早く行け……」
ご主人様の声が聞こえた。私は不安を振り切って床に開いていた穴に飛び込む。かなり長い距離を落ちていったが……最後の一瞬速度が緩み、『悪魔の罠』の上に着地した。
すぐさま蔦が絡み付いてくるが、私はその蔦を全て振り払って『悪魔の罠』の上から逃げ出した。固く絡み付いていなかったため抜け出すことに成功したが、絡み付かれていたら火をつけるしか方法はなかっただろう。
そして奥へと続く石の一本道を見つけた私は、周囲に注意しながらその道を進んでいった。
……ありえない話ではあったが、もしもこの時に私がこの道を進むのをやめていれば、あのようなことにはならなかったのかもしれない。あのような終わり方を迎えることだけは、なかったのかもしれない。
しかし、私はご主人様と共にその道を進んでいった。どんな試練も障害も、ご主人様と共にある私ならば抜けられぬ訳がないと信じて。
道の途中で、大きな石の扉が私達の行く手を阻んでいた。その石の扉には何かが書かれており、その内容は簡単な謎かけのようなものだった。
『
前へと進みたいならば合言葉を答えよ。
一度の失敗には目を瞑ろう。二度の失敗には罰を与えよう。三度の失敗には慈悲を遣わし、四度の失敗には死を賜そう。
怖じ気づくなら止めはしない、犬のように逃げるがいい。止まりたいなら止めはしない、死人のように佇むがいい。
もしも前へと進むのならば、三つのヒントを差し上げよう。
第一のヒント 『死の飛翔』とか名乗ってるくせに一歳の子供を殺すこともできずに逆に殺されかけた情けない人の名。
第二のヒント 純血主義者のくせにマグルの男と魔女のハーフである、存在自体が矛盾している男の名。
第三のヒント ゴーストにすら届かない、ポルターガイストよりも弱々しい、塵より存在感がなく、芥よりも必要とされず、闇の帝王(失笑)(嘲笑)(大爆笑)と名高い男の名。
彼の名前を叫んでごらん、情けない彼を呼びつけてごらん。さすれば扉は開かれる。
※ある程度以上の音量で叫ばないと開きません。
』
………………ご主人様の沈黙が逆に恐ろしい。あまりにもあまりな内容に、私の身体が勝手に震え出して止まらない。
ここで合言葉を叫ばなければ先には進めない。しかし魔法はこの壁には効果がなく、更にはホグワーツでは『姿あらわし』ができないため、壁の先に直接現れることもできない。
「ご……ご主人様……」
「……構わぬ、叫ぶのだ」
ご主人様から許可を頂き、私は思いきり叫んだ。
「ヴォルデモート卿!」
途端に壁の文の終わりに新しく文字が浮かび上がった。
『呼び捨てで』
………………。
「ご……ご主人様……」
「……構わぬ」
私はもう一度大きく息を吸い、叫んだ。
「ヴォルデモート!」
突然壁から手が伸びて私の身体を引き寄せ、そしておもいきり尻に衝撃が走った。どうやら私はあの巨大なハリセンで尻を叩かれたらしい。
そして再び扉に浮かぶ文字。
『本名をフルネームで』
……………………。
「……トム・マールヴォロ・リドル、だ」
「ありが」
尻の穴に衝撃が走る。身体が浮き上がり、壁に叩きつけられた。ズボンを貫通して尻の穴を裂いたそれは、先端の丸くなった円錐のような形をした杭だった。
尻を押さえて悶える私の前の扉に文が浮かび上がった。
『声が小さくて聞こえんなぁ? もっと寄せてやったんだからしっかり叫べよ? ……全く、自分の甘さに吐きそうになる』
何も甘くないわッ!!
……と、叫びたくても尻の痛みに悶えることしかできない。必死に痛みを堪えて立ち上がり、尻を押さえながら叫んだ。
「トム・マールヴォロ・リドル!」
『勝手に通れば?』
石の扉にそんな文章が浮き上がったかと思うと輝き始め、別の場所に繋がった。
最後の最後までこちらの神経を逆撫でし続けた扉は私達に屈し、奥へと誘う道となった。私とご主人様はその扉を潜って先に進む。賢者の石を手に入れるために。
side ハリー
ヴォルデモー太君とターバン先生が入っていった『扉のような装飾にいくつかの文章が書かれた石板』を新しく出した布にアンダーグラウンドサーチライトを作って放り込む。これで中身はこの世界と完全に隔離されることとなった。
後は中で一人で二人な仲良しコンビが精々頑張って生き延びてくれ。三ヶ月もしたら……いや、中で腐られるのも嫌だし、十日くらいで捨てとこう。持ってても無駄になるだけだし。
※クィレルのズボンには穴が開いたままです。
……と、思ったらそんなことはなかったぜ!
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き