ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
前回更新が遅れてしまってまだ読んでいない方へ。前話があります。
……2話目だから言わなくとも分かると思いますけどね。
side ルビウス・ハグリッド
「こいつはひでぇ……」
ダンブルドアからのお言いつけに従ってジェームズとリリーの家に行ってみれば、既にその家はボロボロだった。柱も壁も殆どが崩れ落ち、それでもなんとか形を保っていたその家の上空には緑色の煙でできた骸骨が浮かび、その骸骨から蛇が這うようにして現れている。
あれは闇の印。死喰い人や『例のあの人』が誰かを襲った際に使うもので、それはつまりここに死喰い人か『例のあの人』本人が来ていたと言う証しに他ならねえ。
それでも俺はダンブルドアに言われた通り、ポッター家の中へと入っていく。
玄関を開けてみれば、すぐそこには冷たくなって動かなくなったジェームズが倒れ付していた。すぐに抱き起こすが、既にジェームズは死んでいた。ダンブルドアのおっしゃった通りだ。
ジェームズを寝かせて俺は進む。どこに何があるのかわからねえんで片っ端から扉を開けていくが、ハリーとエリー、それにリリーは見付からねえ。
扉を開けて中を確認して、いないことがわかったらすぐにドアを閉める。俺の力でドアを普通に閉めたらこの家が潰れかねねえのでかなり加減したが、それでも家の全体が軋みを上げるのがわかった。
俺はゆっくりと進んでいく。するとようやく、一つの部屋から子供の鳴き声が聞こえてきた。
その部屋に向けて走り、開け放たれていた扉を覗くと……そこにはジェームズと同じように床に倒れたリリーと、泣き叫んでいる双子の片割れ。そして……リリーと同じように殺されたらしい、双子のもう一人の死体がベッドの上に転がされていた。
生きている方の片割れがハリーとエリーのどっちなのかはわからねえ。ただ、リリーももう一人の方も、間違いなく死んでいたことだけは確認した。
俺は生きている方の双子を抱き上げて、すぐに崩れた家を出た。抱き上げた時に身体を包む布がはだけて見えたのは、首筋に走る大きな稲妻型の傷。そこの皮膚だけが引き裂かれたかのようにしてつけられているその傷は、『例のあの人』の手でつけられた呪いの傷。恐らくこれから先、いつまでも消えることはないだろう。
ポッター家から出てすぐに、空から爆音と同時にバイクが俺の目の前に降りてきた。それに跨がっていたのはブラック家のシリウス……ジェームズの大親友であり、双子の片方……ハリーの名付け親だった。
「ハグリッド!これはいったい……他の三人はどうした?」
慌てたように俺に話しかけてくるシリウスは、真っ青な顔色をしていた。俺はシリウスに、ただ首を横に振って返す。
「そんな……ジェームズとリリーが……死んだ……?」
「……ああ。それに……双子のもう一人の方もだ」
「ああ……なんと言うことだ……」
シリウスはその場で膝から崩れ落ち、涙を流す。なぜ自分がその場にいなかったのかと、自分がそこにいれば、せめてもう一人の双子の方だけでも助けられたのではないかと言うかのように。
そんなシリウスを見ていられず、俺は双子の片割れを抱きながらシリウスを慰める。何を言ってやればいいのかわからなかったが、ただ肩を叩いて一緒に泣いてやる。それだけでも大分気は楽になるはずだ。
暫く泣き続けたシリウスは、泣き止んですぐに俺にいった。
「ハグリッド、その子を渡してくれ。ジェームズとリリーの子だ。僕が育てる」
「そいつぁ聞けねえ。ダンブルドアに命じられてんだ」
「頼むよ、ハグリッド……」
何度もシリウスは俺に懇願してくるが、それでも俺はシリウスにこの子を渡すことはできねえと突っぱね続けた。するとシリウスは諦めたのか、ならその子を連れてダンブルドアのところに行くのに自分のバイクを使うといいと言ってきよった。確かシリウスはこのバイクを気に入っていたと言う話を聞いていたのでいいのかと聞き返したが、もう自分には必要なくなったと、シリウスはそう言った。
俺は箒は苦手だ。それに魔法を使うことも禁じられていたし、その言葉は願ったり叶ったりだ。
だから俺はその話をありがたく受け、バイクに跨がって空を駆ける。腕の中にいる双子の片割れが目を開く。……ああ、この目の色はジェームズの物だ。と言うことはこの子はエリーの方なのだろう。
俺は空を走りながら、エリーがこれから行く所で幸せに暮らせることを祈った。
side ハリー(として生まれた織斑一夏)
作戦成功。俺はこの世界でほぼ自由を手に入れた。後は『ハリー・ポッター』が死ぬのを待ってから俺が生まれたことをどこぞの役所に申請して、ついでに色々と手続きをしてやらなければ。
シルバーカーテンと不可触の秘書を連動させて役所に置かれている機械類にハッキングをかけ、この身体の誕生日である一年前の7月31日に産まれていて申請もされていたと言うことにする。
だが、名前はともかくとして名字まで同じと言うのは流石にできすぎているため、新しく名字を考える。……織斑……おりむら……ORIMURA……IとAの読みを日本語的な物から外してやれば……オライムレイ。よし、ハリー・オライムレイにしよう。決定!
さて、これからやることが決まったところで俺が何をしたのか説明しよう。
俺はまず、千の顔を持つ英雄を使って死にたてホヤホヤの俺と同じ姿の赤子の死体を作り出して身代わりにした。それと入れ替わった俺は、次にスキルの身長変化を使って外見年齢を18歳程度に固定して、それから妹君の首筋に原作でハリーの額にあったような稲妻型の痣を痛みを与えないようにつけてさっさとポッター家を後にした。
ちなみに杖はヴォルデモー太君のを使えればよかったんだが、残念ながらヴォルデモー太君の杖は持って行かれていたので使えず、仕方無くその場で自作した。
作り方は実に簡単。世界の壁をぶち抜いて英霊の座に一回移動して皆から髪の毛を一本ずつ貰い、【英霊・織斑一夏】の髪の毛を数本ずつ寄り合わせた物に混ぜて寄り合わせ、長さを一番短いものに合わせて他の髪を折り曲げて調節し、それを被うように神鉄製の杖を千の顔を持つ英雄で出してやれば出来上がりだ。
ちなみに杖の模様は木目調で、小さな木刀のような形をしている。勿論神鉄製だからちょうどいい大きさまで伸ばしたり太くしたりすることも自在にできるし、元の大きさにも戻せる。
特殊な……普通の杖には無いような能力もまだまだあるが、それは実際に使うことがあったら説明しようと思う。
さてと。それじゃあ今の内にできることは何でもやっておくとしようか。まずは対ラスボス用の準備としてハッフルパフのカップとスリザリンのロケット、レイブンクローの髪飾り、スリザリンの直系に伝わる指輪を収拾しておこう。場所は……ホグワーツとグリンゴッツの金庫に一つずつ、俺の名付け親の家に一つ。指輪は知らん。
ロケットは……そうだな、あの屋敷しもべ妖精に交渉するとしよう。あの家の家紋が入ったロケットがあればなんとかなるだろう。ならあの孤島の洞窟に行かないとな。
……やれやれ、未来のためとは言え面倒臭い。
俺は片手に自作の杖を、もう片方の手に『ハリー・ポッターと死の秘宝』の下巻を持って、行動を開始した。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き